蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜 作:松兄
その日の夜、ソジは夕食後1人でサッカーガーデンのエントランスエリアに来ていた。
兵太「……………」
ソジはベンチに座り、曇った顔で夜空を見つめていた。
兵太「なんで俺なんだ………。そもそも俺は、仲間とうまくやるのなんて得意じゃないんだ……。そう見せかけているだけなんだ。監督たちなら、そのくらい見抜けるはずだろ……」
ソジは、蓮ノ空に入ってからのこれまでを思い出す。他の1年生や先輩、共に練習し汗を流した日々、ぶつかり合いながらも理解を深めてきたメンバー。
兵太「俺が雑魚だってこと、俺自身が一番よく分かってる。俺の代わりなんて蓮ノ空には幾らでもいる……」
ソジは今度は自身の過去を思い出す。
兵太(俺には親友がいない。心の底から言いたいことを言い合える友達が…。昔からそうだった…)
兵太(……親の仕事の都合で引っ越し続き…。友達ができてもすぐにリセットされてしまう。だから、俺はいつも周りから浮いていた。だから俺は学んだんだ。強引にでも友達を作って、みんなに溶け込んでいくのが、楽しく生きていく方法なんだってことを…)
―――すると、
丈二「大変な役目を仰せ使ったな」
晴也「よっ」
やってきたのは、丈二先輩と晴也だった。
兵太「桜咲先輩……。晴也…」
晴也「プレッシャーに押しつぶされそうか?」
兵太「まあそんな感じかな。そもそも俺にできるわけないんだよ」
丈二「ああ…?」
兵太「監督はなんで俺なんかを…」
丈二「そこからかよ。じゃあ聞くが、お前は何でいつもニコニコしながら寒いギャグを言うんだ?」
兵太「え?」
丈二「俺にはできねえ。晴也もたぶんできないだろうし、お前にしかできねえことだ」
晴也「ああ」
兵太「……馬鹿にしてます?」
丈二「とにかく、お前は蓮ノ空には必要な奴だ」
兵太「俺が…、必要………」
晴也「お前自身が一番、自分を分かってないんじゃないのか…?」
兵太「………………」
そして朝になり、京前嵐山戦の当日。
場所をフットボールフロンティアスタジアムに移す。
全国大会1回戦第1試合は蓮ノ空学院vs京前嵐山高校。観客席には超満員の観客が詰めかけていた。
実況『さあ! 夏の全国高校サッカー大会、いよいよ始まります!』
解説『1回戦は去年度準優勝の蓮ノ空学院vs、昨年の雷門戦のリベンジに燃える京前嵐山高校。注目の一戦です!』
梢「絶対勝つわよ!」
蓮ノ空『おう!』
円陣を組み、フィールドに散らばっていく蓮ノ空イレブン。両校のスタメンは、
京前嵐山
GK 新黒(女)
DF 孫一(男) 屋城(男) 花丸屋(男) 鈴森(男)
DMF 五重寺(女)
OMF 倉敷(男) 氏家(男) 連山(男)
FW 内成(男) リル(男)
蓮ノ空
FW 晴也(男) 来夏(女)
OMF 吟子(女) 花帆(女) 泉(女) 瑠璃乃(女)
DMF 綴理(女)
DF 木曽路(男) さやか(女) 慈(女)
GK 梢(女)
実況『おっと、蓮ノ空は中央よりもサイドを意識した布陣を組んできました。果たしてどういう攻め方をするか』
孫一「何をしようと無駄だ………」
センターサークルに入るのは晴也と花帆先輩。蓮ノ空のキックオフから試合開始だ。
実況『さあ! キックオフです!』
審判が笛を咥えて右手を挙げる。
ピィイイイーーーッ!!!
―
実況『さあ、蓮ノ空ボールから試合開始! ボールは一度桂城に戻されます!!』
ボールを一度泉に戻す蓮ノ空。泉を起点にパスを繋ぐ。
泉「夕霧さん!」パス
泉から綴理先輩へのパス。綴理先輩は来たボールに対して右足を振り被る。
――すると、
吟子「つ!」ダッ!
瑠璃乃「!」バッ!
それをスイッチに吟子と瑠璃乃がサイドを駆け上がる。
孫一「つ! 鈴森、大沢に着け!」
鈴森「分かってる!」
相手のディフェンスがサイドを警戒してマークに付く。
綴理「そこ!」シュパッ!
実況『あーーっと! ゴール前に上がった! ディフェンスを二人引きつけている!』
孫一「つ!」
ゴール前には引いた位置から
花丸屋「させるかよっ!」
花丸屋が競り合いに入る。
来夏「させないよっ!」ガッ!
