僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第128話・祝勝会

 

 攻略開始から六十五日目。

 今日と明日は休養日なのですが、僕は朝から大忙しです。

 

 というのも。昨晩。

 

「祝勝会を、開きましょう!!」

 

 と、フラーさんが宣言したからです。

 

「フェアネス殿下が六十階層のフロアボスを討伐したことを、この街の者たちに知らしめるのです! やりましょう! 私はやりますよ!!」

 

 フラーさん。興奮冷めやらぬ様子で力説し、冒険者ギルド裏手の訓練広場を借りきってパーティーを開くと言って聞きません(唯一止められそうなロコさんは夜行超特急で帝都に向かっています)。

 

 なので仕方なく、僕もお手伝いをすることに。

 

 広場を結界で囲んで、結界壁でステージを作って、パーティー用のテーブルなども準備して……。

 

 まぁ、そういう会場の設営は別にちょちょいっとできるんですけど、問題はフェアちゃんを祝う会である以上、人手のまばらな状態では沽券にかかわる(仮にもどころかガチガチの皇族ですし)ということで、

 

 僕はほうぼうを駆け回って、なるべく多くの人に来てもらえるよう関係各所に頼み込んでいます。

 

「フェア様のご活躍、心よりお慶び申し上げます。明日の晩の祝勝会につきましては、当ギルド職員一同、喜んで出席させていただきます」

 

 とか。

 

「フェアぴがゴリラに凸ったってマ!? しかもワンパンで乙らせたってマ〜!? よっしゃ、二人にも声かけてくるし、街フレたちにも言っとくぜウェーイ!」

 

 とか。

 

「そうか。とうとうマイシスター(フェアネス)も花開いたか……。よし、お兄ちゃんに任せておけ。マイブラザーたちにも伝えておく」

 

 はい。お願いします。

 あと、明後日の探索から、また一緒に来ていただけますか?

 

「っ! そ、そうか。そちらも任せておけ。俺はお兄ちゃんだからな!!」

 

 とか。

 

 あとは、普段よくお買い物をするお店の方々とかにもお声をかけて回り、来ていただける方にはご家族同伴でお越しいただいて、

 

 そのついでに、パーティーで並べるお料理の材料やお酒をしこたま買い込んだり、

 

 サプライズプレゼントの準備をしたり、

 

 

 そんなこんなで、あっという間に翌日(六十六日目)の夕方になりました。

 

 

 ロコさんも超特急で帝都から帰ってきて他の護衛の皆さんと連携したり、

 

 フラーさんとタマゾン姉貴(ネキ)の指揮のもと作られた大量のお料理を並べてお客さんを出迎えたり、

 

 勇猛楽団の三人が、他にも何人かの演奏家さんたちを呼んで合同で演奏したり、

 

 ミーシャ姉さんたちギルド職員の皆さんが会場内外の雑務処理にあたったり、

 

 ソウ兄ちゃんを先頭に冒険者の一団がやってきてお酒とお料理に舌鼓を打ったり、

 

 イェルン姉さんとメラミちゃんとキャベ子さんもおめかしして会場に来たり、

 

 会場内はたくさんの人でワイワイガヤガヤとしています。

 

 そして、定刻になると。

 

「それでは! フェアネス殿下、ご入場!」

 

 と、冒険者ギルドの裏口から、これまたおめかししたフェアちゃんが出てきました。

 

 華やかでキラキラとした飾りのついたドレスを着てきています。

 こうして見ると、やっぱり皇族なんだなって思いますね。

 

 フェアちゃんの後方を追従するフラーさんの手には、フェアちゃんが倒したゴリラゴーレムの魔石が乗っており、

 

 その後ろを行くロコさんの手には、天上鋼のインゴットが乗っています。

 

 結界壁で組んだステージの上に立つと、

 

「みんな! 今日は来てくれてありがとう!」

 

 フェアちゃんは皇族の笑顔(ロイヤルスマイル)を浮かべて会場内の皆さんに向かって手を振りました。

 

 さながらアイドルのコンサートのようです。

 

「私が冒険者デビューして早一月。長いようで短い、あっという間の日々だった」

 

 おお、そういえば。

 もう一か月ぐらいたつんですね。

 

「そして私は一昨日の探索で、ここゲヘナダンジョン第六十階層のフロアボスを討伐した!」

 

 フラーさんとロコさんが一歩前に出て、会場の皆さんに見えるようにドロップ品を掲げます。

 

 会場中から(特に、冒険者と冒険者ギルドの方々から)大きなどよめきが起こります。

 

「これはひとえに、私のダンジョン探索を応援してくれた皆の協力があってこそ! だから私は現在、私のスキルによって知り得たゲヘナダンジョン内のエネミーに関する情報を本にまとめる計画をしていて、いずれはそれを、冒険者ギルドで自由に閲覧できるようにしたいと思っている!」

 

 おおおお!?

