蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜 作:松兄
2周年記念のパーティ。千歌(バシム)たちが固唾を飲んで見守る場面にはいる。
不良1「ねぇねぇ君たち〜」
小鈴「な、なんですか?」
前から3人組みの男の人が話しかけてきた。
さやか(この雰囲気、マズイ気がする……)
さやかが晴也を見ると、晴也もヤバいと言う顔をしていた。
不良2「俺たちと遊ばない?」
不良3「そんな男ほっといて俺たちと楽しいことしようぜ」
これってナンパっていうんですかね。小鈴さん震えてますし、先輩として私が言うべきですかね?
――すると、
晴也「部活で来てるので誘うなら他を誘ってください」
ここは相手にしないほうがいいと判断したのか私と小鈴さんの手を取って行こうとする晴也くん。すると、
不良2「はぁ? 男に話してねぇんだよ」
不良1「そうそう。君たちもそんなこと言わずにさ〜」
不良3「そうそう〜」
えっ!?
小鈴「いやっ!」
さやか「は、離してください!!」
それを見ていた皆さんは、
果南(バシム)「コイツラ!」
鞠莉(バシム)「クソ野郎にも程があるわね…」
果林(バシム)「見ててイライラするわね…!」
そして晴也は黙って見てはいない。
晴也「てめぇ! 離しやがれ!」
不良2「ウゼェんだよ!」ドゴッ!
晴也「ぐあっ!!」
さやか「晴也くん!!」
晴也くんの腹に男の膝蹴りが炸裂しうずくまる晴也くん。
不良1「弱っ!」
不良2「情けねぇやつww」
男のうち2人が、私と小鈴さんの腕を掴みながら晴也くんを嘲笑う。いくらなんでも私たちでは男の人の腕力には勝てません。
せめて小鈴さんだけでも……
ガブッ
不良3「いて!? このやろう…何しやがる!」
今です!
さやか「小鈴さん逃げてください!」
掴まれた腕に噛み付いて一瞬離れたからそのまま小鈴さんを掴んでいた人にタックルしてなんとか小鈴さんも離れることはできた。――だが、
さやか「つっ!?」
その瞬間に最初に掴んでた人に捕まった……怖い、怖いけど小鈴さんだけでも逃さないと……
小鈴「さやか先輩!?」
さやか「小鈴さん逃げて! 早く!」
小鈴「でも! 「いいから早くっ!」……す、すぐ助け呼んできますから!」
不良1「逃がすか」
晴也「させるかっ!」バギィっ!
晴也くんが不意をついて自由だった不良をぶん殴って吹っ飛ばす。その間になんとか小鈴さんは捕まらずに済んだ。
果南(バシム)「晴也くん、辛うじてファインプレーだったね……」
晴也「ホントあの時は危なかったです…」
その頃―――、
― 天馬side ―
俺達は3人が戻ってくるまで動画の整理をしていた。――だが、
梢「3人ともちょっと遅くないかしら?」
たしかに…スーパーまではそこまで遠くないはずだし、そろそろ戻ってきていてもおかしくないはず。
丈二「何かあったのか?」
天馬「何もないといいけど…心配だし俺が様子見てくるから留守番……」
小鈴「助けてー!」
ん? 小鈴? 勢いよく走ってくるけど……2人は?
吟子「小鈴どうしたの!? さやか先輩と晴也くんは!?」
小鈴「大変なの!! 2人が!!」
天馬が走り現場に向かうと、晴也がボコられているところだった。すると、男の一人の手がさやかに向かう。
天馬「つ!」
天馬(間に合わない……つ!)
千歌(バシム)「っ!」
みなさんが画面から目を背ける。すると、
ボゴォオォオオッ!!
物凄い音が画面から聞こえた。確認のため画面を見ると、
果南(バシム)「!?」
四季(バシム)「なっ!」
さやかに手を出そうとしていた不良が、勢いよく吹っ飛んでいた。
慌てふためく残りの2人。その間に超高速で何かが動いて残り2人をブチのめす。動きが止まって見えたのは、赤い悪魔のようなオーラを放った晴也だった。
天馬(晴也……!)
