僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第003話・異世界全裸で森の中

 

 ガキーン、と甲高い音が鳴りました。

 

 一瞬何事か分かりませんでしたが、どうやらかじりついてきたティラノサウルス似の大きな爬虫類の牙が、結界の光の壁に弾かれた音のようです。

 

 すごい。

 こんなに大きくて鋭い牙にかじられたのに、光の壁にはヒビひとつ入っていません。

 

 かじられた瞬間に少し多めに魔力を吸われた感覚はありましたが、それでも総量から比べれば微々たるものです。

 

 そのあとも何度かティラノ君がかじりついてきましたが、何度やっても時間の無駄というもので、結局ティラノ君に結界を破壊することはできませんでした。

 

 諦めてすごすごとどこかにいくティラノ君を見送ったあと、僕はいったん結界を解除しました。

 

「ふぅ……。この結界術があれば、なんとか死なずにいられそうですね」

 

 この結界術は、まさしく僕の生命線と言えました。

 この結界を張っている間の僕は、おそらくどんな攻撃を受けても傷つくことはないのでしょう。

 

 逆に、もし他の生き物に襲われたときに結界術を使うことができなければ、僕は無様な屍を晒すことになると思います。

 

 そうならないためには、僕は僕の結界術をきちんと扱えるようにならなければならないわけですね。

 

 というわけで、僕の結界術について色々と検証していきながら、この森で過ごしていこうと思います。

 

 がんばって生き延びるぞー。おー!

 

 

 

 ◇◇◇

 

 そんなこんなで、この森に来て一か月ぐらいたちました。

 この間に分かったことをまとめてみようかと思います。

 

 

 

 Q。まずこの結界、どれぐらいの時間連続で使えるのでしょうか?

 

 A。少なくとも数日間は出しっぱなしでいられるみたいでした。

 

 デフォルト設定の結界だと消費する魔力が非常に少ないらしく、自然回復する肉体の魔力のほうが多いくらいです。

 なので、何も考えずに出しっぱなしにするぶんには特に心配はいらなそうです。

 

 ちなみにデフォルト設定の結界というのが、「合わせた両手の平の中心を起点に」、「直径約二メートルの球体状に発生する」、「あらゆるものを完全遮断し(厳密には、光は通過しているみたいです。半透明ですし)」、「発生地点に固定された」、「半透明な光の壁」のことです。

 

 どうやら結界術というのはこれらの設定を結界作成時に調節する機能があるようで、必要な部分を強化したり不要な要素を削ったりして、その時必要な機能を有した結界を作成することができるみたいです。

 

 また、一度作った結界は「消去する」と明確に意識するか、魔力を通す見えない線(魔力導線と呼ばれるものらしいですね)が切れるか、魔力が尽きて維持できなくなるか、耐久力を超えるダメージが入って破壊されるまでは、そのまま残り続けるようです。

 

 Q。この結界、強度はどれぐらい?

 

 A。今まで出会った生き物では、デフォルト設定の結界にヒビすら入れることができませんでした。

 

 今後さらに強力な攻撃ができる生き物が出てきた場合は分かりませんが、少なくとも今いる場所付近の生き物なら十分対処可能です。

 

 なお、この強度を下げることで他の要素を強化したりすることもできるので、目の前の生き物に壊されないギリギリの強度を見極めつつ他の要素の強化を行う、ということもいずれ必要になってきそうでした。

 

 まぁ、今のところは死なないことが大前提条件なので、不用意に結界の強度を下げたりはしませんけどね!

 

 Q。この結界は出入りすることはできない?

 

 A。結界作成時に透過条件を設定すれば出入りできるようになるみたいです。

 

 例えば足元の地面であるとか周りの空気であるとか自分自身であるとかを指定することで、指定した対象は結界を通り抜けられるようになります。

 

 逆に指定した対象だけ遮断する結界というものも作れるらしく、僕に対して敵意や害意を持ったもの、というような指定も可能でした。

 

 こういう、抽象的な条件での指定をした場合には、どこの誰が条件を判定しているのでしょうね?

 

 まさか、女神様?

 そうだとしたら、僕はまた女神様への信仰心があふれてしまうことになるのですが……。

 

 おっといけません

 。僕は女神様のお足の味を思い出しながら木の皮を噛み噛みして我慢します。

 僕は我慢のできる人間なので。

 

 ……あれ、気がついたらこの大木の皮を全部噛み終えてしまっていました。

 別の木の皮を剥がないと。べりべりー。

 

 Q。結界を発生させる起点は両手の平の中心から動かせる?

 

 A。意識してみると、動かせました。

 

 視界の届くところなら自由に起点を動かせるみたいです。視界の届かないところにも一応持っていけるのですが、今の僕の練度だと指定位置からずれてしまうことが多いです。

 

 ただ、今のところは両手の平を合わせる動作は必ず必要みたいです。

 合掌せずに結界作成しようとすると非常に頭の中がごちゃついてしまい、うまくいきませんでした。

 

 たぶんこれはスキルの使用条件というか、そういう縛りみたいなものがあるのではないでしょうか。

 

 訓練すれば合掌なしでも結界作成ができるようになりそうですが、今はまだ無理そうですね。

 

 Q。結界の形を変えることはできる?

 

 A。やってみたらできました。

 

 球体以外にも立方体や直方体、円柱形などもできましたし、バリアのように一面の壁だけを出したりすることもできました。

 

 正面からの攻撃を弾くだけなら、一面だけのバリア状に貼るのが一番コスパが良さそうでした。

 

 もっとも、そうやって油断しているところを背後から襲われて何度か死にかけたので、もう少し練度が上がるまでは球体状に結界を張ったほうが良さそうですね。

 

 Q。作成後の結界の形状などを変化させることは可能?

 

 A。可変属性というものを追加して作成した結界なら、いったん作成後でもサイズや形状を変化させたり、移動させることができるみたいです。

 

 また、この可変属性と前述の透過指定の合わせ技で、いったん大きく作った結界に「食べられる物以外は透過」という条件を付けてから小さくすると、結界の中に食糧となる木の実や山菜などだけを残して集めることができるいうことに気づき、これによって食糧調達が非常にスムーズになりました。

 

 いやぁ、これに気づくのがあと数日遅ければ、僕は食糧不足で餓死していたことでしょう。

 

 危ない、危ない。

 

 こんなことで死んでたら、僕を信じて送り出してくれた女神様に顔負けできませんからね!!

 

 そんなこんなで、僕は凶暴な生き物たちが跋扈する深い森の中で、全裸生活を続けていくのでした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 そして、僕がこの森に来てから三か月ぐらいがたちました。

 

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