僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第036話・武士乙女から護衛騎士に

 

「ふぅ……、腹いっぱいだ……。それにこんなに美味い肉やメシ、初めて食った……」

 

 すっかり満腹になった様子のナルさんにデザートとして切り分けたリンゴ(兎さんにしています)をお出しして、僕はお嬢様とジェニカさんにお茶のおかわりを注ぎました。

 

「どうだった? 私の従者の手料理は?」

 

「最高だな。アンタら、こんな美味いモンを毎日食ってるのか。羨ましいよ」

 

 ナルさんは僕のほうを見ると、「とても良かった、ごちそうさま」と言ってくれました。

 

 ふふふ、喜んでいただけたようでなによりです。

 

 全部残さず食べてくれて、僕としても作り甲斐がありました。

 

「さて……、と。改めてなんだが、……アンタ、ずるいな」

 

「ずるい、とは?」

 

「空腹につけ込むようなことはしないと言っておいて、こんな美味いモン腹いっぱいになるまで食わされたら、さっきの話なんて断る気にならないじゃないか」

 

 お嬢様は、ニッコリと笑いました。

 

「いえいえ。断っていただいてももちろん構わないのよ? その時は、さらに条件をつけ足して、また交渉させてもらうだけだから」

 

「そうなのか。それなら、もっと粘ればもっと良い条件が出てくると、そういうことなんだな?」

 

「ええ、もちろん。そんな交渉の仕方を、貴女ができるのなら、だけどね」

 

 そこまで言われてナルさんは、ふふっ、と笑いました。

 

「その言い方もずるい、……が、確かにその通りだな。……ハローチェ殿」

 

 すうっと姿勢を正し、ナルさんが真剣な面持ちで言葉を続けます。

 

「貴殿からの御言葉、有難く頂戴致す。此より我が身は貴殿の剣と成り、その道行を照らす杖と成ろう」

 

「分かりました。貴女の忠誠を、篤く期待します」

 

「……とまぁ、そんな感じで、よろしく頼む」

 

「ふふふ。ええ、こちらこそ」

 

 二人はそう言うと、がっちりと握手をしました。

 

 ふむ。つまりこれは。

 

「ナルさんもこれから一緒に僕たちと旅をしてくれる、という認識で合ってますか、お嬢様」

 

「その通りよ。嬉しい?」

 

 めっちゃ嬉しいです!

 わーい、また旅の仲間が増えました!!

 

 僕は、嬉しさのあまりナルさんのことをじっと見つめます。

 

 歳の頃は、十代後半から二十歳ぐらいに見えます。

 

 ツヤツヤでサラサラとした真っ黒い髪は腰のあたりより長く伸ばしていて、今は後頭部の少し高い位置で一つ結びにしています。

 

 キリリッと力強い少し太めの眉は逆さハの字になっていて、タカのように眼光鋭く、瞳の色は金色です。

 

 少し面長ですがアゴのラインはシャープで、反面、大きく開けてご飯を食べていたお口は、今は小さくキュッと結ばれています。

 

 背丈は、同年代の男性よりも高めではないでしょうか。

 手足も、背丈に伴って長いです。

 

 それでいて、全身がとても引き締まっています。烈火の中で鍛え上げられた刃みたいと言いますか、極限まで無駄を削ぎ落としたような肉体です。

 

 だというのに、サラシで巻いていたお胸はギチギチになっていましたので、かなり大きい部類に入ると思います。

 体格体型の比率で言うと、お嬢様より少し小さめぐらいでしょうか。

 

 腹筋はバキバキに割れていましたし、腰回りも引き締まっていました。

 

 そして、お足なんですけど。

 

 とにかくもう、長くて締まってて美しい、としか言いようがないんですね。

 

 たぶん踏んでもらって下から見上げたら、爪先から腰の位置までで富士山の高さを越えると思います。

 

 それぐらい長いです。

 いわゆるモデル体型っていうんですかね?