さやかはいきなり不良が3人ともぶっ飛ばされたことに驚き、ぶっ飛ばした張本人の晴也を見る。
さやか「ひっ!?」
さやかが晴也を見ると、獣のように光る眼光に浮き上がった血管。途轍もない憎悪にまみれた表情をしていた
――だが、
晴也「…………プツン」ドサッ
エネルギーを使い果たし、糸が切れたと言わんばかりに倒れ込む晴也。さやかは我に返って焦る。
さやか「晴也くん!? しっかりして!!」
天馬「2人とも!」
そこに天馬が到着。さやかは安堵する。
さやか「監督………!」
天馬「ごめん。それで、晴也は……」
さやか「分かりません。突然身体能力が桁外れに上がって……気づいたら……」
天馬「晴也も気づいちゃったかな……」
さやか「え?」
天馬が、さやかに晴也の特質を告げる。晴也は、基本優しい。だが、その身に内包された力は、ちょっとしたことで周りを傷つけ兼ねないほどに大きい。
それゆえに、サッカーする時もそれ以外でも、周りを傷つけないように無意識に力をセーブしている。
―――しかし、本当に怒り狂った時、そのセーブが外れて鬼のようなとんでもない身体能力を発揮する。
そして、その怒った時の力こそ、晴也の本来の全開能力であり、怒った時の力は地球代表の時の竜太を凌ぐ力なのだと。
さやか「じゃあ、今までのあれはまだ本気じゃなかったと?」
天馬「うん。けど、晴也本人はその事に気付いてない。自分は今まで全力でやってたと思ってるはずだよ」
さやか「………………」
天馬「とにかく、さやかは晴也を支えてあげてくれるかな?」
さやか「はい……。私たちは今まで晴也くんに支えられてきました。私だって、晴也くんの支えになりたいですから!」
そこで一度ビデオを止める皆さん。
千歌(バシム)「晴也くん凄いんだね……」
四季(バシム)「自分でも力を自覚してないパターンか」
曜(バシム)「さやかちゃんが助かってよかったよ」
聖良「でも、一つ気になる言葉が……」
鞠莉(バシム)「地球代表っていうのが気になったけど…」
果林(バシム)「宇宙人とでもたたかってたのかしら?」
皆さんの言葉に、かつてのグランドセレスタギャラクシーの事を教えて上げる。
皆さんびっくりしていたが。
果南(バシム)「不良たちを成敗したのはスカッとしたね!」
聖良(バシム)「ですね。一部なのかもしれませんが、男性の汚点です」
四季(バシム)「あんなのは
そう言う果南さんと聖良さんと、ゴミを見るように吐き捨てる四季さん。続いては晴也の修行シーンだ。
晴也「………………」
晴也は1人だけ別メニュー。昨日、さやか先輩が襲われた時のことを心に浮かべる。
晴也「つ!」
心に沸々と怒りが沸く。それと同時に、身体を燃えるような赤いオーラが包み、体の奥から力が沸き上がる。
だが、それと同時に力に飲まれて意識を失いかける。オレは慌てて心を落ち着ける。
晴也(ダメだ………感情をコントロールしないと…………)
俺は再び心を落ち着かせて意識を集中。怒りの感情を湧き上がらせる。するとまた燃えるような赤いオーラが沸き上がる。
晴也(くっ…………)
しかし再び意識を持っていかれそうになる。しかし今度は解除せずに怒りを維持したまま頭を鮮明に、クリアにする。
晴也(ふー…………)
晴也の周りを赤い燃えるようなオーラが包み少し勢いが弱まる。けど、
晴也(くっ……キツイ………!)
俺は維持するのが困難と感じて解除。ドッと疲れが押し寄せる。
晴也「はーっ! はーっ……!」
―――すると、
?「キャプテンに言われて来てみたら、なかなか面白ぇヤツだな」
ん?
声のした方を振り向くと、短髪に切りそろえた髪をしているが、ワイルドな風貌の男性がいた。
九坂「よっ! お前が竜太の息子か?」
晴也「あなたは……元アースイレブンの九坂さん!?」
九坂「おう。キャプテンから頼まれてさ。昔の俺に似てるから見てやってくれって」
晴也「は、はい………」
俺は意識を集中。怒りの感情を湧き上がらせる。それと同時に赤い炎のようなオーラが沸き上がる。
九坂(ふむ………)
その力の放出を一定化して安定させる。しかし、すぐに限界が来る。
晴也「つ! ハァハァ……」
九坂「なるほどな………大体わかった」
すると、
九坂「えっと、晴也だったか? お前、過去にいじめっ子みたいなのから女の子守って拒絶されたことあるか?」
晴也「ああ、つい昨日……食材の買い出しに先輩と行ったときに不良に絡まれて。不良が先輩連れ去ろうとしてキレてボコボコにしました。けど、拒絶はされてない気が……」
九坂「本当に最近だな。拒絶はされてない……じゃあ、その力を自覚して何か気がかりなことあるか?」
それは………、
晴也「あります。この力が暴走してみんなを傷つけてしまってしまったらと考えると怖いです……」
九坂「ふむ………なるほど」
すると、
九坂「これは……やりながら直接チームメイトの声を聞いたほうが良いかもな」
晴也「?」
九坂「お前は恐らく、傷つけてしまうこともそうだが、それによって周りが離れることも恐れてる。だから、周りを今以上に信頼することと、お前自身が覚悟を決めることの両方が必要なんだよ」
晴也「覚悟………」
九坂「たとえ傷つけてしまっても、拒絶されても、それでも最後まで相手を守り抜く覚悟を……」
晴也「………………」
――すると、
天馬「あ! お~い九坂!!」
九坂「キャプテン! 久し振りっす!」
梢「この人……! アースイレブンの!」
瑠璃乃「九坂隆二さん!?」
九坂「おっ、お嬢ちゃん俺のこと知ってんのか?」
慈「サッカーやってる人ならアースイレブンのメンバーの事はみんな知ってますよ!!」
九坂「そうか。キャプテン、ちょっと………」
天馬「ああ」
そして監督と九坂さんが話す中、俺は練習していた物を見せる。
晴也「…………ふっ!」
ボォオォオォオオオッ!!
