蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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後書きにてお知らせもありますので、よろしければ最後までご覧ください。


第110話:不完全で未完成

 

 

 合宿から帰ってきてから4日が経った。さやか先輩の風邪も幸いすぐに治ったおかげで、俺たちは何の心配もなく蓮ノ空で練習に励むことができていた。

 

 合宿での騒ぎあと、小鈴主導で"終わらないエンディング"を制作し、映画に編集したあと小鈴は映画を雪佳ちゃんに送った。

 

 雪佳ちゃんは外国に旅立ったそうだが、映画は見てくれたらしく、後日サッカー部宛にお礼が届いた。

 

 内容としては、夢を諦めるのを辞めるということだった。

 

 それを見たみんなは大喜びをしており、小鈴もメッセージを読みながら目に涙を浮かべて喜んでいた。

 

 

 

 そんなある日……、小鈴は雪佳ちゃんにメッセージを返信していた。

 

 

 

小鈴「『拝啓、雪佳ちゃんへ。サッカー部の映画、見てくれてありがとう。込めた気持ちが伝わって、本当に良かったです。お互いまだこれからだけど…………これからも頑張ろうね!』」

 

 そこまで打つと、小鈴ちゃんは一旦打つのを止め、少し考えるとまた打ち始める。

 

小鈴「『雪佳ちゃんのおかげで、徒町はチャレンジすることの大事さを学びました。 徒町が頑張ると、元気が出る………初めて言われた時は、もしかしたらピンと来てなかったのかもしれない。でも今なら分かるんだ。徒町は今、サッカー選手だから。 だから――』」

 

 

 

 そこへ背後から忍び寄る2人、

 

小鈴&綴理「「『ありがとう』」」

 

小鈴「えっ?」

 

 

 

 突然聞こえた声に小鈴は振り向く。

 

 

 

綴理「やほ」

 

小鈴「綴理先輩、びっくりさせないでくださいよー。あっ、晴也くんも……」

 

晴也「悪い。止めたんだけど……」

 

 バツが悪そうに軽く頭を下げて謝る晴也。

 

 

 

綴理「ごめんね」

 

小鈴「…………えっと、何か用事です? あ、寝に来ました?」

 

 小鈴の発言に綴理先輩は一瞬真顔になり、

 

 

 

綴理「ボクなんなの。じゃなくて……お礼を、言いに来たんだ」

 

小鈴「え、徒町にですか?」

 

綴理「そう。今回の映画、すごく楽しかった。楽しかったんだ」

 

晴也「俺も。楽しかったよ」

 

 映画を撮るのは初めてだったけど、すごく新鮮で楽しかった。

 

 

 

小鈴「え!? いえこちらこそ大変すばらしいものにしていただいて!」

 

 小鈴の謙遜。けど、

 

晴也「全部小鈴が頑張ってくれたからだよ。花帆先輩と姫芽が、楽しそうにストーリーのことで盛り上がってたのも。吟子が今までの練習から新しいメニュー考案して、嬉しそうに笑っていたのも。………慈先輩が、あんなに張り切ってて……みんながまとまっていたのも」

 

綴理「ん」

 

 綴理先輩も同意するように頷く。

 

 

 

小鈴「それはでも、みんなが」

 

晴也「姫芽も、今回のおかげで花帆先輩とたくさん話が出来たって言ってた」

 

綴理「ぎんとへーただって。昔の練習をまた使えるって言って喜んでた。…………じょーじも、誰かの話をあんなに素直に聞いてたのも、初めて」

 

晴也「梢先輩と瑠璃乃先輩がさ。ずっと笑ってたんだ。たぶん、あの2人が笑ってるってことは、なんの心配もないってことなんだと思うし」

 

小鈴「それが……徒町の……………?」

 

小鈴は、ふと考える。

 

 

 

綴理「そうだよ。すずが一生懸命だったから、頑張ってるのが伝わったから、みんなはそれについてきてくれた。ひとりでやらなくても、すずの気持ちはちゃんと、伝わっていたんだ。伝わるくらい、頑張っていたんだ」

 

晴也「それだけでも十分なのに、合宿の終わりまで、最後まで諦めなかったしな。だからさやか先輩も、悲しい気持ちにならずに済んだんだ。ありがと」

 

 ホントに、さやか先輩が傷つかなくて良かった。

 

 

 

小鈴「晴也くん……こちらこそありがとうございます! えと、なんて言っていいのか」

 

綴理「うん、ごめんね。はると違って、ボクは言葉がうまくないから、すずになんて言えばいいのか、難しいんだけど……とにかくボクは、すずに胸を張ってほしいんだ」

 

小鈴「……はい。先輩の気持ちは、伝わりました。あの映画は、ちゃんとみんなの夢になれたんだって」

 

