蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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第101話:伝えたいこと

 

 あれから時間がすぎ、放課後の練習を終えた小鈴は映画の撮影のために蓮ノ湖にやって来ていた。辺りはすっかり夕暮れ時だ。

 

小鈴「よおし……やるぞやるぞやるぞおー。映画のテーマは……そう。『チャレンジは楽しい!』」

 

 

 

 まずは映画のテーマを明確にする小鈴。

 

小鈴「これまでの全部が間違っていたなんて思ってほしくない。だって、チャレンジは楽しいものなんだ。サッカー部で徒町が頑張れてるのだって、そのおかげなんだから。この映画が完成すれば、きっと雪佳ちゃんも思い出してくれるはず……!」

 

 小鈴はスマホを撮影モードにして三脚にセット。録画カメラを湖に向ける。

 

 

 

小鈴「スマホセット良し。ひとまず、チャレンジに成功するところを撮ろう!まずはやっぱり最初の成功……湖渡り!」

 

 そして、小鈴は晴也と出会う前、サッカー部に入るキッカケとなったチャレンジをするために以前使った筏に乗り、適当な木をオール代わりにして湖に出る

 

小鈴「うおおおおおおっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

姫芽「お、やってるやってる〜」

 

吟子「なんで湖………………………」

 

晴也「危ねぇな………」

 

 晴也と吟子、姫芽がハラハラしながら小鈴を見てると、

 

 

 

小鈴「うぉおおおおおおっ!……おおっ!?」

 

 ドボーン!!

 

 転覆した小鈴。

 

小鈴「おぼぼぼぼぼぼぼ」

 

吟子&姫芽&晴也 「「「小鈴(ちゃ〜〜ん)!!」」」

 

晴也「ふたりとも悪いコレ持ってくれ!!」

 

 俺はふたりにスマホと財布を投げて靴を脱ぐ。

 

 

 

吟子「っ! う、うん!!」

 

晴也「世話の焼けるっ!!」ドボーン!!!

 

 晴也はそのまま湖に飛び込み、泳いで小鈴を救出に向かった。

 

 

 

 

小鈴「あ、ありがとう晴也くん……」ブルブル

 

 小鈴は寒さで震えている。

 

晴也「いや、危なすぎるって! いくら夏でも、水は冷たいんだぞ? お前俺と出会う前こんな事してたのか!? なにやってんだ!」 ブルッ

 

 かくいう俺も少し寒い…………。

 

小鈴「ご、ごめん……晴也くんの服まで濡らしてしまって……」

 

晴也「それはぜんぜんいいけど! 洗って乾かせば良いだけだし!」

 

姫芽「お〜。ずぶ濡れでも全然いいっていうのが、晴也くんの良いとこだよね〜」

 

晴也「そこ! からかわない! さっさと着替えるぞ。風邪ひかないうちに。俺は寮に戻るから戻ってくるまでに着替えておけよ!」

 

小鈴「う、うん。ごめん、ありがとう」

 

晴也「まったく……」

 

 そして俺は吟子から財布とスマホを受け取り靴を持って寮に走って戻る。

 

 

 

 

吟子「これで映画になるの?」

 

姫芽「そもそも録画は、と……ん?あー」

 

 姫芽の微妙な声に心配になる小鈴

 

小鈴「え、もしかして撮れてなかった!? 何度も場所変えて頑張ったんだけど!」

 

姫芽「撮れてはいるけど〜」

 

 小鈴が撮れた画像を見ると、

 

小鈴「わ、ボケが酷すぎて何も見えない」

 

吟子「映画にしようっていうのに、この画質じゃ厳しいんじゃないの……………?」

 

小鈴「ぐうう………じゃあもっと近くで、肩に乗せるとか」

 

吟子「ブレが酷そうだし、そもそも一緒に沈んだらどうするのよ。スマホ壊れるよ?」

 

 吟子の正論パンチに小鈴は"ハッ!"とする。

 

小鈴「はー………吟子ちゃんはそういうとこ、すぐ気づいて凄いなあ」

 

吟子「こ、このくらい普通でしょ!」

 

小鈴「徒町だったら、やっちゃってたから」

 

姫芽「まあまあ、素直に誉め言葉は受け取っておこうよ。 マネジメントの天才〜」

 

吟子「だから、素直に受け取るには持ち上げすぎなの! もう、晴也くんが戻って来るまでに着替えたほうが良いんじゃないの? 怒られるよ?」

 

姫芽「そだね〜」

 

小鈴「じゃあ着替えちゃいます………」

 

 そして、小鈴はふたりから借りたタオルで体と髪を拭き、持ってきた着替えに着替える。

 

 

 

 

吟子「それで? 実際、その映画の進捗はいかほどなの?」

 

小鈴「いや、まだ、全然」

 

吟子「友だちが行っちゃう日までに、間に合いそうなの?」

 

小鈴「ヤバイデス」

 

 固まる小鈴。

 

小鈴「うおー、全然だめだー!!」

 

