長女転生〜ルーデウスみたいに本気出す!   作:モモンガ様を見守り隊

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遅くなっちゃったけど許して…今回、私が書いた中で1番長いから…最近忙しくて…

ってことで15話どうぞ!


友達

 

Side:レイラ

 

〜謁見の次の日〜

 

俺は昼頃に起きて、遅めのランチと洒落込んだ。その後、することもなかったので、朝練で通っていた訓練場に行くことにした。

 

訓練場には、珍しく誰もおらず掛けてあった練習用の刃の潰れた剣を振っていた。

 

無心で振り続けること半刻ほど…いい汗をかき、スッキリしたので訓練場の端に座り、昨日のことを思い出す。

 

 

…昨日はやばかったな…まさか王が急に俺を処刑だとか言い出すなんて思ってなかったから途中から冷や汗が止まらなかったわ…あぁヤダヤダ、俺まだ死にとうないってのにさ…

 

いや〜、でも奴隷商からの脱出に続き、処刑騒動とは…ま〜じで、疲れたわ…おかしいな、昨日はぐっすり寝たのに…

 

…もしかして剣振ってたからとか?まさかね、そんなに貧弱じゃないっての!

 

…もしかして、この腕輪のせい?いや、そりゃ考えすぎか…

 

そう思いつつ自身の左手首に括り付けられている腕枷を見る。

 

 

…どう頑張っても外せないんだよなぁ…一体どんな素材でできてんだよ…剣で外そうとしたり、ストーンキャノンをぶつけたりしたけど壊れる気配すらなかったしなぁ…どうしよ…

 

 

…ま、なんとでもなるか!

 

それはそうと、なんとわたくし、正式なオトモダチ第四号爆誕しました!わぁーい!

 

パックスと、夜の密談…というより謝罪会って感じだったけど…まぁ、何ともなかったし、俺としちゃ別にいいかなって感じだからね。

 

謝られてからは、パックスの身の上話なんかも聞いて、改めて俺は生まれた環境に恵まれたなとは思った。

 

俺の覚えてる範囲じゃ、パウロにもゼニスにも、あんな天才の兄と比べられることもほとんどなかったし…まぁ、向こうは立場的な期待でこっちはデキの話だし、別っちゃ別だけど…

 

まぁ、んなこたァどうでもいいわけよ。重要なのは俺に友だちが増えたってことやし。

 

この七年…まぁ、なったばっかだしほぼ六年だけど…生きてきて二人目の男友達や…あれ、なんだろう目から塩水が…

 

 

俺って、こんなに社交性なかったっけ…

 

…ん?もう一人はって?

 

そんなの決まってんじゃん!筆頭はエリス…とでも言うと思ったか!シルフィだよ、シルフィ!

 

いつの間にって?そんなの端折ったわたくしの人生の中でそれはもうさ、すっごい大冒険をだね…あっ、どうでもいいって?すんません…

 

 

…シルフィとは、裸の付き合いをするほどだし、真正面から「私達って友だちだよね?」って聞いたらさ!

 

「…うん、ボクはレイラのこと…友だちだって思ってるよ?」ってさ!

 

あぁ、あのおずおずとした表情のシルフィを思い出すだけで鼻息が…ブヒブヒ

 

…うん?エリスとはって?

エリスとは、同じくギレーヌの弟子ってこともあって、どうすりゃ倒せるかって話で盛り上がったのがきっかけかな?

 

一緒に特訓したことによる熱い漢のキズナによって俺たちはライバルという関係なのさ!

 

…まぁ、友だちでもあるけどね!

