だぜ娘奮闘記!   作:元掃除道具

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その1 vs霊夢

とりあえず、箒を霧の湖に向けた。

紅魔郷本編では、たしか最初はルーミアと戦うんだっけ。

ルーミア……ゲームではあそこで初対面なんだけど、人里の近くにも出て来るから普通に面識あるんだよなあ。

本編では霧の湖にも行った事ないんだっけ?

私、紅魔館に入ってないけど、普通に門まで行ったことあるぜ。

うーんと、美鈴と咲夜とも一応面識あるし。

……まだ誤差の範囲内だよね?

そんなに原作から離れてないよね?

 

「あら、魔理沙じゃない」

 

「あれ? 霊夢?」

 

霧の湖へ行く道中、霊夢とばったり出会った。

 

「異変だぜ!」

 

「見ればわかるわ。まさか、あんた異変解決に向かってるの?」

 

「もちろん! 霊夢もそうだろ?」

 

「異変解決は巫女の役目よ。あんたは家で震えてなさい。弱いんだから」

 

「なにおう! 私だって努力はしてるんだぜ?」

 

「……知ってるわよ。でもあんたは来ちゃダメ」

 

「えー! 横暴だぜ」

 

「いいから! あんまり言う事聞かないんだったら……!」

 

「へへっ! いつまでも弱いままの私と思うなよ!」

 

揉め事はスペルカード決闘法で。

まだ幻想郷全体に浸透してないけど、私と霊夢は小さい頃からやってきた。

まあ、一度も勝ったことはないんだけど。

空中に対峙して距離をとる。

同時に右手を動かし、それぞれのスペルカードを構えた。

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

本家の威力には程遠いだろうが、私の魔力でも作り出せた『魔理沙』のスペル。

私の周囲に魔力が満ち、小さな星型の弾幕が無数に取り巻き四散される。

普通の妖怪なら、このスペル一枚で撃退できる。と思う。多分。

でも霊夢は難なく私の弾幕の隙間を低速で掻い潜り、まっすぐこっちに向かって飛んできた。

 

「霊符『夢想封印』!」

 

掲げられたスペルカードから、色とりどりの弾幕が生み出されていく。

一瞬、狙いを済ますように霊夢の周りをぐるりとまわってから、一気に私に殺到してきた。

 

「いつまでも同じスペルで私に勝てると思うなよ!」

 

箒を握り直し、殺到する前方の弾幕をキッと睨みつける。

 

 

「……ん?」

 

目が覚めた。

 

「……あ、負けちゃったのか」

 

また私の負け、みたいだ。

霊夢はホント、鬼のように強い巫女だ。いや、原作だと鬼以上に強いのか。

私が弱いのもあるけれど、まったく。

辺りをざっと確認すると、私は適当な大きさの木の根元に放置されていたみたいだ。

まだ紅霧が晴れていないことから、異変解決に間に合うと思って安堵した。

 

「あーあ。…霊夢は心配性だな」

 

倒れていた私の上に浮かぶ紅白の陰陽玉を見てつぶやく。

これ、博麗の秘宝じゃないっけ?

意識のない私のお守りとはいえ、異変の最中に秘宝を置いて行くなよ。

 

「って、これ置いて行くのはまずいんじゃないか?」

 

あの霊夢が負ける姿を想像もできないけど、それでも自分の武装の一つがないと苦戦するだろう。

急いで起き上がり、宙に浮く紅白の陰陽玉を手に取る。

私が手に取ると陰陽玉は力を失ってずっしりと重くなった。

急いだ方がいいだろうか。まだ遠くに行ってなければいいんだけど。

 

「あなたは食べても良い人類?」

 

と、後ろから声を掛けられた。

 

「なんだ、ルーミアじゃないか」

 

「あれ、マリサ? こんな所で何してるの?」

 

