IS学園。一見ISを扱いたいがために全国から年端もいかない16~19歳の子が国家代表、もしくは代表候補生になろうとするための学び舎である。だが、それだけが理由で来ている者ばかりではない。
IS学園の食堂では箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの五人が一緒に食事を取っていた。
箒がIS学園に入って間もなくセシリアが一夏の事を侮辱したので一時は対立したが戦いを通じて互いを認め合った。
セシリア・オルコット:幼くに両親を亡くしてから財産目当てに来る人たちから財産を守ろうと努力を積み重ね、政府からIS適正が高いと言われ政府の指示に従いテストパイロットとしてIS学園に入学した。
凰鈴音:突如姿を消した一夏を探したいと思い代表候補生となった。箒とは一夏と繋がりがあるという事で親しくなった。セシリアと最初は問題はあったものの今ではタッグを組むほど仲がよくなっている。
シャルロット・デュノア:デュノア社から代表候補生のデータを盗むようにちと親からの指示を受けたが箒にデータを盗もうとしている姿を見られたので事情を話した。本人は監獄域を覚悟していたが箒達はそんな事は望まなかった。その後箒を通じて束によりデュノア社長をフランス政府に逮捕させた。交換条件として第三世代の技術の一部を渡すことによりシャルロットの身柄の安全を保障した。
ラウラ・ボーデヴィッヒ:千冬がドイツで教官をしていた頃に知り合い落ち毀れになっていた自分を鍛え上げてくれた出来事から憧れを抱いていたが失踪した一夏のことを思い悲しい顔をしている千冬を見て嫉妬し、千冬を追いかけるようにIS学園に入学。最初は自分以外を軽視し、セシリアと鈴を一度懲らしめたがその後の模擬戦で箒とシャルロットの連係プレーに圧倒されVTシステムを発動。千冬によって救助され、その後は性格は丸くなったものの日本文化を副官により勘違いする事が多々ある。
「しかし、こうも時間が経つのに一夏の奴は見つからないな。」
「そーね。アイツ何処で何してんだか。」
「箒さんに鈴さんの話している織斑一夏さんというのはどういう方なのですか?」
一夏の事を口にした箒に鈴が相槌を打つとセシリアが一夏について尋ねる。
「そうだな・・・・・・・一夏は剣道では私の知っているかぎりでは強かったぞ。」
「でも中学の頃は帰宅部で知り合いに頼んではバイトをさせてもらっていたわ。千冬さんに助けになりたいって言ってたもん。」
「そうなんですか。家族思いの方だったんですね。」
「正確に言うと違うわね。あいつは誰にでも優しかったわ。その性格のせいで何人もの女を無意識に落とした事か・・・・・」
鈴は溜息をつく。
「だめだよ、鈴。溜息をつくと幸せが逃げちゃうよ。」
「その心配は無いぞシャルロット。」
「どういうことラウラ?」
「つい先刻鈴は電話に出るなり驚いたと思ったら何ながら喜んでいたぞ。」
「ら、ラウラ!」
鈴は顔が紅くなる。
「なにかあったの、鈴?」
「うん。実はね、お母さんがもう一度お父さんとよりを戻すって話があったの。」
「よかったですわね、鈴さん。」
「ホントだな。おめでとう。」
「ありがとう。」
鈴は顔が紅くなる。そんな紅い顔を見ていたらラウラがふと呟いた。
「鈴の紅くなった顔を見ているとあの人を連想するな。」
「あの人?」
「ほらあそこで座っている山田先生だ。」
ラウラが見る方向を一同は見るとそこには放心状態で顔の紅い山田先生の姿があった。
「そういえばここ最近山田先生はあんな状態ですわね。」
「そうだね。何かあったのかな?」
「聞いてみるか?」
「でも誰が聞くのよ。」
「私が聞いてこよう。」
「「「「ちょっと待て!」」」」
ラウラが行こうとするのを四人は全力で止める。
「何故止める?」
「ラウラが何も考えず直球に聞いたら確実に何か起こりそうだからだよ。」
「そうなのか。」
シャルロットの意見に箒たちは頷く。
「ここはこの場にいる全員で山田先生に聞きに行こう。」
「「「賛成。」」」
箒の提案に賛同する。五人は山田先生に歩み寄る。
「山田先生、ちょっといいですか?」
「あ、皆さんどうかしたんですか?」
「いえ、それを聞きたいのはわたくし達の方ですわ。」
「はい?」
山田先生は首を傾げる。
「最近放心状態な山田先生を見て気になってたんです。授業の途中でもよく織斑先生に叩かれていますし。」
シャルロットが分かりやすく説明する。
「そうでしたか。すみません。実はつい先日恋をしたので。」
『ええぇ――――――!!!!!!』
「ひゃっ!」
食堂にいた全員が山田先生の言葉に驚く。
「流石に皆も驚くわよね。」
鈴も同感する。
「それで山田先生、恋をした相手の名は?」
「それが・・・・・・・知らないんです。」
『・・・・・・はい?』
ラウラの質問に対する山田先生の答えに皆間抜けな声を出す。
「実は先日、織斑先生と町に出てお酒を飲み交わしていたんです。ちょっと飲みすぎたので気分転換に外に出た途端に路地裏に引っ張られたんです。男性三人が私をどうしてか襲おうとしたんです。」
本人は分からなかったが生徒達は山田先生の胸を見て納得してしまった。
「それで襲われそうになって諦め掛けた時に長髪で黒髪の男性が襲ってきた男の一人をフッ飛ばしたんです。あの人は私が女であること関係なく助けてくれて、本当にかっこよかったです。」
