蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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第98話:ゆえに、みらくらぱーく!あり!

 あれから2日間ルリがめぐちゃんに特訓相手をしてもらっていた。

 すると、吟子ちゃんや晴也くん、綴理先輩たちが聞きつけてみんな相手をしてくれた。おかげでルリは色んなタイプのディフェンスに対する対応力が上がり、ルリはいよいよ今日、姫芽ちゃんに対して作戦決行を決めた。

 

晴也「よし、ここまでできればたぶん大丈夫でしょう」

 

さやか「瑠璃乃さん!しっかり!」

 

吟子「姫芽のスピードには注意してください!」

 

瑠璃乃(ルリ、恵まれてるな…………)

 

 そして、絶対に勝つと決意していると、姫芽がやってきた。

 

瑠璃乃「よかった。サッカーの誘いなら来てくれると思った、ひめっち」

 

 練習着に着替えてサッカーモードになったひめっちが暗い顔で立っていた。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい……。なんですか〜、これ、『果たし状』、って」

 

瑠璃乃「その名の通りだよ。ルリね、ひめっちとサッカーで真剣勝負しに来たんだぜ」

 

姫芽「勝負、って………まさか、ほんとにやるんですか?」

 

瑠璃乃「うん、やる」

 

姫芽「いやですよ、アタシ………」

 

瑠璃乃「えっ? い、いやなの?」

 

 意外。サッカーだったらノリノリで乗ってくると思ったのに……。

 

姫芽「はい……………。だってアタシ、1対1で勝負を挑まれたら、手加減とかできませんもん! 勝負内容で有利不利はありますけど、るりちゃんせんぱいのことを容赦なくボコりに行っちゃいます!」

 

瑠璃乃「あ、ああ、そーゆーことか。ならいいよいいよ、ぜんぜんおっけー」

 

姫芽「よくないですよ〜!」

 

瑠璃乃「ていうかね、きょうはボコられにきたんだ」

 

姫芽「えっ?」

 

瑠璃乃「それに、ナメてると痛い目をみるのは姫芽ちゃんの方かもしれないぜ? ルリは先輩なんだからね! ――それじゃあ、内容はルリがオフェンスで姫芽ちゃんがディフェンスの一対一で抜くか抜かれるか。オフェンスはシュートを決めて勝ち。ディフェンスは止めたら勝ちね。スタート!」

 

姫芽「ちょ、ちょっと〜――」

 

 そしてサッカーの勝負を始める2人。俺達はそれを見守る。

 

 瑠璃乃先輩は得意のフェイントを仕掛けて姫芽を崩して抜きにかかるが、抜いたと思ってもすぐに姫芽のスピードに追いつかれてしまう。

 

瑠璃乃「くっ!」

 

姫芽「………………」

 

瑠璃乃「もう1戦!もう1戦!」

 

 だが、瑠璃乃先輩は止めようとしない。

 

 

 

 ―――そして、すぐに10戦が終わり、

 

 

 

姫芽「……………」

 

瑠璃乃「いやあ、手始めに10連敗とは。ぜんぜん手も足も出ないなあ。本気で今まで頑張ってきたんだね。姫芽ちゃん。スピードに負けないようにって、ルリもけっこう特訓してきたのになあ………」

 

姫芽「どうして、こんなこと………。ごめんなさい、るりちゃんせんぱい。でもあと何回やっても、アタシ全部追いついちゃいますよ………?」

 

瑠璃乃「そっかぁ。でも、とりあえずがんばるね。ほら、次の勝負始まるよ」

 

姫芽「〜〜っ! 楽しいんですか?これ…………」

 

瑠璃乃「いやあ、楽しくはないよね。姫芽ちゃんとも気不味いし、バッテリーの減りやばいし。おまけに、けっこう悔しいし」

 

姫芽「じゃあ、なんでやってるんですか……………!」

 

瑠璃乃「こうしなきゃいけない、って思ったから……かな」

 

姫芽「…………それは?」

 

 お互いにボールを蹴り合い、攻防を重ねる足を動かしながら、2人は話す。

 

瑠璃乃「姫芽ちゃん言ってたよね。サッカーにだけはウソつけない、って」

 

姫芽「……………はい。いくら相手がるりちゃんせんぱいでも、勝負なら手は抜けません。今もそうです。負けた方が気持ちは楽になるのかもしれませんけど……それでも、アタシ自身が本気でやるって決めたことですから」

