中国に密入国した一夏は堂々と中国の街中を歩く。なぜこうも簡単に入国できたかというとプラズマギャラクシーの技術はいくら束が作ったISの技術があるとは言えどもそれは雲泥の差がある。一夏の持つ光学迷彩はこの世界のどんな高度な技術でもチブル星人とメフィラス星人の作り上げたオリジナルのISには敵わないのである。だが一夏はまだISを起動していない。ただ機能を使っているだけであるため束には気付かれていない。
「さてと、親父さん何処にいんだか?」
一夏は愚痴をこぼしながら歩いていると腹の音が鳴った。
「・・・・・・そういや何も喰ってなかった。どっかATMないかな?」
一夏はそういいながらATMを探すと意外にも早く見つかった。理由はすぐ近くにあったからだ。灯台下暗しとは正にこのことだと一夏は思った。
「あ!そういや1ガネーいくらか俺知らないんだった。」
一夏はプラズマギャラクシーでの価格しか知らない。今まで地球に戻らなかったため知る由も無い。一夏はライセンスカードを取り出すと髪が張り付いているのに気付く。
「またか。」
〈一夏君、君の持っているガネーは1ガネーを1,000円と換算しています。銃弾でも500ガネーするのです。これがこちらでの常識です。〉
(えーと、1ガネーを1,000として500だと・・・・・・500,000!ドンだけ銃弾代高いんだよ!て、よくよく考えてみたらショックバレットとかアイスバレットって特殊弾だから仕方ないか。てか俺今ドンだけ持ってんだ?ん?まだ続きがある。)
〈追申ですが先日のスーパーブラックアースゴモラのガネーは全て君の口座に振り込まれています。これはガルムたちからのささやかな贈り物です。〉
「皆さん・・・・」
一夏は少し泣きそうになりながらも所持ガネーを見る。
ハンター:織斑一夏 398,723,001,230ガネー
「なんじゃそら!」
一夏は驚きのあまり声に出してしまった。いくら純度が高かったプラズマソウルと言えども今までこんな額は見た事が無い。ちなみに日本円にすると398兆7230億123万円。どこぞの石油王が持っていそうな金額である。いや持ってないか。
そんな事をしていると一人の中国人が一夏に話し掛けて来た。
「君、日本人?」
「ん?あ・・・・」
日本語で話し掛けて来た中国人を見て一夏は驚く。
「どうかしたかい?」
「お久しぶりですおじさん。」
一夏が出会ったのは鈴のおじさんであった。
「へ?」
「ああ、この髪型じゃ分からないか。」
一夏は髪を上げて顔を見せる。
「っ!一夏君じゃないか!」
「お久しぶりです。おじさん。」
「どうして中国に?それよりも今まで何処に!」
「まあ話したい気持ちは分かりますがとりあえず場所を変えてもらっても構いませんか?」
「ああ、いいよ。」
一夏は鈴のおじさんの自宅に向かった。
「ご馳走になってすみません、おじさん。」
「いいよ。君に会えて私も嬉しいからね。」
一夏は鈴のおじさんの家でおじさん自慢の中華料理を食べていた。
「ご馳走さまでした。」
「お粗末。」
「ところでおじさんに聞いてもいいですか?」
「なにかな?」
「鈴とおばさんは?なんか家族で暮らしているような感じには見えませんよ。」
一夏はおじさんの家を見て思った。明らかに家族で暮らすには狭すぎる部屋である。
「ああ・・・・・・・実は妻と別れたんだ。」
「え・・・・・」
「驚くのも無理は無いよ。実は鈴が代表候補生になるって話が出てね。私は反対したんだが妻は鈴の意思を尊重して賛成したんだ。それで妻とぶつかってね。それで別れたんだ。」
「・・・・・」
「鈴は君を探したいがために代表候補生になったんだ。だが私は危険にさらしたく無いから反対したいんだが・・・・・・・・結果はこの様だ。」
「・・・・・・・おじさん、すみません。」
「へ?」
一夏は立ち上がると鈴のおじさんを殴った。一応手加減をしているがそれでも一夏の拳は痛かった。
「い、一夏君!?」
「なにやってんですか!」
「っ!?」