 

 

 

おっと、脱線し過ぎたか…実はまだ、昨日の戦いの興奮が冷めてなくてね…

 

まだ、ドキドキしてるよ…アイツに勝てたのは、マジでパックスのおかげだったし…

 

 

アイツの顔、思い出すだけでちょっと気持ち悪くなるな…生理的にってのもあるけど、手が軽く震える…

 

 

 

…初めて死ぬと思った、今までなんだかんだで自分も特別な存在だって思ってたから…

 

 

剣をギレーヌに鍛えられて、魔術だってお兄ちゃん…ルーデウスぐらいにできて…

 

そんな慢心があのザマだ…手を切られた時、まず感じたのは、死の恐怖だった。

 

明確な死…ボアに喰われそうになったアレとはまた別の恐怖だった。

 

アイツは俺が泣こうが謝ろうが関係なく手を切り落としてきた。痛くて目の前が弾けたみたいでさ…泣いてもやめてって言ってもアイツには響いてないみたいだった…

 

 

それが俺には…怖かった…

 

アイツは何やったって許しちゃくれないし、それどころか楽しんで俺を切ってた。そんな理解できない思考を俺の脳は拒絶する。

 

あの振り上げた剣がまた自分に落ちてくると思うと…

 

「う、ゔぇ…」前屈みになって、胃の内容物をぶちまける。

 

「…はぁ、はぁ…あぁダメかもしんないな…」そう言い、訓練場の隅でまた吐く。

 

「…これがトラウマか…辛いなぁ…」その場にうずくまりそう弱音を吐く。

 

 

どれほどの時間が経っただろう…俺は胸の鼓動が少しずつ落ち着いていくことだけを感じながら目を閉じ深呼吸する。

 

「…ふぅ〜、よし!弱音タイム終了!そうさ、そうだよ、トラウマは克服するもんじゃん!そうすりゃ強くなれるって相場が決まっているのは、古事記にも書かれてるんだからね!」としぼみそうな心を奮い立たせる。

 

その決意と心を奮い立たせると同時に立った自分はさっきの吐き気がぶり返してまた吐いた。

 

 

「あ〜あ、最悪だよ、ほんと…」

 

 

そう言いレイラは水魔術で吐いた後片付けをする。まーじで最悪…

 

 

Side:ロキシー

 

私は今、柱の後ろでただひたすらに謝っている…

 

 

…あ、あああぁ…レイラ、レイラレイラ!ごめんなさい!う、うぅ…ごめんなさい、レイラ…

 

私は何に謝っているのだろう…謝るなら目の前にうずくまっているあの子にすべきなのに…足が、足が動いてくれない。あの子に否定されたら…私は、私は…

 

お前のせいで、私はトラウマを背負ったとそう言われたら…あぁ、なんて身勝手で醜い先生なんでしょう…レイラの方がよっぽど怖い目にあっただろうに、私は…私はただあなたに否定されることが何よりも怖い!

 

 

気付けば、レイラはどこかに行っていた。

 

…私は本当に、本当にどうしようもないくらい…クズだな…

 

 

震える手を握りしめ、まるで悪夢から逃げようとする幼子のように、柱の影ですすり泣く。

 

…レイラが苦しんでいるあいだ、私は一歩も動けなかった。彼女のために何もしてやれなかった。彼女を慰めるのは私の役目だと言うのに…

 

そんな罪の意識によって私の首をゆっくりゆっくり真綿で絞められていくような息苦しさを感じた。

 

「う、ゔぇ…」

 

 

 

Side:レイラ

 

 

 

…ふぅ、ちょっと落ち着いてきた

 

…ん?あれは…

 

「おーい、パックス殿下!」と庭園を歩いているパックスとその後ろにいたあの奴隷の子達に声をかける。

 

「おお、レイラ…昨日も言ったが、別に呼び捨てで構わんぞ?」

 

「いや、さすがにここじゃあ、人が聞いてるかもだし無理言うなよ…」

 

「それよりさ、その子たち、許可貰えた?」

 

「ああ、見ての通りだ」と自信満々にそう答えた。

 

「…そっか、で、この子達の名前、どうしたの?」

 

「ああ、右からアーシャ、イライダ、ヴァネッサだ。」と一人ずつ名前を呼ばれる。

 

アーシャはどうやらあの一番大きく、助けられた時に勇気出してたあの子だ。

 

イライダは、牢屋で目の虚ろだったあの子だ。いまだに怯えていそうだな。

 

ヴァネッサは、俺の事をキラキラした目で見てきていた。短髪黒髪の守ってあげたくなる可愛い顔つきの子だ。時折、バランスを崩しそうになっている。理由は明白だ。片腕がないのだ。きっとあのクソみたいなサーカスでやられたのだろう。

