「最近、多くないかしら?」
博麗神社の境内で、霊夢がむすっとした顔をしながら腕を組んで私を呼び止めた。
「そうか? ようやく春が来たからかな、みんな楽しんでるし」
「それにしたって限度があるじゃない。準備で出掛けるのも早いし、たまにはゆっくりしなさいよ」
「そうは言ってもなぁ」
神社での宴会は、春になってからほぼ毎日のように行われている。
思い思いに集まって、気がつけば知らないやつまで勝手に混じって大宴会だ。
集まって騒ぐ毎日が楽しく、どんどん人妖が集まってくる。
おかげで境内のそこここに、まだ宴会の跡が残っているし、光の妖精なんかがその辺に酒瓶抱えて転がってる。
少し前に起きてきた紫も参加するようになって、ますます人数が増えたのだ。
「みんな楽しみにしてるし、霊夢だって楽しそうじゃないか。そりゃ毎日のように神社で騒いでるのは迷惑かもしれないけど、美味しいもの食べれるしさ」
「それにしたって頻度が多すぎると思うのよ」
「そうかぁ?」
思い返す。まあ確かに、ほぼ毎日だもんなぁ。
「わかったわかった。じゃあ明日は休むからさ、今日はもうレミリアたちも呼んでるし、この後人間の里にお酒取りに行くんだから楽しもうぜ」
全然納得してる風じゃなかったが、むぅっと眉根を寄せたまま霊夢は頷く。
私は苦笑し、箒に跨って地を蹴り飛ぶ。
「よーし、それじゃ楽しみに待ってろよ! 酒瓶もらってきたらすぐ戻ってきて片付け手伝うからさ!」
言いながら、帽子を片手で抑えてスピードを出して人間の里へ向かう。
早めに取りに行って、境内の掃き掃除でも手伝ってやろう。
*
「なんだか変な気配がずっと漂ってるのよねぇ。人妖を集めてる? 異変、なのかしら?」
*
「今日も博麗神社ですよね」
「もちろん! 妖夢も幽々子連れて来てくれよな!」
人里で馴染みの半人半霊が、酒屋で醤油を買っていたので声をかけて霊夢に心の中で謝りながら、少しだけ寄り道。
酒屋でそのままお茶を一杯いただき、通り沿いのベンチに座って話している。
酒屋のおじさんに悪いので茶屋に行こうとしたが「綺麗どころが表にいると人の入りがいいから」と調子の良い事を言って。お茶を出してくれたので遠慮なく居座っている。
「昨日も一昨日もやってませんでした?」
「うーん確かに。霊夢にも言われたから今日で一旦お休みかもなぁ」
やれやれ、と肩を竦めてからお茶を一口啜る。
いつも飲む薄いお茶と違って酒屋は儲かっているのか、濃くて少し苦い。
うぇーっ! と舌のひりひりを空気に晒して誤魔化していると、妖夢にくすくすと笑われた。
「苦い茶には甘いものが欲しくなりますよね。今日は大福を作って来たんです、良かったら食べてみて下さい」
「おお、気がきくなぁ!」
鞄から取り出した蓋付きの漆器には、少し小ぶりの大福が4個。
見た目にも綺麗に真っ白なそれは、小さめなのが食べやすそうで嬉しい。
こういう気遣いができる庭師を持ってる幽々子は幸せ者だよなぁ、羨ましい。
一つもらって齧り付く。程よい甘味の粒餡と、やわふわの求肥が口に楽しく絶品の大福だった。
「お、おいしすぎる……!」
お店レベルだぜ……! いや、普通の茶屋よりも断然美味い!
以前食べた団子屋の味に感動したらしい。元々白玉楼で料理を作っていた妖夢に火がついて、和菓子作りブームがきているらしい。
幽々子から自慢げに聞かされていて、一度食べたいと思っていた。それがこんなにすぐ頂けると思ってなかった!
「お口に合って良かった」
「こんなの全人類が好きだぜ」
「大袈裟すぎるなぁ」
くすくすと楽しげに笑う妖夢が、もうひとつ食べてください、と勧めるままにもう一つ頂く。うまー!
