僕は無敵の結界術士 〜素敵なお足の女神様に頼まれたとあっては、転生するのもやぶさかではないです(ぺろぺろ)〜   作:龍々山ロボとみ

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第074話・ダンジョン侵蝕しました

 

 ダンジョンに入ると、ジェニカさんが天井を見上げてぐるりと見回します。

 

「ゲートをくぐるときの感覚は、私の亜空間に入る時とも少し違いましたね。そして広いですねー、ここ。天井も高いですし、思ったより明るいです。天井部分が発光しているんでしょうか」

 

 ナルさんは、壁のレンガを手で触りながら強度を確かめています。

 

「……殴っても壊せそうにないな。物理的な強度というよりは、ナナシの使う概念結界の感触に近いように思える。この壁から外には、何もないということか……?」

 

 レミカさんは手元にカラフルなボールを取り出し、ジャグリングをしてみせます。

 

「スキルは問題なく使えるね。魔力の練り上げや循環も通常どおりできそうだよ」

 

 お嬢様は戦杖を取り出すと、足元に落ちている石ころを拾いました。

 

 そして通路前に立ちふさがる岩人形に向けてポイッと投げます。

 

 石ころは岩人形の足元に落ちましたが、反応する様子はありません。

 お嬢様が何歩か近づいてみると、岩人形はわずかに身じろぎしました。

 

「私たちが近づいたら動き出しそうね」

 

 なるほど。

 僕は両手を合わせて岩人形に向けます。

 

「結界作成・薄刃」

 

 通路前の岩人形に向けて薄刃結界が伸びていき、岩人形の胸のあたりを薄刃結界の先端が貫きました。

 

 僕がそのまま薄刃結界を上下に動かすと、岩人形は縦に真っ二つになり、そのまま左右に分かれて倒れていきました。

 

「ちょ、ちょっと」

 

 うん。僕の結界術も問題なく使えますね。

 

 僕は広間内に、僕たちを覆う形での立方体の結界を作成しました。

 結界の中には、僕たち五人だけが入っています。

 

 とりあえず、準備はこれでいいでしょう。

 

「お嬢様。もう一度確認しますが、ダンジョンはクリアしたほうが良いのですよね?」

 

「え、ええ、そのとおりよ。放置していると中からどんどんエネミーが出てきて周辺を制圧し始めるし、人類への脅威度は高まっていくから」

 

「分かりました」

 

 じゃあ、情け容赦は無用ですね。

 

 僕は両手を合わせて、先ほど作った結界を変形させていきます。

 

 すると結界壁が大きく膨らんでいき、焼いたおモチのようにぷくーっと広がりながら、ダンジョン内広間の床や壁や天井に結界壁が張り付いていきます。

 

 あっという間に、僕の結界は大広間と同じ大きさまで膨らみました。

 

 そして、広間を埋め尽くした結界壁は、そのまま()()()()()にまで伸び始めました。

 

「あれ、ナナシさん、いったい何を……?」

 

 これは、あれです。

 窒息結界と同じように、よく伸縮して隙間なく張り付く性質の結界壁をとにかくたくさん伸ばしています。

 

 なお、こうした結界の変形に伴って少し抵抗を感じますが、まぁ、無駄な抵抗というやつですね。

 

 僕は、先ごろのレミカさんの結界術を見て、結界術での押し合いを学びましたが。

 

 あの時のレミカさんの結界と変わらないぐらいな抵抗しかできないのであれば、それは無抵抗に等しいです。

 

「……んん? ナナシさん?」

 

 ええと、つまり。

 ダンジョンって、()()()に異空間を作り出している状態に近いと思うんですよ。

 

 で、ここが結界で囲まれた空間だというなら、それはレミカさんが使っていた業銘結界と仕組みは近いものだと思いますし。

 

 それはつまり、この中で僕が結界を作成し、変形させてどんどん大きくしていけば。

 

 ダンジョン内の空間を、僕の結界術で囲い込んで()()()()ことができると思うんですよ。

 

「お嬢様、この通路をしばらく進むと三差路になっていて、右と真ん中は行き止まり、左はさらに先で分岐があります。右奥にはたくさんの岩人形がいる部屋があって、真ん中の奥には小さな宝箱のようなものが置かれています」

 

「え、ナナシさん?」

 

「あ、左側の分岐の先も何度か分岐になっていますが、今正しい通路がどれなのか確認を……」

 

「待って待って待って!? ナナシさん、今これは何をしているの!? 今からダンジョン攻略を始めるのよね!?」

 

 何って、通路の壁面のすぐ内側をコーティングするみたいに、僕の結界壁を壁面に伝わせていっています。

 

 で、この階層の全ての壁面を僕の結界壁が塗り潰したら、僕の結界の形がこのダンジョンの形と等しくなるので、どのルートがどうなっているのか感覚的に分かるんですよ。

 

「は? え……?」

 

 当然、罠も上からフタをする形ですので発動しなくなりますし、通路をうろついていたモンスターたちは全て壁面に押し付けて身動きがとれないようにしてあります。

 

 宝箱も、結界壁を変形させてフタの隙間にねじ込んで開ければ、罠を気にせずに中のお宝をゲットだぜできると思います。

 

 扉で区切られた先にはまだ僕の結界が伸びていませんが、それも順次解錠して開扉していけば、僕の結界(侵蝕結界とでも呼びましょうか)がいずれこのダンジョン内の全ての空間を支配していくことでしょう。

 

 お、そうこうしている間に。

 

「お嬢様。この階層の中ボス的なモンスターがいる部屋を見つけました」

 

「ほ、ほんと?」

 

「はい。で、今、僕の侵蝕結界で押し倒して地面に押さえ付けて身動きひとつとれなくしましたので、今からその部屋に皆で行きましょう」

 

「……そ、そう」

 

「部屋に着いたら薄刃結界で切り刻んで倒しましょう。ついでに途中とちゅうではりつけになっているモンスターたちも順番に始末していきましょう。その間に、宝箱から出てきたお宝は結界泡で包んで僕たちの手元に運びます。中ボスを倒してお宝の回収がすめば、次の階層に進んで同じことを繰り返しましょう」

 

 そうすれば、皆さんのお手を煩わせずにこのダンジョンをクリアできると思います。

 

「……なんか、思ってたダンジョン探索と違うんだけど……」

 

 でも、多分これが一番早いと思いますので。

 

 さぁーて、さてさて。

 頑張りますよー、と。

 

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