拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
テルエル空港、飛行機の墓場とも呼ばれるここには、役目を終えて最後を待つ機体、次の主を待つ機体がその時を待っている。
多くは民間航空会社で使われていた旅客機で、戦争が始まってからは誰も引き取らず誰からも気にされない場所のはずだった。
「3機目、ザフトは整備隊を送り込んでたか」
ピックアップトラックを借りて飛ばしてきたが、ザフトは整備隊を送り込んで旅客機の整備を進めていた。
ここに来てからもう3機も離陸している、それでも70機以上の旅客機が並んでいる。
これだけあれば貨物も人も輸送が楽になるだろう、連合上層部が知っていて対処を依頼していたのなら急がないといけない。
「ワークスジンが駐機場に1機、滑走路の両端に1機ずつ、ジャンク屋から奪ったものか?」
空港の防衛についているMSはワークスジン、ジンをジャンク屋組合が改造した民間仕様機。
主にジャンク屋組合のコーディネーターが使ってるが、地球に持ち込まれた機体もあったのだろう。
オリジナルのジンが使えるザフトが使う理由はあまりないが、接収品の員数外なら整備隊が持っていてもおかしくはないか。
アサルトライフルを装備して、ジンと同じカラーに塗り替えられていてジャンク屋のマークも消されている、代わりにザフトのマークが書かれているから、国際的には問題なしか。
「あとはリニアガンタンクが駐機場北側に4両、見える範囲でこれか」
ドローンのおかげでリニアガンタンクがいるのは確認できたが、空港には妨害電波発生装置もおかれてるのかドローンを接近して反対側がわからない、デカいMSは目立つからわかるんだがな。
さて、そろそろついたころだろうか?
「ソキウス、シルヴィ、応答してくれ」
『こちらソキウス、配置につきました』
『マスター、シルヴィも配置につきました』
「敵はワークスジンが3機、駐機場西側に1機、滑走路の北と南に1機ずつ、全機アサルトライフルを装備している」
『こちらでも確認したです』
『狙撃で排除します、他には?』
「駐機場北側にリニアガンタンクが4両、それ以外は不明だ」
『了解、それだけわかれば十分です』
『マスター、退避を』
「余裕がなくなったらそうする」
NJの影響下で長距離通信はできないが、中継点を多数設置することである程度カバーできる、先に設置してくれた同僚には感謝だな。
「作戦を開始する、攻撃開始」
さぁ、ドンパチの始まりだ。
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シルヴィ SIDE
テルエル空港の北西を走る道路の影に駐車したトレーラー、そのうえでうつ伏せになって伏せるプロトジンのコクピットの中で、シルヴィは攻撃の時を待っていた。
「ソキウス様、シルヴィは動けます」
『いえ、狙撃で減らします、クナはデータの読み上げを』
『わかったです』
ソキウスとクナの乗る長距離強行偵察複座型ジンの装備には専用の狙撃銃がある、機体に搭載された高価なセンサー類と合わさり高い精度での狙撃を可能とする。
ソキウス達はテルエル空港からみて北北西にある駅にいて、そこから狙撃を実行する。
『滑走路北のワークスジン、距離は3km、風速1m、向きはそちらの画面で確認できるです』
『了解』
付近に砲声が響くと、敵のワークスジンが周囲を警戒する、命中したのだろう。
『ダウン、次は駐機場の機体 距離4㎞、風速同じ』
『迂闊な』
次の一撃で、駐機場で警戒していたワークスジンの脇腹にあたり、コクピットから炎が噴き出す。
ザフト軍もここまでされたら襲撃されたことを理解する、滑走路の南にいたワークスジンが北に向け移動する。
『シルヴィさんは空港へ』
「了解」
狙撃に対応してザフトが動いたところで、シルヴィもプロトジンのスラスターを吹かして空港へ接近する。
