蓮ノ空×イナズマイレブン 〜英雄たちのヴィクトリーロード〜   作:松兄

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第81話:自己独創性(オリジナリティ)

 アウローラに股抜きシュートを喰らい同点に追いつかれた俺たち日本代表。

 

……………。

 

晴也「くっそが!(アウローラに全部持ってかれた。ずっと、ずっと狙ってやがったんだ。俺の股下を抜いてシュートを打てるタイミングを。イタリアの統率システムを逆手に取ってゴールを奪う瞬間を!)

 

 

 ―――やられた。

 

 

晴也(アウローラの最高の想像力(イメージ)通りに全部食われた!)

 

 すると、

 

征也「晴也、悪い。べリザリオのマンマーク、最後までついて行けなかった。くっそ……」

 

晴也「征也………。いや十分だ」

 

 あのパスが通ってしまったの、征也は悪くない。

 

征也「え?」

 

晴也「お前のプレーは確実に効いてた。ゴールを奪えなかったのも失点も俺の読みが甘かったせいだ」

 

征也「晴也……」

 

晴也「あとちょっとなのに……アウローラに、べリザリオに、イタリアに、勝てるで未来(ビジョン)が想像できない――」

 

晴也(もう、打つ手が………)

 

 そんな時だった―――。

 

 

アナウンス『おっと、日本。ここで選手交代です!』

 

 

晴也「え……?」

 

 

 

 ――その少し前、日本ベンチ……。

 

 

二子「どうしますかコレ……」

 

慈「イタリアの動きに対応できてるのがね……晴也しか居ない………」

 

 ベンチが重い雰囲気に包まれる中…

 

仁王「……………」

 

 仁王は何かを考えていた。

 

仁王(大海の凄さは知ってる。が、一番すごい欠片(ピース)はそれじゃない。大海の天才的なプレーは間違いなく、一生かかっても手に入れられる人間は少ない。それよりも着目するべきはその道程(かてい)。なんで大海はパスコースやシュートコースを見つけて、誰よりも早くたどり着けたか)

 

仁王(その理由は間違いなくあの目の使い方。人間の目は基本、二つの視野がある。①ピントを合わせてそれが何かを認識する"中心視野"と、②中心視野の外側にある解像度の低いぼやけた"周辺視野"。サッカーは、瞬時に入り乱れるフィールド上の選手やボールを認識するのに、周辺視野からどう情報を把握(キャッチ)するかが重要)

 

仁王(中心視野でボールばかり見てれば情報は少なくなって周囲への状況判断が遅れてしまう原因になる。でも、理解(わか)ってても、全力疾走したりドリブルやパスのときは誰しもフォーカスして視野が狭くなるのがプレーヤーの常識)

 

仁王(なのに、大海は多分、ほぼずっと周辺視野で戦場(フィールド)の情報をインプットし続けてる。誰が今どこにいて何をしようとしてんのか。敵味方、全てのデータベースを常に更新し続けることで、圧倒的情報量から割り出して、誰にも理解できない最善の地点(ポイント)にたどり着いてるんだ)

 

仁王(つまり、俺たちの見えてる世界より上の次元からフィールドを見てるようなもの。戦場(フィールド)の現状が2次元だとしたら、それぞれのプレイヤーが思い描くやりたいサッカーイメージが3次元。その理想のプレーを目指して動き回る選手同士のミスや綻びをさらに上の図面から予見(キャッチ)して破壊する。大海の眼と(アタマ)は言うなれば……)

 

 ―――4次元の視界。2次元、3次元の思考回路を上回る視点。超越視界(メタビジョン)

 

仁王(プロ時代に鬼道監督が使ってたと言う技。でも、今フィールドにそれに即座に対応できる人間は居ない……)

 

 なら……。

 

仁王「監督……俺なら合わせられます」

 

鬼道「……よし、行って来い。仁王!!」

 

 

―― ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ――

 

 

アナウンス『ここで日本選手交代です! 鹿角秋選手に代わり、仁王龍星選手が入ります!!』

 

 

 

MEMBER CHANGE!!

日本代表

 

秋 out → in 仁王

 

 

 

秋「くっそ、アタシか……」

 

 秋がフィールドから出る。

 

秋「頼むよ!」

 

仁王「ああ。大海晴也!」

 

 ここで、仁王は俺のもとに来る。

 

晴也「なんだ? ここで交代って……」

 

 俺がそう問いかけると、

 

仁王「俺ならイタリアの動きに対応できるっていう判断だ。それと……夕霧綴理!」

 

綴理「!!」

 

仁王「もうイタリアの動きと、眼と(アタマ)の使い方は学んだだろ。行けるな?」

 

綴理「……うん!」

 

晴也「!! 分かった。頼むぞ」

 

 そして、日本ボールのキックから試合再開。

 

 

ピィイイイーーーーッ!!

RESTART!!!

