蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜 作:松兄
晴也と小鈴が、雷門の月影や、帝国の穂村やアリス。その他とともに欧州サッカーリーグを観に行き、帰ってきてから数日後。
蓮ノ空のグラウンドでは、久しぶりに全員揃っての全体練習が行われていた。
晴也「………………」
ヨーロッパのスタジアムで目撃した「本物」の残像は、晴也の脳裏から離れずにいた。
帰国後の最初の蓮ノ空での全体練習。久しぶりの紅白戦のミニゲームで、チームメイトたちは晴也と小鈴の変化した佇まいに息を呑む。
瑠璃乃「ボールを運ぶスピードを上げて!」
花帆「分かったよ瑠璃乃ちゃん!」
吟子「足引っ張らんでね!」
蓮ノ空の3人のミッドフィルダーが、ボールを持って意気揚々と連係して仕掛けてくる。
吟子「抜くっ!」
ギュンッ!
吟子は足にボールが吸い付くような鋭いフェイントから右足一本でボールを晒し、一気に縦へと抜け出そうとする。
瞬間――!
小鈴「ここです!」
ガッッッ!!
まるでそこを突いてくる事が分かっていたかのように、小鈴はすでに吟子の進行方向に身体を滑り込ませていた。
強引に奪いに行ったわけではない。
ただ、吟子が「右へ行こう」と決断したそのコンマ数秒前の踏み込み、眼球のわずかな揺らぎを察知し、先回りして立ちふさがっただけ。
ボールは吸い込まれるように小鈴の足元へ収まる。
吟子「な……!?」
吟子は足を取られてつんのめり転倒。目を見開いた。
さやか「小鈴さん、いまの読めてたんですか!?」
慈「いや、読みっていうか……まるで未来を見てるみたいだったよ……?」
周囲からざわめきが起こる。しかし、当の小鈴本人は息ひとつ乱さず、奪ったボールを素早く味方の姫芽の足元へ正確なインサイドキックで供給する。
姫芽「小鈴ちゃん……ヤバっ!」
小鈴「……………」
小鈴と晴也が欧州で目にしたプロたちの攻防―――。
そこにあったのは、単なるスピードや筋力の差ではない。
ボールが動く前、パスが来ると分かった瞬間の選手たちの立ち振る舞い―――、
首を振る回数―――、
視線の欺き合い―――、
守備者が攻撃者の思考の裏をかく張りつめた駆け引き―――、
スタジアムの席で小鈴や晴也たち浴びるように吸収した「世界基準の思考スピード」が、いま小鈴の脳内で、元からの相手への観察力と合わさり、より鮮明な映像として結実していた。
相手が何を考え、どこへ逃げようとしているのか―――。
いまや相手の身体の傾きひとつで、次に繰り出すプレイが明快な答えのように頭の中に浮かんでくる。
小鈴「次、行くよ!」ドッ!
小鈴が何気なく投げかけた視線の前には、かつて全国をともに制した仲間たちが、圧倒的なまでに研ぎ澄まされた小鈴の「深み」を増した眼光に呑まれそうになっていた。
姫芽「取り敢えず今度はこっちのターンね!」ダッ!
小鈴のパスのスパイク音から、ボールは右サイドバックの姫芽の足元へ通る。
全国制覇の原動力となったその俊足は、日本での基本的なフィジカルトレーニングで更に研ぎ澄まされていた。
初速の段階で相手を置き去りにするような爆発的な推進力。
ギアが一気に上がり、姫芽はタッチライン際を一直線に駆けあがっていく。
兵太「行かせねぇぞ姫芽!」
その突進を止めるべく、ソジが立ちはだかる。
柔道の異種競技トレーニングを取り入れて練習していたソジ。
体の重心や崩し、絶妙な「間合い」を極めていた。
相手が間合いに入った瞬間に崩し、ボールごと狩り取る間合いの支配者。
一見すれば、どれほどの俊足であっても今のソジの懐に飛び込めば捉えられるように見える。
姫芽(…………………)
だが、疾走する姫芽の瞳は穏やかに澄んでいた。
姫芽(そこだ――っ!)
ディフェンダーが自身の、『絶対に奪える間合い』へと引き込み、まさに踏み込もうとしたコンマ数秒前―――。
姫芽はその鋭利な間合いの境界線を完全に見切っていた。
足を踏み入れ切る直前、スピードを殺さぬまま軸足を滑らせて急
相手が間合いを詰めて奪いに来るその瞬間の重心の偏りを利用するように、右足の
兵太「なっ……!?」
姫芽を自身の間合いに入れたと思ったソジの、『捉えた感覚』は空を切り、詰めた分の重心が仇となって体がわずかに流れる。
そのわずかな隙間を突いて、ボールは姫芽の足から鋭いグラウンダーとなって中央へと折り返された。
守備陣の仕掛けた完璧な間合いすらも利用し、その裏をかく鮮烈なパスが、ゴール前へと刺し込まれる。
さやか「っ! 逆サイド!」
さやか先輩からの指示が飛ぶ。ボールは逆サイドへ。そちらを守っているのは慈先輩だ。
丈二「決める!」バッ!
慈「させるかあっ!」ダンッ!
桜咲先輩が身体のバネを活かしてダイビングヘッドで合わせようと身を投げ出して跳躍する。
慈先輩は顔に当たらないように気をつけて足を伸ばし、カットを狙う。
―――が、
ギュンッ!
丈二「っ!」
慈「なっ!?」
パスは桜咲先輩の頭の数センチ上を通過する。
―――そこへ、
セラス「っ! 晴也先輩走ってる!」
慈「また晴也か!」
ディフェンスの視線が姫芽に集中した瞬間、慈先輩とさやか先輩の死角から逆サイドの裏街道へと走り、フリーで狙っていたのだ。
晴也「決める!」ドゴオッ!!
晴也の
セラス(っ! あと……数センチ……!)
セラス「届けぇえええっ!!」
バチぃっ!
セラスはボールに触れた。
バチィイイインッ!!
セラス「なっ!?」
バシュウンッ!
ボールは、セラスの手を弾き、ゴールネットへと吸い込まれた。
晴也「っし!」ぐっ!
セラス「やられた……」
泉「もう少しだったね。セラス」
セラス「次は止めるよ!」
慈「ごめん。死角に潜り込まれちゃった」
さやか「騎士部さんたち前線の人が戻るときに声出ししてくれてたら防げましたね…」
騎士部「そうだね。ごめん……」
品乃「もうちょっと声出しとコミュニケーションはしっかりだね」
天馬「………………」
かすみ「どうしました? 天馬くん」
天馬「いや、今試合に出るメンバーって、大体が蓮ノ空に元からいたメンバーでしょ?」
かすみ「そうですね」
天馬「一度、5:6くらいの割合でミックス編成で試合してもいいかなって。瑞河のみんな、ちょっと蓮ノ空に遠慮してる気がしてさ……」
かすみ「それだと良くないですね……分かりました。相手を探しておきますよ」
天馬「お願い、かすみ。よし、みんな! 少し休憩しようか!」
その言葉で休憩に入るみんな。
果たして、かすみに探してもらっている試合の相手は見つかるのか?
― つづく ―
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もしも本家ヴィクトリーロードの世界大会編のゲームがあんまり遅くなるようだったら、ブルーロックのUー20ワールドカップ編を軸に書いても良い?
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