ザフト側もこちらに気づいたが、振り返ろうとしたワークスジンが狙撃され、地面に倒れる。
MSがすべて倒されてもなお、ザフト軍は抵抗をやめようとはしなかった。
『シルヴィ、歩兵は無理に倒す必要はない』
「マスター!」
『現地のレジスタンスと話はつけた、歩兵は無視していい!』
「了解」
歩兵は無視していいと言われたとはいえ、ザフトの歩兵が鹵獲したであろうピックアップトラックの上から歩兵用ライフルを撃ってくる、シルヴィはそれをプロトジンのアサルトライフルで粉砕する、周りにいる歩兵もろとも。
「くっ!」
『シルヴィ!』
「大丈夫です、マスター」
ジャンク屋や傭兵をしていれば死体なんて見たくなくても見てしまう、慣れたつもりであったが、吹き飛ぶ歩兵を見て気分のいいものではなかった。
それでもザフト軍は歩兵とともにピックアップトラックに武装したテクニカルで攻撃を仕掛けてくる、空挺部隊が占領しているという情報通り、その戦意は簡単には失われなかった。
「リニアガンタンク!」
シルヴィを狙い顔を出したリニアガンタンク、その車体にアサルトライフルを叩き込み爆発させる。
狙撃でも数を減らしていたこともあり、この空港にMSを倒せるだけの戦力は一見すればないように見えた。
『シルヴィ、駐機場にある旅客機を破壊してくれ』
「よろしいのですか?」
『ザフトに持ち出されるくらいならな、ザフトが占領したのも連合に破壊されないためだろうし』
「了解」
シルヴィは駐機場に並んだ旅客機に対し、アサルトライフルを叩き込んでいく。
どうせ保管されてるか解体予定の機体、これらの無傷での確保は依頼なんてされてない。
作業として、淡々と弾を叩き込んでいく。
「マスター、残弾残り僅か」
『よし、撤退だ!』
「了解」
これで任務終了、そのはずであったが、ザフトはそう簡単に返してはくれない。
『…まて、南から何かが高速で接近してくる!』
「マスター?」
『急いで北北西へ、ソキウス達と合流を!』
「了解!」
シルヴィはソキウスとの合流を急ぐが、それよりも敵機が来るのが早かった。
「機種…ジンハイマニューバ!2機」
『畜生!宇宙用の機体だろ!』
姿をあらわしたのはジンハイマニューバ、宇宙戦闘における機動力を強化したジンのエース仕様機である。
多くは宇宙軍のエース向けの機体であったが、地上で遭遇することは想定しないなかった。
左肩にはANZACの文字が書かれており、使っているのはただのザフト兵ではないのは明らかであった。
≪空の化け物と言われてるくせに、傭兵風情にやられてるなんてなぁ≫
『シルヴィ、気にせず逃げろ!』
≪逃がすかよ傭兵がぁ!≫
≪ここでくたばっちまいなぁ!≫
機体のスピーカーで叫びながら、シルヴィにアサルトライフルを撃ってくる。
シルヴィは距離を取って、ジグザグに逃げるしかなかったが。
≪その程度でハイマニューバから逃げ切れるかよ!≫
「くっ!」
ハイマニューバの直線加速性能は地上でも発揮され、シルヴィのプロトジンにいともたやすく接近する。
アサルトライフルに付けられた重斬刀で切りかかってくるが、シルヴィも腰の重斬刀で防ぐ。
≪さすがにコーディネーターか、だがこの程度じゃな!≫
相手のハイマニューバはシルヴィのプロトジンを蹴り飛ばす、倒れてしまい無防備になるが、スラスターを吹かして地面を滑り串刺しになるのは何とか避ける。
≪へたくそ!≫
≪うっせぇよ!≫
「強い、ふざけてるけど」
ジンハイマニューバに乗るだけあって、敵は弱くない、人格面はあれだが。
シルヴィは距離を取るが、先ほど地面を滑ったのでアサルトライフルはもうない、あるのは重斬刀だけ。
「マスター」
『支援する、ソキウスも支援!』
『了解している』
支援と言われてすぐに理解できなかったが、ハイマニューバの頭の周りを何かが飛び回る、それはラジコン飛行機だった。
この隙にシルヴィはハイマニューバ2機から距離を取る。
≪なんだこれ、この≫
≪そんなハエ無視しろ!≫
