C&Cの先輩方。特異現象捜査部の皆様。そして、リオ様へ。
こんにちは、飛鳥馬トキです。
この度は、ご報告があってこのビデオメールをお送りしました。
単刀直入に言います。先生の女になりました。ピースピース。
すみません、嘘付きました。けれど、実質もうそう言ってもいいのでは、と言う事を先生と致しましたので、そのご報告です。
いえ、先生と性交渉までは致してません。
メイドとして性的なご奉仕は鉄板で憧れますが、流石に正気では無い先生に対してそこまで勝手に致すのは憚れましたので。
はい、先生は正気ではありません。お酒を飲んでいた時のお話なのです。私が飲ませました。ピース。
と言うのも、先生がまた徹夜を繰り返していた為、メイドとして主人の休息の為に何か出来ないかと思い、大人のお水と称してお酒を飲ませました。
そしたら目論み通り、先生はトロンとした目尻になり、正常な判断が出来なくなっておりました。
この状態の先生は、私の言葉を素直に聞いてくれる、まるで配下になってくれたような言いなりでした。
メイドと主人の逆転現象が起きていましたね。新鮮でラッキーでした。
話が逸れましたね。
それで、先生に早速寝てもらおうと指示を出そうとしたのですが……少し、この珍しい現象をもっと味わいたいなと欲が出てしまい。
ベットで眠らせるまでの数十分の間だけ、先生に好き勝手命令させてもらいました。
まずは定番のハグです。ギューって抱きしめさせてもらいました。もちろん正面からです。
先生の大人としての体で抱きしめられると、私の体がすっぽりと収まるように包まれておりました。
徹夜でまだお風呂に入っていない先生の汗が染み込んだスーツとシャツに顔をうずくませ、スーッと深い息を鼻から吸い込んだら、男としての匂いが猛烈に脳内まで登って行きました。あれはテロです、バイオテロです。私の脳内は先生の匂いで支配されておりました。
ああ、メイドとしてあとで洗濯しないとな、と。どうでもいい考えがふとよぎってしまうほど、私の思考は先生の匂いに夢中になっておりました。
ふと、顔を上げると、先生の顔が近くに見えておりました。
お酒を飲んでいた為、呼吸もお酒臭い状態でしたが、トロンとした目で、私を見下ろしておりました。
ああ、男の人って意外とまつ毛がバシバシなんだなと、近くで見れてそう思いましたね。
ふと、先生の唇がカサカサになっている事に気づきました。
最近乾燥した日が続いておりましたので、そのせいかと思いました。
しかし、メイドとして主人の体の健康状態を見逃すわけには行きません。
と言うわけで、持っていたリップクリームを取り出すことに致しました。
何故そんなものを持っているのか、ですって? 以前先生にごねて買ってもらっておりました。イエーイ。
と言うわけで、買って貰ったお礼も兼ねて、先生の唇に塗っていく事に致しました。
指で掬って直接塗るタイプでしたので、正気では無い先生の代わりに私が塗っていく事に致しました。もちろん、私の指で、です。
人差し指でリップクリームを十分掬い、先生の唇の端っこから優しく触れて行きました。
そうです、先生の唇に、触りました。
思ったよりガサガサで、これは入念に塗り込まないとな、とそう思い込みました。
決して、集中しないと異性の唇に触れてると言う事実にドギマギしそうだったから、と言う訳ではありません。ええ。
リップクリームを追加し、先生の唇に優しく指で触れて塗り込んでいく。
言葉にするとそれだけですが、いつもよりとても長い、長い時間を掛けているように感じられました。
そうして全てを塗り終えた跡、先生の唇は潤いを取り戻しているように見えました。
この成果には私も満足です。
残ったのは、大量に余ったリップクリームと……先生の唇に触れた、自身の指でした。
そうです、私の指は、確かに先生の唇に触れていたのです。余す事なく、この人差し指で。
それに気づいた私は、心臓を高鳴らしながら、その指でリップクリームを掬い────私の唇を、塗り始めました。
そうです、人差し指で、です。先生の唇を塗った、指で、です。
完全なる間接キスですね。
その指で自分の唇を触れて行く度に、先生の唇に触れた箇所が自分自身にも塗られて行くんだな、とそう実感しておりました。
自分の指なのに、この指でなぞって行く度に先生の唇が触れて行ってるように錯覚して、すごいドギマギしておりました。
自分の手で、先生の色に染められて行く……そんな倒錯的な快楽を感じておりました。
全て塗り終えた跡、先生の唇と同様の潤いを得た、私の唇が出来上がりました。
まるで同一の存在かのように感じて……危うく、そのまま先生と直接口づけしそうになりましたね。
大丈夫です。未遂で終わりました。セーフです。
代わりに、先生の頬にキスをしました。我ながら全力の意思で踏みとどまった結果です。褒めて下さい。
そうして、先生の頬にキスをした私は、先生の顔から離れました。
私がキスした後には、キスマークなど残っておりませんでした。
まあ、当然ですね。ただのリップクリームでしたから。口紅と違って、見える後が残るはずありません。
けれど、確かに先生の頬っぺたには、私の口づけの後が残っているのです。
透明で、誰にも見えない、けれど確かに私が付けた跡が。
ふふ、どこまでこの跡は残ってくれるでしょうか?
少なくとも、先生が顔を洗うまでは取れないでしょう。
けれど先生は、そこで限界を迎えたのか、その場で寝息を立ててしまいました。
私はそんな先生を仮眠室に運び、丁寧に寝かせました。顔を、洗わせずに。
これで少なくとも、一晩中はこの跡が残る事になりますね。私のキスの痕が。
一晩も放置していたら、どこまで先生の皮膚に染み込んでくれるでしょうか。楽しみになってきましたね。ワクワクです。
と言う訳で、先生と間接キスをして、見えないマークを付けた仲になった事をご報告でした。イエーイ。
時間を掛ければ掛けるほど、先生に私の証が染み込んでいくようでドキドキですね。
ちなみにですが、このビデオメールを送るのは朝の予定になります。
つまり、もう既に一晩経った後になりますね。私は映画の悪役とは違うのです。
ちなみにヴェリタスの皆さんの盗聴器なども処理済みです。その辺の抜かりはありません、私は優秀なメイドなのです。ピースピース。
と言う訳で、自慢話をしたかったトキちゃんでした。
──追伸。
先生の睡眠を確保する為、目覚まし時計を止めさせて貰いました。
流石に予定ギリギリには起こすつもりだった為、私手ずから先生を起こしましたが、朝の余裕がスッカリなくなっておりまして。
シャワーを浴びる時間も無く、先生は慌ててシャーレを飛び出しておりましたね。
ちなみにですが、今日先生はミレニアムに用があるそうです。
今、先生はそちらに向かってる事になりますね。
昨日の晩があった今日で、です。
と言う訳で、私のマークが付いたままの先生をどうするかは、C&Cの先輩方にお任せ致します。
特異現象捜査部の皆様も、リオ様も、先生に用があるならどうぞお好きに。
以上、飛鳥馬トキからでした。
感想とかくれると、作者はとても嬉しいです。