振り向くと、両手を横に広げたいつもの奇妙なポーズで宙に浮かぶルーミアが。

あの封印のお札を取ると、EX化すると噂の……。

よかった。普通にお札のリボンは付いてる。

 

「ちょっとこの、紅霧の異変を解決しに行くところだぜ。なあ、博麗の巫女を見なかったか?」

 

「巫女?」

 

「すっごい強い人間」

 

「あー。さっき私のこと弾幕ごっこでボコボコにした人間?」

 

「たぶんそうだ。どっちに行ったか知らないか?」

 

「うーん。霧の湖の方だから、多分あっち」

 

「あっちか。ありがとなルーミア」

 

なにかお礼できるものはないかとポケットに手を突っ込むと、自作の飴玉が数個でてきた。

砂糖水を煮詰めて丸めた簡単なものなのだが、頭を使う時などに重宝している。

 

「お礼だ。とっておけ」

 

「わー。ありがとー」

 

ルーミアに一個渡し、自分も一つ口に入れる。

ルーミアは口に含んだ途端にガリゴリ齧って食べていた。

 

「じゃあまたな!」

 

トレードマークの魔女帽子をかぶり、箒に乗って飛び立つ。

 

「ちょっと待って」

 

「ん、どうした? まだ飴欲しいのか?」

 

浮かび上がったところでルーミアに袖をひかれた。

 

「私も一緒に行っていい?」

 

ニコニコと純真そうな笑顔。

この顔だけ見ると、とてもこいつが人食いの妖怪だとは思えないな。

 

「異変の最中は妖精が騒いでいるから危ないぜ?」

 

「そーなのかー?」

 

「怪我するかもしれない」

 

しかしルーミアは袖を離そうとしなかった。

 

「マリサも危ないよ?」

 

「私はお前よりも強いからいいんだよ」

 

「聞き捨てならないなー」

 

ルーミアは笑顔だけど、ちょっと引き攣っているように見えた。

 

「まあ、付いてくるのは構わないぜ。帰りたくなったら勝手に帰れよ」

 

「うん!」

 

能天気そうな笑顔でにこーっとルーミアは笑った。

同行を拒否する理由もないので、好きにさせる。

ん? また原作と違う形になってないか?

 

「どうかしたー?」

 

……まあいいか。

 

「なんでもない。さ、行くぜ!」

 

「おー!」

 

 




短すぎて投稿できなかったので閑話をこちらに↓

閑話2 ツンデ霊夢


Side 博麗霊夢

魔理沙と出会ったのは、まだ私も魔理沙も小さかった頃。
参拝に来ていた魔理沙は、私が一人で神社に暮らしているのを知ると、母親と一緒に神社に通うようになった。
危ないと言っても止めないので、とびっきり強力な護符を押しつけた。

魔理沙の母親が死んだあと、もう魔理沙は来ないのだと思った。少し寂しくなった。
しばらくすると箒に跨り空を飛んで、神社に来るようになった。魔法使いみたいな格好をして、魔法を勉強し始めたと言う。

「これで霊夢と一緒に飛べるぜ!」

と阿呆みたいに喜んでいた。
弾幕を作れるようになったようで、よく弾幕ごっこで遊ぶようになった。魔理沙は弱い。
正直、センスがない。本人に言ったら泣くから言わないけど。

家出をしたなら、ウチに来ればいいのに、魔法の森で一人暮らしを始めた。
よく妖怪の知り合いを作って、そいつらの手伝いをしている。
魔理沙は馬鹿だ。馬鹿だけど、優しい。
弾幕ごっこも強くないし、意外と怖がりだ。
だけど、どんな妖怪にも友好的に接し、気づけば仲良くなっている。

「霊夢の方がすごいぜ」

「そうかしら?」

魔理沙は意外とすごい奴だけど、本人は自覚していない。
なんにでも一生懸命で、見ていて面白いと思う。
霧雨魔理沙は私の友人だ。

* * *
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