俺の周りを、炎のオーラが包み込む。
さやか「………………」
――だが、
晴也「つ!」
シュゥウゥウウウンッ……
オーラは解除される。
晴也(また飲まれかけた………)
………すると、
さやか「晴也くん!」ギュッ!
晴也「つ! さやか先輩!?」
いきなり、さやか先輩が俺に抱き着いてきた。
花帆「ええっ!? さやかちゃん大胆!」
吟子「せ、先輩!?」
綴理「おお……?」
みんながどよめく中、俺の心臓はバクバクだ。
曜(バシム)「え、え?!///」
千歌(バシム)「さやかちゃん大胆!」
四季(バシム)「……………」
――すると、
さやか「晴也くん、落ち着いて聞いてください」
落ち着けるかぁっ!!
すると、さやか先輩は俺の手を握る
さやか「この状態でさっきのを試してみてください。絶対に離しませんから」
晴也「い、いや……、それだと安全が……!」
すると、さやか先輩は笑い、
さやか「大丈夫です。わたしは、晴也くんを信じてますから」
晴也「つ!」
―――すると、
梢「何のことかは分からないけど、私たちもあなたのことは信用してるのよ?」
慈「そーそー。なんか昨日から悩んでるみたいだったけどさ? そんなのみんなで受け止めたげるから」
綴理「そうだよ? はる」
この人たちは………、
晴也「………………分かりました。さやか先輩、痛いとか苦しいと思ったら、すぐに振りほどいてくださいね?」
さやか「……善処します」
俺は、さやか先輩に手を握られている状態で意識を集中。この手の温もりの持ち主が害され、傷つけられた時を思う。
晴也「つ!」
ボオォオォオォオォオオオッ!!!!
凄まじい熱量のオーラを発する晴也。さやか先輩の顔に汗が浮かぶが、笑顔を浮かべて優しく手を握る。
―――25%
晴也「つ!」
晴也(この力は、俺の強さであり弱さでもある。でも、どっちも俺なんだ。そんな俺を、仲間と言ってくれる人が大勢いる。――なら、無理に押さえつけるんじゃなくて。共に戦う仲間として!)
―――50%
すると、オーラは相変わらず燃えるような勢いだが、それを維持したまま安定化する。
―――100%
さやか先輩は、握った手を離す。
晴也(ふーーーっ………)
俺はその状態を維持してキープ。目を開けて身体の状態を確認する。
姫芽「ど、どう………?」
兵太「晴也………?」
丈二(近くにいるだけで凄ぇ力を感じる……)
来夏(コレが、晴也の本当の力なのか………?)
晴也「力が湧き上がってくる。でも、ちゃんと意識が保ててる……。さっきまではできなかったのに……」
ここで、俺はオーラを解除する。
晴也「忘れないうちにもう一回」
俺は今度は1人で発動。晴也は目を閉じると怒気を大量に放出させ始めた。
晴也「ぬおぉぉぉおぁあああっ!!」
晴也が唸り声を挙げると突如辺りに強風が吹き荒れる。
晴也(10%……、30%……、50%……)
身体全体に、怒りの凄まじい力を込める晴也。晴也の顔は赤く染まり、ところどころに青筋が立ちこめかみがピクピクしている。
晴也「70%……、90%……、100%…!」
更に怒気の倍率を上げ、遂に限界の100%に到達しする。しかし、晴也は更にオーラを練り上げる。
晴也(エネルギーを高めつつも、頭は冷静に……。怒りをコントロールして解き放つ!)
