僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第007話・森の文明人

 

 近頃は持て余す時間が増えてきたので、文明人らしくスポーツを始めてみました。

 

 サッカー、バスケ、テニスに野球。

 

 ボールは球状の結界壁の硬度と弾力と摩擦力を調整し、結界壁自体に重量を加えればそれっぽいものが作れました。

 

 サッカーゴールやバスケットゴールはそのまま結界壁変形の応用で作れますし、なんなら地面にも結界壁を敷き詰めて、テニスコートや体育館のフローリングの踏み心地を再現したりもできます。

 

 で、今の僕はバレーボールにハマっています。

 

 いや、学生時代は体育の授業くらいでしかやったことがなかったんですけど、バスケのドリブルみたいにひとりでレシーブ練習をしたり、バレーコートを再現して気が済むまでジャンプサーブの練習をしてたりしたら、どんどん楽しくなってきちゃいまして。

 

 今はひとりレシーブで落とさず連続千回やるチャレンジをしているところです。

 

 風が吹いたり怪鳥にボールを取られたりしないように、拠点前広場全体を覆う結界を張り、その中でやっています。

 

 市民体育館みたいなものですね。

 

 体育館を借り切ってひとりで使うなんて贅沢、前世ではしたことがなかったです。

 

 それと、スポーツを始めてから体力作りや筋力鍛錬も始めてみました。

 

 今までは転生後の身体が若すぎたことや結界の力を使えば自分の肉体を使わなくても済んだので、身体を鍛えたりしませんでしたが、スポーツをするなら別です。

 

 しっかり身体を鍛えて自分の身体を自在に動かせるようになれば、スポーツはもっと楽しくできると思いますので、頑張ります。

 

 それと、鍛錬を始めてみて分かったんですけど、なんともこの身体はよく動きます。

 

 今まであまり気にしてませんでしたが、前世とは比べ物にならないぐらい体力も筋力も反射神経も良いですね。

 

 たぶん魔力の影響とかで身体能力が上がっているんじゃないでしょうか。

 

 百メートルを十二秒フラット、遠投百二十メートルオーバー、ベンチプレスは百キロを余裕で持ち上げられて、フルマラソンを三時間以内で走り切れるとか、そんな感じの身体能力です。

 

 ちゃんと測ったわけではありませんので、数値は適当ですけど。

 

 そういえば、この世界の人たちってみんな魔力の影響でこれぐらい動けるんでしょうかね?

 

 そこらへんで草野球してる子供たちが時速百六十キロのストレートを投げたり打ったりしてる世界だったらだいぶ楽しそうですよね。

 

 どこぞの野球バラエティゲームみたいです。

 

 あ、余計なことを考えていたらボールを落としてしまいました。

 

 やっちまいましたね。

 

 もう少しで初の連続八百回到達でしたのに。

 

 コロコロと転がっていくバレーボール風結界球を拾い上げ、僕はため息を吐きました。

 

 もう一度チャレンジしたいところですが、今日はもう陽が暮れてきたので諦めるしかありません。

 

 僕は貯水槽からざばざばと水を汲んでシャワータンクに入れると、軽く水浴びをして汗を流してから夕方の礼拝をしました。

 

 そして晩ご飯として、トリケラトプス似の大きな爬虫類のお肉のステーキと、木の実とキノコを一緒に煮たスープを用意しました。

 

 ぱくぱくもぐもぐ、ぐびぐびもぐもぐ、ごっくん。

 

 ぱくぱくもぐもぐ、ぐびぐびごっくん。

 

 ふぅ。ごちそうさまです。

 

 食後僕は、鏡面仕上げにした結界壁の前にいきました。

 

 日頃の鍛錬の成果を確かめようと思います。

 

 鏡の前で全裸になってみますが……、うーん、相変わらずヒョロっちい。

 

 身体能力と肉体の成長具合がミスマッチです。

 

 今の僕は、前世で言えば中学一年生ぐらいの肉体です。

 

 身長は百五十センチ足らずで、体重も四十キロぐらいしかないでしょう。

 

 手足は細いままですし、胴体も薄っぺらいです。

 

 肌は真っ白で、体毛もまったく生えてません。

 

 全裸になると股間のツルツルゾウさんだけが不釣り合いにビッグなので目立ちます。

 

 髪の毛は薄紅色というか桜色というか、淡いピンク色をしています。

 

 ここに来てからだいぶ伸びていたので、先日結界壁で作ったハサミを使って適当に切りました。

 

 顔は……、なんとも中性的というか、どちらかと言えば可愛らしい寄りの顔です。

 

 瞳も深緑色ですし、前世の僕とは似ても似つかないですね。

 

 まぁ、女神様の美しさに比べれば月とスッポン以上の格差がありますし、そもそも僕の顔面のことなどどうでもいいのですが。

 

 僕は、もっと背が伸びて筋肉がついた自分の姿を想像しながら筋トレに励み、もう一度水浴びをしてから眠りにつきました。

 

 そして翌朝。

 

「女神様、女神様。今日も一日頑張ります。どうかぼくを見守っていてください」

 

 僕は朝の礼拝を済ませると、体力作りのランニングを1時間ぐらいしてから朝ごはんを食べ、そしてノミとナイフ(結界壁製)を手にしました。

 

 結界壁の足場を作って空中に浮かぶと、元拠点兼現神殿となっているところの上の部分、幹が半ばから折れた巨木に近寄ります。

 

 いえ、正確には、元巨木でしょうか。

 

 今そこには、巨大な女神様のお姿がありますから。

 

 折れた巨木を一年ぐらい前から少しずつ削り、僕が作った女神様像の中でも間違いなく最大サイズの超巨大女神様像(地上高十五メートル)がもうすぐ完成しそうなのです。

 

 なので、今日も女神様像製作を頑張ります。

 

 僕は午前中いっぱい一心不乱に折れた巨木にノミを入れ続け、それからお昼ご飯を食べました。

 

 そういえば、この森に来た時には僕の身体の中にミチミチと詰まっていた真力とやらが、最近はほとんどなくなったような気がするんですよね。

 

 今は、コーンスープ缶の底に残ったコーン粒を出すために缶を逆さまにして振っているみたいな感覚といいますか、歯磨き粉のチューブを絞っている感覚といいますか……。

 

 もうあとほんの少しだけ残っている分をむりやり押し出しているみたいな感じです。

 

 これは、あれですかね。

 

 この森で果たすべき僕の使命が、もうすぐ終わりを迎えそうだということですかね?

 

 もしそうだとすれば、僕は今後どうすればいいのでしょう。

 

 森の外に出られるようになったとして……、森の外に出て、何ができるのでしょうか。

 

 別に、今の森での生活にはすっかり慣れてしまったので、これからもこの森で生活することは可能ですし、なんなら女神様像と神殿があるので、ここで暮らしていくほうが良いまであります。

 

 うーん。

 

 まぁ、そのあたりのことは、使命が終わってから考えましょうか!

 

 どっちみち、超巨大女神様像を完成させるまでは、ここを離れるつもりはありませんし。

 

 やることをやり切ってから次に挑めばいいのですよね、女神様。

 

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