 

 

…なんとも胸糞が悪いな。この三人は見える見えないを問わず、それぞれ何らかのキズを負っている…俺はぶつけようのない怒りを覚える。

 

そんな思いとは裏腹に俺は出来る限り優しく話し始める。

 

「良かったね、それでこの子達の部屋はどうすんの?ないなら私の部屋とかに寝に来させてもいいよ?無駄に部屋が沢山あるし私、ソファーで寝るけど…」

 

「いいや、心配には及ばない。すでに侍女の空き部屋をあてがわれているからな。」

 

「マジで変わったね、パックスでも…そっちの方が私は好きかな?」

 

「そう…か、まぁそれはよかった。」

 

「…パックスさま、てれてる」とアーシャ

 

「…てれてる」とイライダ

 

「てれてれ」とヴァネッサが、からかい始めた。

 

「…余は照れておらん。」

 

…うんうん、あの子達もパックスに懐いてるね。良かったね…いや、でも絵面は確実に事案だけどな…

 

「ま、なんでもいいけどキミらが幸せそうで助けられた私としては嬉しいな。」

 

「…ありがと、レーラ」

 

「レーラのおかげ…」

 

「レーラ、サイキョー!」と各々反応してくれた。

 

「ふふ、レーラじゃなくて"レイラ"だけど…ま、いっか、元気そうで良かったよ。」

 

 

「それじゃ、休憩も済んだし、そろそろ行くね、また後でね。」

 

「ああ、また後でな」

 

「じゃあね」

 

「…じゃあね、レーラ」

 

「じゃあね、レーラ!」

 

「うん、バイバイ」そう手を振りながら一人で散歩を再開した。

 

…ふぅ、いや、でも良かった良かった…元奴隷だからダメとかだったら宿をとるか、パウロ達に土下座でもして住まわせてくれるよう頼むしか無かったからな…

 

「ま、何事も無かったし、結果オーライだね。」

 

 

〜数週間後〜

 

「…そう、ここは15だよ。うんうん、あ、違うって、ここはね、はねるんだよ。うん、難しいよね、私もよくミスしたよ…ここの発音は"あぅ"って感じ。」

 

俺は今、このここに来て一番の教師活動をしています。

 

「いや〜、皆頑張ってるね〜。」

 

「うん、私、レーラみたいになりたいから。」とアーシャ

 

「…私も」とイライダ

 

「う〜、むずかしぃ!」とヴァネッサ

 

「まぁまぁ、ゆっくり覚えていこうね。学問に近道なんてないんだから。」

 

「う〜、もう勉強はいい!ボク、レーラみたいに強くなりたい!」とヴァネッサが言う。

 

「そうは言ってもねぇ…私の強さは知識だからなぁ〜」

 

「…ちしき?」とイライダが聞き返してくれた。

 

「ふふん、そうだよ。知は力なりって言葉があるくらいに知識があるとそれだけその人の脅威が上がるんだよ?まぁ、力でゴリ押しでも強いっちゃ強いんだけどね。」

 

「つまり、私達もレーラからたくさん学べば、たくさん強くなれるってことですか?」とアーシャがまとめてくれた。

 

「そ!まぁ、私の持論ではあるけどね。」

 

すると、先程までやる気がなさそうにしていたヴァネッサは、学びたそうにうずうずしていた。

 

「…レーラ!ボクに、ちしきをおしえて!」

 

…ククク、計画通り( ≖ᴗ≖)

 

さてさて、いい感じに勉強をしてくれてお姉ちゃん嬉しいなぁ〜

 

「…そういえば、なんで三人は強くなりたいの?」

 

そう実は、俺は彼女たちにお願いされて勉強を教えているのだ。いや、実際に頼まれた内容は、強くしてくれってだけで、俺が無理やり勉強に仕向けようとしてるだけなんだよね。

 

正直、彼女たちが強くなりたい理由もわかる。ただ、力だけじゃ、彼女たちは自分の居場所すらまともに守れなくなる。故に、知という方面で俺は彼女たちを強くする必要がある。

