僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第072話・ダンジョン発見しました

 

 ◇◇◇

 

 ヨークさんが森を出て二週間ほどがたちました。

 

 途中とちゅうで入る定期報告によれば、おおむね順調な移動状況で、まもなくグロリアス王国内に入るそうです。

 

 そこからお嬢様の暗殺を依頼してきた人間に嘘の報告をして、王宮内で隙を見て弟様たちに接触して結界電話を渡すまでには、もうしばらく時間を要することでしょう。

 

 まぁ、ヨークさんは極魔の大森林で巨大生物からひっそりと身を隠し、短くない期間無事に過ごせるくらいには腕の立つ密偵なわけですので、慌てず騒がす信じて待つことにします。

 

 そんなわけで今日は、皆で蓬莱樹のところに来ました。

 

 目的としましては、蓬莱樹の枝を切り落としたり皮をはいだりして、ナルさんやレミカさん用の新しい武器とかジェニカさん用のソロバンとかを作ろうかと思っています。

 

 いやほら、この樹を使って作った物って、なんだか特別感があるじゃないですか。

 

 今まではお嬢様だけが使っていたわけですが、燕晴貝の真珠で作った装飾品と同じで、他の皆さんにも使っていただきたいなーと思いまして(ちなみにレミカさんにも真珠をあしらったイヤリングを渡しています。ジェニカさんと似たデザインのやつを)ですね。

 

 今なら以前よりさらに早く枝を切り落とせると思いますし。

 皆で数日蓬莱樹の根元付近に滞在しながら、多めに枝を切り落とそうかなと。

 

 しかし。

 

「……何か、嫌な感じがするな」

 

 蓬莱樹に近づいたところで、突然ナルさんがピリッと警戒モードに。

 

 合わせてレミカさんも、両手に青龍刀を持ち出して周囲を見回します。

 

 お嬢様も収納空間から戦杖を取り出し、ジェニカさんは皆さんの雰囲気にビビって僕の近くに寄ってきました。

 

「ジェンさん、ハローチェちゃん、少し下がっていて」

 

 草むらの向こうを睨んでいたレミカさんの言葉に呼応するように、草陰から何かが飛び出してきました。

 

 これは……。

 

「なんだコイツらは。石の傀儡か?」

 

 大きさは普通の人間程度。

 

 しかし全身がゴツゴツした岩の塊で構成されています。

 目や口らしき穴は空いていますが、生物的というよりかは、ただのデザインという感じがします。

 

 お嬢様が相手の正体を見抜きました。

 

ロックゴーレム(岩人形)!? なぜこの森に!」

 

 岩人形は全部で三体。

 それぞれ、お嬢様とナルさんとレミカさんに狙いを定めて殴りかかってきました。

 

 お嬢様!

 

「ふっ!」

 

 お嬢様は岩人形の攻撃をくるりとかわしながら、手にした戦杖の先端にツルハシのように尖らせた結界壁をくっつけます。

 そして回転の勢いを利用して岩人形の首筋にツルハシの先端を叩き込みました。

 

 さすがお嬢様!

 

 首元に亀裂の入った岩人形は、そのまま立て続けにツルハシを打ち込まれて頭を落とし、動かなくなりました。

 

「おらあっ!」

 

 ナルさんは振り回してくる岩の腕を円の動きで受け流しながら、電撃を纏った拳を真正面から叩き込みます。

 ズドンと拳がめりこみ、岩でできた人形の胸元が大きく陥没しました。

 

 めり込んだ拳からさらに電撃が迸り、岩人形はショートした機械みたいに動かなくなりました。

 

「えいっ!」

 

 レミカさんは岩人形を二、三度切り付けてみて、武器を青龍刀から金属製の棍棒(昔話の赤鬼とかが使ってそうなやつです)に持ち替えました。

 どうやら岩人形には斬撃系の攻撃は効果が薄いらしく、殴打系や刺突系の武器のほうが効きやすいようです。

 

 ドカドカと金棒で殴り続けるとやがて人の形を維持できなくなったのか、岩人形はバラバラの石くれになって動かなくなりました。

 

「い、いったい何なんですか、これ」

 

 戦闘終了とともに、ジェニカさんが呟きます。

 

 確かに先ほどのお人形たちは、なんなのでしょうか。

 

「僕が以前この森に住んでいたときは、一度も見たことがなかったですね」

 

 この森に棲息するのは、基本的に爬虫類系やケモノ系の巨大生物たちであって、あんな無機物の塊がガチャガチャ動く系のものには、今まで会ったことがありませんでした。

 

「今のはロックゴーレムよ。魔力によって動く魔法生物で、魔力を固めて作った核の周りに岩を集めて人の形にしているの。魔力溜まりになっている岩場とかでは極稀に自然発生することもあるけど、こんな森の中には普通はいないわ」

 

 ふむ。お嬢様のお言葉によれば、ますますここにいるのが不思議なものですね。

 

「……ゴーレムは、人形魔術を使える人間が作成することもできるけど、一番よく見かけるのは、やっぱり……」

 

 お嬢様がそこまで言うと、蓬莱樹の近くまで行っていたナルさんが「おい」と僕たちを呼びました。

 

「巨大樹の根元に何かあるぞ」

 

 何か、ですか?

 皆でナルさんのところに向かって確認してみます。

 

 ナルさんの言うとおり、蓬莱樹の根っこに隠れるようにして、変なものがありました。

 

 それは、黒いレンガのようなブロックで囲われた、窓枠のようなものでした。

 大きさは大人数人が横並びになって通れるぐらいのもので、窓ガラスの代わりに水面のように揺らめく闇が張られています。

 

 これはいったい、なんなのでしょうか。

 

 と、思っていると。

 

「あ、また出てきた」

 

 先ほどと同じ岩人形が、揺らめく闇の向こうから出てきました。

 

 今度は一体だけです。

 すぐさまナルさんがぶん殴り、電撃を浴びせて破壊します。

 

「この傀儡、その妙ちきりんなところから出てきたな。これはなんだ?」

 

 ナルさんの言葉に、お嬢様が答えました。

 

「おそらくだけど……、これはダンジョン(迷宮)ゲート()ね」

 

 ……ほほう。ダンジョンですか。

 

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