長女転生〜ルーデウスみたいに本気出す!   作:モモンガ様を見守り隊

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仲直り

 

飛び散る血、不快になる酒の匂い…失われゆく体温…振り下ろされる剣…

 

嫌だ、嫌だ、いやだ、イヤだ、嫌だ!!

 

 

 

「…うわぁぁぁ!!!」

 

レイラは、床から飛び起きる

 

「…ハァ…ハァ…ハァ」

 

汗がびっしょりと服に付き、気持ちが悪い…

 

「な、何事だ!?」と、パックスが飛び起き、コチラに聞いてくる。

 

「…ッ、はぁ…ぁ゛く」

 

錯乱しているレイラがその問いに答えられる訳もなく…

 

レイラは夢の内容を思い出し吐いた。

 

 

「う、うぇ‪”‬」

 

そうして、吐いていると、後ろからおずおずとだが、背中をさする奴がいた。

 

胃の内容物を全て吐き切り、口を水で洗い流し少し落ち着いた頃に、俺はそいつに話しかけた。

 

 

「…ありがと」

 

「…」

 

「…今までのアンタには想像もつかないことしたね…」

 

「…ああ」

 

「…でも、ありがと」

 

「…ああ」

 

そこまで言って、しばらく二人の間に沈黙が流れた。

 

 

「…なんで?」

 

「…なんでって何のことだ?」

 

「…背中さすってくれたの」

 

「…余が不快だったからやっただけだ」

 

「…そっか」

 

またしても沈黙が流れる。

 

すると、今度は向こうから話しかけてきた

 

「…オマエは何をされたんだ?」

 

「…手、切られた…」

 

「…もしかして、夢でみたのか?」

 

「…まぁ、そんなとこ…かな?」

 

「…逆にそっちは?」

 

「…余は、別に…ただオマエと別れた後、この中に連れて込まれただけだ…」

 

 

 

「…その、、、悪かった…」

 

そうパックスが謝ってきた。

 

「初めは、オマエを追い出すのにちょうどいい場所だと思ってた…だが、余がここに入れられて、オマエに、しようとしてたことの重大さに気付いた…」

 

「…ここに入れられた、奴隷を見て…コイツらがどんな酷いことをされてるか見て…余が、どれほど軽い気持ちで奴隷を見ていたかを痛感させられた…」

 

話してる俺たちの前でやせ細った身体をまるめて、悪夢にうなされ、それでも寝ている奴隷の子供達を見ながら苦しそうにそう言った。

 

 

…コイツもコイツなりになんかあんのかもな…そう思ったレイラであった。

 

 

 

「…!…ッ…」

 

「…ねぇ、パックス、奥の方からなんか聞こえない?」

 

 

「…うん?そうか?気のせいだろう」といい、腹を掻きだした

 

 

…コイツ、ちょっとは見直そうかと思ったってのによ…少しでも見直そうとした俺がバカだったな…ったくよ…

 

「…」

「…」

「…」

「…なぁ」

「…なに?」

「…なんか暑くないか?」

「…確かに」

 

「「…え?」」

 

「ねぇねぇ、もしかしなくても火事じゃない!?」

 

「ど、どうする?」

 

「お、落ち着け!とりあえず、そこの子たちをゆっくり起こして!」

 

「お、おう!」とパックスは威勢のいい声を出すわりに、優しく子供たちを起こしていた。

 

…とりあえず俺がすべき事は、っと!

 

檻の鉄格子を土魔法で外しておく。

 

 

後ろでは、数名の子が怯えた顔で手を繋いで待っていた。

 

…大丈夫だろうか、いや、今はそんなことどうでもいい…とりあえず逃げよう

 

「行くよ!」

 

警戒を怠らないようにして、俺はいつでも魔術を発動できるように、魔力を巡らせつつ上に続く道を探す。

 

 

 

少しずつ、暑くなってくる。

…これはいよいよヤバいかもな…

 

仮に上で火事が起こっているなら、今の俺らは蒸し焼きの状態なわけだ…

 

 

 

これじゃあ、上に繋がるルートを見つけてもダメじゃね?

 

…どうする?う〜む、ん?上か…

 

上に上がるなら何も別に初めからある道じゃなくてもよくないか?

 

 

そうだ、上を壊して登ろう…

 

俺の中の開拓心が燃え上がった…

 

 

「みんな、少し離れて…」

 

「な、何をするんだ?」

 

「天井をくり抜いて無理やり上がる!」

 

言い切った時には既に準備が出来ており、ストーンキャノンを円を描くように打ち込み、新たな通路を作り出した

 

 

 

「…案外上手くいったな…」

 

「は!?上手くいかない可能性もあったのか!?」

 

「…えへっ」

 

「えへってなんだよ!」という鋭いツッコミが入ってきた。

 

なんだ、ただの非常食か…

 

 

 

「…とりあえず、こっから上がろう!みんな集まって!」

 

ちっちゃい子達が俺を中心にして集まってきた。

 

 

なんか背徳感、というよりこれが母性か?