晴也「はぁぁぁぁあっ!!」
すると今まで溢れていた炎のような燃えるのオーラが突如激しく放出され、晴也の身体を包む。
丈二「つ! すげぇパワーだ!」
来夏「これは………!」
吟子「つ!」
さやか「………………」
みんなの目の前にいるのは、まるでバーナーのような激しい勢いで燃える灼熱の炎の気を大量に放出しながら不敵な笑みを浮かべている晴也の姿であった。
そこで映像をとめる皆さん。
曜(バシム)「やった! コントロールできた!」
千歌(バシム)「すごい!」
鞠莉(バシム)「グレイト!」
果南(バシム)「やるじゃん! 世界が違うとはいえ流石私の孫!」
聖良(バシム)「ええ!」
果林(バシム)「恐ろしいパワーを感じるわよ……」(冷や汗)
四季(バシム)「こんなストライカーが敵にでてきたら、"今の"私じゃあ止められない……」
その後、みんなと一緒に練習に入る。もちろん映画撮影も忘れずにだ。
二人一組でミート練習。二人交互にそれぞれインサイド、インステップ、膝トラップして蹴る、胸トラップして蹴る、ヘディング。で、投げられたボールを相手に返す。
丈二「………」トンッ!
晴也「………」 パシッ シュッ!
丈二「………」トンッ!
そして次は1vs1。今回は最初は綴理先輩がゴールに立つ。
綴理「いいよー」
天馬「……」ピッ!
天馬監督が笛を吹く。最初はさやか先輩vs瑠璃乃先輩だ。
瑠璃乃「行くよさやかちゃん!」
さやか「抜かせませんよ!」
瑠璃乃先輩の高速ドリブル。素早いフェイントから一気に抜きにかかる。――だが、
さやか「そっち!」ザッ!
しかし、瑠璃乃先輩の動きを読んでいたさやか先輩。進路をガッチリと塞ぐ。
瑠璃乃「なら!」
瑠璃乃先輩は上空にボールを蹴り上げて自身も飛ぶ。そして空中を跳ねてドリブルで抜き去りにかかる。
瑠璃乃「[極・スカイウォーク]!!」ピョンピョン!
さやか「させませんっ!」ブァアァアアッ!!
蓮ノ空『!!』
さやか先輩の背から、以前の《ラブライブジャパン》戦の一番最後にみた黒い靄が立ち昇る。
さやか「っ!はあっ!」
瑠璃乃「うわっ!?」
実体化はしなかったものの、さやか先輩の身体能力は飛躍的に上昇。空中でボールをカットした。
晴也(さやか先輩、やっぱり化身を……)
皆が同じことに思い至る。すると、
天馬「さやか、もう一度だ。今度は前に意識を集中する感じで構えてみて?」
さやか「前に意識を? 分かりました」
そして、相手は
晴也「抜くっ!」
晴也はクラウチングスタートの構えから超加速。一気に抜き去りにかかる。
晴也「[スーパースプリントワープ・G4]!!」ドリブルしながら、さやか先輩に迫る。
さやか「前に意識を……これでどうだあっ!!」
さやか先輩の背から黒い靄が大量に溢れ出し、遂に実体化。それは、氷雪の様に白いマントを羽織った魔女のような化身だった。
さやか「はぁあぁああっ!!」ドガッ!
晴也「っ!」
さやか先輩は化身の力でこちらの動きを完全に見きってタックル。ボールを弾き飛ばした。
さやか「や、やった! 晴也くんに勝った!」
皆がさやか先輩のもとに集まってくる。
花帆「さやかちゃんスゴイ! 化身だよね今の!?」
瑠璃乃「さやかちゃんパネェ!」
さやか「まさか私が化身を宿してたとは思いませんでしたけどね……名前は[氷雪の魔女スカジ]にしましょうかね」
丈二「スカジ?」
花帆「たしか北欧神話に出てくる氷の女神様だよね?さやかちゃんにぴったりかも!」
名前も決まったところで練習再開だ。次はソジvs吟子。
兵太「行くぜ百生!」
吟子「抜く! 私の合宿で編み出した新技!」
すると、空に渦巻く暗い雲、《
兵太「つ!ヘビ!?」
吟子の手にはいつの間にか鋭い独特な形の剣が握られており、ダッシュと同時にその剣で大蛇とソジを一閃。すると当時に《叢雲》から雷が落ちてソジを切られたついでに吹き飛ばす。
兵太「おわぁああっ!?」
吟子「[
そしてソジを抜いた吟子はシュート体勢に入ると、吟子がボールにキック一閃。菊の花弁が集まる。
吟子「[真・菊一文字]!!」ドゴォオォオォオオオッ!!