ハエと言っていたが、ただのハエではなかった。
ラジコン飛行機はハイマニューバのモノアイ目掛け突っ込み、爆発した。
≪クソッたれ!≫
≪ナメた真似しやがって!≫
モノアイが破壊された方はよろめき、もう1機がシルヴィを狙うが、そのライフルが突如爆発する。
『シルヴィさん急いで!』
「感謝します」
≪逃がすか!≫
≪後続も来る、俺はライフルを拾ってくる!≫
≪そんな暇あるか!≫
ハイマニューバ2機は戦闘続行を選ぶ、シルヴィを狙い加速しようとするが、さらなる狙撃が飛んでくる。
『シルヴィ、敵の増援が来る!』
「マスターは?」
『こっちはどうとでもなる』
増援の機体も来る、それをどうするか考えるとき、聞きなれない風切り音が響く。
「何?」
『そこのジン後退しろ、任務は僕が引き継ぐ』
≪なんだあのシャトル?≫
≪味方…じゃねぇな≫
戦場に現れたシャトル、そこから降りてきたのは、白と黒で塗られたジン。
≪避けろ≫
≪あっ?≫
『まずは1機』
空から降りてきたジンは、モノアイをやられたハイマニューバをアサルトライフルでけん制し、ライフルを失った方のハイマニューバのコクピットを重斬刀で貫き、立ったまま墓標にする。
『こちらはマイスター社所属メレディス・スー、エルテル空港の旅客機破壊、そして地上に下ろされたジンハイマニューバの確認のためここまで来た』
「シルヴィ・コッペリオン、イベリアのマイスター社の命令で」
『知っている、僕は指揮官をしていた無能の尻ぬぐいで来たけど、彼より君の主は優秀なようだね』
目の前のジンのパイロット、メレディスは左手に重斬刀を持ち、ハイマニューバと対峙する。
『撤退しなさい、君たちの仕事は完了してるはずだ』
「ですが」
『増援も来てる、撤退だ、支援はレジスタンスがする!』
「…了解、ご武運を」
シルヴィが離れると、隙を探りあっていたハイマニューバとメレディスのジンが重斬刀で鍔競り合い、銃撃を始める。
支援もできず、その場を離れることしかできなかった。
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宇宙から飛び入り参加がいるとは思わなかったが、まさかエースのメレディスとは。
とりあえず離れたが、シルヴィのジンは。
「マスター、自爆の準備終わりました」
「よし、急いで離れるぞ」
トラックに載せて急いで離れる、スラスターが壊れたプロトジンは、畑の真ん中で派手な火柱となった。
持ち帰れないし整備のあてもない以上、こうするしかない。
『アランさん、シルヴィさん、無事ですか?』
「飛び入りでエースが来たので無事だ、プロトジンは処分した」
『お二人ともご無事でよかったです』
『そのエースも数機落として撤退したみたいです』
「化け物だな、だからエースなんだが」
飛び入り参加したエースのメレディスは、あの後増援のジンを落として離脱したらしい、詳しいことはわからないが一人だったことを考えるとな。
「マスター、メレディス様からデータです」
「内容は?」
「マドリードへ行かず、アンドラを超えてフランスへ撤退せよと」
「アンドラか」
マドリードの支社に向かわないってことはそういうことなんだろ、指揮官の尻拭いって言ってたし。
『フランス支部からも連絡が来ています、こちらへ合流せよと』
「スペインからは撤退か」
『本部からも、パリでしばらく休めと来てますです』
「マスター」
「なら、お言葉に甘えるか」
現地の連合軍がどう思うが、こっちは傭兵、一足先に撤退しても文句は言われない。
とはいえ、先に逃げ出すわけだ、連合兵に見つからないように行動しないといけないがな。
一般公開しても
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いいんじゃない?
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チラシの裏がテメェの居場所だ