僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第020話・蓬莱樹の戦杖(極)

 

 切り落として地面に落ちた枝のところに向かいます。

 

 長さは四メートルほどでしょうか。

 

 枝先のほうはさらに細い枝に分かれて伸びていて、葉っぱやキラキラとしたカラフルな色合いの実のようなものがついています。

 

 この枝から、今度はお嬢様が使っていたような木の棒を削り出します。

 

「……もしかしてこの樹って……、いやまさか、そんなはずは……」

 

 さいわいにして、この樹の枝の加工で一番たいへんなのは樹から切り落とすときです。

 

 一度切り落としてしまえば、その後の削り出しなどの加工はわりとスムーズに行えます。

 

 おそらくですが、樹そのものからあふれ出る強い生命力が、物理的な防御力となって枝を守っているのでしょう。

 

 だから枝を切り落とす際は樹そのものを切り倒すぐらいのダメージを与えなければなりませんが、一度樹から落ちた枝には生命力による防御力の上昇がなくなり、加工が容易になるのだと思われます。

 

「いやでも、この生命力に満ちた雄大な姿、葉や実の形からすれば、まず間違いなく、あの言い伝えに聞く蓬莱樹(ほうらいじゅ)じゃ……」

 

 前回切り落とした枝で木刀を作ったときにその辺りのことは学習しましたので、今回お嬢様用の木の棒を作るのは、そこまで苦労はないでしょう。

 

 それでは、少し遅めのお昼ごはんを食べ終わってから、枝の加工開始です。

 

 まず僕は、小さなリング状の結界壁を作ると、それを高速回転させ始めました。

 

 そして切り落とした枝の幹側のほうから、その回転するリング状結界に押し当てます。

 

 すると、回転するリングによって枝の周囲がゴリゴリと削られていき、綺麗な円柱状になっていきます。

 

 こうして、お嬢様が使っていた木の棒と同じぐらいの、長さ二メートル弱のところまで削ると、一旦そこで切り落としました。

 

 直径が三センチメートルほど、高さが二メートル弱の木製の円柱が出来上がりました。

 

 次にここから、お嬢様の手の大きさに合わせて少しずつ削りながら太さを調整していきます。

 

 折れた木の棒と、今現在のお嬢様の手の大きさを見比べてみると、もう少しだけ太くしても問題ないように見受けられましたので、高速回転リングの大きさを百分の一ミリ単位で微調整しながら少しずつ細く削り出していき、いい塩梅の太さになったところで、今度は円柱の角を取ります。

 

 結界壁をグラインダーのように使って円柱の角を少しずつ取って丸みをつけていき、その後円柱の表面全体をもう一度まんべんなく削って整えていきます。

 

 よし、こんなところで良いでしょう。

 

 それから僕は、削り出した木の棒の両端に特別製の黒色塗料を塗りました。

 

 お嬢様を運んできた忠義者のカラス君のお墓に使ったものと、同じ塗料です。

 

 両端から三十センチメートルずつを隙間なく黒く塗ってしっかりと乾かします。

 

 最後に、全体の表面に塗料保護用のニスみたいな樹液を塗ります。

 これを塗ると、滑りの良さとグリップの良さを両立した握り心地にできるのです。

 

 最後に全体をしっかり乾かして、完成です。

 

 うん、綺麗に仕上がりました。

 

 これならお嬢様にもご満足いただけるでしょう。

 

「たいへんお待たせしましたお嬢様。こちらが新しい木の棒です」

 

 僕が出来上がったばかりの棒を差し出すと、お嬢様は棒を見つめてぼそりと呟きました。

 

「……『アイテム鑑定』。…………うわっ、やっぱり……」

 

 お嬢様?

 

「……いえ、ナナシさん。この戦杖はたいへん良いものなので、思わず見惚れてしまったわ。素晴らしい物をありがとう。とても褒めてあげます」

 

 わーい!

 お嬢様に褒めていただけました。

 

 えへへ、嬉しいなぁ……!

 

「……ついでに、なんだけど。その残った分の枝はどうするつもりなの?」

 

 こちらの枝先が分かれているほうの枝ですか?

 

「特に使い途は考えていませんし、持って帰っても薪にするぐらいだと思いますけど」

 

「そう……。そうね、せっかく貴方が私の戦杖を作ってくれたのだし、そちらの残った部分の枝も記念にもらっていいかしら?」

 

 ほう、記念にですか。

 

 もちろん良いですよ!

 

 僕は残りの枝の部分をお嬢様に手渡しました。

 お嬢様は、木の棒と枝先を収納空間にしっかりしまいました。

 

「ナナシさん、貴方ってやっぱりデキる男ね。私の従者として、これからもいっそう精進なさい。とっても頼りにしてるから」

 

 はーい!

 これからも精進します!

 

 けど、そんなに褒められると、ちょっと照れちゃいますね……!

 

「……よし、決めたわ。拠点に帰ったら、とっても良い物を私に献上したご褒美を、貴方にあげます」

 

「!? それって、まさか!!」

 

 もしや、もしくは、もしかして!!

 

 お嬢様は、気品に満ちた目で、ニヤリと笑いました。

 

「今日の貴方の功績に報いることを思えば。そうね、今日は貴方の気が済むまで、両膝から下を好きにしていい権利をあげます。私から途中で止めたりしないし、……好きに使ってくれても、いいわよ?」

 

 なんと!!!

 

 マジですか!!!!