吟子のシュートが、猛然と綴理に迫る。
綴理「[極・ネラッズーロキャッチ]!!」
バシィイッ!!
綴理先輩の右手一本ワンハンドキャッチ! だが、
綴理「わー!」
バシャアアアッ!!
吟子のシュートは綴理先輩の手を弾き飛ばしてゴールをぶち抜いた。
吟子「っし!」
瑠璃乃「スゲー……」
慈「やるね吟子ちゃん……さては隠れてトレーニングしてたな?」
吟子「私ももう少しパワーつけようと思いまして。奏さんに言われた事意識して練習しました」
天馬「よし、じゃあ残り各1本ずつ終わったら、新しい必殺タクティクスの話をしようか」
蓮ノ空『はい!』
果林(バシム)「こっちのさやかちゃんもディフェンスなのね」
さやか「そちらもですか?」
四季(バシム)「うん。けど、もしかしたらこっちのさやかは本来のポジションはフォワードかもしれない。何かの理由でそれを隠してディフェンスやってる気がする」
さやか「? 何でしょうね。そっちの私……」
そして、各ディフェンス、オフェンス1本ずつ行い天馬監督の元に行く。
天馬「終わったね。じゃあ、まずはこのタクティクスの概要を話す。キーマンになるのは晴也と小鈴だ」
晴也「俺?」
小鈴「徒町も!?」
天馬「うん。簡単に話すと、このタクティクスは晴也が試合状況の中から相手の戦術のキーマンを読み解いて、それを分析能力に秀でた小鈴と2人がかりでマーク。相手の戦術の核を機能不全にして動きを殺す。《ブロック・ザ・キーマン》とでも言おうかな」
さやか「《ブロック・ザ・キーマン》………」
天馬「まあ、コレはチーム内練習だと中々練習できないから、帰ったらクロニクルルームでやろうか。じゃあ、そろそろ午前の練習は終わりかな?」
梢「そうですね」
天馬「じゃあ小鈴の個人シーン撮影するから撮影班は残って後は別荘に戻ってて。雨も降りそうだし」
蓮ノ空『はい!』
そして、残ったのは監督、小鈴、さやか、慈、晴也。
グラウンドで撮影する。
さやか「さあ、ちゃきちゃき撮っていきましょうね!」
小鈴「はい……。ふう、緊張してきた」
小鈴は緊張気味に息を吐く。少し震えてる……?
俺が声をかけようとすると、
小鈴「だいじょーぶです、失敗するのは徒町なので!」
晴也「そんなこと言ってる場合か?雨降り始める前に撮り切らないとなんだぞ」
小鈴「……がんばる!」
晴也「ん、頑張れ」
………杞憂だったかな。
慈「はーいそれじゃー行くよ! 3、2、1、あくしょん!」
慈先輩の合図でカメラを撮影モードにする。小鈴をフォーカスに収めて、少しずつ状況に応じて動かしながら撮影する。
小鈴『はぁ、はぁ……上手くいかない……。でも、諦めたくない! 次の相手、相当強い。せめて徒町はこの技を完成させないと……』
小鈴『あたし、ずっとチームのみんなに支えられてきた。ようやく気付いたんだ。ひとりで戦ってると思ってたけど、傍にずっとみんなが居たんだ。だから……』
慈「カット!! ごめん!」
慈先輩……?