「一番悲しんでいるのは彼方でもおばさんでもない!あなた方の子供の鈴です!今鈴には心を支えてくれる家族が必要なんですよ!」
「っ!?」
鈴のおじさんは気付かされた。鈴にとって大事である自分の存在を今一夏に気付かされた。
「・・・・・・まさか、君に気付かされるとはね。もう遅いな。」
「まだですよ。今からだったらやり直せます。行きますか。」
「何処へ?」
「決まってるでしょ。おばさんの所ですよ。場所を教えてください。」
「あ、ああ・・・・・ここだ。」
鈴のおじさんはおばさんの住んでいる住所を示す。
「じゃ、行きますか。」
「ま、待ってくれ!流石に電車でも五時間掛かるぞ。」
「大丈夫です。飛びますから。」
「へ?」
「必要なお金を準備してください。」
「あ・・・ああ・・・・・」
鈴のおじさんは一夏の言葉になすがままに従う。
「準備できましたか?」
「ああ・・・・だが飛行機で行くのかい。」
「そんなまどろっこしい事しません。俺と一緒に飛ぶんです。」
「はい!」
一夏は鈴のおじさんを抱えるとゆっくりと宙を浮く。
「いきますよ、おじさん。」
「い、一夏君!君は一体どうなったの!」
「宇宙でハンターになっただけですよ。」
そう言うと一夏は空を飛ぶ。鈴のおじさんは最初は驚くものの飛行機からではない中国の夜景に心を奪われた。
「ははは・・・・・まさか人生で空を飛ぶ機会があるなんて。それも空からではなくこんな・・・・・」
「一生の思い出ですね。」
「ああ。でも誰も信じてくれないだろうけど。」
「いいじゃないですか。自分だけ得しても。」
「ああ。だが鈴には悪い事をした。」
「今からやり直せばいいんですよ。」
「できるかな、私に。」
「出気ない事を見つけるより出来る事を見つけろ。俺がある人から習った教訓です。」
「そうか。」
一時間後、一夏と鈴のおじさんはおばさんの住んでいる場所に来ていた。だが一夏は同席せずおじさんとおばさんだけで解決することを提案し、おじさんは承諾した。
おじさんはおばさんの住んでいる家のインターホンを鳴らす。
「は~い。あ、彼方・・・・」
「よう・・・・」
「何しに来たの?」
「実は・・・・・・もう一度よりを戻せないか?俺、やっと気づいたんだ。一番傷付いているのは鈴だということに!アイツには心の支えになる俺たちが必要だって事が!」
「・・・・・・・バカ。やっと気付いたのね。アタシもアンタとよりを戻そうかと考えてたわよ。それに、アンタと一緒に料理屋経営していた頃が懐かしいしね。」
おばさんはおじさんの手を握る。
「もう一度、よろしくお願いします。」
おじさんはおばさんに抱きつく。
「ありがとう。」
その光景を見ていた一夏は思わず拍手をする。
「おめでとうございます、お二人とも。」
「え?彼方誰?」
「あ、この髪じゃ分からないか。」
一夏は髪を上げ、顔を見せる。
「い、一夏君!今まで何処に!」
「おじさんと同じこと言わないで下さい。ワンパターンですよ。」
「いや、無理は無いと思うよ。」
流石におじさんもおばさんに同情した。
「まぁちょっとした事情があって戻って来れなかったんです。」
「そう・・・・・・どんな事情か聞きたいところだけど彼方が言いたくなさそうだから聞かないでおくわ。」
「ありがとうございます。」
一夏は深々とお辞儀をする。
「あ、おばさんすみません。ちょっと聞きたいんですけど鈴はいますか?」
「鈴?あの子なら今IS学園にいるわよ。」
「IS学園?何故に?」
「何でも政府の方から行ってくれって言われたそうでね。でも本人も承諾しているから今日本にいるわ。」
「そうですか。じゃあおじさん、俺はこれで。」
「ああ。一夏君、鈴には君の事は今はまだ内緒にしておくから。」
「お心遣いに感謝します。それではお二人とも、お幸せに。」
一夏はそう言うと空を飛び、去って行った。
「ねぇ彼方。」
「なんだ?」
「彼、変わったわね。」
「ああ。だがあの鈍感は一生変わらない気がするよ。
「そうね。私達も、この愛を変わらぬまま貫きましょう。」
「結婚当初に交わした言葉だな。」
「ええ。」