 

 

土魔術で足元を押し上げ、開けた穴に向かってエレベーターのように上がる。

 

 

それを2、3回繰り返すと、ようやく外が見えた。

 

 

よし、順調に!そう思ったのもつかの間、俺の第六感が、危ないと告げ急いで壁を作った。

 

しかしその壁は、一瞬にして瓦解した。

 

「…なんだ?家畜が飼い主の元から逃げ出そうとしてんなぁ?」と崩れていく壁から顔を出してそう言ってきた。

 

 

「クソがッ!ネメシスかよ!」

 

なんで、こう逃げようとするタイミングで合わせたかのように出てくるんだよ!?

 

「逃げようとする奴らには…お仕置きだよな?」とニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 

 

…キモいな…でも、とりあえず!

 

土魔術で、俺以外の全員を開けた穴に押し上げる。

 

 

「…なんだぁ?奴隷が奴隷を助けるとはな…泣けるねぇ?」

 

 

「…」

 

「ふん、余とコイツがいればお前なぞ、一捻りよ!」

 

「…は!?なんでアンタがここに!?」

 

「オマエが余も逃がそうとするからだ!」

 

「…そんなこと言ってる余裕、私にはないよ!危ないから逃げろって!」

 

「…おいおい、俺は蚊帳の外かよ?」

 

 

「…ッ!」

 

意識外から声がかかり、押し飛ばされる。

 

前を見ると、胸から腹にかけて切られているパックスの姿が映った。

 

 

「…ぁ、あああああ!!!」

 

「パックス!」

 

「…だーかーらー、俺は蚊帳の外か?」

 

「邪魔するなぁぁ!」

 

 

ストーンキャノンを放ったが、余裕を持って切られてしまった。

 

…はやく、パックスを治療しないと不味いが、コイツを倒してからじゃないと、結局不味い!

 

土魔術で今度はしっかりと固めた剣を作り、対峙する。

 

…相手は確実に北神流、それに上級以上だ…どうする?

 

いや、突破する!

 

ボレアス邸での戦闘訓練を思い出しながら、一歩を踏み抜く。

 

相手は即座に動き出す。

 

 

アイツなら先ずは…

 

右から来る攻撃に注視しつつも、剣がギリギリ当たらない位置に動いて避け、振りぬいてガラ空きになった身体目掛けて切りつける。

 

しかし、相手もただ斬られるのを待つ訳もなく、足で蹴り飛ばされる。

 

吹き飛ばされはしたが、体に傷はない…

 

また、俺から近付き斬りつけるが今度は受け流される。

 

相手が俺と同じような動きをしてるのを視界に収め、俺は相手に見えないように作っていたストーンキャノンを放つ。

 

 

流石に相手としても予想外だったようで、反応はできていたが体勢が崩れた。

 

いける!そう思い、近付いて斬ろうとしたが急に身体が動かなくなった。

 

「…なんだよ、来ねぇのか…」とさっきまで体勢が崩れていたはずの男が、気持ち悪い体勢のままそんなことを言ってきた。

 

 

…キッショ、なんで立ててんだよ…

 

 

「…はぁ、そのまま殺してやろうと思ったのによ…」

 

俺は次の攻撃に備え、俺の自慢の目でどう動くか見続ける。

 

相手は剣を下に構え、待ちの体勢をとった。

 

対する俺は、上段の構えをとる。

 

しばらくの沈黙が続き、そして、落ちてきた石の音に俺は動き出す。

 

俺のできる最速と風魔術による無音の太刀を相手目掛けて放つ。

 

相手は、変わらず不動で構えていた。

 

男は笑っていた。

しかし、その笑いはひとつのイレギュラーによって崩れ去った。

 

俺の無音の太刀が男に届く前に、男は剣を振り抜いたのだ。

 

俺はもちろんのこと、男も驚いていた。

無音の太刀より先に火の玉が男目掛けて放たれたのである。

 

「…は、余だって、これぐらい…」と血まみれながらも何とか顔を上げ、そう言ってきた。

 

そして、振り切って構えが解けた男に無音の太刀が当たり、血飛沫をあげて倒れた。

 

…倒したのか?そう思ったのも束の間、痛みに悶えるパックスに気づき治療に移る。

 

「エクスヒーリング」

 

「うう、痛い…いちゃい、死ぬ〜!痛く…な、い?」

 

