蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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後書きにてお知らせもありますので、よろしければ最後までご覧ください。


高校サッカー編:最終章 8月8日〜8月15日 蓮の湖に太陽は輝く
第151話:円堂家


 

 

 インターハイのもう一つの準決勝、雷門vs函館聖泉は雷門が順当に勝利。

 ――だが、雷門の選手は今まで通りという空気ではなかった。

 

星村「キャプテン、ハルくんがいなくなってから少し変ですよ。まあ、それはそりゃそうですよね」

 

月影「俺は、あれだけハルと一緒にいながら、ハルのことを何も分かっていなかった。実際に、何も知らなかったんだよ」

 

 キャプテンとして、ハルの友達として深い後悔に襲われている月影。

 

星村「…みんな、そうじゃないですか」

 

 星村はそういう。そう――部員のほとんどが、ハルを雲の上の人間に見て…。ハルに、友達と呼べる人間は居なかったんだ。

 

月影「そうだな…。俺…、アイツの家に行ってみようと思う」

 

 月影の言葉に、星村が反応する。

 

星村「ハルくんの家って、伝説の円堂守さんの家ですよ?」

 

月影「ああ…。分かっている。でも、友達がいなくなったんだ。家に行ってどうしてるか、様子を見に行く。普通のことだと思わないか? ハルにはそんな普通のことを、涼太先輩以外、誰もしてやれてなかったんだよ…」

 

星村「そういえば…そうですね」

 

 涼太とハルは、偉大なサッカープレイヤーの親を持つ者同士、何かお互いを共感できるような雰囲気があったのを思い出す。

 

 親の件はどうにもならないが、それを抜きにしても自分たちの今までの"行動"は…今までの自分の行いに暗くなる2人。

 

月影「ハルは、俺を『キャプテン』ではなく、『蓮さん』と呼んでいた。自分をイレブンの1人でへはなく、円堂ハルという個人として見てくれというサインだったのかもしれない。そんなことも、気付いてやれなかったなんて…。だから先輩は、あの時ハルを蓮ノ空の、大海晴也の元に行かせたのかもしれない」

 

星村「あのときは驚きましたよね…」

 

月影「ハルは以前、友達が欲しいと言っていた。涼太先輩とハルは、境遇は近いが先輩と後輩という雰囲気だった。だからこそ、同学年でこれからもお互いに競い合い、日本サッカーを引っ張っていける実力を持つ…自分の弟に任せたんだろうな」

 

 以前、涼太からハルの気持ちを切り替えさせるために蓮ノ空に行かせたと言われた時のことを思い出す。

 あの時は理解できなかったが、今思い返せば正解だったのだろうと分かる。

 

 

星村「じゃあ、私も行きます」

 

 星村が声を上げる。こいつも変わろうとしてくれているのか。

 

月影「いや、俺一人で行くよ。一度帰って着替えてから行くつもりだからな。結果は後でスマホに連絡する」

 

 

 

 その日の夜、月影は円堂家の門を叩いた。

 

― 円堂家 ―

 

月影「…………」

 

 月影の目の前には、この家の家主にして伝説のサッカー選手。円堂守が座っていた。

 

円堂「雷門高校キャプテン、月影…蓮か」

 

月影「っ、はい! 憧れの円堂さんに会えて、光栄でありますっ!」

 

 

 月影は、現在の雷門サッカー部の創設者にして、伝説のサッカープレイヤー。円堂守と対面した。

 

 

円堂「憧れか…ハハッ。俺たちの頃よりも、今の雷門のほうが、ちゃんとしてるけどな」

 

 苦笑する円堂。だが、

 

月影「でも、今の雷門があるのは、円堂さんたちあってのことと言いますか…はい」

 

 緊張する月影。上手く言葉が出ない。

 

円堂「緊張すんなって。…それで、ハルが心配で来たんだよな」

 

月影「あ…はい。ずっと、サッカー部にも顔を出してなくて。学校も休んでるって聞いて…。まさか、噂は本当なんでしょうか」

 

円堂「噂…?」

 

 聞き返す円堂さん。

 

月影「はい。…ハルは、再起不能だって」

 

円堂「ははっ…、アイツそんな風に言われてんのか? まあ、そうかもしれないな」

 

月影「………」

 

円堂「本人次第だ。どんな世界にも、再起不能なんてない。形は変わっても、その世界に関わり続ける道は、必ずある。戻れるかは自分次第だ。ハルにはまだ、それが見つかってないんだ」

 

月影「それは…ハルは本当に再起不能って事ですか…」

 

円堂「ハルがサッカー部に戻らない理由は、足の怪我だけが原因じゃない」

 

月影「え?」

 

 円堂の言葉に聞き返す月影。

 

円堂「たとえ足を負傷しても、サッカーが好きならサッカーの道を行けるはずさ」

 

月影「………」

 

円堂「まあ、いまはアイツを信じて待っててやってくれ。アイツなら必ず、答えを見つけると思うからさ」

 

月影「円堂さん…」

 

円堂「それに、雷門には勝ってもらいたいからな。強いぞ? 天馬は、晴也は、今の蓮ノ空は…」

 

月影「つ! はい。雷門は必ず勝ちます! それでは、俺はこれで……」

 

 月影が行こうとすると、

 

円堂「待て。月影蓮!」

 

月影「?」

 

円堂「夕飯、食っていけよ…」

 

 円堂の顔は、少し青ざめていた。

 

 

 

 その後、円堂家にて夕飯をご馳走になった月影。

 結婚して40年ほど経つはずだが、円堂の妻でかつての雷門のマネージャー、夏美の料理の腕はまったく上達しておらず、男たちの胃袋に食中毒になりかねないダメージを残した。

 

 

― 帰り道 ―

 

月影「うぅ……」

 

 月影はフラフラとした足取りで、ゴロゴロと鳴る腹を抑え、塀にもたれかかりながら覚束ない足取りで家に戻っていた。

 

 

 

ハル『ねえ蓮さん、サッカーってさ…つまんなくない?』

 

ハル『友達が欲しいんですよ…』

 

ハル『蓮さん、俺…』

 

 

 今までの、ハルと出会ってからのやりとりを思い出す月影。

 

月影「俺は勝手に、ハルの保護者のようなつもりでいた。だが俺も、本質的には理解できていなかった。ハルは、あんなにもたくさんSOSを出していたのに、俺はハルの得点を決め続けるプレイを見て、大丈夫だと勝手に思い込んでいた。ハルは孤独だったんだ。なのに俺は…」

 

 

月影「明日、ハルが怪我した試合のビデオを観てみよう。もしかしたら、何か原因が映ってるかもしれない。星村に連絡しておくか」

 

 

― つづく ―




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