綴理「うん。みんなの夢。ボクの夢にも、なったよ」

 

晴也「俺も」

 

 たぶん、あの映画が楽しかったのは……

 

 

 

綴理&晴也「「あの映画がサッカーだから。同じ……不完全でも熱を持ったみんなで作る、芸術だから」」

 

 っ! 一字一句違わずにハモった……。

 

 

 

小鈴「先輩も晴也くんも、そこまで……………」

 

綴理「うん、そこまで。むしろ………ボクも気付いた。不完全は、未完成。でも進んでいくものだ。進んでいくから、美しい芸術なんだって…………もっとサッカーが好きになった」

 

小鈴「はい! 未完成でも…………いつか成功できるまで、諦めずにチャレンジし続けます!」

 

綴理「うん。ボクも、未完成。頑張ろうって、思えた。すずのおかげで。だから――ありがとう」

 

小鈴「お、おぉ……恐縮、です」

 

晴也「小鈴が居てくれて良かったよ」

 

小鈴「え、へへへ。ところで、晴也くんもしかしてさやか先輩のこと……」

 

晴也「ん? さやか先輩が……?」

 

 

 

 するとそこへ、聞き慣れたよく通った声が響く。

 

 

さやか「あー、ここに居ましたねー!! 晴也くんもいるじゃないですか!」

 

綴理「あ、さや。寝てなくていいの?」

 

晴也「綴理先輩、もう治ってるでしょ? いつの話ししてるんですか……」

 

さやか「そうですよ! いつの話をしているんですか? すっかり治りましたよこの通り! この度はお騒がせいたしました!」

 

綴理「良かった」

 

小鈴「良かったですぅ………!」

 

晴也「何度も言いましたけど、ホントに良かったです。あの時はマジで肝を冷やしました」

 

 ホントに

 

 

 

さやか「ってこのやり取りも何度目ですか……。いえ、これはもう罰として受け入れます……自己管理を怠ったという………けど、晴也くん、私のために何かできないかと頑張ってくれたと監督から聞きました。その……あ、ありがとうございます///」

 

晴也「あ、いえ……///」

 

 お互いに顔が赤くなる。なんだろなこれ……。

 

 

 

晴也「そ、そう言えばさやか先輩、なんか用があったんじゃないんですか?」

 

さやか「そうでした! もう練習は始まりますよ! なんの話をしていたんですか!」

 

晴也「え?」

 

 晴也はスマホで時間を確認する

 

 

 

晴也「あっ、ホントだ……」

 

さやか「まったくもう。で? 何してたんですか?」

 

綴理「すずに、お礼」

 

小鈴「………綴理先輩。徒町こそ、サッカー部に入って良かったです。これからも、精一杯頑張ります! みんなと!」

 

綴理「ん」

 

さやか「頑張るなら練習に間に合ってくださいね……」

 

 さやか先輩がやれやれと首をふる。

 

 

 

小鈴「あ、先輩方、晴也くんも。見て欲しいものが、あったんでした」

 

 そして小鈴はスマホを見せてくる。

 

 

さやか「……これは?」

 

晴也「動画だな。これは……映画か?」

 

小鈴「雪佳ちゃんから届きました。タイトルを見てあげてください」

 

さやか&綴理&晴也「「「続きは今度撮影します」」」

 

晴也「コレって」

 

小鈴「はい。いつになるかは分からないけど、きっと届きます。夢の続きが」

 

綴理「良かったね」

 

小鈴「はい!」

 

晴也「大成功だな!」

 

 

 

さやか「……あの。風邪をひいたわたしから言うのも何なんですが。わたしたちの映画の続きは、いつ撮りましょうか」

 

綴理「そうだね……すずは、どうしたい?」

 

 すると、小鈴は俺を見て、

 

 

 

小鈴「ん~晴也くんが言ってたことが、頭に残ってるんです。『続きは本当のインターハイで』って」

 

小鈴「ああ、そうしたいなって思ったんです。 徒町の演じた、インターハイを、全国優勝を目指す主人公の気持ちを通して……それに、みんなでひとつの大きなものを作るって経験を通して、感じたんです。――インターハイ、頑張りたいって!」

 

晴也「同じことだから、かな?」

 

小鈴「はい! サッカーも映画も、同じことなんです! どっちも、みんなで作る芸術……だから映画でも、徒町小鈴でも……みんなと一緒に、チャレンジに成功したい! だから――映画の続きは、インターハイに優勝してからにしたいです。その方がきっと、いいものになると思うから」

 

綴理「ん」

 

さやか「よい夢だと思います。また。わたしたちの想いも乗せてくれる」

 

晴也「大賛成」

 

 

 

小鈴「はい! チャレンジし続けましょう! 完成したと胸を張れるその日まで!」

 

 

ー つづく ー




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