僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第034話・第一島人発見!

 

 霧の中に現れた島の浜辺には、明らかに人が生活しているような様子がありました。

 

 木の板を組んで屋根を作り雨風を凌げるようにした場所には、何かの生き物の毛皮のような物が敷かれていますし。

 

 ごろごろとした大きな石を積んで焚き火をするための場所を作り、そこで何度も火をおこしたような形跡がありますし。

 

 ピンと張った荒縄の上に、わりと上等な生地の服を干してありますし。

 

 間違いなく、誰かが住んでいますね。

 

「とりあえず、いったん浜辺に着陸しますね」

 

 僕はカベコプターを移動させて浜辺の上に着陸すると、結界を維持したまま島のほうを見渡します。

 

 浜辺から見える範囲の陸上には人の姿はありません。

 

 島自体を見てみても、浜辺以外のところはゴロゴロとした岩場になっているようです。

 

 歩いて登っていくにも非常に難儀しそうなところばかりです。

 

 また、この島には背の高い木は生えている様子がなく、浜辺や岩場の一部に、こびりつくようにして背の低い草木が生えています。

 

 さらに、空を見上げれば非常に濃い霧でまったく空は見えず、かろうじて太陽が出ているのが分かる程度です。

 

 薄暗くて、海から湿った風が吹いてきて、少し肌寒いぐらいです。

 

 うーん、非常に住みにくそうな島です。

 

 好き好んでこんなところに住もうとは、誰も思わないのではないでしょうか。

 

「誰もいないわね。これらの持ち主は、どこに行ったのかしら」

 

 お嬢様も付近を見渡し、ここの住人を探しています。

 

「はあぁ、やっと地面に着いた……」

 

 ジェニカさんはそれどころではない様子で、カベコプターの中で倒れ伏しています。

 

 急に揺れることのない足元の素晴らしさを噛み締めているのでしょうか。

 

 しばらくカベコプターの中で様子を見ていましたが、この浜辺の住人は一向に帰ってくる様子がありませんでした。

 

 もしかしたらもう還らぬ人になっているのでは?

 

 と思わなくもないですが、それならそれで、いつまでもこうして待っていても時間の無駄ですので。

 

「お魚を捌いて、調理をするようにしますね」

 

 僕は、カベコプターの外に結界製の調理場を用意し、ニモコプターの中のトビウオを順番に捌き始めました。

 

 結界製の包丁でスパスパと切り分けて三枚に下ろし、柵を作っていきます。

 

 新鮮なお魚なのでお刺身にしても良いんですけど、港の町で聞いたところ、お嬢様たちはあまり生魚を食べる文化がないらしいので、きちんと焼くようにします。

 

 ジェニカさんに薪(港の町でたくさん買ったらめちゃくちゃオマケしてもらって、さらにたくさん貰いました)を出してもらい、結界棒を回転させて出る摩擦熱で火をつけます。

 

 結界網を火の上に置いて、食べやすい大きさに切ったトビウオの身を焼いてみます。

 

 ある程度焼いたらお塩を振って、試しに一口食べてみました。

 

「ん! 美味しいですね!」

 

 わりとアッサリとした味わいですが、シンプルな塩焼きでも十分に美味しいです。

 

 これならいくらでも食べられそう。

 

 僕はさらに何枚か切り身を塩焼きにすると、カベコプター内で待っているお嬢様とジェニカさんに持っていきました。

 

「あら、美味しい。うーん、やっぱり秘境の凶暴な生き物って、基本的に美味しいのね」

 

「こ、こんなサッパリとした中にしっかりとした油の旨みが……! こんな魚今まで食べたことありません! これは超高級魚として売れますよ! 特に内陸国のお貴族様たちは大金を払うと思いますね! ナナシくん、もっとたくさん獲れませんか!?」

 

 売るかどうかはお嬢様の判断によるので僕からはなんとも言えませんが、とても美味しいのでもっと獲るのは良いと思います。

 

 あとで結界ざるを使って付近一帯をさらってみましょうか。

 他にも美味しい魚が獲れるかもしれせんし。

 

 まぁ、とりあえずはニモコプターの中のトビウオを全て捌きましょうか。

 

 一匹一匹がカツオぐらい大きいので、これを全部捌くだけでも三人でお腹いっぱい食べられるだけの切り身ができあがると思います。

 

 ジェニカさんの格納空間に入れておけば新鮮なままで置いておけますし。

 

「そうだお嬢様、こういう食べ方もありますが」

 

 僕は、トビウオの切り身に小麦粉と溶き卵とパン粉を纏わせて油で揚げたフィッシュフライを作ると、

 

 港の町で待っている間に暇つぶしで作ったマヨネーズを使って作ったタルタルソースを絡め、事前に焼いておいたパンに葉物野菜と一緒に挟んだものをお嬢様の前に出しました。

 

「フィッシュフライバーガーです。どうぞそのまま手掴みで、かぶりついてお食べください」

 

 お嬢様とジェニカさんは、バーガーを食べて目を丸くします。

 

「これはすごいわね! ソースの酸味とサクサクの食感が、魚の旨みとよく合っているわ!」

 

「こ、こんな贅沢な食べ物、私まで食べちゃって本当に良いんでしょうか……。というか、こんなに美味しい物ばかり食べてたら、いつも食べてた味気ない保存食を、食べられなくなりそう……」

 

 こちらも喜んでいただけたようでなによりです。

 

 他にも煮たり蒸したり炒めたり、色々できますよ?