カメラを停止させる。
さやか「慈先輩? 今ちゃんと台本通りだったと思いますが」
慈「そうなんだけど……そうなんだけど〜! 違うの! 主人公の事を、ずっと仲間が支えてくれてたわけでしょ。仲間と一緒に勝ちたい。一緒にだったらどんなチャレンジもできる、そういう話でしょ。花帆ちゃんのストーリーはとてもいいんだけど」
慈「だからこそもっとこう……熱が、足りないと言うか」
天馬「ふむ………なんとなく、言わんとしてることは分かるね」
慈「ここは大事なシーンだから、めぐちゃん妥協したくない!」
晴也「えっと、どうしましょう?」
小鈴「何度だってやります!」
天馬「いや、何度もやる時間はさすがに………」
すると、ポツリポツリと雨粒が降り始めてきた。
さやか・慈・晴也・小鈴・天馬「「「「「あ」」」」」
慈「あ―――ごめん急ごう! えっと小鈴ちゃん!」
小鈴「は、はい!」
慈「ピンと来てなかったらごめんだけど、仲間にもっと感情移入して!」
小鈴「仲間に……熱…、熱…………!」
さやか「……慈先輩」
慈「小鈴ちゃんがその主人公と同じ境遇に立ってると思って自分だったらこう気持ちを届けるって感じでやるといいかも……小鈴ちゃん、できそう!?」
小鈴「はい……考えろ、考えろ……あっ!! 分かりました、やってみます!やれそうです!」
慈「よし! 私も全力で見るから!」
慈「それじゃあ、3、2、1、あくしょん!」
小鈴『あたし…………あたしは』
小鈴『ずっと、みんなに支えられてきたんだ。あたしのことを、いつも気にかけてくれて、なのにその気持ちすら口にしたことがなかった』
っ! アドリブ……
小鈴『ひとりで戦ってると思ってた! でも傍にずっとみんなが居た! だから!』
ここで、小鈴ちゃんは雨に打たれながら顔を上げる。
小鈴『皆で見た夢のためにも、絶対に諦めない!!』
小鈴『みんな一緒なら、どんなことだって、いつか叶うよ!』
慈「カット〜〜〜!!」
ここで、慈先輩がカットを入れる。
小鈴「ど、どうでしたか?」
慈「文句なしおっけー!! やれば出来るじゃん、我が弟子小鈴よ!!」
小鈴「はい! 熱ってどう表現すればいいんだろうって思ってたんですけど、みんなを想像してできました!」
慈「えらい! 偶然をアドリブで使いこなす力! うん、実際もとの脚本よりもぜったい迫力出たよ! これが役者の力なんだよ小鈴ちゃん」
小鈴「は、はい師匠! ありがとうございます!」
晴也「び、びっくりしたぁ………」
天馬「小鈴ちゃんすごかったよ! 役者の才能もあるかもしれないね!」
慈「うん! ……監督、撮れましたー?」
天馬「バッチリだよ! 雨の中でも綺麗に撮れたよ。 良い機材を持ってきてくれたさやかちゃんに感謝しないとね!」
小鈴「はい! さやか先輩、ありがとうございます!」
さやか「いえ、お役に立てたなら良かったです。では、戻りましょうか」
天馬「そうだな。みんなびしょ濡れだ……」
晴也「早く戻りましょう!」
そして、俺たは急いで別荘へと戻った。
千歌(バシム)「小鈴ちゃんすごい……」
果南(バシム)「演技の迫力が……」
果林(バシム)「カメラの前での度胸いいじゃない」
慈「でしょ〜?」
何故か鼻高々の慈先輩。
小鈴「恐縮です!」
そして楽しく話をしているが、
晴也「このあと、さやか先輩は風邪を引いてしまうんですよね」
聖良(バシム)「えっ!!」
さやか「続き、見てみましょうか」
晴也と花帆先輩がさやか先輩を部屋に連れて行ってベットに寝かせている頃、リビングでは、
姫芽「晴也くん、なんか顔色が真っ青でしたね……」
梢「そうね。あんな焦った晴也くん、初めて見た気がするわ」
ホントに、あんな晴也は見たことがない。
姫芽「さやか先輩もたいしたこと、ないといいんですけど」
慈「これは私のせいだな………。雨の中頑張らせちゃったから」
少し落ち込む慈先輩。すると、
梢「誰のせいということもないでしょう。そう思うなら、あとで出来ることをしてあげて」
慈「そーする」
梢「ただ」
兵太「ただ?」
梢「まずいことはもうひとつね。屋内だからスケジュールは大丈夫だと思っていたけれど、あとのシーンはさやかさん出ずっぱりよ」
慈・兵太「「!!」」
さやかの寝ている部屋では、
さやか「小鈴さん……。あ、あれ? わたしは…………」
小鈴「食事のあと、倒れて」
小鈴がさやかに事情を説明すると、さやかはハァと息を吐く。
さやか「……………そう、でしたか。これは……熱が出てるんですかね。かなりぼーっとして…………。申し訳ありません、自己管理をないがしろにしてしまい」
小鈴「そんなことないです、さやか先輩のおかげで、撮影は……」
