僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第061話・腹を割って話しましょう

 

 助け出したナルさんは黄ハヤ君の電撃により全身黒コゲ、……とはなっていませんでした。

 

 多少の火傷と裂傷、全身打撲はあれど、命に別条はなさそうです。良かった……。

 

 しかし、ここまでダメージが少ないのも少し不思議ですね。

 

 一緒に電撃を浴びたヤモリの死体は、こんがり焼けましたー、を通り越して真っ黒コゲコゲ。

 表面の大半が炭化するぐらいに焼けていますのに。

 

 意識を失っているのも高速度で結界壁にぶつかった衝撃によるものだと思われますし、ナルさんって実は超合金でできているんでしょうか。

 

 とにもかくにも僕は、倒した黄ハヤ君の死体を回収して解体等しながらナルさんを抱えて森の中に戻り、結界小屋を作ってその中の結界ベッドにナルさんを寝かせました。

 

 着ている結界服を一旦脱がせて下着姿にし……、近くの壁に二十回ぐらい頭を打ち付けて(邪な気持ちを抱いてしまいましたので……)からナルさんの全身に薬草や軟膏を塗りたくって包帯を巻きます。

 

 で、ナルさんのベッドを囲む形で、

 

「結界作成・回復」

 

 回復機能を高める効果を付与した結界を三重に張りました。

 

 これでとりあえず、ナルさんの怪我は治っていくものと思います。

 

 あとは、目が覚めるまでの間に黄ハヤ君の解体を進めて、なんか心臓の横にある黄色くて丸くてツヤツヤした大きな石を取り出しました。

 

 小屋の外で火をおこして、黄ハヤ君のお肉をジュージュー焼いて、隣で煮込んでいた鍋で作った甘辛ダレをかけてもう一度焼いて。

 

 そうこうしていると日が暮れてきたので小屋の周囲をさらに結界で覆って明るくして、持ってきていたお米を炊いてお味噌汁を作って、としていると。

 

「……ナナシ、外か?」

 

 小屋の中からナルさんが出てきました。

 

 あ、ナルさん、目が覚めましたか?

 もうすぐご飯ができます……、って、うわっ!?

 

 ナルさん!? さ、さすがに全裸はやめてください!! というか包帯とかはともかくなんでサラシとフンドシまで脱いでるんですか!!?

 

「ものすごく身体の調子が良い。服なんか着ている場合じゃない」

 

 脱いでる場合じゃないですよ!?

 せめて何か羽織ってください!!

 

 僕は、慌てて結界製バスローブを作成すると、ナルさんの頭の上からバサリと被せました。

 

「なにをする」

 

「もうすぐご飯ですからそれを着てください! 裸でいたらご飯抜きにしますよ!」

 

「今日の飯はなんだ?」

 

「ナルさんを連れ去ろうとした黄ハヤ君のお肉でチキンソテー風ステーキを焼いてます!」

 

 分かった、と言ってナルさんがいそいそとバスローブを着ました。前留の紐をしっかり結んだのを見て、僕はテーブルに案内します。

 

「お体の具合はどうですか?」

 

 配膳しながら聞くと、ナルさんはしっかりとした様子で頷きます。

 

「先ほども言ったように、今までになく調子が良い。ベッドを囲んでいた結界は、噂の回復結界か?」

 

 そうですよ。そこまで大きな怪我をした様子もありませんでしたが、僕には怪我の大小は分かりませんので念のために張っておきました。

 

「なるほどな。さすがの効き目だ」

 

 それでもナルさんが黄ハヤ君に連れ去られそうになったときは生きた心地がしませんでしたよ。

 ナルさんこそ、あれだけの電撃を受けてよく軽症で済みましたね。

 

「ああ、あれは簡易結界を纏っていたからだな。私の周囲に特殊な磁界を発生させて、電撃を受け流せるようになるんだ。それに加えて魔力による身体強化を最大限に強めて肉体の強度を上げておいた」

 

 簡易結界?

 

「結界術に先天スキルの効果を付与できるのは知っているだろう? 効果の一部だけを付与した簡易な結界なら、コストを抑えて作ることができるんだ」

 

 へぇー!

 そんな使い方もできるんですね!

 

「おかげで死なずにすんだ。ただまぁ、さすがに受け流しきれずに多少は喰らってしまったし、意識ももたなかったがな」

 

 なるほどです。

 それで思ったよりもダメージが少なかったのですね!