甘いものは大好きだ。
紅魔館で頂くケーキは咲夜が作ってくれるもので、甘い匂いに可愛い見た目のケーキもお店レベルを超えている。
和菓子の妖夢、洋菓子の咲夜。
ジャンル違いで至高の2人。
これはぜひ一度お互いの反応を見てみたいぜ……!
私が普段食べてる砂糖を煮ただけの飴とは全然違う。
「神社でのお花見宴会も良いですが、ぜひ白玉楼にも遊びに来てください。幽々子様も喜びます」
「ああ、またお邪魔したいよ。宴会には幽々子と紫は絶対来るんだろうな」
神社の桜も見事だが、白玉楼も凄いからな。
桜はあっという間に散るから、今楽しまないと損だ。
そうなると、やっぱり宴会ももっと沢山開けば良い気がしてくる。
「先日から紫様が起きていらっしゃいましたので、今日も二人でお昼を召し上がっていました」
「へえ、仲良いなあ」
何もない日にも集まって一緒にご飯なんて相当仲がいいんだなぁ。
「あれ、妖夢は大福食べないのか?」
4個あったうちの2個を食べ終わっても、妖夢はニコニコしながら差し出すだけで食べない。
一緒に食べるものだと思っていたのに。
「これは魔理沙さんに作って来たものですから」
「え、そうなのか。私が人間の里に行くなんてどこで知ったんだ?」
「紫様から伺ったのですが、てっきり事前にお話ししてるのかと」
「言ってたかなぁ」
まああの隙間妖怪に「どこで」なんて、言っても仕方ないことか。
「ほとんど食べちゃったけど、一緒に食べようぜ」
「え、ですが……」
「ほら、いっこずつ!」
片っぽを取ってあーん、と差し出す。
素直に口を開いてくれたので、一口分放り込む。
「……っ!」
もぐもぐしながらすこし頬を染めて、ゆっくり味わってる。
一緒に食べたら美味しさも倍々だな。
「私も頂くぜー!」
妖夢に食べさせてから、最後のいっこをもらう。
せっかくの好意だからありがたく多めに頂きつつ、ゆっくりと午後を過ごす。
すぐ戻るって霊夢には言っていたけど、ちょっと遅くなっちゃうな。
心の中だけで謝ってそのまま妖夢とゆっくりとお茶を楽しんだ。
*
「紫も、あの博麗の巫女も。この只人のなにが気に入ってるんだろうねぇ。私はどちらかというと、巫女の方が好みだがなぁ。あいつは強い。強いやつは好きだ」
*
「霊夢ー!もどったぞー!」
神社に戻ると霊夢の姿はなかった。
珍しい。どこかに出掛けてるのだろうか。
勝手知ったるなんとやらで、縁側から居室に入るとちゃぶ台に書き置きが置いてある。
『すぐ戻るから境内でも掃除してて。 霊夢』
達筆なのに細い可愛らしい字で、霊夢らしい簡潔な内容だ。
そのまま土間に酒瓶を置いて、まだツマミの準備は早いかなと思いつつ言われた通りに境内を掃除しようと、玄関先に置いてある掃除用の箒を手に取ってプラプラと鳥居の方に歩いて向かった。
昼過ぎにはまだ呑んだくれてる妖精や妖怪がちらほらいたけど、すっかり人気が無く、周囲に声はない。木々が風に揺れる音だけで静かだ。
人の声がしない博麗神社は、荘厳な雰囲気があってすこし怖い。
鳥居を見上げる。そこに、見覚えのないシルエットがあった。
鳥居の上で堂々と座り込み、背を向けて向こうを見ながらなにか飲んでいる。
まだ妖精が残っていたのだろうか。
「誰かいるのか?」
特徴的なのは顔の横にある大きな角。しかし妖精のように小さな身体。
瓢箪に口をつけて何かをグビグビ音を立てて呑んでいる姿は、やっぱり呑んだくれの妖精にしか見えなかった。
「おーい、宴会に参加するならお前も手伝ってくれよー!」
「ん、私かい?」
声をかけたそいつが振り返る。
あれ。
そこで見覚えはないが、この妖怪の正体にようやく気づく。
小さな百鬼夜行、幻想郷の忘れられた鬼。
伊吹萃香がそこにいた。
「私になにを手伝わせようって?」
声は見上げた先ではなく、真横から聞こえた。
飛び上がって横を見るといつの間にかそこに萃香がいて、こちらを見ながらケタケタ笑っている。
「おいおい、肝の小さな人間だなぁ! あんまりビビってると喰っちまうぞ!」
「だ、誰がビビってるってんだ!」
思わず言い返しながら箒を突き出す。
萃香って、いつから登場してたんだっけ。
あんまり覚えてない。たしか神社を建て直したりしているのは覚えてるんだけど。
「境内の掃除? そんなのすぐさ。ほら、終わった」
