夜になると一年生全員は旅館の大宴会場で食事を取っていた。一夏の隣にはシャルとセシリアが座っていた。
「おっ!これ本わさか!」
「本わさ?」
「ああ。学校のは練りわさと言っていろんな食材をあわせて作ってんだ。」
「へ~。」
そう言うとシャルロットはわさびの山を一盛り丸々口に運んだ。
「ちょおい!」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!」
シャルはわさびの刺激が強く鼻を押さえる。
「ふ、風味があっておふぃしいね。」
「優等生ぶるな。ほれお茶。」
「ありがと一夏。」
シャルは一夏からお茶を受け取り、飲む。
「ん、どうしたセシリア?」
「あ、あの・・・・・・ちょっと足が痺れて・・・・・」
一夏の隣にいるセシリアは痺れと葛藤していた。
「無茶するなよ。胡坐を掻いてもいいんだから。」
「ええ。ですがそうすると別の痛みが・・・・」
「あー、あるなー。でもそうしておかないと立つ時はきついぞー。」
「え、ええ・・・・」
セシリアは胡坐を掻く。すると脚に血流が急に流れる感覚が来る。
「くぅ・・・・・き、きついですわこの感覚。」
セシリアは頬を赤らめながら言うのでなんだか色っぽく見えてします。
「まあ、がんばれ。後でいいから部屋に来いよ。」
一夏はそう言うと食事を続けた。セシリアはその言葉に表には出さずに反応した。
(こ、これは一夏さんからのお誘い!で、ですが織斑先生と一緒の部屋では・・・・・・はっ!ま、まさかそういうプレイですの!確かにそういうプレイをすると参考書に例として書いてありましたが・・・・)
どんな参考書を読んだのか知らないが確実にそれはアブノーマルであると断言できる。
いろんな妄想を膨らませながらセシリアは食事を続けた。脚の痺れを忘れる程嬉しいことであった。
「♪~~~~~」
セシリアは鼻歌を歌いながら一夏と千冬のいる部屋に向かう。
「あら?」
一夏と千冬の部屋の前に箒、鈴、シャル、ラウラ、簪が襖に耳を当てていた。
「皆さん何してますの?」
「しっ!」
鈴が指を立て静かにするように促す。セシリアは皆と同じように耳を傾ける。
『九年ぶりだからあんまして無いでしょ。』
『お前以外やってくれる相手がいないんだ。あっ!』
『まあすぐに楽になるから。』
『そ、そこは・・・・っ!』
『ほら、やり辛いから力抜いて。』
「ななななな!なんですのこれは!」
セシリアも皆と同じように襖に耳を当てる。すると襖がみんなの体重に耐えられずに襖と一緒に倒れる。
『きゃっ!』
倒れた一同は顔だけを二人の方に向けるとそこにはうつ伏せで一夏のマッサージを受けている千冬の姿があった。
「全くお前たちは。何をやっているのだ。」
千冬に怒られ箒達は正座をさせられていた。セシリアは足が痺れ足指をイゴイゴと動かしていた。
「ま、マッサージでしたんですね。」
頬を赤らめる箒。
「わ、わたくしは最初っから分かっていましたわ。」
「嘘を付け!」
意地を張るセシリアに鈴が突っ込む。
「でもよかった・・・」
「ホントに・・・・」
安堵するシャルに簪は相槌を打つ。
「なんだと思ったんだ?」
「それはだな、男女のモガッ・・・・」
一夏の問いに答えようとしたラウラを箒達が口を塞ぐ。
「な、なんでもないんだぞ////////」
「ほ、ほほほほほほ//////」
箒は顔を赤らめながら誤魔化し、セシリアは顔を赤らめながら苦笑いをする。
「?まあいいけど・・・・・」
そんな一夏を見て一夏は溜息を吐く。
「まあいい。こいつはマッサージの腕がいい。順番に相手をしてもらえ。」
「じゃあセシリアは最初に約束したとして・・・・・後は誰がする?」
「ちょっと待て一夏。」
「なんだ箒?」
「一人で二人相手するのか?」
「分身すればいいだろ。」
一夏は皆の目の前で分身する。
「じゃあ・・・・」
『ジャンケンポン!』
箒達は一斉にジャンケンをする。そして勝ったのは・・・・・
「私・・・」
簪であった。
「じゃ、始めるか。」
二人はうつ伏せになり一夏のマッサージを受ける。
「んっ!」
「どうしたセシリア?」
セシリアの腰の辺りをマッサージしていた一夏がセシリアに尋ねる。
「少し痛くて・・・・」
「何かしてるのか?」
「バイオリンを少々。」
「だったらここは指圧でしないほうがいいな。」
一夏は指圧を止め別の方法でセシリアの腰をマッサージする。
「はぁ~。気持ちいいですわ~。」
セシリアはあまりの気持ちよさにそのまま眠ってしまいそうにあった瞬間。
ガシッ!
