蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜 作:松兄
西條の化身シュートが突刺さり、同点に追いつかれる蓮ノ空。
蓮ノ空ボールから試合再開。
ピィイイイーーーッ!!!
RESTART!!!
ここでボールは一度花帆先輩に戻される。花帆先輩は丈二先輩、綴理先輩と3人でパスを交換しながら攻め上がりジリジリとラインを押し上げていく。
花帆「綴理センパイ!」
綴理「じょーじ」パス
丈二「日野下!」パス
氏家「つ! 捕らえきれねぇ!」
見事な3人のパスワークに翻弄される京前嵐山。だが、屋城が立ちはだかる。
屋城「うぉあああっ!!」
屋城の背から黒い靄が噴き出す。中から、城壁のような壁を彷彿とさせる魔神が現れる。
屋城「【城壁巨兵ウォーボーグ】!」
花帆「つ!」
屋城は化身技を発動。【ウォーボーグ】の手がドロドロの黒い液体のように変化し、それが滝のように流れ落ちてシャットアウトした。
屋城「[― ディスペア・フォートレス ―]!」
実況『止めたぁっ! 屋城統、蓮ノ空の攻めをガッチリとブロック!』
綴理「くっ! 戻って!」
屋城「西條!」パス
ここで屋城は前線の西條へとロングパス。ボールが繋がる。
リル「ここで試合を決めるぜ! 屋城さん!」
屋城「いいよ……」
ここで、2人同時に化身を出す。
リル「【魔槍剣聖クララバニー】!」
屋城「【城壁巨兵ウォーボーグ】!」
リル&屋城「「化身共鳴!!」」
キィイィイイインッ!!
二対の化身の共鳴。すると今度は重厚な波動ではなく、突き刺す槍のようなヒリヒリとした波動を放つ。
梢「つ! これは………!?」
予想外の事態に警戒を強める蓮ノ空。西條は化身シュートの体勢に入る。
リル「[― エンプレス・シャドウ ―]!!」
影のエネルギーが槍に集まり、そのエネルギーが込められた槍を投擲してくる【クララバニー】。梢先輩は必殺技の構えを取る。
梢「止める!!」
梢先輩が両手にオーラの塊を纏い、大きく円を描くように両手を上へと上げると頭上で両手を合わせる。すると背後に千手観音の様な無数の手が出現する。
梢「[ムゲン・ザ・ハンド]!!」
梢先輩の叫びと共に一斉にオーラの手がボールに向かい、キャッチする。――だが、
バリィイィイイインッ!!
梢「なっ!?」
ドゴォオォオォオオオンッ!!
シュートはゴールに突き刺さった。
実況『ゴォオォオオオルッ!! 京前嵐山逆転!!』
解説『蓮ノ空はこの強力な2体の化身をどうにかしないと厳しいですよ……』
慈「ダメだ……化身を止められない………」
さやか「私の[蒼氷の舞]の間合いに入る前にシュートを撃たれたら、阻止できない……!」
吟子「ソジくん!」
兵太「つ、何で…! 特訓をやり遂げたのに……オーラの波長は掴めてるのに…、湧き上がるものが無い…。何で出来ないんだ!!」
そして、蓮ノ空はそのまま防戦一方。失点こそしなかったものの、1点のビハインドで前半を終えた。
― ハーフタイム ―
兵太「……………」
天馬「木曽路、後半、化身を出すよ」
兵太「……出そうとはしてるんですけど、できないんです」
弱気になる木曽路。だが、
天馬「木曽路…、できるよ。木曽路なら絶対に出せる」
兵太「!」
姫芽「頑張れ、木曽路くん!!」
兵太「………」
晴也「あの化身共鳴、厄介だな………せめて泉が居れば」
泉「悪い……くそ!」
泉は治療を終え、包帯を巻かれた自分の足を見る。
セラス「泉………」
来夏「後半、こっちのサイドも使ってよ」
綴理「うん。チャンスがあれば出すよ。見逃さないでね」
審判『後半始めます!!』
天馬「よし、行ってこい!!」
蓮ノ空「はい!」
そして、ピッチにでる両チーム。
審判『それでは、後半戦を始めます!』
ピィイイイーーーッ!!!
― 後半開始!! ―
後半戦は京前嵐山ボールから試合再開。ボールは内成に渡る。
内成「行くぞ!」
ドリブルで攻め上がってくる内成。そこへソジが止めに入る。
兵太「……………」
ソジは、みんなの波動をたしかに感じとっていた。
兵太(みんなの気の流れを…! …見えてる…。今なら!)
そしてソジはみんなの気の波長を集め、その波動を一気に解放する。
兵太「! 今なら…。化身よ! 俺のところへこーーい!!」
ソジが化身を発動しようとするが、オーラの高まりこそあったが、化身の発動の靄さえ現れなかった。
兵太「!!」
内成「西條!」パス!