 

 ひゃっほーい!!!!!

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 …………ふぅ。

 

 

 いつの間にか、夜が明けていますね。

 

 昨日、拠点に帰ってきて、早めの晩ごはんを食べたあと、ベッドに腰掛けたお嬢様が生足をお出しになってニコリと微笑んで「来なさい」と僕を呼んだところまでは記憶があるのですが……、そこから今までの記憶がだいぶ朧です。

 

 なにか……、この世のあらゆる幸福の全てが詰め込まれて凝縮されたような時間を過ごしたはずなのですが。

 

 あまりに多量の幸福を一度に過剰摂取したせいで、脳ミソがパンクして、防衛本能で記憶を飛ばしてしまったのかもしれません。

 

 まこと、やむなしですね。

 

 何をどうしたのか、詳しいことは覚えていませんが、お嬢様から与えられた栄誉と幸福は確かに僕の魂に刻み込まれています。

 

 あと、ベッドに横たわっている(気絶している?)お嬢様の両膝から下が、あまりにもヌルヌルグチョグチョのドロドロベタベタで正視に耐えない状態となっており、これをやったのが僕だという逃れようのない現実を直視するのが怖いというのもあります。

 

 ……好きにしていいとは言われましたが、さすがにこれはやり過ぎたかもしれません。

 

 お嬢様がお目覚めになったら、また全力土下座で謝罪しなくてはならないかも……。

 

「……あら、ナナシさん」

 

「!?」

 

 そんなことを考えていると、お嬢様の目が緩く開きました。

 上半身をむくりと起こし、少し寝ぼけたような瞳で僕の名前を呼びました。

 

「お、おはようございます、お嬢様……。えっと、昨日は、そのぅ……」

 

 ベッド脇で立ち尽くす僕を横目に、無言で少し考え込むような表情のお嬢様。

 

 それから自分の両脚の惨状を目にし、数秒ほど間が空いてから、お嬢様は自分の身体の各所をペタペタと触っていきました。

 

 お股のあたりをさわさわしたり、お腹まわりをすりすりしたり、豊かなお胸をぽよんぽよんさせたり、見ているこちらが恥ずかしくなりそうです。

 

 お、お嬢様……?

 

 僕は、いつお嬢様に怒られるのだろうとドキドキしていましたが、結局怒られることはありませんでした。

 

 身体中を触って確認したあと、お嬢様は僕のほうを向いて優しい表情になりました。

 

「おはようございますナナシさん」

 

「お、おはようございますお嬢様!!」

 

「……貴方って、ほんとうに女の子の足が好きなのね」

 

 え? えーと……、それはもう、はい。

 

「こういうことを聞くのも変な話なのかもしれないけど……、貴方って、足以外には興味はないの? ……それとも私って魅力がないかしら。確かに淑やかさとかはあまりないけれど」

 

 僕は驚いて、思わず大きな声を出してしまいました。

 

「そんなまさか! お嬢様はとても素敵で魅力的な女性です! 気高くて気品があって、真面目で努力家で、何事にも寛容で器が大きくて! ちょっと血の気が多いときとかおっちょこちょいなときもありますけど、そういうところも含めて可愛いと思います!!」

 

「か、かわ……!? ……そ、そうなの?」

 

「はい! 僕は、お嬢様のことをはちゃめちゃに可愛い美少女だと思っていますし、この世で一番大切なお方だと思っています! お嬢様の従者になれて心から良かったと思っていますし、お嬢様のことは一生おそばでお守護りする所存です!」

 

 お嬢様の質問の意図は分かりかねますが、お嬢様に魅力がないなんてことはあり得ません。

 

 これほど可愛くて素敵なお嬢様だからこそ、僕はあらゆる手間を惜しまずお助けしますし、お嬢様のお足だからこそ、これほど我を忘れて味わってしまったのです。

 

「それに、お嬢様のお体ならどこを味わってもきっと美味しいと思いますので、お足以外にも興味がないわけではないです。今日は膝から下だけというお話でしたし、……その、以前のご褒美のときも我を忘れてお嬢様に怒られてしまいましたので、そうならないように今日は、気をつけていました」

 

「…………」

 

 話がとっ散らかった感じはありますが、要するに。

 

「お嬢様はとても魅力的な女性ですし、僕もお嬢様に魅力を感じています。だからまたご褒美がいただけるように、これからもお嬢様のおそばで一生懸命がんばります」

 

 と、いうことですね。

 

 すると少し顔を赤くしたお嬢様が、上目遣いになりながら、言いました。

 

「……またご褒美が欲しいというなら。ひとつ、……いえ、いくつか、貴方にお願いがあるわ」

 

 なんでしょう、お嬢様。

 

「それとお願いの前にひとつ伝えておくべきことも。昨日貴方から受け取った戦杖。あれは、名を『蓬莱樹(ほうらいじゅ)の戦杖』と言うの。そして貴方が切り落とした樹の枝は『蓬莱樹の珠の枝』と言う名前」

 

 それならあの大きな樹は、蓬莱樹という名前の樹ということですね。

 

「私が生まれ育った国には、建国時から代々伝わる王家の宝がいくつかあるのだけれど、そのうちのひとつが、『()()()()()()』という名前なの」

 

 ほほう、それはつまり。

 

「ええ。あの樹は、グロリアス王国の国宝のひとつの()()となった樹なのよ」

 




ハローチェ「というか私、ここまでされて逆に清い体のままなのね……」
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