姫芽「小鈴ちゃんのやりたいことは叶ってほしいと思ってるけど〜、映画って大変じゃん? もちっと分かりやすく、ビデオメッセージとかに変えたら?」

 

小鈴「どーしても、映画が良くて。映画を、完成させたくて」

 

晴也「その子が、映画監督目指してたからか?」

 

吟子「あっ、晴也くん……………」

 

 ここで、晴也が戻ってきた。

 

 

 

小鈴「あっ、いえ。それもそうなんだけど。映画は初めてやったチャレンジなんだ」

 

 小鈴は自分の過去を語り始める。

 

小鈴「徒町は、家でも全然ダメダメで。小学校の頃、1回勝手に漁の手伝いしようとして大怪我しかけて、それ以来お人形みたいなものだったんだ。学校でも、人と比べて長所なんてひとつもなくて……」

 

小鈴「同じクラスだった雪佳ちゃんは徒町と真逆で、なんでもできて。凄いなって思ってたんだけど、雪佳ちゃんが言ってくれたんだ。『小鈴はいつも、へこたれなくて凄い』 って」

 

吟子「まあ、それはすごくそう思う」

 

晴也「俺も………」

 

小鈴「えへへ、ありがとう。雪佳ちゃんに言われた時はピンとこなかったんですけど、何かチャレンジしてみないって誘われて。目の前に居たのが映画監督目指してる雪佳ちゃんだったから、つい映画撮ろうって言ったんです」

 

 なるほどな……。

 

晴也「それで最初のチャレンジが映画ってことか」

 

小鈴「うん!」

 

吟子「それは、うまくいったの?」

 

小鈴「いやもう全然ダメ。笑っちゃうくらい」

 

姫芽「だめだったんか〜い」

 

小鈴「あはは。徒町が主人公、雪佳ちゃんが監督だったんだけど、もう徒町が失敗しまくって。でもそうやって撮り直してる時に、言ってもらえたんだ。「それだよ」って」

 

小鈴「雪佳ちゃんもね、肝心な場所で音が撮れてなかったことがあったんだけど……普段失敗しないから余計に凹んじゃってね。そういう時、徒町は「じゃあ次」って思うだけだからさ。徒町のそういうところに元気貰えるって言ってくれたんだ」

 

 そっか………。その子は小鈴の良さをちゃんと分かってくれてる子だったんだな。

 

小鈴「できた映画は散々だったし、雪佳ちゃんに言わせれば大失敗、だったんだけど……徒町にとってはいい思い出だったの。これからもたくさん、チャレンジしようって思えたくらい」

 

吟子「小鈴がへこまないのが、元気出た理由………」

 

小鈴「吟子ちゃん?」

 

吟子「……………小鈴が映画にこだわる理由も分かったけど、それってさ。大事なのは、小鈴が頑張ることなんじゃないの?」

 

小鈴「え?」

 

吟子「うまく言えないけど……ひとりで頑張る必要、ある?」

 

小鈴「………………吟子ちゃん。……ありがと。でも、徒町は“気持ちを伝えること”を大事にしたくて。さやか先輩から学んだんです。徒町が気持ちを伝えなきゃいけないって。だから――」

 

 すると、

 

さやか「そんな風に教えたつもりはありませんよ?」

 

 

 

 そこに、さやか先輩と綴理先輩がやって来た。

 

小鈴「さやか先輩!?」

 

姫芽「こんにちは〜。あ、もうこんばんは〜」

 

綴理「こんばんは〜」

 

さやか「さっきずぶ濡れの晴也くんを見かけて、事情を聞いて用事を急いで片付けて来たんです」

 

晴也「良いタイミングでした……?」

 

 俺がそう言うとさやか先輩はクスッと笑う。

 

 

 

吟子「さやか先輩、今の教えっていう話は?」

 

さやか「小鈴さんが頑張らなきゃいけない、それは確かにそうです。でも、人を頼ってはいけないなんてことを教えた覚えもありません」

 

 さやか先輩は少し苦笑する。

 

小鈴「でも、さやか先輩! 徒町がみんなに頼っちゃったら」

 

 小鈴は、今までサッカー部員として活動して思っていたことを吐き出す。

 

小鈴「サッカー部のメンバーは、みんなすごいです。やってる間も、みんなだったらもっとうまくできるだろうなって、何度も思いました。さっきも、吟子ちゃんに」

 

晴也(そんなに劣等感感じてたんだ………)

 

 小鈴には、他のみんなとは違う、小鈴だけの武器が、ちゃんとあるのに。

 もちろん、綴理先輩には綴理先輩、 花帆先輩には花帆先輩、さやか先輩にはさやか先輩だけの武器が、それぞれ全員にあるけどな……。

 

小鈴「だから、結局徒町にできることは何もなくて、それじゃあ気持ちは乗せられないって、思って」

 

さやか「なるほど。あの時アドバイスだけで良いと言ったのは、そういう理由もあったんですね」

 

小鈴「はい………」

 

 すると、

 

 

 

