島村卯月(27歳)による藤田ことねトップアイドル化計画   作:天宮雛葵

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 本作を日頃からお楽しみいただきありがとうございます! いつの間にやら総合4000pt・UA10万・評価者数150名を越え、15万文字も見えてきました。恐ろしいことにまだ中間試験が終わったばかりです。活動報告でもあれこれ述べておりますので、よろしければ是非どうぞ。

 ここまで続けてこれたのも読者の皆様からいただく各種評価や感想のおかげです。これからもよろしくお願いいたします!



44 - 昇る新月、照らす者あり

月刊アイグラWeb出張版・2024年7月号本誌記事

初星学園の新たな偶像・藤田ことねの素顔に迫る(前編)

 

 芸能界がアイドル戦国時代と表現されるようになって数年が経ち、『戦国時代の第一陣』が勇退することも珍しくはなくなった今日。大手芸能事務所があの手この手で新たな才能を確保しようとする中で、新人の発掘と育成に大掛かりなアプローチを仕掛けているのが100プロダクションと私立初星学園である。

 

 月刊アイグラでは過去にも初星学園から飛び立とうとするアイドルたちを特集してきたが、今回はその中でも一際輝きを見せ、しかし未だ知られていない雛鳥を取り上げる。

 

 藤田ことね。読者諸兄がこのアイドルの名を知らないことは何ら不思議ではない。

 

 しかし本誌編集部は、彼女がいずれ初星学園を代表するアイドルのひとりとして、芸能界にその名を刻むことを現時点で確信している。今回のインタビューでは、初々しい彼女のこれまでとこれから、そして夢の先に何があるかを語ってもらった。

 

インタビュー / 三峰結華 撮影 / 早坂そら

 


 

 

落ちこぼれだったかつての自分

 

 ──早速ですが、本誌にて初のメディアデビューとのことですので、まずは自己紹介の方からお願いします。

 

 藤田ことね: はいっ! 初星学園高等部アイドル科所属、1年の藤田ことねですっ! 特技はダンス、それからとびっきりのスマイルで売ってます! ……あの~、今回はあたしを月刊アイグラで特集してもらえるって聞いて、有頂天になってたんですけど。インタビューの前に、あたしの方からひとつ質問していいですか?

 

 ──はい、大丈夫ですよ。

 

 藤田: そもそも、なんでアイグラさんがあたしの名前を知ってたんですか? あたしってアイドルとしてはこれから活動を始めていくので、学園外での知名度はゼロのはずでは……

 

 ──我々アイグラ編集部は、注目すべき駆け出しアイドルを見逃さないよう、様々な方面から情報を集めています。このたび、初星学園に取材を打診しましたところ、定期公演出演者を選抜する実技試験で好成績を収めた生徒を取材候補としてご推薦いただきまして。

 

 藤田: あ〜、そういうことだったんですねぇ。

 

 ──では、折角ですのでこの点からお聞きしていこうと思います。藤田さんは、直近の試験でなんと首席の座を得たとか。並大抵のことではありませんが、やはり以前から学内では実力者扱いを受けていたのですか?

 

 藤田: いえ、もうぜーんぜんダメダメでした。あたしは中等部のころから初星学園にいたんですけど、アイドルのレッスンとかやってて褒められたことがなかったくらいです。文句なしの落ちこぼれでしたね。

 

 ──それが、高等部に入ってからは変わったと?

 

 藤田: 変わったって言えば変わったかな、って思います。ただ、あたし自身が一念発起したんじゃないんです。むしろあたしは、相変わらず夢と現実の差に落ち込んでたというか……周りの人は『ことねには才能がある』みたいなことをよく言ってきて、じゃあなんで今のあたしはこんなに頑張ってるのにまだ落ちこぼれなんだ……みたいな、最悪のいじけかたを続けてました。

 

 ──では、何が藤田さんの転機となったのでしょうか?

 

 藤田: 間違いなく、プロデューサーとの出会いです! アイドル科の生徒ってプロデューサー科の人たちからスカウトを受けることがあるんですけど、あたしは誰からも声がかからないままで、まーこれが現実だよなぁ、なんて考えてた時期でした。そんなタイミングで、落ちこぼれのあたしをわざわざスカウトしに来たんですよ。

 

 ──藤田さんにとっては運命的な出会いですね。

 

 藤田: あのときのあたしからすると、喜ぶとかそういうのよりも先に「なんで?」っていう気持ちの方が先でした。でもあのときにプロデューサーの手を取ったおかげで、今のあたしはこんな風にインタビューを受けることができてます。

 

 ──では、藤田さんが『自称落ちこぼれ』から誰もが認める実力者へと短期間で成長したのは、藤田さんのプロデューサーによるところも大きいのでしょうか?