風が吹くと散った花びらが舞い集まり、すべて萃香の足元に集まり円になる。
そのまま球体のように固まると、ころころとこちらに転がって箒の先にぶつかって止まった。
「終わったんだよ。めちゃめちゃ便利だなぁ」
「次はこっちの願いも聞いてもらおうか」
瓢箪から口を離し、ぐいっと口を拭いながら萃香が言う。
「私は伊吹 萃香。あんたは霧雨 魔理沙だね」
「ああ、私も有名になったもんだな」
「そうさ、力を持たずに名前ばかりが聞こえる。今日の宴会も楽しみにしてるよ」
「宴会の妖怪なのか? そういえば最近宴会が多いのって……」
とぼけたふりして、鬼だなんて気が付いていないように振る舞う。
申し訳ないが、いまこの時になっても萃香がどこから出始めていたのかなんて思い出せない。
それに、どうにも目の前のこいつから弾幕ごっこをするイメージがわかない。
軽そうに見えるが手足に鉄球を括りつけられながら、なんの不自由もなく手足を動かす様。
いつの間にか鳥居から移動した瞬間も見えなかった。
それに今回も、宴会が多いだけで異変とも思えなかった。
もしかして、また何か『東方』との差が生まれているのだろうか。
冷や汗を搔きながら、しかしそれと悟られないように平気なふりをして続ける。
「今更過ぎるな、勘も悪い。あんたを幹事にしてるのも私、みんなを
ばっさりと勘が悪いと切り捨てられる。
ちょっとショックだが事実なので、文句を言おうとした口が閉じた。
そして萃香のその能力に思い至る。
『密と疎を操る程度の能力』。
霧のように小さく体を疎にもできるし、宴会を盛り上げるために密に巨大化もできる能力だ。
その正体と名称に思い至っても、いまいち、いや全然内容を理解できていないんだけど。
「……その前にお前を倒さないといけないようだな」
そして如何に察しの悪い私でも気が付く。
今、私は勝負を挑まれている。
幻想郷から姿を消した、といわれている鬼に。
強大な力を疎まれて、人間にも妖怪にも、受け入れられなかった存在に。
「理想は毎晩百鬼夜行。幻想郷の夜は我々鬼の為の夜になるの。賑やかで素敵よ」
「鬼なんて、幻想郷にいるわけないだろ。そういう約束だったじゃないか」
遠い昔、まだ人間の里にいた頃に聞いたことがある話。
幻想郷からも姿を消した鬼たちの話。
幻想郷の約束、地獄に消えて地上には姿を現さないという盟約。
くすくすと、こちらの怯えを見透かしているように萃香が静かに笑った。
「鬼が居ないと思うのだったら見せてやるよ。鬼の萃まる宴会という物を!」
あくまでもその姿は、にっこりと笑顔で毒のないような見た目だった。
言いながら拳を握り、それを無造作にこちらに突き出す。
それだけで風が殺到し、慌てて帽子を押さえながら箒を握って後ろに飛ぶ。
手元には飛ぶためではない、掃除用の箒。
腰のポーチから八卦炉を取り出して構えるが、飛びあがりは出来ずに地面でそのまま対峙する。
すぐに箒で飛ぶと思っていたのか、飛ぶのを待つように少し浮き上がりながら萃香は両手に妖力を集めて弾幕を作り始めた。
「……ちょっとまって!」
「人間を相手にした鬼に、ちょっと待ったが通じると?」
言いながらも弾幕は放たずに、義理堅く待ってくれる萃香に感謝しながら手元の箒を指し示す。
「これ私の箒じゃないんだよ! 私は箒がないと飛べないんだ、ちょっと取りに行くから待っててくれ!」
「……ほう、つまらない嘘か?」
その目つきが厳しくなり、不信感が顔中いっぱいに広がっている。
「う、嘘じゃないって……!」
「どうだか。いくつもの異変を解決していると、博麗の巫女に並ぶ立役者だと。そんな人間が、そんなつまらない嘘を吐くなんて」
「う、うそじゃないのに……」
真剣に、馬鹿にされていないのに。真実の言葉がぐさぐさと心に突き刺さる。
未熟な魔法使いですまないんだぜ。
「本体の私が相手している巫女なんかはとんでもない強さだが、お前はなんと情けないな」
「言葉も返せないぜ……」
悲しい。
というかこいつ分身なのか。
「今更そんな人間の嘘には騙されまいよ。飛べないというならそのまま朽ちろ」
振り下ろされる腕には大きな魔力玉。
とっさに背を向けて必死に逃げるが、その背に大きな威圧感が。
あわわ、だめだ! せめて痛みを!