花丸屋「つ! コイツ!」
来夏先輩がフィジカルを活かして跳躍をブロック。ゴール前にボールが上がる。
晴也「決める!」ダッ!
晴也は跳躍すると、青白い光に包まれて黒竜へと姿を変える。火炎ブレスのソウルストライクだ!
ボガァアァアアンッ!!
収束した火炎のシュートがゴールに迫る。―――だが、
屋城「西條!」
リル「はい!」
屋城&リル「「はぁあぁあああっ!!」」
2人は、同時に化身を出した。
リル「【魔槍剣聖クララバニー】!!」
屋城「【城壁巨兵ウォーボーグ】!!」
攻めの黒、守りの白、2つの化身が現れ、
リル&屋城「「化身共鳴!!」」
キィイィイイインッ!!
二対の化身の共鳴。フィールドに防御膜が張り巡らされる。
バチィイィイッ!!
晴也のソウルシュートが防御膜に激突する。
リル「つ!」
屋城「なんだ…このパワー……」
晴也「いけぇっ!」
バキィイイッ!!
リル「うわっ!?」
ソウルのシュートは化身共鳴の防御膜を打ち破ったが、その代償として威力を大幅に削られた。
新黒「止める![明鏡止水]!!」
辺りが水墨画のような空間に変わると、に伊黒の手に穴が出現。ボールは穴に吸い込まれ、手に収まった。
実況『とめたあっ! キーパーがっちりキャッチ!!』
晴也「くっそ……!」
悔しがる晴也。だが、
孫一「ヒヤリとしたな………」
五重寺「まさか化身共鳴の防御を突破するなんて……」
倉敷「だが、キーパーまでは破れなそうだな」
新黒「行けっ!」ドッ!
新黒のゴールキックからボールは連山へ。
連山「よし………」
綴理「ボクが行く!」
MATCH UP!!
綴理 vs 連山
綴理先輩がマッチアップ。適切な間合いを保って相手の様子を見る。
綴理(
連山は左右にボールを動かすが、綴理先輩は惑わされない。
連山(やり辛いな……なら!)
連山と綴理先輩の周りを黒い霧が包み、戸惑う綴理先輩。すると、連山の背後に般若の面が見えた。
連山「[ブラックメイル]!!」
綴理「!!」
相手に視覚的な恐怖を見せて怯んだ隙に突破する必殺技。これ、女子にはきついんじゃねぇか……?
連山「リル!!」パス!
ボールは西條リルに渡る。
実況『ここでボールは西條に渡ったぁ!!』
さやか「行かせません!」
MATCH UP!!
さやか vs リル
ここで、さやか先輩が立ち塞がる。
リル「無駄だ! 化身で吹き飛ばしてやる!!」
突っ込んでくるリル。だが、
さやか「[爆・蒼氷の舞・壱の舞]!!」バギィイイッ!!
さやか先輩の氷の演舞から、【クララバニー】は音を立てて凍り付いていく。
リル「何っ!?」
――そして、
さやか「はあっ!!」
バガァアァアアンッ!!
リル「うわあっ!!」
【クララバニー】は、氷ごと砕け散って消滅した。
京前嵐山『なにっ!?』
実況『あーーっと! 村野、化身を単独で止めたあっ!!』
花帆「さやかちゃんナイス!」
さやか先輩の[蒼氷の舞]は、それぞれ同じ技として進化段階が共有されているが、[壱の舞]と[弐の舞]で性質が異なる。
[弐の舞]は分厚い氷柱を呼び出してのパワー重視のシュートブロック。
そして[壱の舞]の性質は、"オーラブレイカー"。ソウルや化身といった、オーラを放出する技を破壊する性質を持っているのだ。
さやか「花帆さん!」
ここで試合に戻り、ボールは花帆先輩へ。すぐに氏家が止めに入る。
MATCH UP!!
花帆 vs 氏家
花帆「抜くっ!」
花帆先輩はボールを抱え込んでの高速前宙。イナズマが迸る。
花帆「[イナビカリ・ダッシュ・GX]!!」
抜き去って攻める花帆先輩。しかし屋城が止めに入る。
屋城「止める」
花帆「つ! 化身……!」
花帆先輩が一瞬迷った。
孫一「そこっ!」ガッ!
花帆「あっ!」
その隙を突かれてボールを溢す花帆先輩。ボールは、
泉「甘いよ!」バシッ!
