一夏はサイクロンソーサーとトルネードチャクラムを収めると七星剣・黒竜を左手に持つ。
「どういうつもりだ?」
「貴女とは俺自身の剣で勝負したいと思った。それだけです。」
「ほう、私が剣を得意としているのを知っててか?」
「ええ。昔から貴女は剣道も剣術も得意ですからね。」
「っ!(何故こいつはその事を知っているのだ?)」
「だから今の彼方に俺の実力を見てもらいたいんです。過去の俺が何処まで成長したかを、俺の剣術と俺の剣で。」
一夏は黒竜を抜刀する。その瞬間一夏から放たれる覇気が千冬たちを圧倒する。
(すさまじいな。ここまでの覇気、相当の修羅場をくぐり抜けたと見る。だが!)
千冬は打鉄のブレードを手に取る。
「私も、ブリュンヒルデとしてではなく織斑千冬として負けられないのでな。本気で行かせてもらう!」
「そうこなくては!」
二人は互いに剣を構える。互いに睨み合い全く動かない。
「はっ!」
先に動いたのは千冬。瞬間加速で一気に近づくと剣を右に振るう。一夏は黒竜を逆手で右手に持つとその斬撃を受け止める。
「っ!(この刀、並みの刀ではない。鋼の強度、刃の細さ、何よりこの剣をこいつは使いこなしている。)」
「はぁ!」
一夏は刃の峰を右脚で蹴り千冬を押し返すと一夏は順手に持ち替え、剣先を突く。
「くっ!」
千冬は後ろに飛びながら剣先をブレードの柄頭で受け止め威力を軽減する。
「外したか!」
(いや、今のは的確だ。油断して掛かればこちらが負ける。)
千冬は両手で剣を構える。一夏は右手に剣を持ち直し左手で剣の刃を持つ。
(攻めと護りに特化した型か。隙を作らない形としては良い・・・・・・だがそれは悪魔で理論上の話。使いこなすのはそう容易ではない。)
「はっ!」
一夏は千冬に急接近すると剣を振り上げる。千冬はブレードで受け止める。
「ぬぅっ!」
千冬は一夏の攻撃を受け、歯を喰いしばる。一夏の力に千冬は圧倒され、千冬は後ろに弾き飛ばされる。
「はっ!」
一夏は千冬に向かい飛び、剣を頭上から振り下ろす。千冬はブレードの刃を持ちながら一夏の剣を受ける。千冬は体制をかろうじて保ち耐える。
「ぬうぅ!」
「はあぁ!」
互いに力で押す。
(この男、なんて力だ!こちらが負ける!)
「俺は貴女の背中に憧れていた。」
「ん?」
「貴女の強さに憧れていた。俺は貴女に追いつきたくて頑張った。貴女の強さに憧れて。」
一夏は千冬を剣で押し離す。千冬は体勢を立て直す。
「貴女になろうと俺は頑張った。でもある人が教えてくれた。お前はその人にはなれないが、お前の強さを極めろってね。」
「貴様をそこまで鍛え上げた人物に会って見たいものだな!」
「それは無理だわ!」
一夏に向かい千冬は二重瞬間加速を行い一気に剣を突く。しかし一夏は突っ込んでくる千冬の背に自身の背中を転がし回避する。
「バカな!」
「いくぞ!」
一夏は三重瞬間加速を行い、千冬を斬りつける。千冬は咄嗟に身体を後ろに反らし一夏とすれ違い様に一夏の髪を少し斬る。
「くっ!外したか!」
「うおっ!髪斬られた!」
一夏は驚きながらも静止し、剣を下に下ろすと深く息を吐くきながら瞳を閉じる。千冬は攻め様とはせず警戒をした。
(何をするつもりだ?)
一夏は瞳を閉じながら声を出す。
「ザムシャー流剣術秘奥義!」
一夏は瞳を開くと一気に千冬より上に位置し剣を頭上に振り上げる。
「大刹惨!」
千冬は直感で回避する。千冬が回避したところから下は一夏が放った斬撃で地面を削り取る。
(なんて斬撃だ!避けなければ確実に負けていた!)
「避けられたか。でもまだ俺の技は出してないけどね!」
一夏は千冬に向かい剣を構えながら接近する。千冬も一夏に向かい構えながら接近する。
「はぁああああ!」
「我流剣術!黒流斬!」
一夏と千冬がすれ違い、互いに背を向けて着地する。しばらくの沈黙が続いた。千冬は剣を下ろした。
「・・・・・・私の負けだ。」
千冬がそう言った瞬間打鉄の両拳とブレードが砕けた。
「まさか負けるとはな・・・・・・完敗だ。」
「・・・・・いいや、使い慣れたISだったら勝ってたよ。千冬姉。」
『っ!?』
その瞬間一堂に衝撃が走った。
「ハンターボール、俺の髪を切ってくれ。」
ハンターボールは一夏の長い髪を切り始めた。千冬は一夏の方を向く。
「お前・・・・・・まさか・・・・・」
「ああ、生きてたよ。戻るのに時間が掛かってゴメン。でも帰れない事情があってね。でもちゃんと帰ってきた。最初は千冬姉に真っ先に会いたかったけど殴られるのを考えると鈴の方が先と思ったんだ。でもこんな形で再会して剣を交えるようになっちまったよ。でも俺としては一度、今の自分の実力を知りたいから戦う事を選んだ。」
ハンターボールが一夏の髪を切り終わり、一夏の頭に残っている切った髪を全て取り除くと一夏に終了の合図を出した。一夏は切った髪をデスレステッキを展開し、燃やした。髪を燃やした一夏は千冬の方を向く。千冬は一夏の名を口にしながら涙を流した。
「一夏・・・・・・なのか?」
「・・・・・ああ。ただいま、千冬姉。」
その瞬間、学園全体に衝撃が走った。観客席に残っていた箒は急いでアリーナグラウンドに入る。
「一夏!」
千冬は打鉄を解除するとゆっくりと一夏に近づいてくる。一夏は殴られる事を覚悟し、目を閉じる。だが一夏の予想とは違い千冬は一夏を抱きしめた。
「遅すぎだ、馬鹿者!」
千冬は涙を流しながら一夏に言った。
「・・・・・・ゴメン。帰ろうにも帰れなくてね。」
『一夏!』
「箒・・・・鈴・・・・」
箒と鈴は一夏に近づくと涙を流しながら抱きついた。
「この馬鹿者!今まで何処をほっつき歩いていた!」
「ホントよ!すっ・・・・・・・・ごく心配したんだから!」
その瞬間一夏の瞳から涙が流れた。
一夏はこの時初めて本当に地球に帰ってきたと思った。