小鈴はさやか先輩のせいでは無いと言うが、さやかは首を横に振る。
さやか「いや、夕食の準備を誰かに任せて、とっととお風呂にでも入れば良かったんです。すみませんでした」
小鈴「謝らないでください! もとはと言えば、徒町がもっとうまくやれてたら、雨の降る前に終わってて」
さやか「そんなの、チャレンジを成功させるためなら、当たり前です。今、何時ですか」
小鈴「夜の10時を回ったところです。その……スケジュール的にはもう」
さやか「………ごめんなさい」
この状況を招いたのは自分だと思ってしまっているさやか先輩。謝罪の言葉を口にする。
小鈴「だから先輩の謝ることじゃ。そもそも、こんな無茶なスケジュールで徒町のわがままに付き合ってもらうだけで、徒町は………、だったら、最初から…………」
やらなきゃ良かった。そう言おうとした小鈴を、さやか先輩が止める。
さやか「やらなきゃよかったなんてことはありません! この映画は、みんなの想いを……乗せられる………本当に――うっ……く!」
さやか先輩は無理に起き上がろうとする。だが、すごく苦しそうだ。
小鈴「先輩! 寝ててください、凄い熱なんですよ!」
さやか「く、うう……!」
小鈴は、苦しそうなさやかの身体を支えてベッドに横にする。
小鈴「さやか先輩…………うう。な、なんとかします! 絶対、なんとかしますから!」
小鈴「徒町は諦めないことだけが取り柄なんです、だから、絶対……絶対!」
そして、小鈴はさやかの部屋を飛び出した。
その後、廊下で晴也と綴理と会った小鈴。
晴也「……なんでさやか先輩なんだよ! クソッ!」
小鈴「ビクッ は、晴也くん……?」
晴也の剣幕に恐怖を覚えたのか、小鈴の体が震える。
晴也「あ、悪い……。今すぐにでも、さやか先輩と代わってやりたくて。でも、できなくて……自分がもどかしくて仕方ねぇ。こんな気持ち初めてだ……」
さっき熱を測ったら、39℃近くあったし……。
綴理(はる、もしかして……)
俺の言葉に、綴理先輩の眉がピクリと動く。
四季(バシム)「もしかして……晴也くんも?」
晴也「ええ。たぶんこの頃から好きだったんだと思います。自覚はなかったんですけどね」
さやか「…………////」
果林(バシム)「いい彼氏を持ったじゃないのよ〜」ニヤニヤ
果南(バシム)「大切にしなよ?」
晴也「分かってます」
そして映像に戻り、
綴理「そっか」
小鈴「えっと……看病とか……行きます?」
綴理「ボクじゃ何もできないから。寝てるさやの、邪魔もしたくない」
晴也「今日はもう時間的に病院も開いてないから、 明日になったら連れて行くって監督が」
小鈴「…………ごめんなさい」
小鈴が謝る。
綴理「……なんですずが謝るの?」
小鈴「こんなことに、なっちゃって」
綴理「……こんなことに、なっちゃったね」
小鈴「はい………。でも」
晴也「でも?」
小鈴「………どうにか、したくて」
綴理「映画を?」
小鈴「……どうにかする方法は、わかんなくて。みんなが思いつかないものを、徒町が思いつくわけもなくて」
晴也「…………」
小鈴「先輩……晴也くん……」
小鈴「どうにか、できませんか? これでダメだったら、きっと、さやか先輩も……!」
綴理「ん……そうだね。さやはきっと、自分のせいだって」
晴也「言うだろうな。さやか先輩、自分で背負い込むタイプだし……」
俺だって、さやか先輩にそんな思いなんかさせたくない。
小鈴「さやか先輩は、徒町の思いつきに、もうみんなの想いが乗ってるって言ってくれたんです。徒町も、この合宿でそれを痛いほど感じました。映画を作る中で見た、みんなの楽しそうな顔を……憶えてるんです……! なのに、終わっちゃう…………!」
泣きじゃくる小鈴。小鈴に、綴理先輩が落ち着いて声を掛ける。
綴理「すず、ボクにはどうすればいいのかは、分からない」
小鈴「うう」
綴理「夢が終わるって、つらいね」
小鈴「あ」
小鈴は、今回のきっかけになった雪佳ちゃんとのやりとりを思いだす。
小鈴「そっか。雪佳ちゃんも、同じ気持ちだったのかな……。こんな風に、どうしようもなくなって、それで……もう、終わりだって」
小鈴は、すこし考え込む。
綴理「すず?」
晴也「小鈴?」
小鈴「だったらなおさら、諦めちゃだめだ! 終わらせちゃだめだ! だって、諦めたくないからあの映画を撮ったんだもん! たとえ何度失敗したって認めない、そういう気持ちで頑張ったんです。だから、だから……!」
綴理「………ああ、そっか」
小鈴「…………綴理先輩?」
綴理「あの映画がすずなんだとしたら。あの映画にすずの気持ちが込められているんだとしたら。すず。これはきみにしか思いつけない」
綴理先輩……?