 何かリクエストはありませんか?

 

「ナナシさん、なんだかイキイキしているわね」

 

 そりゃあもう!

 

 美味しいお魚が目の前にあって、美味しいと言って食べてくれる人がいて、こんな恵まれた状況ってなかなかありませんからね!

 

 それに今まではなかなかお魚料理を作る機会がありませんでしたが、ここでたくさん仕入れておけば、これから先も美味しいお魚が楽しめるわけですし。

 

 そりゃあもう、テンションもアゲアゲ⤴︎⤴︎ですとも!

 

「そう。まぁ、貴方が楽しそうでなによりだわ」

 

 はい!

 というわけで、この後はどうします?

 

「そうね……。ひとまず、この浜辺を私たちも拠点として使いましょうか。しばらくは、ここを中心にして付近の海域の探索を行いましょう」

 

 了解しました!

 

 というわけで、僕は浜辺の空いたスペースに結界小屋を作ると、カベコプターの中に置いている物(クッションとか毛布とかです)を小屋の中に移し入れ、海水から真水を作って(結界壁で濾過しました)貯水タンクに入れました。

 

 ジェニカさんは小屋の中で少し休まれるそうなので、僕はお嬢様と一緒に島人(しまんちゅ)の生活状況を確認します。

 

 まず、家(と呼ぶのもおこがましい、強いていうなら寝床)の様子を見てみます。

 

 何枚かの木の板を斜めに立てかけ合わせて頂点を荒縄で縛り、その中に大きな毛皮(なんでしょう? 熊? この島に熊がいるのでしょうか?)を敷いて床がわりにしているようです。

 

「強風が吹けば飛びそうですね」

 

「これじゃあ雨風もほとんど凌げないわね」

 

 次に、かまど状に石を積んだところを見てみます。

 

 こちらは、わりとしっかりと石が積まれていますね。

 少し手で触ってみてもぐらついたりしません。

 

 かまどの横には、鉄の平鍋(すき焼きとか作るときに使うやつです)と鍋蓋、フチの欠けた陶器製のコップ(湯呑みみたいな形をしています)、木製の枡(お米とかお酒を測るやつ)が乱雑に置かれています。

 

「かまどで燃やしている木は、寝床の屋根に使っている木と同じに見えます」

 

「そうね。よく見れば波打ち際にも何枚か流れ着いてきているわ。ここの人間は、あの木を乾かして燃やしているんじゃないかしら」

 

 それから干された洗濯物のほうを見ようとしたところ。

 

「……む、ナナシさん」

 

 どうされました、お嬢様?

 

「向こうの浜辺のさらに向こうのほうから、こちらに近づいてくる人影があるわね」

 

 それは、お嬢様のスキルに反応しているということですか?

 

「そうよ。人数と大まかな距離方角が分かる程度のものだからあまり正確ではないけど、人間がひとり、こちらに向かって歩いてきているわ」

 

 それなら、ここに住んでいる人が帰ってきたということですかね。

 

「そうかもしれないし、違うかもしれない。とにかく、まもなく姿が見えると思うから、それなりに警戒を。住処を勝手に荒らされたと思って、いきなり襲ってくるかもしれないから」

 

 そう言いながらお嬢様は、戦杖を取り出して手に持ちました。

 僕も、両手を合わせていつでも結界を作成できるようにします。

 

 そして待っていると、薄霧の向こうから島人がやってきました。

 

「……ん、なんだ? ……人? まさか、人か!? 本当に!? おおーい!」

 

 その人は、肩に袋を担いで姿を見せると、僕たちの姿を見て驚き、そして手を振ってきました。

 

 どうやら、すぐに襲われるということはなさそうです。

 

「油断させる演技かもしれないから、警戒はやめないように……」

 

 お嬢様は小声で言うと、今度は大きな声で島人さんに呼びかけます。

 

「こんにちは! 貴方はこの島の住人の方ですか!」

 

「住人というか、漂流者だ! アンタらもそうなのか!」

 

 なるほど、どこかから流されて来た、と。

 まぁ、こんな住みにくい島に自分から住みに来る人間は少ないですよね。

 

「いいえ! 用事があってこの海域に来たところ、この島が見えたので立ち寄りました!」

 

「好き好んでこんなところに来たというのか! ずいぶん物好きだな! いやしかし、漂流でないなら……、ひょっとして、燃やせる物とか食えるものを持ってないか! もしあるのなら、少しでいいから分けてほしい!」

 

 島人さん改め漂流者さんは、そう言って肩に担いだ袋を持ち上げてみせます。

 

「礼ならできる! だから頼む!」

 

 そうして、霧の向こうから近づいてきた漂流者さんは、

 

 

「…………!!?」

 

 

 なんと、黒髪で色白肌の背の高い()()()で、し、し、しかも、今まで泳いでいたのか、髪も全身も濡れそぼっていて……。

 

「な、()()()()……」

 

 当然、身につけている物はほぼなく、大きなお胸はサラシを巻いていて、腰回りはふんどしみたいな布で隠しているだけで、

 

 すらっと長いお足が、もう丸見えの丸見え状態でいきなり霧の奥から出てきたので、

 

「…………あふっ、」

 

「ナナシさん!?」

「おい、どうした!?」

 

 

 僕は、あまりにも興奮しすぎて、ぶっ倒れてしまいましたとさ。ちゃんちゃん。

 




ハローチェ「くっ……、ナナシさんがやられるなんて……!」
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