ここでボールは西條に渡る。
リル「無駄無駄あっ!!」ドガァアァアアァア!!
兵太「うわっ!」
ふっ飛ばされるソジ。西條はそのままドリブルで上がる。
兵太「ダメだ…。でない……」
晴也「させるかっ!」バチィイィイインッ!!
リル「!!」
ここで晴也のスライディングタックル。ボールはサイドラインを割って外に出た。
リル「ちっ……!」
兵太「俺はみんなに合わせるの、得意なはずだろ…。何でダメなんだ…。なんで化身が出ないんだ!」
ソジは心の中の、真っ暗な自分一人しかいない空間で自問をする。
兵太(自分なんてなくていい。人を笑わすために、俺は本当はやりたくないこともやってきた。人に合わせてこそ自分なんだ。)
兵太(それなのに…、なんで出ない。みんなに合わせて調整するの、俺の得意分野のはずだろ。監督だって、そう言ってただろ? なんでダメなんだよ!)
そして意識はフィールドに戻り、
兵太「………」ガクッ
ソジは膝をついてしまう。
兵太「なんでだ…、なんでダメなんだ! 渋谷の交差点で人の波長を捉えるか特訓をやり遂げたんだ!」
たしかにその特訓で、ソジは正確に人の波長を捉えることができていた。――しかし、ならばなぜ?
ソジの理由を問うが全然わからない。
晴也「………」
丈二「監督が言う、化身を生み出す理論。オレも聞いたけどよ……。11人全員の波長を合わすことが、化身を生み出すために必要だってな」
ここで、丈二先輩がソジに声をかける。
木曽路「だけど俺、ちゃんと全員を見てます。全員の波長を捉えられてるはずなんです。でも、なんでか知らないけど……なんでか…なんでかダメなんだ!!」
丈二「…! 11全員のハーモニーか……。お前が生み出そうっていう、その化身のハーモニーだが…、その『11人』に…、"お前自身"は入ってるのか?」
兵太「…………アッ」
ソジは、何かに気づいた。
兵太(そうか……そうだったのか。俺は、自分自身をはぶっていた…。11人が必要なのに、俺は、俺を入れてなかったんだ…)
ソジは、過去の事を次々と思い出す。
兵太(そうだ…。ずっとそうだった。みんなを笑わそうとしていたとき、俺自身は笑っていなかった…。みんなを楽しませようとしていたとき、俺自身は楽しんでいなかった…。俺は…、常に、自分自身を置き去りにしてきたんだ。そうやって他人に合わせてこそ、自分を犠牲にしてこそ、友達ができると思ってたんだ)
兵太(自分はちゃんとやってるのに…、なぜだ、なぜだ、なぜだ…と。でも違っていたんだ…。友達が遠ざかっていったのは、俺自身が本当に笑っていなかったから……。俺自身が本当に楽しんでいなかったか…『真のハーモニー』は生まれなかったんだ…)
丈二「大丈夫か、木曽路?」
兵太「先輩…」
丈二「ん?」
兵太「俺…、人を楽しませるのが好きなんです。――だけど、自分が楽しんでないから、ちゃんと伝わってなかった…。本当に相手を楽しませるには、自分も、楽しまなきゃなのに…」
ソジは、涙を拭う。ソジの目には、今までと違う光が宿っていた。
兵太「もう、人の顔色をうかがうのは辞める!!」
丈二「木曽路…! 遅せぇよバカ!」
京前嵐山ボールからスローイン。投げるのは孫一だ。
孫一「西條!」
投げられたボールは西條へと渡る。
リル「よし! 決めてやる!」
兵太「させるかっ!」
ここで、ソジが止めに入る。
リル「お前ごときに止められるかぁっ!!」
兵太「木曽路兵太がどんな奴か…。実は計算高くてやな奴な所も、嫌われるのが怖くて、本音を言えないビビリなとこも、ぜーーんぶひっくるめてさらけだす。そんで俺は、みんなと一緒に楽しむぞーっ!」
ソジが、メンバー全員の気の波長を捉える。しかし今度は、自分も含めた、11人全員の波長を合わせていた。
兵太「コレが……木曽路兵太だぁあぁああっ!!」
瞬間、ソジから、オーラの奔流が溢れ出し、まるでサーカスのピエロのような、だが漫画のようなコミカルな、楽しませることに全振りしたような見た目の、緑色の化身が現れた。
兵太「【エンターテイナー】!!」
ソジが生み出した化身、【エンターテイナー】。果たして、どのような力を持っているのか?
後半:7分
蓮ノ空 1 ー 2 京前嵐山
― つづく ―
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