泉が抑えた。
孫一「くそっ!」
花帆「ありがとう泉ちゃん!」
泉「攻めますよ!」
花帆「うん!」
泉と花帆先輩は周囲を見渡してスペースを見つけてそこに走り込み、ワン・ツーでパスを繋いで攻め込んでいく。
実況『日野下と桂城、見事な連携だあっ!!』
倉敷「くそっ!」
泉「決める!」
泉がシュート体勢に入る。
鈴森「させるかっ!!」ドカッ!
泉「なっ!?」
ドシャアッ!
泉「ぐっ!!」
相手の死角からのタックルを食らって倒れる泉。足を押さえている。
ピ、ピィイイイーーーッ!!!
ここで審判の笛が鳴る。鈴森にイエローカードが出された。
晴也「足の裏見せてたもんな……ていうか……」
瑠璃乃「泉ちゃん大丈夫!?」
泉「あ、ああ……痛っ!!」
立ち上がるが、痛みで倒れ込む泉。
天馬「………丈二、交代だ」
丈二「! はい!」
実況『おっと、蓮ノ空。早くも一人目の交代です。桂城泉選手に代わりまして、桜咲丈二選手が入ります!』
泉「お願いします……」
丈二「まかせろ」
交代でピッチに入る丈二先輩。蓮ノ空のフリーキックから再開。キッカーは晴也だ。
新黒「止める!」
ピッ!!!
晴也は助走を開始。そして踏み込みから左足を振りかぶり、
晴也「ふっ!!」ドッ!!
大く鋭いカーブを描くボール。だが、ゴールの枠に入るか怪しい。
新黒「つ! 外したか……」
すると、
ギュンッ!!
京前嵐山『つ!?』
外れたと思ったところから更に鋭く曲がり、尚且つ急降下して落ちてくるボール。完全に枠の中を捉えていた。
新黒「くっ!」バッ!!
跳躍する新黒。―――だが、
バシュウンッ!
ボールはゴールネットに突き刺さった。
GOOOOAL!!!
蓮ノ空 1 ー 0 京前嵐山
実況『ゴォオォオオオルッ!! 蓮ノ空先制ーーっ!!』
解説『ありえないくらい曲がりましたよ? 素晴らしいテクニックですね……!』
晴也「っ、しゃあっ!!」
ガッツポーズする晴也。チームメイトが集まってくる。
花帆「ナイスシュート!」
慈「先制点は大きいよ!」
兵太「…………」
晴也「ソジ!」
兵太「!!」
晴也「次はお前の番だぞ!」
兵太「! ああ!!」
晴也のシュートが決まり、京前嵐山のボールから試合再開。
ピィイイイーーーッ!!!
RESTART!!!
ボールを一度氏家に戻し、西條にボールが渡る。
リル「今度こそ決めてやる!!」
西條の背から、黒い靄がが吹き出し、人の姿を形作る。中から黒いドレスを纏い、漆黒の槍を持った女性型の化身が現れる。
リル「【魔槍剣聖クララバニー】!!」
慈「止める!!」
慈先輩が急いで止めに入る。必殺技の構えだ。
慈「[グラビティ……」
リル「無駄無駄無駄あっ!!」
バギィッ!!
慈「きゃあっ!」
ただのドリブルにふっ飛ばされる慈先輩。笛は鳴らない。
瑠璃乃「めぐちゃん!!」
慈「大丈夫! 止めて!!」
さやか「アタシが行きます!!」
ここでさやか先輩が向かう。―――すると、
リル「捕まる前に狙う!!」
西條はシュート体勢に入る。西條の周りに複数の【クララバニー】の形をした影の柱が現れ、それらからクララバニーの持つ槍へと漆黒のエネルギーが集まる。
リル「喰らえ![― エンプレス・シャドウ ―]!!」ドゴォオォオォオオオンッ!!
西條のシュート。化身シュートだ!
さやか「うっ!」バチッ!
シュートはさやか先輩を弾いて尚も進む。梢先輩は反応が遅れてキャッチで迎え撃つ。
梢「止める!!」バシィイッ!!
ギャルルルルルルッ!!
梢「ぐぅうううっ!!」
梢先輩は両手で力強いキャッチング。だが、シュートの勢いが収まらない。
―――そして、
バチィイィイインッ!!
梢「きゃあっ!!???」
ドゴォオォオォオオオンッ!!
シュートはゴールネットに突き刺さった。
実況『ゴォオォオオオルッ!! 京前嵐山同点!』
解説『西條選手、凄まじい威力のシュートです!』
梢「やっぱり、化身は手ごわいわね………」
兵太(俺が何とかしないと………)
前半:12分
蓮ノ空 1 ー 1 京前嵐山
― つづく ―
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最近読んでなくて久しぶりに
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面白くて何周かしてます