 

瑠璃乃「そうだよね。うん、そうなんだ」

 

 瑠璃乃先輩はいったんボールを止める。それを見た姫芽も今は中断だと思い構えを解く。

 

瑠璃乃「ルリにとっての"みらくらぱーく!"も、おんなじだったんだよ」

 

姫芽「おんなじ………?」

 

瑠璃乃「ルリときどきね、めぐちゃんと意見がぶつかったりしてね。『こっちのほうが楽しい!』、『いや、こっちのほうがいいでしょ!』みたいな。お互い幼馴染で、遠慮なんてもうなんにもないから、ワーワー言い合っちゃってさ」

 

瑠璃乃「ケンカもときどきつらくて、苦しくて、めぐちゃんとケンカなんてしたくないなー、ってホントは思ってるんだけど……でもね、だからって気まずいから折れちゃうなんて、ナシ」

 

瑠璃乃「そんなことしたって、めぐちゃんは喜んでくれないし、応援してくれる人にも失礼だし……なによりそれは、自分が信じる『本気で楽しいことをするんだ!』 って気持ちに、ウソをつくことだと思うから」

 

姫芽「あ…………」

 

瑠璃乃「ルリもね、逃げてたんだ。姫芽ちゃんに向かい合うことを。サッカーで手加減されて勝ったって、姫芽ちゃんは喜ばないって、ほんとはわかってたはずなのに」

 

瑠璃乃「だから、ごめんね、姫芽ちゃん。ルリ、最初からひめっちこう言わなきゃいけなかったんだ」

 

瑠璃乃「『ルリにもやりたいことがあって、ぜんぶをやるのはすごく大変だと思うけど……でも、姫芽ちゃんと一緒にやりたい。そうして一緒に苦しいことを乗り越えた先には、これまで以上に「楽しかった!」って思えるような、素敵な景色が待ってるって思うから。ルリとおんなじ気持ちを。隣で分かち合ってほしい』、って」

 

瑠璃乃「お互いさ、遠慮するのはもうやめようよ。ひとりじゃ難しいかもだから、せーので一緒にさ。そしたらルリたち、もっといい仲間になれるんじゃないかな?」

 

 ルリちゃんは、自分の想いを姫芽ちゃんに全部ぶつけた。

 

姫芽「…………っ、るりちゃんせんぱい………!」

 

 瑠璃乃先輩は構える。そして、瑠璃乃先輩が勝負を再開し、姫芽も再開する。

 

瑠璃乃「なろうよ、一緒に。世界中を夢中にさせる、そんな最強の仲間に!」

 

瑠璃乃「行くよ!!」

 

 瑠璃乃先輩が構えると、両足に紫色のイナズマが走る。――次の瞬間!

 

瑠璃乃「[雷光]!!」ドギュゥウゥウウンッ!!

 

姫芽「あ――」

 

 土壇場で出た瑠璃乃先輩の新必殺技。瑠璃乃先輩は姫芽を上回るスピードで一気に抜き去る。そしてシュートをたたき込んだ。

 

瑠璃乃「あ、……………ルリ、勝った? はは、勝っちゃった………姫芽ちゃんに。びっくり……。特訓の成果……かな?」

 

花帆&さやか「「やった〜〜!!」」

 

綴理「ナイスるり!!」

 

晴也「すげぇスピード!!」

 

 みんなが盛り上がる。すると、

 

姫芽「るりちゃんせんぱい〜!」

 

瑠璃乃「おわっ!?」

 

 姫芽が瑠璃乃先輩に飛びついた。

 

姫芽「アタシ、アタシ〜! るりちゃんせんぱいと、めぐちゃんせんぱいの存在が大きすぎて〜! だからアタシはなるべく迷惑かけないようにしなきゃって思って〜!」

 

姫芽「でも、それってまだチームのお荷物って思われてるみたいで、悔しくて〜! せめて練習がんばりたくて、どうやったらチームの役にたてるか、一生懸命考えて〜! でも……でも悔しいって思うことすら、なんかおこがましいんじゃないかって〜!」

 

姫芽「アタシが楽しいだけじゃなくて! 大好きなおふたりの力になりたくて、ほんとに、ほんとに〜! るりちゃんせんぱいの楽しいことも、お手伝いさせてほしかったんですよぉ〜〜!」

 

 姫芽も、泣きじゃくりながら瑠璃乃先輩にしがみついて訴えかけてくる。

 

