蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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第97話:慈と瑠璃乃

 姫芽を悲しませてしまい、瑠璃乃は1人部屋で落ち込んでいた。

 

瑠璃乃「……………」

 

 すると、

 

慈「入るよ、るりちゃん」

 

 慈が部屋に入って来た。

 

瑠璃乃「あ、めぐちゃん。ひめっちは……?」

 

慈「うん、追いかけてって、ちょっと話をしたよ」

 

瑠璃乃「そ、そっか…………ごめんね、ルリ、頭が真っ白になっちゃって………」

 

慈「……………」

 

瑠璃乃「………ルリ、サッカー教室が楽しみだったの、ほんとなんだ。ひめっちがあんなに嬉しそうに毎日はしゃいでて、力になってあげたいって思ったんだよ。……だからって、ちょっとやりすぎちゃったのかな。あんなに気にするなんて……。悪いことしちゃった………よね」

 

慈「……そこじゃないと思うな」

 

瑠璃乃「え?」

 

慈「もとはと言えば、私が補習から逃げきれなかったから、ふたりに負担かけちゃってたわけだし………。偉そうなことは言えないけど……でも、言わせてもらうね。るりちゃんが姫芽ちゃんの夢を後押ししたいって思ったのは、それ自体は悪いことじゃないよ。先輩として、立派な行動だよ? けどさ、自分のやりたいことをほったらかして手伝うのは、違うんじゃない? 《サッカーで皆を夢中にする》が、"みらくらぱーく!"でしょ? 自分を犠牲にするのは違うと思うな」

 

瑠璃乃「……あ」

 

慈「自分を二の次にして、裏からあれこれ手を回したり、姫芽ちゃんがうまくいくように根回ししてあげて………それって、相手をトクベツ扱いしちゃってるってことだよね。それで思ったんだ。るりちゃんは、姫芽ちゃんを心のどこかで、まだ「可愛い後輩」って思ってるのかな? って。……私は、このメンバーでこれからもやっていきたい。お互いに遠慮なく、言いたいことはなんでも言い合って、いちばんの優勝を目指したい。お互いの本気をぶつけ合ってこそ、いいプレーができると信じてるから」

 

慈「…………ただ、るりちゃんがどうしたいかは、るりちゃんが考えることだと思うから。とりあえずきょうは、お疲れさま。ゆっくり休んでね」

 

 そして、慈は部屋に戻っていった。

 

瑠璃乃「ルリ………ルリは……ミジンコだ………」

 

 そのあと、瑠璃乃は"ぼっちハウス"に引き籠もっていた。

 

瑠璃乃「……まっくら。ふふっ……ルリにお似合い………はぁ。" 可愛い後輩"と思ってる……"仲間"だと思ってない…か。もう2か月も一緒にいたのに……ルリ」

 

 すると、部屋の扉が誰かにノックされて誰か入って来た。

 

姫芽「あの………るりちゃんせんぱい…………」

 

瑠璃乃「あ」

 

姫芽「すみません。おやすみのところ」

 

瑠璃乃「…………ううん」

 

姫芽「……………めぐちゃんせんぱいから、さっきまた謝ってもらいました。その上で、いろいろと、聞きました」

 

姫芽「せんぱいは優しいから、アタシのためにいろいろとがんばってくれたんですよね。アタシが失敗しないように………」

 

瑠璃乃「……………」

 

姫芽「アタシがもっとめぐちゃんせんぱいみたいに、なんでもできたら、せんぱいも言いたいこと言えたのかな。って………えへへ………そんなこと、ムリですけど………撫子祭。アタシだけやりたいことやるなんて 申し訳なさすぎるんですけど……でも。ここでやめちゃったら、それこそるりちゃんせんぱいがしてくれたことの意味が、なくなっちゃいますから」

 

姫芽「サッカー教室は開きます。アタシの夢を手伝ってくれて、本当に、ありがとうございました」

 

瑠璃乃「あっ、待って、ひめっち――」

 

姫芽「つ――。ごめんなさい、失礼します!」

 

 そして、姫芽は走って出ていってしまった。

 

瑠璃乃「………う。……………手伝ってくれて、か。ルリは、ひめっちと、どんな風に………なりたかったんだろ………」

 

 瑠璃乃は、引っ越す前の……と慈と一緒に遊んでいた頃の小学生時代を思い出した。

 

瑠璃乃『へーきへーき! あとはルリがやっとくから! 遊びに行ってきていいよ!』

 

慈『ねえ、るりちゃん。いいの? さっきの』

 

瑠璃乃『え?うん、ぜんぜん。だってルリは、みんなが楽しいって思ってくれたら、楽しいから。それに……』

 

慈『それに?』

 

瑠璃乃『ルリには、トクベツなめぐちゃんがいるから――』

 

 そのまま、瑠璃乃は泣き疲れて寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瑠璃乃が目を覚ますと、

 

瑠璃乃「めぐ、ちゃん………?」

 

慈「もう。ダンボールの中で寝ないの。ベッドまで運ぶの、大変なんだよ。私は梢や綴理とは違うんだからね?」

 