綴理「分かるよ」

 

小鈴「えっ?」

 

綴理「ボクも、気持ちは分かる。居るだけで良いって言われたって、みんなが頑張ってる横で。自分の色が乗っているとは思えなくて………。でもね、すず。みんなが手を差し伸べてくれるのは、すずの色があるからだ。最初にきみが居て、みんなが居る。だから、大丈夫」

 

小鈴「綴理先輩……………」

 

綴理「ねぇ、すず。本当に伝えたい気持ちを、教えて。ボクたちは、それに乗るから」

 

 この場にいる全員が、笑いながら頷く。

 

小鈴「………ツ! 本当に伝えたいのは………雪佳ちゃんに貰ったチャレンジする気持ちが。間違いじゃなかったよってことです!」

 

綴理「ん」

 

晴也「分かった!」

 

 そしてその日はそれぞれ寮に戻り、翌日………、

 

 

 

 

 

― サッカー部室 ―

 

 練習のためみんなが部室に集まったところで、小鈴が話し始める。

 

小鈴「みなさん、どうか聞いてください!」

 

瑠璃乃「お?」

 

晴也「すみません。梢先輩たちも聞いてやってください」

 

梢「分かったわ」

 

 

 

 そしてみんなが小鈴の言葉に耳を傾ける。

 

小鈴「手伝ってくれると言ってもらえたにもかかわらず、 徒町はこれをひとりでやらなきゃダメだと思ってました。結局ダメダメだったこともそうですけど………。徒町がやらなきゃいけないのは、ひとりでやることじゃなくて。友だちに気持ちを伝えることでした!」

 

瑠璃乃 「ふむ?」

 

 瑠璃乃先輩が考え込む。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい?」

 

瑠璃乃「ルリは、小鈴ちゃんがひとりでやりたい気持ちも分かったからさ。逆に、どうやって気持ちを伝えるのかな一って」

 

小鈴「徒町が本当に伝えたかったのは、チャレンジが間違ってないってこと………だから、徒町は頑張ってるってことを映画にしたい」

 

 そして、小鈴の考えた結論。それは、

 

小鈴「だから、"サッカー選手の映画を撮りたい"んです! それが今、徒町が一番頑張ってることだから!」

 

 

 

花帆「サッカー選手の映画!」

 

 花帆先輩が目を輝かせる。たしかに小鈴の頑張りを映画で伝えるなら一番わかり易い題材だしな。

 

小鈴「はい! サッカー部は今、大きな挑戦……インターハイ地区予選を控えてみんなで頑張ってるところです。徒町もそれに全力で挑みたい……。その挑戦する気持ちを伝えられたら、って! どうでしょうか、瑠璃乃先輩!」

 

瑠璃乃「…………うん! なら、ルリから言うことはなんもない! 良いと思う!」

 

 瑠璃乃先輩も納得したみたいだ。まあやることは反対はしないだろうとは思ったけど、小鈴の気持ちを確かめないことにはな。

 

小鈴「きょ、恐縮です!」

 

瑠璃乃「ルリ的には、最初から小鈴ちゃんが頑張るのを応援したかったからね。それがブレてなさそうだから、ヨシ!」

 

慈「んで、サッカー選手の映画かー。大きく出たね、 めぐちゃんの目は厳しいぞ☆」

 

兵太「慈先輩は元タレント。そのうえに今はサッカーのUー18日本代表。本職中の本職ですからね」

 

姫芽「天才子役ですからね!」

 

慈「天才子役兼、天才サッカー少女だからね!」

 

 分かりやすく調子に乗る慈先輩。だけど今回はいつにも増して特に頼りになりそう。

 

 

 

梢「…………………そう考えると、逆にちょうどいいかもしれないわね。慈が元々、映画については知っていることもある」

 

花帆「………センパイ?」

 

梢「学校から、中学生の高校受験に向けた学校紹介のPVでサッカー部の映像を流したいから何か用意してくれと言われてたのよ」

 

小鈴「え、えっと、じゃあ………」

 

 小鈴がみんなを見回す。

 

晴也「みんなも乗り気、ってことだな。小鈴!」

 

小鈴「わぁ…………………!」

 

 小鈴が顔を輝かせる。

 

小鈴「ありがとうございます! 今回はどうか、よろしくお願いします!!」

 

 小鈴は、目にうっすら涙を浮かべながらみんなにひたすらお礼を言っていた。

 

 

 

 

さやか「……………さて。小鈴さんが言った通り、サッカー部としての練習もおろそかにはできません。映画のスケジューリングは、どうしましょうか」

 

梢「そうね、もしかしたら。……今年の夏合宿の使い道が、決まったかもしれないわ」

 

兵太「合宿の予定を元に、大体の進行予定を考えないとだな〜」

 

小鈴「お願いします!!」

 

 

― つづく ―




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  • インターハイ編(予選〜全国大会決勝)
  • クロニクル編
  • プロ編(花帆vs瑠璃乃)
  • プロ編(慈vs小鈴)
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