瑠璃乃「あ、あはは……。そっか、そうだったんだ……。ルリが思うみたいに、姫芽ちゃんも、そう思ってくれてたんだ。なんだか、すごく遠回りしちゃってたんだね……」

 

姫芽「うう〜!うう〜!」

 

瑠璃乃「よしよし、よしよし…………」

 

 ルリちゃんは、姫芽ちゃんの頭を優しく撫でる。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい〜…………」

 

 すると、

 

姫芽「グスッ……………それはそうとして、負けて悔しいので、また今度リベンジマッチにはお付き合いください〜……………」

 

瑠璃乃「えっ!? う、うん、わかった……!」

 

瑠璃乃「ルリのバッテリーが切れない程度に、お願いね…?」

 

 

 

 

 ―――そして、2人のわだかまりが解消し、翌日………。

 

慈「一件落着……なのはいいとして。それ、どういうこと?」

 

晴也「瑠璃乃先輩、凄いくっつかれてる……」

 

 俺も慈先輩も、少し苦笑いする。

 

姫芽「うう〜! うう〜!」

 

瑠璃乃「仲間だから、と言ってます」

 

花帆「え? どういうこと??」

 

兵太「今ので分かったんだ……」

 

瑠璃乃「つまりね、ルリとひめっちは、ようやく本当に心と心を通わせることができたんだよ」

 

さやか「あれ?」

 

花帆「ひめっち……?」

 

吟子「呼び方……」

 

 まあ、仲が深まったってことだな。

 

梢「まぁ、それなら良かったけれど」

 

慈「………心を通わせると、そんなんなっちゃうの?」

 

瑠璃乃「や、わかんないけど。でもさ、たまにはこういうのもいいな、って。ルリたち2人も……そうだったよね?いっぱい、いろんなことでぶつかって…………」

 

慈「うん。そうだったね」

 

瑠璃乃「あれ、ひょっとして、その人とぶつかるごとに、次から消費バッテリーが軽減されてゆくってシステムだったり……!?」

 

慈「そうだったの!?」

 

姫芽「……………るりちゃんせんぱい〜」

 

晴也「あ、喋った」

 

姫芽「アタシもこれから遠慮しないようにがんばりますから〜……一緒に、一緒にがんばりましょうね〜」

 

瑠璃乃「うん、がんばろうね、一緒に、一緒にね」

 

 すると、瑠璃乃先輩が「そういえば」と言い、

 

瑠璃乃「今回、勝負中にひめっちが「うりゃりゃりゃー!」って感じにならなかったのは、あれも遠慮してたからなのかなあ」

 

姫芽「? なんですかその「うりゃりゃりゃー!」って〜。アタシ、普段そんなこと言ってます〜?」

 

サッカー部『自覚なかったの!?』

 

慈「え? こわ」

 

姫芽「でも、確かにそうですね……。るりちゃんせんぱいに果たし状で呼び出されたときから『うわ〜………やだ〜……』って思いながら戦ってたので……」

 

瑠璃乃「テンションのせいだったかあ」

 

姫芽「あ、でも次からは大丈夫ですよ! リベンジマッチが終わった後にでも! 何十戦でも! 何百戦でも! るりちゃんせんぱいにお付き合いしますよ!永久(とわ)に!」

 

瑠璃乃「と、ときどき一緒にやろうね、ときどき!」

 

姫芽「あっそう、ですか……………」

 

瑠璃乃「いや、ちがくて! 今のは遠慮したわけじゃなくて! ルリ、試合は好きだけどそういう勝負は得意じゃなくて……!」

 

姫芽「そうなんですか?」

 

瑠璃乃「う、うん。ひめっちは今回の事、スッキリした?」

 

姫芽「はい〜! なんというか心の距離がグッと縮まったというか、アタシもようやくるりちゃんせんぱいに認めてもらったんだって心から思えました!」

 

瑠璃乃「そ、そこまで?」

 

姫芽「はい!」

 

晴也「で、それはいいんだけどさ」

 

瑠璃乃「え?」

 

晴也「ラジオだけど、今回のことで俺の方でも生徒会や放送部にあたってみたんですけど……やっぱり放送室のスケジュール的に難しそうなんですよね。どうにか枠を譲ってもらうしかないかな……」

 

瑠璃乃「お〜、ありがと晴也くん。それについては、ルリに考えがあるんだ」

 

晴也「考え?」

 

