僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第048話・悪さと強さをアッピルします

 

 ◇◇◇

 

「それではナナシさん、行きましょう」

 

 はい、お嬢様。

 

 お嬢様のお言葉を受けて、僕は両手の平を合わせます。

 

 作成したい結界の形を思い浮かべながら、スキルに魔力を込めます。

 

「結界作成」

 

 僕の持つスキル「超・結界術(極)」は、僕の思い描いたとおりの形と機能を有した結界を、僕の目の前に生み出しました。

 

 うん、完璧です。

 

 スキルは使えば使うほど、魔力を通せば通すほど、僕に馴染んで練度が上がっていく感覚があります。

 

 使い込んだ上質な革製品みたいと言いますか、使うたびにきちんと研いだ包丁みたいと言いますか。

 

 とにかく、僕の意思によって自在に操れるこのスキルは、もはや僕と一心同体と言っても過言ではありません。

 

 今なら、僕の手と同じ形をした結界壁を、僕の手と同じように動かすこともできそうです。

 

 結界製マジックハンドですね。

 そのうち本数を増やしたり、触覚まで搭載できるかもしれません。

 

「どうぞお嬢様、お乗りください」

 

 さてさて。

 僕は、結界製のドアを開き、お嬢様に乗船を促します。

 

 大量の勲章を付けた軍服風結界服を着たお嬢様は、堂々とした足取りで船内に入っていきます。

 

 船乗り(セーラー)服を着てビビり散らかした様子のジェニカさんと、ゴテゴテの畏まった着物を着たナルさんもお嬢様に続きます。

 

「こ、こんなのも出来るなんて。ほんとに、なんでもありですね」

 

「足元が透けてないのは助かる。こんな格好ではまともに動けんしな」

 

 最後に海賊船の船長さんみたいなデザインの結界服を着た僕が乗船すると、ドアを閉めてロックし、船内中央の操縦席に座ります。

 

 まぁ、操縦席と言っても、形だけのものなんですけどね。僕の意思によってこの()()()は自由自在に動きますので。

 それっぽいダミーレバーやボタンを並べてあるだけの席です。

 

 それでも雰囲気というものは大事なので、作りました。

 

 今の僕は、ハローチェ総帥率いるハローチェ軍団の幹部、キャプテン・ナナシです。いぇい。

 

「それでは発進します」

 

 ハローチェ総帥たちが各々の席に座っていることを確認し、僕は宣言します。

 

 飛行船は音もなく地上を離れ、ある程度の高さまで浮かび上がると、今度は水平移動を開始しました。

 

「目標地点まで、おおむね一時間程度。当機のフライトを担当するのはスーパーバリアの呼び声高い、キャプテン・ナナシです」

 

「なんだそれは」

 

 ナルさんがしょーもないものを見るような目で僕を見てきます。

 ナルさんこそ、なんですかその目は。

 

「せっかくカッコ付けて行くので、僕はカッコ良い名前も付けるのです。ナルさんにも超クールな二つ名を付けてあげましょうか?」

 

「いらん」

 

「ではジェニカさんは?」

 

「私も遠慮しておくね……」

 

 そうですか。残念です。

 

「それではハローチェ総帥。最終確認なのですが。本当に、このユーフォー型カベコプターでフジクラ家のお城に乗り付けていいんですね?」

 

 僕は、期待を込めた目で総帥を見つめます。

 

 ハローチェ総帥はコホンと咳払いを一つしてから。

 

「許可します。す、スーパーバリアのキャプテン・ナナシ。我々の本気と実力を見せつけてやりなさい!」

 

 サー、イエッサー!

 

 僕は、全速力(時速約三十キロメートル)でユーフォー型カベコプターを動かし、フジクラ家の大きなお城に突撃を始めました。

 

 すいーっと、まるで電気自動車のような静かさで発進するユーフォー型カベコプター。

 

 ちなみにこれ、形はまんまアダムスキー型ユーフォーです。

 全体が銀色で、光沢のある金属のような見た目をしています。

 

 円盤の全周は二十メートルほど。

 高さは五メートルぐらいにしています。

 

 円盤の縁は七色の電球がついているかのようにカラフルにピカピカと明滅し、円盤の上面には強そうに見せるためのトゲトゲがたくさん生えています。

 

 どうです、とっても悪そうでしょ?