 

…なんてカッコつけてるけど、ただ俺が教えられる状態にないってのが問題なんだよなぁ…

 

トラウマ克服って言ったが、治療しようとあの時のことを鮮明に思い出したせいか、酔っ払い、細身の男、剣に恐怖を感じるようになってしまった。最悪すぎる…

 

こんなちょろっと言っているが、正直めちゃくちゃキツい…

 

まず剣が怖い。そんなの前世からそうだろって思うかもだけど、あの鈍い鉛色の剣が自分に向けられているって考えただけで足が震えそうになる。

 

次の酔っ払いや、細身の男なんて街を歩けば何処にでもいるので、正直コチラの方がダルい。

 

…ただ、マシなのはその酔っ払いや細身の男というのが単体だとちょっとビビるぐらいで、吐いたり、手が震えたりはしないのでほんとにそれだけがマシということだ。

 

二つの特徴持ちは、酒場にでも行かなきゃ会わないし、後は夜に出歩かないようにしよう…それさえ何とかすれば平気なはずだ。

 

…まぁ、ゆっくり治していくしかないな。急いだ結果がこれだしなぁ…

 

とりあえず、今は、この子達に勉学を施すことが最優先だな。

 

 

〜勉強終了後〜

 

 

暇…というかやることの無くなった俺は王宮内を適当に歩いていた。すると、前から貴族らしき格好の集団がやってきた。

 

…珍しい、いや違うな

 

そういえばここって王城だった…逆に今まで合わなかったのが奇跡なのか?

 

そんな事を思ってる間にも貴族と俺の距離は近付いてくる。

 

さすがに平民が貴族の横とか通ったら、なんか言ってくるだろうし、ここは俺の内なる大和魂に従って謙虚に避け待機をかましましょうかね…

 

なんて考えながら、道の端に避け、ビシッと敬礼ポーズで待機する。もちろん右手で…さすがに左手の枷は見せられんでしょ…

 

 

貴族が横を通る時、俺の前で立ち止まり、舐め回すように見てきた。

 

…なに、なんだよ…俺なんかしましたかね?マジでやめてくださいよ、さっさと通り過ぎてくれって、ガチで!

 

俺は、弱火でじっくり煮られるすき焼きの豆腐のような気分だった。

 

 

一番先頭にいたでっぷり太った男が、俺を見てニチャァという効果音が相応しい、元男の俺ですらキモいと思う鳥肌モンの笑みを浮かべ、何事も無かったかのようにまた歩き出した。

 

 

 

…なにアイツ、ガチでキモい…生理的に無理って全男性に対する殺傷能力の高すぎる言葉はこの時の為に存在するんだって女になってよく分かったわ…あれは不快です…やられた側からするとマジで…

 

 

 

出てきた鳥肌を戻そうと身体をさすりながらも、パックスとルーデウスにはそんな顔、絶対させないよう忠告することを心のメモ帳に書いておいたレイラであった。

 

 

 

気を取り直して城内を練り歩いていると今度は前からザノバとジンジャー達が来た。

 

そう、言っていなかったがジンジャーはパックスの話し合った結果、ザノバの護衛に戻されたのだ。

 

聞いた話によると、ザノバが物々交換でジンジャーをロキシー人形と交換していたらしいのだ。まったく…さすがロキシーだ。人形にさえも人以上の価値を生み出してしまうとは…

 

まさに魔性の女だな…

 

ちなみにパックスには、ジンジャーの代わりとして人形を作ってあげることにした。俺特製のロキシー人形だ。あと、俺の人形も…

 

…市場に置いてあったら泣くからね?