(い、一夏さん!マ、マッサージとはいえいきなりそれは・・・・!)
「お~、マセガキめ。随分と大胆な下着をはいているな。しかも色は黒か。」
「お、織斑先生!」
「教師の前で淫行を図ろうとするなよ、15歳。」
「い、インコウ・・・・・・」
セシリアは顔が紅くなった。
「ん?織斑、それはなんだ?」
「シーズさんのバイザーです。でも電源を今は切っているから視界はブラックアウト状態。」
「ほほ~。22なのにそういうのには慣れていないのだな~。」
千冬は今後イジるネタにするかでもするかのような顔をする。
「あっちの一夏は大変そうだね。」
分身の一夏のマッサージを受けている簪は気持ち良さよそうに眺めていた。
「分身でも同情するな。まあ気持ちは分かるが。」
しばらくして全員のマッサージが終わった一夏は汗を掻いていた。
「織斑、風呂に入って来い。流石に汗臭いと敵わん。」
「そうさせてもらうよ。」
一夏は入浴セットを持って風呂に向かった。
一夏が去った後で千冬は椅子に座りながら箒達にある質問をした。
「それで?お前らはあいつの何処に惚れたんだ?」
「わ、私は幼馴染であって・・・・」
「アタシはアイツと腐れ縁で・・・・」
箒と鈴は顔を赤らめながら誤魔化そうとする。
「そうか。ならアイツにそう言っておこう。」
「「言わなくていいです!」
「ふっ、まあ心配するな。」
千冬は二人をからかった。
「オルコット、お前はどうなんだ?」
「わたくしは一夏さんの偏向射撃に引かれましたわ。」
「確かにアレはすごいな。お前もあいつから手ほどきを受けているのだろ?」
「ええ。ですが一夏さんよりを目指していても中々追いつけません。」
「アイツ以上?アイツのようにじゃないのか?」
「前に一夏さんに言われたんです。『もし憧れているのならばその存在を越える存在になれ。そうすれば強くなることが出来る』と。」
千冬はその言葉に納得した。
「経験のあるあいつだからこそ言える言葉だな。デュノア、お前はどうなんだ?」
「僕は優しいところです。」
「あいつは誰にでも優しいぞ。」
「うう・・・・」
「まあそれがアイツを見ている私からの悩みの種なのだがな。ボーデヴィッヒ、お前は?」
「強いところです。」
「確かいあいつは強い。アイツのお強さはそう簡単に手に入れられるものでは無いしな。更識妹、お前は?」
「私はおねえちゃんと分かり合えさせてくれたところです。」
「アイツはどうやらもう一人巻き込んでいると見ていいな。まあともかくアイツは料理も出来て家事も出来る。おまけにあの強さ。夫にするなら一番だな。どうだ、欲しいか?」
『く、くれるんですか!』
女子一同期待の眼差しを千冬に向ける。
「やるか馬鹿者。」
『え~。』
女子一同ガッカリした。
「まあせいぜい頑張ることだな、小娘ども。」
翌日、予定通り企業からの武器のテストを行おうと生徒が集まっていた。
「よし。それでは今日は予定通り企業から送られた武器のテストなどを行うがその前に専用機持ちと篠ノ之はこっちに来い。」
千冬の指示によって一夏達は千冬の元に行く。するたある一人の生徒が挙手をして質問をする。
「織斑先生、質問があります。」
「なんだ?」
「どうして篠ノ之さんはそっちにいるんですか?」
「それは・・・」
千冬がワケを答えようとした瞬間聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ち~~~~~~~~~~ちゃ~~~~~~~~ん!」
『・・・・・来た。』
一夏と千冬は呆れながら声のする方を向くとそこには束の姿があった。一夏はグローザーシールドを取り出すと小さな氷の槍を造り地面に突き刺す。
「アイスロード。」
アイチかがそう言い放った瞬間束に向かい一本の氷の道が出来上がった。束はバランスを崩しそのまま千冬の下まで氷の上を滑る。
「う~~~~、ひどいよいっくん!でもその武装興味あるから見せて。」
束は跳び上がると一夏に文句を言うがすぐに一夏の武装に興味を示した。
「あの文字全部解読したらって条件忘れた?いくら知り合いとはいえ特別待遇はしません。」
「ぶ――――っ!いっくんのイケズー!」
「束、いい加減にしろ。それと生徒が困惑しているから自己紹介くらいしろ。」
「他ならぬちーちゃんの頼みだからしょーがなくするね。ハロー、ISの開発者の篠ノ之束だよ。はい終わり。」
束の自己紹介に生徒一同驚きを隠せなかった。だがそんなこと束にはどうでもよくて千冬の方を向く。
「それより束、今日は・・・」
「ふっふっふ。それはもう準備済みだよ。さあ、空をご覧あれ!」
全員方番お言葉通りに空を見上げると正八面体の塊が降ってきた。生徒一同驚いた。