 

 

 キックからボールを戻し、ボールは俺に。

 

晴也「よし………」

 

 ボールを晴也()が持ち、俺と仁王で攻め上がるが、すぐそこへべリザリオが止めに入る。

 

 

MATCH UP!!!

晴也 vs べリザリオ

 

 

べリザリオ「さあ来いよ」

 

晴也「図に乗るなこの野郎「こっちだ!」っ! 仁王!」パスッ!

 

 仁王にパスを出すと、べリザリオは追ってプレスをかける。

 

仁王「(べリザリオが自らプレスに来た。さっきまでとは全然違うぞ。だったらここは俺が引き付けて……)大海!」

 

 ここでボールを俺に返す仁王。そこへ、ビーチェとビアージョが止めに入る。

 

 

MATCH UP!!!

晴也 vs ビーチェ&ビアージョ

 

 

晴也「邪魔だ!」

 

 俺は通常のシザースで揺さぶってからの、引導狭足(ドラッグシザース)で緩急をつけて一気に抜き去る。

 

ビーチェ「っ!挟んで!」

 

 ビーチェの指示。しかし俺は綴理先輩にパス。

 

綴理「ナイスパスはる!」

 

 一気にギアを上げて単独で突き進む綴理先輩。

 

ブルーノ「ディフェンス止めるぞ!」

 

カロージェロ「このまま撃たせてたまるか!」

 

ベルティーナ「外警戒!」

 

綴理「(さっきとは違う。見えてるよ!ホントは出したくないけど!)そこ!!」

 

 綴理先輩はパス。左足から放たれたボールは、大きな山なりの弧を描きながら緩やかにカーブしてサイドに飛ぶ。

 

ベルティーナ「はっ! そんなところ誰も…!?」

 

乙夜「ちゅーす」

 

 ここで、乙夜が飛び出してトラップ。ボールが渡る。

 

ベルティーナ「まずっ!!」

 

 

MATCH UP!!!

乙夜 vs ベルティーナ

 

 

 急いでベルティーナが止めに入る。――が、

 

乙夜「無駄」ユラァッ

 

 乙夜の身体が幻のように揺らぎ、完全に消え失せる。

 

ベルディーナ「!!」

 

 気づいた時には既に抜かれている。

 

乙夜「[ファントムドライブ・A]」

 

 

 

実況『あーーっと! 乙夜影汰! 抜け出したぁっ!!』

 

 

 一気に日本のチャンスになる。

 

ベルナルド「ディフェンス気をつけろ!!」

 

カロージェロ「撃たせるかっ!!」

 

 カロージェロのスライディングタックル。だが、

 

乙夜「貸イチな!」パスッ!

 

 ここで乙夜はパス。ボールは……、

 

涼太「ナイス乙夜!!」

 

 ペナルティエリア内で兄ちゃんにボールが。これは決定的なチャンスだ。

 

涼太「決める!!」

 

 兄ちゃんが必殺シュートのモーションに入ると、足元に黄金の魔法陣が二重に出現。

 思い切り踏み込んで踏ん張り、足を振り下ろす。

 

涼太「[真・ハイオーディンソード]!!」ズギャァアアァアアアンッ!!

 

 兄ちゃんのシュートが、今度は至近距離から襲いかかる。

 

ベルナルド「止めるっ!!」

 

 ベルナルドは、両手でシュートを止めに行く。

 

ベルナルド「[爆・黄金の両腕]!!」ガチィイイイッ!!

 

 しかし、ここでベルナルドの技は進化。止められてしまう。

 

涼太「っ!!」

 

 するとここで……

 

 

 

ピッ、ピィイイイーーッ!!

―― 前半終了!! ――

 

 

実況「あーーっと! ここで前半終了! 日本対イタリア、2ー2の同点で折り返しです!!」

 

べリザリオ「マジか………」

 

ビーチェ「アタシたちが決めきれないなんて……。なかなか無いわよ………?」

 

 驚いた様子でベンチに戻っていくイタリア。

 

晴也「―――っ!」ガクッ!

 

 俺は突然目眩に襲われて膝をつく。

 

綴理「っ! はる!!」ガシッ

 

 それを綴理先輩が支えてくれる。

 

さやか「大丈夫ですか!?」

 

晴也「ハー……っ! ハー……っ!」

 

梢「息も荒いわよ……?」

 

さやか「とにかく手を貸します」

 

 そして手を貸してくれるさやか先輩に捕まってベンチに戻る俺。

 

鬼道「大海………」

 

晴也「監督……。ハー……っ ハー……ぁ」

 

鬼道「急いで糖分を補給しろ。お前の頭、処理する量が多すぎてオーバーヒートを起こしかけてる。このままでは持たないぞ……」

 

晴也「っ! でも、俺が抜けたら………」

 

さやか「はい。残念ですけど晴也くんが居ないとキツいです……」

 

鬼道「よし。中川! 後半は藤島と交代だ!」

 

征也「っ! はい!」

 