小鈴「先輩、なにを」
綴理「今、ボクたちは失敗したんだ。「次」、どうすればいい?」
小鈴「あ、考えろ、考えろ! 失敗したんだ、すぐに次に行けるのが徒町の唯一の……これは終わってない、失敗しただけ。これまでやってきたことは、終わってない……!!」
晴也「閃いたか?」
小鈴「………先輩」
綴理「何か、思いついた?」
小鈴「はい。これは、サッカー選手の映画なんです」
綴理&晴也「「うん」」
小鈴「たとえどんなに無様に負けたって、……諦めないで、何度だって立ち上がるのがサッカー選手だと思うんです!」
小鈴「まだ、まだ終わってません! お願いします。協力してください!」
綴理&晴也「「分かった!」」
そして、小鈴はリビングに向かった。
晴也「綴理先輩、俺たちも行きましょう」
綴理「うん」
そして俺と綴理先輩は、さやか先輩以外のメンバーを全員リビングに集めた。
吟子「でも小鈴。まだって言ったって」
吟子がまだと言ってもどうするのかと聞く。
小鈴「これを、見てください。今まで出来た………みんなで作った映画です」
小鈴は、これまで撮影した映画のシーンを再生する。
小鈴「伝えたい想いは、全部込めました。それは……諦めないってこと。どんなことがあっても、諦めないってことです!」
丈二「それは……でもよ」
小鈴「もう終わりだって、思いました。でも、きっと雪佳ちゃん……徒町の友だちも、 同じ気持ちになったと思うんです。それを励ましたくて作って……その気持ちも分かった」
小鈴「だからこそ、出来ませんでしたで終わっちゃいけないんです! 大事なのは、終わらないこと。いつか成功するって信じること!」
花帆「……………うん、なんとなく、言いたいことは分かったよ!」
瑠璃乃「えっ? …………ど、どうするの?」
小鈴の出した答えとは……、
小鈴「はい、だから……作りたいんです。“終わらないエンディング”を!」
吟子「終わらないエンディング……?」
小鈴「このままでは終わらない。まだまだ続く……徒町たちのサッカーみたいに!」
来夏「一度その映画のエンディングは作る。でも、まだまだ続く。そういうこと?」
小鈴「はい! ………どう、でしょうか!」
梢「……………待っていて、考えるから。そうね。これは、インターハイに挑戦するサッカー部員たちの映画」
晴也「続きは……本当のインターハイで」
梢「は、少し大げさだけれど……でも、そうね。私たちの挑戦はこれから。いえ、チャレンジ、かしらね」
瑠璃乃「ルリは小鈴ちゃんの気持ちがその友だちに届くならなんでもいいよ。まだ終わりじゃないよって、伝えてあげたいんだね?」
小鈴「ぁ………はい!」
一縷の希望の光が差し込む。
綴理「任せて、すず。頑張るから」
小鈴「はい! さやか先輩のためにも……徒町も、できることを全力でやります! それが、みんなの夢を乗せたチャレンジだから!」
そして《終わらないエンディング》を作り、蓮ノ空に戻ってきた数日後、雪佳ちゃんは外国に旅立ったが、夢を追い続ける事を決めたらしい。
それを大いに喜んだ俺たち。その後、映画について小鈴が、
小鈴「ん~晴也くんが言ってたことが、頭に残ってるんです。『続きは本当のインターハイで』って」
小鈴「ああ、そうしたいなって思ったんです。 徒町の演じた、インターハイを、全国優勝を目指す主人公の気持ちを通して……それに、みんなでひとつの大きなものを作るって経験を通して、感じたんです。――インターハイ、頑張りたいって!」
晴也「同じことだから、かな?」
小鈴「はい! サッカーも映画も、同じことなんです! どっちも、みんなで作る芸術……だから映画でも、徒町小鈴でも……みんなと一緒に、チャレンジに成功したい! だから――映画の続きは、インターハイに優勝してからにしたいです。その方がきっと、いいものになると思うから!!」
そして蓮ノ空は、インターハイ県予選に臨むことになる。
千歌(バシム)「何この感動ストーリー……! さっきから泣かせに来てるの!?」グスッ
曜(バシム)「良い子すぎる……」ウウッ
果南(バシム)「……………」(号泣)
鞠莉(バシム)「果南泣きすぎよ…」(自分も号泣)
聖良(バシム)「…………」
果林(バシム)「晴也くん、さやかちゃん、お幸せに」ニヤニヤ
さやか「ありがとうございます////」
四季(バシム)「今のところサッカーのシーンが殆ど無いけど……」
晴也「そうですね。でも、次からいよいよお待ちかねのインターハイに入りますね! 県予選準決勝と、全国決勝をそれぞれお送りします!」
《4》につづく
感想&お気に入り&評価、よろしくお願いします!!
この物語を全編でどのくらいの回数読みましたか?
-
最近読んでなくて久しぶりに
-
今出てるのは一周しました
-
面白くて何周かしてます