 と、さらに大きなどよめきが。

 

「私は、また明日からもゲヘナダンジョンに潜って頼れる仲間たちとともに攻略を進める! 進めば進んだだけ、私が作るダンジョン大辞典は厚くなる! そうすらば、この場にいる皆も、もっと安全に深くまで潜れるようになると思う! ……だから」

 

 フェアちゃんは、ニッコリ笑って、

 

「これからも私のことを、応援してね♫」

 

 と、言ったのでした。

 

 すると。

 

「う、うおおおおっ! フェアネス殿下、ばんざい! フェアネス殿下、ばんざーい!!」

 

「応援してます! 一生推します!!」

 

「俺たちの新しい希望の星だー!!」

 

 とかなんとか、あちこちから喝采する声が湧き上がると、会場中から大きな拍手が鳴り響きました。

 

 わーお、なんかすごいですね。

 

 さすがフェアちゃん。

 皇族として活動しているだけあって、民衆の心を掴むのがお上手です。

 

 さて、それなら。

 

 僕は手荷物を抱えてステージに歩み寄ると、フェアちゃんに向けてペコリと頭を下げます。

 

 それからステージに上がり、驚いたお顔のフェアちゃんの前に静々とひざまずくと、

 

「フェアネス殿下、こちらを」

 

 抱えていた手荷物の包みを解き、中に入っている()()()()を差し出しました。

 

「これは?」

 

「はい。今後も冒険者活動を頑張るフェアネス殿下のために作りました。どうぞお納めください」

 

 包みの中に入っているのは、ゲヘナダンジョンで手に入れた物を使って作った冒険者用の装備一式です。

 

 ミスリル製の軽量ヘルメットに、同じデザインで作ったミスリル板の鉢金。

 

 四十階層のフロアボスからドロップした混合獣の黒革で作った胴体用の革鎧(心臓部分にはミスリルと鋼鉄の合板を貼っています)と、

 

 同じく混合獣の黒革で作った膝下までの編み上げブーツ(底と爪先には鋼鉄が入っています)。

 

 そして、阿修羅土蜘蛛からドロップする大鎌の刃先とミスリルを混ぜて作った(六十一階層のマグマで熱して結界トンカチで叩いて鍛造しました)短剣に、

 

 天上鋼で作った鞘(四つ葉のクローバーをデザイン化した図柄を彫り込んでいます)と、鞘や小物入れを吊るための革ベルト。

 

「こ、これって……」

 

 フェアちゃん、どうやら真名看破術でそれぞれの品名を見たようですね。

 たぶん何を使って作ったか分かったのでしょう。

 

「……私がもらっていいの?」

 

 はい。フェアちゃんに差し上げます。

 そのために作りましたので。

 

「フェアネス殿下。ここから先の探索も、さらに厳しさを増すことでしょう。僕がいる限り殿下には指一本触れさせず傷一つ負わせることはないと誓いますが、万が一億が一ということがあるやもしれません」

 

 まぁ、フェアちゃんが僕の結界内にいる限りは、億に一つどころか兆に一つもないでしょうけども。

 

 もっと先の話は、誰にも分かりませんので。

 

「……ありがとうね、ナナシ。これからも、頼りにしてる」

 

 なんだか目がうるうるしているフェアちゃんが、僕の作った冒険者装備一式を受け取ります。

 

 そして大きな声で言いました。

 

「さぁ、みんな! 小難しい話はここまで! あとは気がすむまで、飲んで食べて楽しんで! 私も楽しむ! めいっぱい騒ごう!!」

 

 と、いうことで。

 

 フェアちゃんの祝勝会はそのまま夜更けまで続き、会場にお集まりの皆さんは、誰もが満足そうな表情で帰っていったのでした。

 

 

 

 なお、帰宅後ベッドに入っていると、こそっとフェアちゃんが一人で僕の部屋に入ってきましたので、そのまま少しだけ夜更かしをしました。

 

「くんくん、くん……? ペロっ……、うーん、変な味……」

 

 けど匂いは好きかも、と言うフェアちゃんに、僕は出たもの全部きれいに舐め取られましたとさ。ちゃんちゃん。

 

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