瑠璃乃「うん、撫子祭当日にスケジュールが抑えられなくても、ラジオはできるから。あ、でも、今からだと、ちょっと……いや、かなり忙しくなっちゃうかもだけど。どうかな、めぐちゃん。それに、ひめっち。協力してくれる?」

 

慈「そりゃ、ねえ?」

 

姫芽「その言葉、待ってました〜!」

 

 そして、そのことを生徒会と放送部に話して再度頼むと、撫子祭当日はスケジュールがいっぱいだが、準備期間ならば空きは幾らでもあるので構わないということだった。

 

 

 

 

 

ー 翌日 ー

 

 

瑠璃乃「ぴんぽんぱんぽーん!」

 

 校内放送が学校に鳴り響き、ルリちゃんのラジオが始まった。動物喫茶を準備している"スリーズブーケ"は……

 

花帆「あ、この声!」

 

吟子「ほんとに毎日やるんですね……」

 

梢「ふふ……。不思議と準備が、いつもより楽しくなってくるわね」

 

瑠璃乃『お祭り準備中の、蓮ノ空の皆さまに、ルリノ・オーサワがお届けします。みらくらラジオ〜!きょうもがんばってるみんなを、応援しちゃうぜ〜!』

 

 体育館での1発芸を披露するために準備している"DOLLCHESTRA"は、

 

綴理「ラジオの時間だ〜」

 

小鈴「きょうは、どの部が紹介されるんでしょうね!」

 

さやか「はぁはぁ、た、楽しみですね!」

 

 中庭で屋台の準備をしている"エゴイスティック(フォー)"は、

 

丈二「材料の準備はできたか?」

 

来夏「今晴也が受け取りに行ってる」

 

兵太「にしても、姫芽や瑠璃乃先輩、良かったっすね」

 

丈二「だな!」

 

 そして、ルリノDJはそれぞれの部活やグループの出し物を順番に紹介していく。

 

瑠璃乃『というわけで、吹奏楽部によるコンサートは、撫子祭当日の13時から! うおーがんばれがんばれー! ルリもメッチャ応援してるからね〜! さて、お次は〜』

 

 ルリちゃんが次の原稿を手に取る。

 

瑠璃乃『お。きょう撫子祭を紹介する新聞部の記事が完成したって! すごいすごい! お疲れさま〜! じゃあちょっと、記事を抜粋させてもらって………ん?』

 

瑠璃乃『なんか黄色いマーカー振ってあるんだけど。これ、読めってこと?』

 

 ルリちゃんの少し慌てた声が校内放送に乗って届けられる。生徒たちは『ん?』と、思い手が止まる。

 

瑠璃乃『うわ、これサッカー部の、しかも、"みらくらぱーく!"の紹介記事だ! ルリがこれ読むの自画自賛みたいになっちゃわない!? 大丈夫!?』

 

 その声が放送された瞬間、生徒たちは「「「あっ、また藤島(先輩)がなんかしたんだな」」」と理解したという。

 

瑠璃乃『いや、でも書いてくれたうちの1年生を労うという意味もありますし……………。いかせていただきます、ルリ! 記事はこちら!『"みらくらぱーく!"!! 神!!!!』』

 

 それを聞いた全校のみんなは、教室でクスクスと笑い始めていた。

 

瑠璃乃『………ぷっ。あははははは!!』

 

 瑠璃乃先輩も笑い始めた。

 

瑠璃乃『紹介してないじゃんこれ! いいの!? いいわけないよね! だって"スリーズブーケ"と"DOLLCHESTRA"と"エゴイスティック(フォー)"はちゃんと書いてあるし!』

 

瑠璃乃『あ一笑った。まったく、まったくもう〜。それじゃあ、チームとしてもひとつにまとまって。ますますパワーアップしていく"みらくらぱーく!"の活躍を、これからもこうご期待!』

 

瑠璃乃『――と、ルリ思う、ゆえに"みらくらぱーく!"あり!』

 

 

― つづく ―




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  • 出会い〜練習試合(石川光晴館)
  • スプリング杯編(全3試合)
  • コラボ回(キャプテン翼サンシャイン)
  • オリジナル回(イタリア戦)
  • コラボ回(二つの世界のサッカー)
  • 日常回(原作ひめるり回〜proof回)
  • インターハイ編(予選〜全国大会決勝)
  • クロニクル編
  • プロ編(花帆vs瑠璃乃)
  • プロ編(慈vs小鈴)
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