前に飛びこみながら、体を丸めようと身を固くする。
しかしそれは、柔らかな体に抱き留められる。結局痛みは訪れなかった。
……なにが起こったんだ?
なにかを抱きしめている格好になっているし、なにかに抱き留められた。
恐る恐る目を開くと、まず目に入ったのはひらひらと飛ぶ桃色の蝶。
思いっきり抱きしめる格好となったそれに目を移すと、水色の和服にふわふわの白いフリル。
顔を離して見上げると、困ったように笑顔を浮かべる幽々子と目が合った。
「……あれ?」
「よかったわ、紫ったらちょうどいい場面と場所に呼んでくれて」
情熱的ね。なんて冗談っぽく、すこし恥ずかしそうな幽々子だった。
「……なんでここに幽々子が?」
呆然としてしまった。
亡霊の幽々子に触れたことと、発育の良い豊満に抱きしめられている状況に、すっかり頭が混乱してしまっている。
「もうすこし遊べると思ったんだけどなぁ。あんたみたいに変な亡霊が出てくるなんて……」
「あらやだ。香りもへったくれもなさそうな小鬼が正体だったなんて」
「失礼ね、私を小鬼扱いか。なかなかの勇気の持ち主ね。それとも、勇気じゃなくて幽気?」
「私にとってはどちらでも。そうね、親友がつくってくれた舞台だもの。一度派手に遊んでみようかしら」
頭上でふたりがやりとりをしている最中、ようやく恥ずかしさがじわじわと足の先から頭のてっぺんまで上ってきた。
戦う手段がないからって背中向けて逃げるなんて情けないし、きっと『魔理沙』っぽくない。
そろりと体を離そうとすると、ぎゅっと抱き留められた。
「魔理沙、だめよ離れちゃ」
「で、でも……」
幽々子を見ると、その目は決して萃香から目を離していなかった。
その様子から、真剣な様子を察してそっともう一回抱きしめる。
守ってくれようとしているんだ。
それに、今は離れたら死んでしまうと思われている。
あまりにも真剣だったので、思いを汲んで離れないようにする。
顔は見えなくなったが、くすくすと楽し気な笑い声。
「滑稽な姿だな、魔理沙! 所詮はそんな程度の人間なんだな」
「なにおう!」
「あら、それは違うわよ」
言い返すために体を離そうとすると、幽々子が離さないようにぎゅっと抱く力を強くする。同時に萃香の言葉を否定した。
「あなたたちの戦いに水を差すつもりはないわ」
言って、私を抱きかかえるようにして宙に浮かぶ。
あわてて思いっきり幽々子にしがみついて、落ちないようにする。
「あくまでも、私は『魔理沙の箒』代わり。あなたたちの戦いは、弾幕ごっこの邪魔はしないわ」
その顔は見えないが、楽し気に幽々子は続ける。
「弾幕ごっこは人間が妖怪に挑むため、妖怪が本気で人間と遊ぶため、バランスをとるためのお遊びよ。道具を使っても文句はないわよね」
「……もしかして、本気で箒がないと空を飛べないのか?」
抱きしめていた私を持ち直して、横抱きにしながら幽々子が萃香に言っていると、ようやくふたりの表情が見えるようになった。
幽々子は楽し気に、萃香は困惑を顔いっぱいに広げている。
「嘘じゃない……のか?」
すこしその事実をかみ砕いてからなのか、少ししてぷーっと噴き出して萃香が笑う。
「わ、笑うなよ……」
「あははは! 正直な人間だな、顔が赤いぞ! あはははは、お前、そんな成りでどうやって生きてこれたんだよ!」
結局言い返せないので、帽子を深くかぶり直して顔を隠す。
