拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
エイプリル・フール・クライシス
ザフト軍のニュートロンジャマー散布により発生した原発停止によるエネルギー危機や通信網破壊による社会システムの崩壊を含む一連の混乱の総称である。
原作においては地球連合各国でおよそ10億人の餓死者が出たとされている。
この世界においても発生していたが、その数は疑念の目を向けられている、なんせ戦時下な上に水力発電や風力発電の電力はどこに消えた?となる、そもそもこのころの地球連合加盟国はプラント理事国と南アフリカ統一機構で、大洋州連合、南アメリカ合衆国、凡イスラム会議、アフリカ共同体、赤道連合は動向不明だがオーブやスカンジナビア王国は明確な非加盟国だ。
プラント理事国とアフリカの半分…各国で副次的理由での死者も含めても10億なんて短期間で餓死とは考えにくい、少なくとも1国で1億人以上短期間で餓死なんてしたらザフトの仕業だとしてもその前に政権が崩壊するし、軍需生産に回していたのならそこで働く連中は食えてるわけだから襲撃されること間違いなしだ。
ゆえに、この10億という数字はこの世界では餓死者以外も含んでるだろ絶対と扱われてる、というか上流階級は破壊を免れるためとか言って高効率の太陽光発電システムを隠蔽して自分たちだけ助かってたからな、そりゃソキウスの皆さんもナチュラルを最も殺した連中認定しますよ。
ザフト側も水力や風力等の他の発電手段を持ってること前提で実行しただろうし、ロゴス幹部の皆さんがリンチされたのってエイプリルフールクライシスの被害者市民による報復だったのかもしれないな。
さて翻ってこの世界、死者の数は連合発表で10億人だが、直接の死者は多くても半分ではと言われている、詳しい数字は戦時中なので統計は取ってるのだろうけど正確な数字は今後わかることはないと思われる。
その理由の一つがラウンドテーブル社のエネルギー部門が進めていた太陽光発電衛星群によるエネルギー供給がある。
Vガンダムで出てきたハイランドと似たようなもので、宇宙で発電してマイクロウェーブに変換し地球に送る、ラウンドテーブル社はL2に密閉型コロニー群持ってたから太陽光発電技術は重要だったので、その関係で発電衛星の設置を進め、ついでで地球にエネルギーを売っていた。
それを無償提供し被害減少を図った、まぁそれがどう使われたのかはこちらからは知ることができない、軍需に大半回してたら電気代請求するつもりだとか、まぁ人道的観点からの無償提供なのでね、欲しけりゃ自分たちで発電衛星整備しろってことなんだろう。
まぁそんな重要施設なんですが、戦争に巻き込まれてしまい破損したりしてるものもあり、そこを海賊の根城にされてしまう事態も発生している。
「ジャンク屋崩れの海賊、アルバーニの集団はL1にあるラウンドテーブル社の発電衛星を占拠しています、母艦はマルセイユ級でジンを保有しています」
「組合からは何と?」
「12:00をもってアルバーニの集団をジャンク屋組合から除名するとのことです」
「これで殴っても揉めませんよだな」
俺達はアガメムノン級カツラギを受領後、完熟訓練もかねてL1宙域にある発電衛星の奪還任務に従事している。
ここを占拠すればうまくいけばエネルギー売買で海賊するよりも金が入ることがある、定期的に見回りはしてるが今回みたいなこともある。
整備を頼んだジャンク屋が金に目がくらんで占拠する、まぁ海賊とジャンク屋二足の草鞋履いてる連中もいるからな、見つかり次第組合は除名追放してるけど。
傭兵とジャンク屋?これはセーフなんだなちゃんと船は分けてるし。
「マスター、どうしてジャンク屋は武装してるのですか?規制してればこんなことには」
「私も気になるです」
シルヴィとクナはジャンク屋がMSで武装してるのが不思議か、確かに前世でもジャンク屋組合は悪の組織、徹底的に解体すべし、兵器を私的利用するなテロリスト扱いされていたが。
「あぁ、なんせジャンク屋組合の武装は合法だからな、そうしないと大西洋連邦とブルーコスモスとプラントが困るから」
「?」
「?」
「まぁ、そうなりますよね」
意味わかんないよな、でもほんとに合法なんだよこれが。
「兵器を個人で保有すること自体は合法だ、古い兵器のコレクターがいたり動く戦車を個人保有する連中も居たりするんだ」
「戦前はエアレースで軍用機部門がありましたからね」
「物好きですね」
「すごい趣味です」
これらは軍から払い下げられたものであったが、それでも兵器を個人が保有することに対する合法性の説明にはなると拡大解釈されている、その拡大解釈はどうなのとなるが、ともかくこれで兵器の保有は合法になった。
