ライブを終えた一夏にジェントが話し掛けてきた。
「一夏君、ちょっといいですか?」
「ええ。どうかしたんですか?」
「ここではなんですのでこちらへ。」
ジェントに促され一夏はついて行く。バレルはその光景を黙って見ていた。
ジェントの部屋に招かれた一夏はジェントと向かい合っていた。
「話ってなんですかジェントさん?」
「ええ。まずこれを見てください。」
一夏はジェントの出した投影ディスプレイを見る。
「これってもしかして・・・・・・」
「ええ。君の思う通りこれは君が通ってきたワームホールの波長です。ここ最近君が私と始めて出会ったこの星で度々観測されています。ギルドガードの一人に頼み調べてもらった結果、一週間後に完全に開きます。」
「一週間後・・・・・」
「ええ。君としては急な話しで申し訳ありません。どうしますか?」
「・・・・・・・・その一週間のうちにハンティングは可能ですか?」
「・・・・・・・・ええ。最後のハンティングになるでしょう。場所は君と出会った惑星です。」
「・・・・・・・じゃあ、一つだけわがまま聞いてもらっても構いませんか?」
「なんでしょう?」
「そのハンティングを、四人で行わせてください!」
「っ!?」
ジェントは驚いた。だが一夏が何故そのような事を言ったのかすぐに分かった。
「・・・・分かりました。今回だけですよ。」
「ありがとうございます。」
一夏はジェントにお辞儀をした。その話を壁越しにバレルが聞いていた。
一夏とジェントが最初に出会った惑星のハンティングが始まるまでに一夏は身辺整理をした。関わってきた人たちは何故一夏がそのような行動をとるのか自然と分かっていた。
そんな中バレルは密かにジェントに頼み事をしていた。
「貴方からそんな事を頼まれるとは驚きですね。」
「どう思われようと構わない。だが一夏があっちの世界に戻れば確実に監禁される。そうならないために今頼んだ二つを作って欲しい。」
「安心してください。」
「なに?」
「あなたが言ったうちの一つは既に一夏君は持っています。」
「まさかハンティング時のアレか?」
「ええ。ですがもう一つは半日ほどで完成します。その間に出来るだけ声をかけておいてください。」
「・・・・・・わかった。感謝する。」
「感謝するのはこちらです。今日まで一夏君を育ててきたのは彼方達です。私はただハンターになる様に勧めただけ。あなたたちに比べれば私など足元にも及びませんよ。」
「なあおっさん。」
「なんだヒヨッコ。」
「一夏の奴と別れがあるのは俺は分かってたんだけど・・・・・・けどよ。」
「ヒヨッコ。俺も同じ気持ちだ。だがよ、あいつには待っている奴がいるんだ。元々アイツはそいつらの元に帰るために今日まで頑張ってきたもんだ。だが、一番つらいのは一夏かもしれねぇな。」
「え?」
「だってそうだろ。九年間だ。一緒に戦ってきた中でアイツは多くの絆を築いてきた。それが急に別れるなんて考えてみろ。世話になった人との急な別れってのは辛いもんだ。アイツも苦渋の決断を下したんだ。わかってやれ。」
「だがよ!」
そんな二人にバレルが話し掛ける。
「ちょっといいか?」
「なんだよバレルの旦那?」
「俺たちに話か?」
「ああ。実は―――」
バレルは二人自分が考えている事を話す。
「・・・・・・・・・・成程な。ヒヨッコ、お前はどうする?」
「・・・・・・決まってんだろ。バレルの旦那の話しに乗る。」
「だな。アイツには色々と借りがある。俺のクロスショットを整備してもらったり。」
「俺のサイクロンソーサーの刃を研いでもらったり。」
「俺様のスティンガーグレードも整備してもらったな。あとガネゴンの不良武器もちゃんと使えるようにしてもらったしよ。」
「だな。じゃあいっちょやるか。」
「おお!」
ラッシュハンターズの声が聞こえたのか他のハンターも話し掛けて来た。
「その話、俺たちも乗っていいか?」
「フッグのおっさん!」
「彼には我々も借りがあるのでな。」
「シーズ!」
「俺も一応弟子に贈るものがあるのでな。」
「ノダチザムシャー!なんで皆ここに!」
ラッシュハンターズも周りには一夏がこれまで関わってきたハンターたちがいた。
「なぁ~に、多々僕らは一夏に借りを返したくなっただけさ。あそこにいるダダチームもね。」
「なに!」
マグナはチブル星人の言葉を聞いて驚く。
「彼ら、君らと前にちょっと問題を起こしたからあまり話しかけないんだよ。まぁ、彼ら自体に『ダダのカーテン』があるから誰も話さないんだけどね。」
ダダチームは殆ど交流が無い。ただ、一夏だけは違っていた。一夏はある時、岩の下敷きになろうとしていたダダAを助けた事がある。それ以来一夏は自然と『ダダのカーテン』を破り交流を深めていた。
「まあ、一夏には皆世話にもなっているんだ。皆して恩返しがしたいのさ。」
「そういうことだ。」
一夏は気付けばこんなにも多くのハンターと絆を築いていた。バレルはそれを知り、嬉しかった。
「皆、頼む。」
バレルは頭を下げた。
ワームホール発生が三日後に控えたこの日、一夏はラッシュハンターズと共にジェントと最初に出会った星に来ていた。
「ガルムさん、ここの土ってなんかスカスカしてませんか?」
「ああ。元々この星は生物のいない星だったんだが一昔前に移住様に開発が進められたらしいぞ。幸いこの星にドライアイスがあったからすぐに済めるようになったんだとさ。」
「へぇ~。」
関心する一夏にバレルは話し掛ける。
「一夏、今日が最後の、ハンティングだな。」
「はい。」
「このハンティング、なんとしても成功させるから覚悟しておけ。」
「はい!」
一夏はバレルの言葉に答える。
「おっさん、なんかバレルの旦那と一夏が兄弟のように見えるな。」
「ああ。ところでヒヨッコ、今回ハンティングするプラズマ怪獣が何か知っているか?」
「いにゃ。ジェントに聞いてみたけど本人も反応だけでお手上げだとさ。」
「めずらしいな。」
ガルムがそう言ったであった。突如地面が激しく揺れ始めた。
「っ!」
「これは!」
「な、なんだ!」
「どうやらお出ましのようだぜ!」
地面の揺れが激しくなるにつれラッシュハンターズの足元が徐々に崩れ始める。
「皆さん飛んでください!」
「わかった!」
「おうよ!」
「ちっ!何なんだこの敵は!」
地中の中から雄叫びを上げ出てきたのはこれまでにない敵。スーパーアースゴモラよりも凶暴なスーパーブラックアースゴモラである。
「なんだありゃ!」
「スーパーアースゴモラだと!」
「おいジェント!これを知ってたんだろ!」
『私だって今知りましたよ。ですが頑張ってください。』
「んだそら!」
「マグナさん、やりますよ!俺たちのハンティング!」
「もうこうなったらやってやるぞヒヨッコ!」
「一夏最後のハンティング、勝利で飾るぞ!」
「おうよ!」