 

 

「お、お師匠〜!!」とザノバは日本人もびっくりの綺麗すぎる土下座をかましてきた。

 

「おお〜、ししょ〜!!余をッ!余をどうか〜!弟子にィィ!!!」と土下座から、身体を起こし俺の脚に腕を絡めて頬擦りを始めた。

 

 

「うきゃああああ!!キモい!キモい!キモい!私から離れろォォ!!」と堪らず渾身のストーンキャノンをお見舞いする。

 

 

すると、ザノバは吹っ飛ばされ、二回転した後、頭から血を滲ませて、またしても気持ち悪い四つん這いで俺の足元に跪いた。

 

「ぬぉぉぉ!!師匠!!」

 

「殿下!おやめ下さい!レイラ殿がドン引きております!」とジンジャーが必死に止めようと足を掴んで叫んでいたが、ザノバの馬鹿力では止めることができずボロ雑巾のように引き摺られていた。

 

「殿下!離れて!マジで、ほんとにやめて!」と割と本気を出して顔を押し返そうとするが、ジンジャー同様、ザノバに力で勝てる訳もなく、結果として脚をザノバに取られた。

 

 

 

 

…どうも、最近人生の厳しさをわからせられたレイラです。えぇ、現在わたくし、なんとまたしても牢屋に閉じ込められました。

 

はい、"またしても"です。

クソッ!なんでこんな短期間にこう何回も入れられるかな!?お前(牢屋)はこの美少女が好きなのかもしれんが、俺は牢屋(お前)のことが大っ嫌いだからな?

 

 

「…一旦離せ…離せば分かるはずだ。」

 

 

「師匠、余は貴方が認めてくれるまではやめませぬ。」そう言って首を振る。

 

「…おい、どこにこんな事されて弟子をとろうと思う師がいると思った?…というか、こんなことしやがって、なんなんだよ?この国、私の事嫌いなの?出てって欲しいなら出てくよ?中指立てながら」

 

「いえいえ、余は師匠を尊敬しております…ですので、どうか余を弟子にしていただきたいのです。」

 

「ならまず解放しろよ」

 

「嫌です」

 

「クソが、やっぱ嫌いだわこの国…」

 

「…てかなんで私なの?」と兼ねてよりの疑問をザノバにぶつける。

 

すると、ザノバは急に真面目な顔をしてゆっくり語り始めた。

 

 

「師匠…余は、あの繊細なる作品を見た日から燃えておるのです。このような素晴らしい作品を生み出すそのゴットハンド…」

 

「…別に手で一から作ってるわけじゃないし、ゴットハンドって言う程じゃ…」と茶々を入れると、急にギョロっとザノバがコチラを見てきた。

 

「…今なんと?」

 

「…え?だから手で作ってるわけじゃないって…」

 

「な、なんと!?であれば師よ、この作品は一体どうやって作られているのですか!?」

 

…なんか急に食いついてきたな…

 

「えっと、それは土魔術の応用で作ったんですよ。…実践してみせましょうか?」

 

「なんと!ええ、お願いします師匠!」と言って牢屋を破壊して入ってきた。

 

…うわぁ、コイツヤバぁ〜

 

そう思いながらも俺は、チャンスを待つ。

 

ザノバは嬉しそうに俺の左手首につきっぱなしの枷…にさらに壁に付けられ動きを封じられていた鎖を力ずくで破壊した。

 

俺は、動けることを確認すると目の前で目をキラキラさせているこの男の顔に向けてまたしてもストーンキャノンをゼロ距離射撃する。

 

「ぎゃふん!」

 

「…ふ!アホめ!まんまと罠に掛かりやがったな!もうこんなクソみたいな国からおさらばしてやる!」と捨て台詞を吐き、俺はそそくさと退散する。

 

 

俺は、牢屋から出てすぐに自室に向かった。理由は先に述べたように国外逃亡するためだ。

 

…さすがに性急すぎるかも、そう思ったが二人の王子には監禁されるし、王様には殺されそうになるしで、もはや五体満足に今生きていられることが奇跡なのではないかと思い始めている。

 

「…気にするこたぁないよな!だって私よりあっちの方が悪いもんな!そうだそうだ!」と自分に言い聞かせ、日記や魔術書やらなんやら詰め込み、出国の準備を終わらせる。

 

 

「…よし、逃げよう」

 

 

 

俺は部屋に置き手紙と教材を残し、全てを片付け終えた俺は城から抜け出した。

 

城門前にはジンジャーがいた。

 