「そして武装してる理由だが、ぶっちゃけ大西洋連邦、その前身のアメリカの憲法で市民の武装する権利が認められてるからとしか言えない」
「シルヴィさんもアメリカにいたとき市民から撃たれましたよね」
「そうでした」
「私も拳銃を渡されてました」
「ライフル協会が海賊がいる宇宙では武装して身を守るのは必須だと訴えたのさ、組合から頼まれてもないのに」
前世であったアメリカの銃問題、この世界でもバッチリありました。
都市と田舎では銃の重要性が違うことから温度差あるけど、旧アメリカの憲法修正第2条が大西洋連邦にも形を変えて受け継がれている、市民が武装する権利を認めている。
そしてジャンク屋組合設立にあたり大西洋連邦国籍の人員も含めて武装禁止を制定しようとしたら、ライフル協会が吠えたのだ‘宇宙では海賊から身を守るために武器は必要なのに、それを規制するとは何事か,と。
ライフル協会としてはここから銃規制を強める気ではないかと警戒していたようで、まさかMSのライフルを振り回すとは思ってなかったようだが。
「さらにブルーコスモスがそれに乗っかった、悪性コーディネーターから身を守るには武装する必要があると言って、結局大西洋連邦はそれに言い負かされてジャンク屋組合が武装するのを認めたんだ」
武器を規制されるとブルーコスモスが完全な違法武装のテロ組織になってしまう、すくなくともこれを認めていれば危険なコーディネーターから身を守るためにやむなくとか言い訳できる。
まぁそれでも過激でヤバイ組織には変わりないのだが。
「なら、プラントはなぜですかマスター?」
「そうです、プラントは武装してない方がいいはずです」
「クナさん、それがそうでもないんです」
「ぶっちゃけて言うとな、ザフトの法的根拠も修正第2条なんだよ」
あ、シルヴィとクナが宇宙猫になってる、そうだよな、そうなるよな。
そもそもプラントは元々プラント理事国が管理していて国籍もそっちだった、だから大西洋連邦国籍の連中がいたわけ。
そして彼らは公民権運動から学んだ、非暴力派は有名だが、憲法修正第2条を根拠に武装して武装したグループの影響を無視することはできない。
そして彼らはそれを真似た、自分たちがブルーコスモスから自衛のため武装するのは国民が武装する権利により認められていると。
そうなるとジャンク屋組合の武装を否定できなくなった、彼らも海賊から身を守るために武装してるんだから。
「まぁそういう法律とか政治とかドロドロした理由によりジャンク屋組合は武装してるんだ」
「マスター、この世の中それでいいんですか?」
「誰も大したお金にならないジャンク回収なんて興味ないんですよ」
「税金は使えないから、一番安い方法が」
「ジャンク屋組合に丸投げすること、必要悪の側面を認めてな」
ぶっちゃけ宇宙のゴミ掃除は税金使ってやるほどの利益は見込めない、個人でやる分にはある程度利益は出せるがそんなに多くない。
組合にすることでリサイクルの流れを構築して、そこにかかる経費を削減することで十分な利益を出してる連中だったりする。
「まぁ、今回みたいなのはごく一部だ、分母がでかいからちょいちょい出るが、ブルーコスモスの過激派と比べれば小数点だ」
「そもそも民間軍事会社が武装してるのにジャンク屋組合が武装できないというのは法の上であり得ませんからね」
「…」
「シルヴィちゃんが固まってますです」
まぁソキウスの言う通り、民間軍事会社や傭兵がMS乗り回して戦闘できるんだから、ジャンク屋組合がMS乗り回して自衛してもええやろが成り立つんだよね、どっちも武装して兵器使ってるわけだし。
それが契約、もしくは自衛の為なのか、反社会的行動なのかの違い。
「シルヴィ、そろそろ発電衛星に近づくから」
「…!マスター、申し訳ありません」
「気にしなくていい、初めて聞いた時は俺も固まったし」
「クナ、戦闘配置へ」
「了解です」
難しいお話はおしまい、今大事なのは、相手はジャンク屋から海賊なったということ。
ジャンク屋組合を襲えば面倒な後処理が待っているが、海賊ならそれがない。
「シルヴィ機、発進準備よしです!」
「よし、シルヴィ、新型だからこそ気をつけろよ」
『了解、マスター』
「ソキウス、全火器の安全装置解除!」
「了解、オールウェポンズフリー」
さて、組合の中でいればよかったのに、海賊なんてしちゃった報い、受けてくれよな。
一般公開しても
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いいんじゃない?
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チラシの裏がテメェの居場所だ