「はぁ、ったく、せっかく見直したと思ったらすぐこうなるなんて…」と話をしようと思ったが、火が地下にまで広がってきたため、会話をやめて逃げる準備をする。

 

 

 

「とりあえず、早く逃げよ!」

そういい、レイラはもう1つ天井に穴を開け、そこからパックスを連れて逃げる。

 

 

地上に出ると、強く降ってくる雨と、サーカスのような巨大なテントが燃え上がっているのが目に入った。

 

「…原因はこれか…」

 

サーカスからは魔獣やサーカス関係者らしき人が戦っていた。

 

俺はそれを無視し、王城へ戻ろうと辺りを見渡していると、後ろで声がした。

 

「…うぉ、お、お前たち…」

 

見てみると、子供たちがパックスに抱き着いていた。

 

「…ふふ、良かったじゃん、パックス…いい家族ができたね」と茶々をいれる。

 

 

「誰がコイツらと家族になんか…」と満更でもなさそうな顔をしてそう言ってきた。

 

「なら召し抱えれば?」

 

「むぅ、それなら…」

 

すると、子供の中で一番背の高い子が前に出てきた。

 

「…ぱ、パックスさ、ま…私たちはあなたと、いたいで、す。」

 

「…余でよいのか?」

 

「…パックスさまじゃ、なきゃ…いや、です。」と確かな意志を持った目で伝えてきた。

 

「…お前たちもか?」と後ろにいたほかの子達にも同じことを聞いた。

 

 

その子たちも声はださなかったが、同じく確かな意志を顔から感じた。

 

 

「…はぁ、この子達のこと認めてあげたらどう、パックス?」

 

「…あああ、もう、分かった!いいだろう、余について来るがいい!」

 

…言い切ったねぇ、カッコイイじゃん…

 

 

 

ニヤニヤしていると、後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。

 

「…レイラ?レイラ!」

 

誰かが背中に抱きついてきた。

 

分かるぞ、俺は…

 

この絶壁は…

 

「先生!」

 

「良かった、良かったです…」と背中が濡れていく。

 

「心配…したんですからね…」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「何があったのか教えてもらいますからね…」と涙目ながらにそう聞いてくる。

 

「わ、分かりましたから一旦落ち着いてください…実は…」

 

 

 

「…なるほど、おふたりともよく無事でいてくれました。あと、そこの子達については、国王様の判断を仰ぎましょう。」とロキシーは即座に判断し、指示を出す。

 

…こういう時のロキシーってほんとに心強いな〜

 

 

「とりあえず、皆さん集まってください。このままひとかたまりになって王城まで戻りましょう!」そういうとロキシーはみんなを連れて走り出した。

 

 

…あれ、何か、決定的な何かをやり忘れたような…そんな気がした。

 

…いや、いいか…それよりも一先ずは帰ろう…それが最優先だ。

 

強く降り続ける雨に負けず燃え盛る炎に包まれたサーカスを横目に俺はモヤモヤした気持ちを抱えつつロキシーについて行った。

 

 

 

 

 

Side:???

 

メラメラと燃え、空気すらも熱波となり、当たりを燃やし続ける地獄のような空間で、一瞬、ほんの少しだけ何かが動き出した。

 

 

辺りに広がる血溜まりの中、燃え盛る炎に包まれ、焼かれゆくであろう死体がむくりと立ち上がる。

 

「…痛ってーな、クソがッ!あのガキども、全員ぶっ殺してやる!」と止血をして男はギラギラした目で決意を新たにする。

 

 

「…特にあの女…アイツは、ぐちゃぐちゃにして、俺のペットにしてやる!ハハハ、そうだそれがいい…」

 

「…そうだ、奴隷が主人に楯突いたらどうなるか今度こそ身体に教えこんでやる…」

 

ふらつく足で、未来への想像を胸に地上へと逃げようとする。

 

しかしその踏み出した足が地面に着くことはなかった…

 

「…あ?なんだこれ、どうなっ…」

 

…グチャ

 

そんな音が地下に響き渡る。

聞けば生物として負の感情が湧き出るであろうその不快な音は、燃え続ける火と下に広がる地下空間に虚しく響き、そして消えた…

 

 

「…ッ…ッ!」

 

誰にも聞かれず、見つからず、男の身体は燃える…足元から焼かれ、身体は既に死に、感覚だけが生きた状態で男は火葬されていく…

 

 

「…」

 

かろうじて開いていた目から最後に見えたのは自身をただただ冷たい目で男を見つめる老人の姿だった…

 

 

 

ifルートを作ろうと思ってるのですが…優先的に作って欲しいやつありますか?

  • エリスルート(誘拐事件の辺りから)
  • ロキシールート(卒業試験から)
  • 老デウスルート(長くなる気がする…)
  • シルフィルート(一緒に転移するやつ)
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