「それでその人とは!」
「その後お礼をしようと私が言い出したら彼は二つ要求をしてきたんです。一つは自販機で売っている缶コーヒーです。私は彼に買って上げて渡したんです。彼、喜んで飲んでくれたんです。私はもっとお礼をしたかったのですが彼の名前を尋ねようとしたんですが彼は名前を答えない代わりに私の頭を撫でて“頑張りな”って言ってくれたんです。」
その話を聞いていた箒と鈴は何故か一夏を連想してしまった。
(なんだか一夏を連想してしまうな。)
(無神経ジゴロータって他にもいんのね。)
そんな時、突然テレビから臨時ニュースが入った。
一方その頃一夏は日本に戻り街中を歩いていた。
(戻ったはいいがIS学園何処にあるか俺知らねぇわ。人に聞こうにも女性専門のIS学園の場所を聞くなんてまず怪しまれる。自力で調べようにも無理がある・・・・・・いや、ジェントさんたちの作ってくれたこれがあるからちょっとハッキングすればいいか。後はそれが出来そうなネットカフェにでも・・・・・)
一夏がそう考えているとざわめく声が聞こえてくる。
「おい、あそこで子供が落ちそうになってる話だぞ!」
「消防は来ないのかよ?」
「なんでも交通事故で遅れてるみたいだぞ。」
一夏はその話をしている二人に話し掛ける。
「あのすみません。その場所が何処だかわかりますか?」
「え?こっから向こうに大体5km離れてるマンションだよ。確か最上階の方から落ちそうになってるって話だぞ。でもその光景見ようとマスコミや野次馬がいてとても近づけないぞ。」
「近くに建物は?」
「あるにはあるが・・・・・」
「なら大丈夫だな。教えてくれてありがとうございます。」
一夏はお礼を言うとビルの壁に足を着け、走り始める。
〈ご覧下さい!今男の子が壊れたベランダに服が引っかかり宙吊りになっています。現在消防は交通事故のためここまでこれず、ヘリが来るまでにはまだ時間が掛かります。また政府のIS部隊は許可が下りるのに時間がかかります。〉
IS学園の生徒はその光景を固唾を呑んで見守った。
「政府もこういう状況なら手続きなんて踏まずに助けるべきではないのか!」
「無理よ。後から不備があったからじゃ責任は取れないわ。」
激怒する箒を鈴がなだめる。
その時であった。報道機関が衝撃の映像を捉えた。
(このまま飛んだとしてもいいがもしもの時のためにこれを。)
一夏は壁を走りながらバレルから貰った紅いマフラーを首に巻く。子供の服が破れ地面に真っ逆さまに落ちて行く瞬間一夏は壁を蹴り、宙を舞う。一夏はマフラーを展開し子供に向け飛ばす。マフラーが子供を包むと一夏はマフラーを伝い子供も下まで一気に飛び、マフラーに包まれた子供を抱きかかえると徐々に落下速度を落としてゆく。
このとき一夏は急に止まらなかった。急に止まれば子供に多大な負荷がかかり、子供に多大な負荷が掛かってしまうと考えたからである。一夏は徐々に速度を落としながら地上に着地する。静けさだけがその場を支配する中一夏はマフラーを解き子供を見る。
「大丈夫か?」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
「ああ、俺はお兄ちゃんだからな。」
その瞬間歓声が湧いた。しばらくして子供の母親が来て一夏は子供を母親に渡す。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、それよりマンションの人にチャンと言ったほうがいいですよ。こんな事が繰り返されないために。」
「はい!」
「お兄ちゃん!」
「ん?」
「本当にありがとう。」
一夏はその言葉を聞くと心から喜んでこう言った。
「どういたしまして。」
そして一夏はそこから空へ飛び、光学迷彩で姿を消した。
(あ~、ホントどーしよ。)
IS学園では先程の映像で盛り上がっていた。
「今の人って男!」
「どうやって飛んだんだろう?」
「IS?」
「それだったら部分展開でもしてないといけないよ。」
生徒が騒めく中、山田先生だけは口をパクパクさせていた。箒が山田先生に声をかける。
「どうかしたのですか、山田先生?」
「い、今の人です!今の人が私を助けてくれた人です!」
『ええぇ―――――――――――――!!!!!!』
更に驚く生徒達。
「今の人が山田先生を!」
「かっこいい~。」
「髪ほんとに長かったねー。」
生徒たちが関心する中箒達は違った。
(今の声、どこかで聞いたような・・・・・)
(あんな救助する人なんて聞いた事が無いわ。)
(あのお方、手馴れた手付きで速度を落としていましたわ。)
(相当技術がある。)
(あの身のこなし、出来る。)
夜になり一夏は人気の無い橋の下にいた。
「あ~、どーしよホント。」
今回の事で一夏は下手にネットカフェ等に行けなくなってしまった。
(他になんか手段は無いのか?なんかこう・・・・ハンターを助けるアイテムとか。・・・・・ん?なんかそんなのあった気がするけど・・・・・・あっ!)
一夏は武器が収められているブレスレッドの中からハンターボールを出す。
「こいつの事すっかり忘れてた。頼めるか?」
ハンターボールは身体を動かし頷いた。
「じゃあ今必要な日本の地理とIS学園の場所をっと。」
一夏はハンターボールを使い情報を引き出した。