 

「……ナナシがいてくれなければ、抵抗をしても無意味だっただろう。お前には、また助けられた。……礼を言う」

 

 頭を下げるナルさんに、僕も頭を下げます。

 

「いえ。こちらこそ、黄ハヤ君の接近にもっと早く気づくべきでした。そのために僕は、少し引いた位置でナルさんの援護をしていたわけですので。僕の落ち度です。ごめんなさい」

 

「……お前のその、嫌味なのか謙虚なのか自己完結した事実なのか分からん腰の低さも、慣れた」

 

 ……どういう意味ですか?

 

「そうだな……。せっかくの機会だから、ナナシと腹を割って話しておく。だがその前に、晩飯を持ってきてくれるとありがたい」

 

 おお、これは失礼しました。

 

 僕はそそくさとチキンソテー風ステーキを温め直し、ご飯とお味噌汁と一緒にテーブルに並べました。

 

 ふたりで手を合わせて、いただきます。

 

 ナルさんは、黄ハヤ君のステーキにガブリとかじりつき、目を見開きます。

 

「美味いな……! ティラノサウルスの肉よりも美味いぞ! あの雷鳥、やはり相当な強者だったんだろうな」

 

 僕も一口食べてみます。

 うーん、これは確かに美味しい。

 

 お肉自体はわりとあっさりめの味わいで、甘辛ダレとよく合うというのもあるのですが、とにかく旨みが強い。

 

 たぶんこのお肉を骨ごと煮込んだらとても濃いトリガラスープになりそうです。

 

 僕もナルさんも、しばらくは無言でご飯を口に運び、二人で何度もチキンソテー風ステーキをおかわりします。

 

 そして、二人とも十人前ずつぐらい食べたところで、ナルさんが僕を見ました。

 

「なぁ、ナナシ」

 

 僕は、口の中のものをゴクンと飲み込みました。

 なんでしょう、ナルさん。

 

「お前、私の足を舐めたいか?」

 

「超舐めたいです」

 

 めちゃんこ舐めたいです。

 

「即答か」

 

 当然です。

 しかし。

 

「けど、僕も失敗から学ぶ男なので、この前みたいに迂闊にほいほい飛びついたりはしません。まずはどうして今その質問が出てきたのか、お話を聞いてもいいですか? ……っ!?」

 

 ナルさんが、無言でバスローブの裾をまくって太ももぐらいまでお足を出します。

 

 うぐっ、あっ、お足っ、すべすべ……、美味しそう……! ……いやいやいや!

 

「……お、おはなしを、まずは、きかせてもらえますか……??」

 

「耐えたか。なら、話そう」

 

 あ、危ない……。急にお足を出すのはやめてほしいです……。

 

 ナルさんは、バスローブの裾を戻しながら話し始めました。

 

「実は、ハローチェから言われているんだ。私はあまり足を舐めさせるなとな」

 

 ……え、そうなんですか??

 

 なんと、衝撃の真実が……、いや、そこまで衝撃でもないか。けど、それは本当なんですか?

 

「ああ。ナナシが初対面の私の足を見て、鼻血を出して倒れただろう? あれがあって、ハローチェが心配してるんだよ」

 

 お嬢様が心配……?

 なにを、ですか?

 

「詳細は伏せるが、お前が他の女の足になびいて心変わりすることを、だ」

 

 心変わり……??

 

「……分かってなさそうな顔をしているが、まぁ、いい。要するに、私が足を舐めさせたら、私の足ばかり舐めるようになるんじゃないかと、そういう懸念があるそうだ。だから私は、今まで舐めさせなかった。そして私がまだだから、レミカも遠慮をしている」

 

 ……えーっと?

 

「そして、ハローチェからはこうも言われている。もし、ナナシから受けた恩が、とうてい返し切れないと思うような状態になるのであれば、その時は仕方がないわ、とな」

 

 ナルさんは、ふぅ、とため息を吐きました。

 

「さすがの私も、こう何度も何度もお前に助けられてばかりだと心苦しい。かといって、他に私にできることもなければ、渡せる物もない。忠誠はハローチェに捧げたし、金銀財宝だってお前は必要としないからな。それなら、」

 

「あの、ナルさん?」

 

 僕は、あまりにも話の流れが分からな過ぎて、つい口を挟んでしまいました。

 

「僕から受けた恩、というのは、なんの話ですか?」

 

「……そうだな。お前の価値観だと、そうなるんだろうな」

 

 そう言うとナルさんは、突然、指折り数え始めたのでした。

 

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