そんなに笑う事ないと思うけどね。
普通の人間は空なんて飛べるわけないんだぜ。箒を使って飛べるだけすごいことなんだぜ。
「ああ、いいだろう亡霊、お前は箒の代わりになって飛べよ! さっきより俄然興味が湧いたぞ魔理沙!」
げらげらと楽しそうに、手に持った瓢箪からがばがばと何か飲みながら萃香。
「興味の方向は霊夢とは違うが、色々な面も人間らしいといえるか!」
「たのしんでいただけたようでなによりだぜ……」
もうすっかり疲れてしまった。
怒ったり笑ったり、鬼の相手は疲れるぜ。
「思い返せばそうか! 嘘と策で戦う人間じゃないのか。必死になって足掻いている様子が面白いんだな、お前というやつは!」
相変わらずげらげら笑っているのですこし心配になる。
「ちょっと、弾幕ごっこはやるの? やらないの?」
幽々子が頬を膨らませながら、可愛らしく萃香に抗議する。
「ああ、やろうやろう! もうすぐ本体と霊夢が来てしまう! さっさとやろう、すぐにやろう!」
「そう、それじゃあ魔理沙は私にしっかり掴まっててね」
「……よーし! 弾幕ごっこなら負けないぜ!」
もうやけくそになって大声で言いながら八卦炉を構え、幽々子に飛んでもらいながら萃香との弾幕ごっこは始まった。
途中飛んで来た陰陽球に萃香が潰されるまで、それは続いた。
*
「改めて、さっきはありがとうな」
「どういたしまして、よ」
宴会の最中、桜の木の下で涼んでいる幽々子に、改めてお礼を言いに行く。
まだ始まって早々のそれは、紫が改めて霊夢に萃香を紹介して始まった。結局はまた、多くの人妖を集めていつもの様子になっていく。
紫の隙間を通じて助けに来てくれたという、幽々子には危ないところを助けてもらった。
紫がどうして隙間を繋げてくれたのかとか、なんで助けに来てくれたのか、とか。
どんな意図があったのかは知らないが、自分を道具だと言い張ってまで助けてくれた幽々子に感謝しているのだ。
「ねえ、魔理沙。妖夢から聞いたのだけど人間の里で、あの子と2人でお出かけしているの?」
途中、深刻な様子で幽々子が切り出してきたので何かと身構えたら、そんなことを聞かれた。
「え? ああ、たまに会ってお茶屋さんに行ったり……」
「羨ましいわ、私も行きたいわ~!」
ぷうっと頬を膨らませながら可愛らしく駄々っ子のようになる。
さっきまで、あんなに頼りになる姿を見せて。
そんな可愛らしいお願いのされ方をしたら、もちろん断れるわけがない。
「私が案内してあげるよ! 今回のお礼に、おいしいお茶菓子のお店に連れていくぜ!」
力強く胸を叩く。もちろん今回のお礼もあるけど、滅多に人間の里に来れないだろう幽々子に、精一杯楽しんで貰いたくて提案する。
「うふふ、ぜひお願いしようかしら! その時は、妖夢には内緒ね♪」
悪戯っぽく笑う幽々子にどぎまぎしながら、後日を約束するのだった。
でも、妖夢に内緒にすることなんて、できるのだろうか。
妖々夢編+萃夢想 完結!
そういえば書いてませんでしたが、だぜ娘は本編星蓮船までで一応完結予定です。
ようやく起承転結の「起」が終わったところですね。
完結といっても東方Projectのコンテンツはずっと続いているので、普通に続ける可能性は全然あります。
某所掲載時に考えていた終わりの部分があるので、そこまでで一応の完結、というイメージです。