慈「よっしゃ!」

 

 慈先輩が着ていたベンチコートを脱いでユニフォーム姿になり、準備運動(アップ)を始める。

 

鬼道「後は……乙夜! ハルと交代だ!」

 

乙夜「ちぇっ」

 

ハル「っ! はい!」

 

鬼道「お前は夕霧、仁王と一緒に晴也のサポート。負担を少しでも軽くしてやれ」

 

ハル「分かりました!」

 

晴也「頼むぞ……ハル…………っ。ハー……っ!」

 

 ――すると、鬼道監督が話し始める。

 

鬼道「まずこの試合で勝つための鍵。それは自己独創性(オリジナリティ)の証明。世界の壁にぶつかり、前半をこの高次元(ハイレベル)かつシビアな環境で戦い続けた。今のお前らにとって、自己独創性(オリジナリティ)とは何だ。―――自分だけのプレイスタイルか?はたまた自分に付けられる評価か?」

 

晴也(いや、少なくとも俺は違う――)

 

 みんなの顔を見ると、その言葉に納得はいってなさそうだった。

 

鬼道「……そう。それは表層的な答えにすぎない。自己独創性(オリジナリティ)とは=『飢餓(ハングリー)』だ」

 

慈「『飢餓(ハングリー)』…?」

 

鬼道「持って生まれた資質(モノ)ではなく、誰かに与えられる評価(モノ)でもない。お前は何に飢えているか、それこそが、その人間の自己独創性(オリジナリティ)なんだ。このイタリア戦で勝つために、お前は合理的に求められる役割に徹したり、自由に己の理想を貫いたり、自主的に自分への破壊と創造を繰り返すことで、強制的に問われてきたはずだ。『何者になりたいか』を」

 

 俺がみんなを見ると、この言葉は腑に落ちたようで頷くみんな。

 

鬼道「絶対に勝ちたい。死に物狂いでアイツを止める。あいつを出し抜きたい。一番が欲しい。ここで(あら)わになったその飢餓(ハングリー)こそが、今のお前の自己独創性(オリジナリティ)であり、世界は待ち焦がれているんだ。お前たちのその、挑戦的集中が見せるフットボーラーの輝きを」

 

鬼道「このイカれた熱狂の連続の中で、戦い続ける人間を俺は、"プロフェッショナル"と呼ぶ。さあ、飢餓状態(ハングリー)エゴイストとたち。後半を戦う準備はできてるか」

 

日本代表『はい!!』

 

 ――すると、

 

風丸「糖分持ってきたぞ! ほら、晴也……」

 

晴也「あ、ありがとうございます……〜〜っ!はぁ……」

 

 甘いものを食べて(アタマ)が喜んでいる。

 

 ―――ふぅ。

 

鬼道「落ち着いたか? もう少し食べておけ」

 

晴也「はい……!」

 

さやか「ドリンクもどうぞ。スポーツドリンクですけど」

 

晴也「ありがとうございます……」

 

 俺はハーフタイムの間とにかく糖分を摂取して頭を回復させることに務める。

 

鬼道「さて、後半、攻めは蓮華、涼太、ハル、仁王、夕霧の5人をベースにしろ。どうすれば良いか分からなかったら晴也に出せ。いいと言うまで晴也はとにかく回復させる」

 

日本代表『はい!!』

 

鬼道「それと、ディフェンスは後半から入る藤島を司令塔にする。お前の読みが頼りだ。頼むぞ!」

 

慈「まかせんさい!!」

 

鬼道「よし、乙宗は前半は良い守りだった。後半も頼むぞ!」

 

梢「はい!!」

 

 そして、その指示を軽く聞き流す程度に頭を休めて、いよいよ後半の時間が迫る。

 

鬼道「よし、晴也、無理は承知だ。どうしても無理ならすぐに交代する。頼めるか?」

 

晴也「はい。少し回復してきました…」

 

鬼道「悪いな……頼むぞ!」

 

晴也「はい!!」

 

鬼道「お前たちが貫きたいプレーをぶつけ合え! そこから生まれる化学反応が、勝利の鍵だ!」

 

日本代表『はい!!』

 

そして、両チームポジションに付く。

 

 

MEMBER CHANGE!!

日本代表

 

乙夜 out → in 円堂

 

征也 out → in 慈

 

 

FW     蓮華  涼太

 

OMF  仁王  晴也  ハル

 

DMF      綴理

 

DF 蜂楽  さやか  慈  千切

 

GK        梢

 

 

実況『いよいよ後半開始です!!』

 

 

 

 

後半:0分

 

日本 2 ー 2 イタリア

 

― つづく ―




感想・評価宜しくお願いします!!

ぶっちゃけ本編とNEXT DREAM編どちらの方が面白い?

  • 本編
  • NEXT DREAM
  • コラボ回(キャプテン翼サンシャイン)
  • コラボ回(二つの世界のサッカー)
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