 

 藤田: あ〜……これ、言っていいのかなぁ? いいですか? ……オッケーが出たので言っちゃいますね。あたしのやらかしを大公開することになっちゃうんですけど、実はあたしが落ちこぼれだったのには原因があって。

 

 ──原因、ですか?

 

 藤田: 過労です。あたしは普段からスケジュールをギチギチに詰めてて、掛け持ちしてたアルバイトと学園のレッスン、それから寮の一人暮らし関連のあれこれとか勉強とか……無理をしながら全部こなしてたせいで、フィジカルもメンタルもボロボロになってるってプロデューサーに言われて。そのまま病院まで連れていかれちゃったんですよ。あ、幸い身体に悪いところはなかったんですけどね!

 

 ──それはまた……シンプルですが、重大な問題ですね。

 

 藤田: 病院から帰ってきてからは、スカウト直後なのに強制的に休養を取らされて……その休養が明けてから改めてレッスンに参加したら、自分でもわかるくらいに身体が軽くって、人前でも緊張せずにパフォーマンスができたんです。そのときプロデューサーに、これこそ貴女の実力なんだって言われて。

 

 ──プロデューサーのアドバイスと励ましが転機だったと。

 

 藤田: はい。そこでちょっと自信がついてからは、バイトを減らしてちゃんと休む時間を作りながらレッスンに行くようにして……そしたら、今までダメ出しされてばかりだったレッスンでもたくさん褒めてもらえるようになったんです! それからは、プロデューサーのスケジュール管理に従いながら地道にレッスンを重ねていきました。だから今のあたしがあるのは、アイドルを諦められないまま積み重ねてきた過去の努力と、その努力をちゃんとした方向に向けてくれたプロデューサーの言葉、両方のおかげだと思ってます。

 

 ──どちらが欠けてもいけなかった、ということですね。

 

 藤田: そういうことですっ! いじけてた昔のあたしは格好悪かったですけど、それでも頑張ってたところは格好良かったなって思います。……あと、転機って言い方をするなら、もうひとつ大きいのがありましたね。

 

 

自らの行くべき道を自覚したライブ

 

 ──もうひとつ、転機となるような出来事があったのですか?

 

 藤田: そうなんですよ。……つい先日、緒方智絵里さんのバースデーライブがあったじゃないですか。東京ガーデンシアターの。

 

 ──意外な名前が飛び出してきましたね。先日のライブでしたら、私もアイグラ編集部の一員として現地で参加させていただきました。

 

 藤田: あっ、そうだったんですか!? あたしはライブのチケットが余った知り合いから誘われて、「こんな機会めったにないし、折角だからトップアイドルのステージをじっくり楽しもうかなぁ~」くらいの気持ちで最初は行ったんです。ファンの方々からは真剣さが足りないって怒られそうですけど……

 

 ──良い知人をお持ちなのですね。

 

 藤田: 振り回されることも多いですけど、尊敬もしてる人ですよ。……それで、いざライブが始まったら……まあ、圧倒されましたよね。

 

 ──緒方さんのステージに?

 

 藤田: はい、それはもう……実はあたし、プロアイドルのステージを生で見たことがそれまでなくって。学内講堂で先輩のアイドルがライブをやってるのは何度も見たことがあって、演出とかもすごくって、プロのアイドルはこれがレベルアップした感じなんだろうなあってぼんやり思ってたわけですよ。そんな価値観を粉々にされちゃいましたよね、かんっぺきに。

 

 ──格の違いを感じてしまった……といったところでしょうか。

 

 藤田: そうですねぇ。今まで見てきたステージだってきらきらしてたのは間違いないのに、さらにその上を行くというか……え、トップアイドルってこんな感じなの? もっとこう、あたしたちの延長線上にいる感じじゃないの? っていう衝撃を受けました。今更ながらに、アイドルという道の厳しさを感じて……そのうえ、アレですよ。あのスペシャルゲストですよ。

 

 ──ああ、あの……サプライズでご登場された、島村卯月さんですね。

 

 藤田: もう緒方さんのステージを見るだけで限界ギリギリだったのに、完全オーバーフローですよ。しかもですよ、話はこれだけで全然終わらなくってですね……

 

(インタビュー後編に続く)




 本記事は、本誌2024年7月号掲載の同名インタビュー記事を前後編に分割し、月刊アイグラWebにて先行無料公開しているものです。月刊アイグラWebでの後編公開は、本誌2024年7月号の発売後となります。何卒ご了承ください。
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