 

 もうほんと、抜き身の日本刀みたいです。

 

 舐めたら舌が切れそうなお足って、ほんとに実在するんですね。

 僕は感動してしまいました。

 

 そんなナルさんが仲間になると聞いて、興奮のあまりまた鼻血が出そうなくらいです。

 

 僕が万歳して喜ぶと、ハローチェお嬢様も嬉しそうに微笑みました。

 

「ジェニカさんも、事後承諾になってしまったけど、問題ないかしら?」

 

「私も、はい。ナルさんは悪い人ではなさそうですし、そもそもハローチェさんのやり取りに口を出せる立場でもないですし」

 

 ということで、ナルさんが仲間になりました。

 

 やったね!!

 

 

 

 ◇◇◇

 

「さて、そうなったからには、まずは私のできることを言っておこうか」

 

 ナルさんは、ぐっと拳を握りました。

 

「基本的に、戦いとなれば任せてくれていい。私は武芸百般全てに通じている。無手から剣、槍、弓、暗器。隠密もできるし騎馬突撃もできる。対人でも対獣でも対魔でも大丈夫だ。それに多少なら戦術指揮もできるぞ」

 

 おお、すごいです。

 どうやらナルさんは、生粋のアタッカーのようですね。

 

「持っているスキルも、戦闘技能関連ばかりだ。解体術とか野営術とかもあるにはあるが、そちらは期待しないでくれ」

 

 はい、大丈夫です。

 そのあたりは僕の結界術でなんとでもなりますので。

 

「ナルさんには、ナナシさんとともに私やジェニカさんの護衛をお願いしたいわ。私も自衛戦闘は可能だし、今まではナナシさんがずっと頑張ってくれていたわけだけど。今後は人手を分けたりすることもあるだろうし、戦える人間は多いに越したことはないわ」

 

 ふむ、それならつまり。

 

「ナルさんは、僕と一緒にお嬢様にお仕えする立場になる、ということですか?」

 

「そういうことになるな。アンタは結界術がすごいみたいだが、例えば先ほどのようにアンタが動けなくなった場合には、結界を張ることはできなくなるだろ」

 

 そうですね。

 僕が結界術を使うためには、僕自身が結界を作ることを意識しなければなりませんので。

 

 というより、スキルという存在自体が、スキルを使うことを意識して魔力をスキルに込めないと使えないものですからね。

 

「もし僕が行動不能になったら、お嬢様のことをよろしくお願いします。頼りにしていますので」

 

「ああ、任せろ。……しかしなんだ、ナナシの結界術というのは、」

 

 ナルさんが、ぐるりと周りを見回しました。

 

「見慣れない使い方ばかりだな。この机や椅子、茶を入れた急須や湯呑み、そこのデカい小屋とか、さっき料理してるときに使ってた調理器具一式とか、全部結界術の応用で作ってるんだろ?」

 

 はい、そうですよ。

 

「どういう考え方や生き方をすればこういう発想になるのか……。いや、馬鹿にしている訳ではないんだが、とにかく不思議でな」

 

「あのー、ナナシくんって、あの極魔の大森林で三年ぐらい過ごしてるらしいですよ。これらの結界術は、その時に鍛えたみたいです」

 

 ナルさんが、訝しげに眉根を寄せました。

 

「はあっ……? なんでそんなことを?」

 

「女神様からの思し召しです」

 

「なんだそりゃ」

 

「ナルさんも後で一緒に礼拝しませんか? とても心が落ち着きますよ」

 

 僕が、その後しばらく女神様の素晴らしさをお話したところ、今度一度ジェニカさんと一緒に礼拝に参加してみてくれることになりました。

 

 やったね!!!!

 

 えへへ、やりましたよ女神様。

 

 お嬢様に続いて新たな信徒になってくれそうです♪

 

 

 

 ◇◇◇

 

「……なぁ、ハローチェ。ナナシって……」

 

「ダメよナルさん。それ以上言ってはいけないわ」

 

「ナナシくんがいないと、私たちはこの海域から出ることもできない立場なんですから。いいじゃないですか、一緒にお祈りするぐらい」

 

「いや、それは良いんだが……。あんな真っ直ぐにトチ狂った目で話をされると対応に困るんだよな……」

 




ナナシ「〜〜♪」
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