「じゃっじゃーん!これぞ箒ちゃんの専用機こと『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」
その名の通り紅いIS、『紅椿』がそこにはあった。
「さ、箒ちゃん!今からフェイティングとパーソナライズを始めようか!私が補佐するからすぐに終わるよ!」
「・・・・それでは頼みます。」
「硬いよ~。実の妹なんだし、こうもっとキャッチーな呼び方で・・・・」
「束、早くしろ。」
千冬に促された場は作業を始める。そんな光景を見ていた生徒があることを口にした。
「篠ノ之博士の妹だからってズルくない。不公平だよ。」
そんな生徒達を納得させようと一夏は口を開いた。
「確かに法律上は公平であったとしても今のこの世の中、女尊男卑の時代を見て言えるか?それに、俺が経験した中でも等しい人間・・・・いや、命なんてなかったな。狩るか狩られるかのどちらか一方にしか生きる道はなかった。宇宙では強いものだけが生き残れる。平等と言うのは机上の空論だ。」
その言葉を聞いた瞬間一同静まり返った。
「はい終わった。丁度三分。早いねー。さっすが束さん。このくらいの時間ならカップラーメンが出来るよ。」
「三分あったら地雷百個は設置できるな。」
「一夏、ハンターとしてそれは当たり前なのか?」
「何を今更。」
箒の質問に一夏は当然かと思うような反応をした。
「さ、箒ちゃん。動かしてみて。」
「わかりました。」
箒は束に促され紅椿を飛翔させ空中で静止させた。
「どう、箒ちゃん?思った通りに動くでしょ?」
「はい・・・・」
思い通りに動くことに驚く気持ちと同時に恐怖も感じていた。そんな箒に気付いた一夏は箒に話し掛ける。
「箒。」
「な、なんだ一夏?」
「そいつの武装を出してみてくれ。」
「わ、わかった。」
箒は一夏の言葉に従い紅椿の武装の雨月と空裂を展開する。
「束さんが説明するね。雨月は刺突攻撃の際にレーザーを放出、空裂は斬撃をエネルギーを刃として飛ばせるよ。」
「なるほど。箒、ハンティングレベル5の訓練を今から少し行う。生き残れよ。」
一夏は黒い笑みを浮かべた。その瞬間一夏に訓練をしてもらっているセシリア達と山田先生が悪寒を感じた。
「じゃ、いくぞ。」
一夏の言っていたハンティングレベル。それは1~10段階まである訓練。代表候補生ですらレベルですらねをあげてしまう。ちなみに国家代表は5でねをあげます。
「んじゃ、いっくぞー。」
一夏はクロスショットを構えるとデジタルスコープを覗き箒をロックオンする。
「ショット!」
クロスショットからレーザーを放つ。箒は避けようと移動するがレーザーは枝分かれし、箒は四方から襲ってくる。箒はきりもみ回転し雨月と空裂を使いレーザーを相殺する。
「まだだぞ。」
一夏はクロスショットにある弾丸を入れる。
「インパクトバレッド!」
一夏は箒に向けインパクトバレッドを放つ。箒は空裂を振るいエネルギーの刃を飛ばし、インパクトバレットを相殺したかと思われたが直後、箒に衝撃が走った。
「ぐっ!」
箒は歯を食いしばった。
「よく耐えたな。んじゃ今度はこれだな。」
一夏はバレッドを装填する。
「フラッシュショット!」
閃光が箒の目を奪い、弾道は緩やかな軌道を描きながら箒の後ろから接近してくる。箒はハイパーセンサーからの警告を耳にし、上昇して回避すると一夏はレーザーショットを連射する。
「ぐっ!のわっ!」
箒は正面から攻撃を受ける。
「はい終了。どうだった?」
「正直、これがレベル5とは思えない。」
箒は一夏の下まで近づく。
「まあな。レベル2だ。」
「それでこれなのか?」
「正確にはレベル2.5だけどな。」
「微妙だな。」
「まあ初心者でこのレベルに耐えれるのは上出来だな。50点だ。」
「半分の評価か。良いような悪いような・・・・」
箒は少し悩んだ。そんな時山田先生が大慌てで千冬の元に駆けて受けてきた。
「織斑先生!大変です!」
「どうしたのですか山田先生?」
「これを!」
山田先生はそう言うとタブレットを千冬に見せた。
「っ!特務レベルA、現時刻より対策を始められたし・・・・・全員注目!テストを中止。専用機持ちは私と一緒に来るように。それ以外の生徒は自室にて待機。無断で移動したものには処罰を与える。」
生徒は千冬の言葉に従った。
〈・・・・・・・・・・片割れの竜を持つ者よ、貴様の力を見せてもらうぞ。〉
「っ!」
一夏は海の方を向いた。何処から発せられてか分からない声であったが何故か知っている感じがあった。
「どうした一夏?」
「いや・・・・・・だがなんだか胸騒ぎがするな。」
箒の顔を見ず、一夏は海を見ながら言った。