「…レイラ殿、行かれるのですか?」

 

「…ジンジャーさん、すみません、ここにいると私は死んでしまいそうですから…」

 

「いえ、こちらも申し訳ありませんでした。パックス殿下やザノバ殿下を止められず、レイラ殿には大変ご迷惑をおかけしてしまい、心からお詫び致します。」と言ってジンジャーは頭を深々と下げてきた。

 

「私は気にしてませんよジンジャーさん、パックスとは和解したし、ザノバ様は…正直苦手ですけど、どっちかっていうと王様の処刑宣言が一番の要因ですから…」

 

「…本当にすみません、うちの国が…」

 

「あはは…いいですよ、あ、そういえばあなたにお願いしたいことがあったのですがいいでしょうか?」

 

「はい、もちろんです。」

 

「では…パックスやあの子達を構ってやってくれませんか?今から出ていこうとしているのに厚かましいかもですけど、どうかお願いします。」

 

 

「はい、任せてください、必ずや守り抜いて見せます。」

 

「お願いします。それじゃあ…」

 

「はい、いってらしゃいませ、レイラ殿」と騎士の敬礼をもって見送ってもらった。

 

 

俺は、たった1ヶ月という短い勤務の末、命の危機を感じ職場から逃亡することにした。

 

…前世ですら、正式に手続きをしたというのに、この世界では、1ヶ月、さらに無断で逃げることになるとは…全くやれやれだね…

 

 

…せっかくのロキシーと一緒に働ける楽しい職場だと思ったのになぁ…

 

 

一応、ロキシーに向けての置き手紙を残しておいたし、彼女のことだから、俺が出ていく理由はわかってくれるよね?

 

 

 

 

「…にしても、どうするか…今更ながら後先考えずに行動しちゃったしなぁ…まぁでも、お金はあるし、ゆっくり旅しながら帰省するか…」

 

フィットア領に行ってから一年近く実家に帰っていなかったし、そろそろ顔ぐらいは見せないとパウロ達も心配してしまいそうだしな。

 

そう思い、俺の旅の目的地はブエナ村に決まった。

 

 

まぁ路銀は1ヶ月とはいえ最初の1、2週間はしっかり働いてた?ので充分あると言える。アスラ王国までなら充分だろう。最悪冒険者にでもなるか…いや、それにしても流石、王宮…フィットア領でのお給料の数倍貰えたし金銭面だけで言えば、ここは良い職場だったね…まぁ命の保障はないけど…

 

「…ま、色々あったけど、友達もできたし、金も貰えたし、何より先生とまた過ごせたし…悪くはなかったかな?」

 

 

そう今回のシーローン王国での出来事を振り返り、そうつぶやく。

 

「…さてと、行きますか」

 

俺はシーローン王国に背を向け、旅を始める。生まれて初めての一人旅…ちょっぴり怖くて、ちょっぴりワクワクする。

 

 

俺は、高鳴る鼓動に身を委ね、一昨日からの雨でできた水溜まりを飛び越えて進む。

 

レイラの軽やかな足取りの先の空には綺麗な虹がかかっていた。

 





久しぶりに図書館に行って成長を感じたどうも作者です。昔に行った時の記憶より本棚がちっちゃく、あぁ成長したんだなって感じました…

今回の話で、一番書きたかったパックスの成長を書けて満足しております。しかし、なんか書いててパックスの好感度が上がりつつある現状に作者は冷や汗をかきつつあります。パックス×レイラ概念なんてねぇよ!って声高に言いたいです。

パックスが好きな私としては、ちょっとないなって…パックスは絶対原作通りにする。確定事項ですからね!?

…と、すみませんアホの戯れ言です。ちょっとマジで最近忙しくて、次回は遅れる気がします。ゆるちて…

ではまた次回、お会い致しましょう。





ifルートを作ろうと思ってるのですが…優先的に作って欲しいやつありますか?

  • エリスルート(誘拐事件の辺りから)
  • ロキシールート(卒業試験から)
  • 老デウスルート(長くなる気がする…)
  • シルフィルート(一緒に転移するやつ)
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