 

 あと、ユーフォーに追従する形で巨大な結界板を作成していて、結界壁面には電光掲示板のように「ジッサイ強い!」とか「悪キューレの奇行」とか「舐めたらアカン」とかの文字を太字の丸ゴシックフォントで表示して、フジクラ家の皆さんを威圧します。

 

 ユーフォーの下面にはサーチライト型の結界板をいくつか設置して、強烈で真っ赤な光を放ちながらぐりぐり動かしていますし、時折巨大シンバル型結界壁をジャンジャカ打ち鳴らしてみたりもします。

 

 人目に付かないように町から離れたところでユーフォーを作成して乗り込んだわけですが、乗ってしまった後はひたすら目立つようにビカビカと光らせていますので、すでに田畑で作業をしている人々が驚きのあまり腰を抜かしていますね。

 

 ふふふ。ここまでやれば、僕たちの存在は誰の目にも明らかでしょうとも!

 

 お嬢様の提案する「なるべく目立つ形でフジクラ家に乗り込んで相手方を狼狽させ、交渉で優位を取る」という作戦も、これならばっちり果たせるはずです。

 

「うぅ……、任せるとは言ったけど、まさかここまで……。さ、流石に恥ずかしい……! ……いや、もうここまで来たらやり切るしかないわ!」

 

 気合いを入れ直す総帥と、外の様子を映した壁面を見ながら苦い顔をしている二人。

 

 やがてユーフォーは城下町の上空に入り、にわかに町中がざわめき始めます。

 

 ここまで声は聞こえませんが、皆このユーフォーを指差して、口々に何かを叫んでいますね。

 

 そして、どうやらお城のほうでもこのユーフォーに気づいたらのでしょう。

 

 騒然とした様子で、お城の庭に足軽さんたちがわらわら出てきます。

 

 ちなみに、上空に浮かんだこのユーフォーに、手出しできる方はいるのでしょうか?

 

「いや、いないだろ。剣や槍どころか、弓すら届かん。最近出回っている鉄砲とやらでも、この高さは無理だ」

 

 なるほど。

 それなら、空を飛んだりできるスキルをお持ちの方とかは?

 

「そういうスキルはあまり聞いたことはないし、持っている者がいたとしても、単独で近づいてきて何ができるかという話だな」

 

 とかなんとか話していると、豪華な甲冑を着込んだ人が、空を駆け上がってきました。

 みるみるうちにこのユーフォーに接近してきます。

 

 おお、ほんとにいるんですね、空を走れる人。

 

「捕獲用結界球、発射」

 

 僕は、空中を駆けて槍を振りかざしてきた甲冑姿の人に向かって、デフォルトサイズの結界球を撃ちました。

 

 半透明で薄緑色に発光する結界球を、甲冑姿の人は「キエェェェッ!」と叫んで槍で突くのですが、残念ながらその結界球は「透過指定・人及び身に付けた服や装備品」となっているので、手にした槍も透過します。

 

 ただし、入るだけで出れませんが。

 

「な、なんだこれはっ!? だ、出せ! 出さんか!?」

 

 結界球に飲み込まれた豪華な甲冑を着た人は、結界壁面をドンドンと叩きながらわめいています。

 

 この結界球の透過指定は外から内への一方通行になっているので、一度入ると僕が結界を解除するまで外に出られなくなるのです。

 

 僕は、豪華な甲冑の人を捕らえた結界球をゆっくり降下させながら、マイク型結界とスピーカー型結界(結界壁面を振動させて音を伝える結界です)を起動します。

 

「フジクラ家の皆さんこんにちは、キャプテン・ナナシです。ヒデサト家を通じての約束通り、ハローチェ総帥をお連れして話し合いに来ました。物騒なので刀とか槍とかは片付けてほしいのですが」

 

 僕が対話を願い出ると、下からは怒声のようなものが返ってきました。何人かは届きもしない弓矢を放ってきています。

 

 ふむ。まぁ、それはそうですよね。

 

 それなら、はい。

 

「捕獲用結界球、連続投下」

 

 お話し合いがしたくなるまで、色々やってみようと思います。

 

 さてさて。

 いつまでそんな態度でいられるのでしょうね。楽しみです。

 




ナル「……本当に、めちゃくちゃをする奴だな」
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