瑠璃乃「…………どうして、ここに?」

 

慈「まあ、そりゃ……るりちゃん、明らかにすごくショック受けてたし……………」

 

瑠璃乃「気にしてくれたんだ。ありがと」

 

慈「るりちゃんのことなんて、24時間ずっと気にしてるっての。さっき1年生からも心配する内容のLINE来たよ? ルリちゃんのスマホにも来てるんじゃない?」

 

 瑠璃乃がスマホを確認すると、

 

瑠璃乃「あ、ホントだ………」

 

慈「………あのね、るりちゃん。いいよ、私は」

 

瑠璃乃「え?」

 

慈「るりちゃんが、そのままでも。私だけがるりちゃんの隣にいて、他の子をトクベツ扱いしてさ。今までと、なんにも変わらなくても」

 

瑠璃乃「でも」

 

慈「いいんだよ。だって『みらくらぱーく!』になる前から、私とるりちゃんは幼馴染だったんだから」

 

慈「もしるりちゃんが、私だけがいいって言うなら。私は、ずっと、ずぅっと、るりちゃんのそばにいるよ」

 

慈「るりちゃんは、どう? ……………るりちゃんは、どうしたい?」

 

瑠璃乃「ルリは……。チームメイトが増えるのがっていうのじゃなくて、"めぐちゃんと2人の関係"に人が増えるってなったとき、ルリは、ちょっとやだった」

 

慈「うん」

 

瑠璃乃「だって、ルリとめぐちゃんなら最強なのに、他に人が加わったら、最強じゃなくなっちゃうから。今までずっと2人だったのに。3人なんてムリだって、正直思ってた」

 

瑠璃乃「不安だったけど……言えなかった。だって、ちゃんとチームでがんばるって決めたから。前に進むめぐちゃんに、置いてかれたくなくて」

 

瑠璃乃「でもね。話してみたらひめっちは、がんばり屋で、かわいくて、一生懸命で、すぐ大好きになれた。思い出したんだ。自分がサッカーに憧れたときのこと。やってみたい、って思った。最初から諦めてたら、ルリはたくさんの楽しさを知らないままだった」

 

瑠璃乃「前に進むって、こういうことだよね。不安で、怖くて……でもきっと、もっと楽しいことが待ってるから。いろんなことを話して、もっと深いところまでお互いを知って。そして、もっともっと遠くまで一緒に、夢の先まで、走っていきたい」

 

瑠璃乃「だから……ごめん、めぐちゃん。これから先、めぐちゃんだけがルリのトクベツじゃ、なくなっちゃうかもしれないけど………」

 

 瑠璃乃がそう言うと、慈は瑠璃乃の背中を『よしよし』と擦る。

 

慈「なぁに言ってんの。大好きな幼馴染が、勇気を出して前に進もうとしてるのを、応援できない幼馴染がいますかっての」

 

瑠璃乃「めぐちゃん…………」

 

慈「それにね。トクベツは増えても、また別のトクベツ。そうやって、大切がいっぱい生まれていくの。るりちゃんにとってはもう、花帆ちゃんだって、さやかちゃんだって、来夏ちゃんだって、桜咲だって、また別のトクベツでしょ?」

 

瑠璃乃「っ! うんっ。めぐちゃんにとっての、梢先輩とか、綴理先輩みたいに!」

 

慈「んっ! まあ、今あいつらの話はしてないけどね!」

 

瑠璃乃「あははっ」

 

 このときには、もう瑠璃乃の顔には笑顔が戻っていた。

 

慈「でも、それじゃあどうしよっか。姫芽ちゃん、今回のことかなり引きずりそうだからなあ。せっかくるりちゃんが勇気出して正直に話そうとしても、恐れ多いって言って、逃げられちゃうんじゃないかなあ………」

 

瑠璃乃「……確かに、さっきも。ひめっちと、正面からぶつかるためには………あ!」

 

慈「え?」

 

瑠璃乃「わかったよ。めぐちゃん! ひめっちがぜったいに、逃げられないシチュエーション!」

 

慈「ほんと?」

 

瑠璃乃「うん! だからそのためには、めぐちゃんにも協力してほしくて」

 

慈「いいよいいよ、なんでも言ってみ。勉強以外なら、なんでもやっちゃるよ!」

 

瑠璃乃「だったら――。きょうからルリのサッカーの猛特訓!付き合って!」

 

 

― つづく ―




かなり今までと矛盾が出たかもしれん………

この中でお気に入りの章は?

  • 出会い〜練習試合(石川光晴館)
  • スプリング杯編(全3試合)
  • コラボ回(キャプテン翼サンシャイン)
  • オリジナル回(イタリア戦)
  • コラボ回(二つの世界のサッカー)
  • 日常回(原作ひめるり回〜proof回)
  • インターハイ編(予選〜全国大会決勝)
  • クロニクル編
  • プロ編(花帆vs瑠璃乃)
  • プロ編(慈vs小鈴)
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