拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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9.2

海賊 SIDE

 

アルバーニを頭目とする海賊は、大急ぎで武装していた。

 

「畜生、ギルドめ俺達を追い出しやがって!」

『いつか復讐してやる!』

『せっかく飯の種を確保したっていうのに!』

 

この集団に属する若いコーディネーターのパイロットは、愛機を引っ張り出して周辺を警戒する。

愛機は両腕をグーンのそれに交換したジンで、右手にはジン用のアサルトライフルも装備している。

この改造ジンはこの集団の標準的な機体で、他の仲間もそうだった。

 

『いいかお前ら、相手は一隻敵は一機、恐れることはねぇ!』

「へい、頭!」

『殴って叩いて、俺達を襲ったことを後悔させてやれ!』

「もちろんでさぁ!」

 

いかついスキンヘッドの男、アルバーニの指示で警戒態勢を取る改造ジン、接近してくる機体は、望遠でも確認できた。

 

「こいつはシグー…いや背中のブースターが単純な四角いものになってるな」

『シグーには変わりねぇだろ!』

『新型だ、絶対にとらえろ!』

 

新型は高く売れる、海賊だってそのくらいはわかっている。

仲間が突っ込み、彼もそれに続く。

 

「鉛玉を食らえ!」

『撃ちまくれ!』

『ヒャッハー!』

 

3機からのアサルトライフルの一斉掃射、しかしシグーはそれをバレルロールでかわすと、さらに近づいてくる。

 

『こいつ!』

「ケイ!」

 

ケイと呼ばれた男の改造ジンが左腕からミサイルを放つ、だがろくに照準されていなかったそれはシグーをとらえることはできない、しかしシグーはこれを手にしたアサルトライフルで撃ち落し爆発させる。

 

『やった!』

「まだだ!」

『逃げろ!』

『あっ?』

 

その爆発を撃墜と勘違いしたケイは、不覚にも隙を見せてしまった。

爆炎から現れたシグーはそれを見逃さず、ケイの改造ジンに取りつくと、コクピットにアサルトライフルの銃口を向け、一発で仕留めた。

 

「ケイ!」

『クソッたれが!』

「距離を取れ!」

『いわれんでも!』

 

ケイが死んだことを瞬時に理解すると、生き残った二人は発電衛星へと逃げ込むべく距離を取る。

シグーもケイの改造ジンから重斬刀を手に入れ、それを左手にもって追ってくる。

男は改造ジンの左腕からミサイルを放ち、それを自爆させて煙幕の代わりにする。

 

「スコット、早くミラーの下へ!」

『くそ、こんな相手は!』

 

スコットも同じくミサイルの爆発を煙幕代わりにしていたが、その煙を光線が貫く。

おそらくシグーの母艦からの艦砲射撃、あたりはしなかったが、恐怖を与えてくる。

 

「ここまでくれば艦砲は」

『そうだな、しかしどこの連中だ』

「ラウンドテーブル関連じゃねぇか?」

『マイスターか、めんどくさい奴め!』

 

この発電衛星の持ち主と飼い犬の事は知っていたが、まさか奪い返しに来るなんて思ってなかった。

 

『ここを直したのは俺達なんだ、なら俺達が使ったっていいだろ!』

「金の亡者め」

 

アルバーニの集団は、最初はジャンク屋組合の依頼としてこの発電衛星の修理のためにやって来た。

その後、この施設が金の生る木であると気が付くと、武力でもって占拠したのである。

直した俺達にも権利がある、そう言ってただの修理依頼だったのにである。

 

「そういえば、シグーは?」

『さぁ、どこ行きやがった?』

 

襲撃と艦砲射撃から逃れるために、ミラーの下に入ったのだが、彼らはシグーを見失っていた。

あたりを警戒しているが、スラスターの光はない。

 

『どこにいやがる』

「…!スコット、後ろだ!」

 

彼がそう叫んだが、スコットに振り返る時間はなかった。

ミラーに張り付き、蹴りで勢いをつけたシグーがスコットの背後にいた。

スコットは気づくことができず、貫くだけの勢いをつけるためスラスターを吹かしたシグーの重斬刀に、背後から貫かれた。

 

「くそ、クソッたれが!」

 

両腕のミサイルと重斬刀をシグーに向け乱射しながら、彼は後退する。

シグーはスコットの改造ジンを蹴り飛ばして離れると、スラスターを吹かし回避する。

相手もアサルトライフルを撃ってくるが、ミラーを蹴ることで左右にステップを踏み回避する。

 

「頭は、逃げ始めたか!」

 

彼は母艦であるマルセイユ3世級が離脱し始めてるのを確認した、ここでシグーを引き離しさえできれば、今は生き残ることができる。

MSに乗れるコーディネーターは貴重だ、殺すことはできない、彼はそう考えていた。

 

「なら、もう一度!」

 

彼は右腕に残ったミサイルでミラーを撃ち、爆風と破片でシグーからの視線を遮る。

そのまま離脱し、母艦を目指すが。

 

「よし、これで」

 

生き残れる、そう思った彼の目の前で、ミラーの影から出た母艦を2本の光線が貫いた。

母艦は膨れ上がり、まばゆい光を放ちながら、四散した。

 

「あ…あぁぁぁ!」

 

彼は叫ぶしかなかった、母艦を失ったMSに待っているのは、死だ。

軍隊なら仲間の船に拾ってもらうか、敵に降伏できる、だが彼にはできない。

 

「クソッたれがぁ!」

 

彼は後ろから迫るシグーにアサルトライフルを乱射する、それに対しシグーは左右に小刻みに動き回避する、そして左手に持っていた重斬刀を投げつけてくる。

 

「そんなもんが当たるかよ!」

 

彼は改造ジンの上半身をひねることでそれを避けたが、シグーを一瞬見失ってしまった。

機体に衝撃が走る、シグーが左肩をつかみ、アサルトライフルの銃口が首元から彼を狙っていた。

 

「クソが!」

 

それが、首元のライフルから放たれた弾丸につぶされた、彼の最後の言葉となった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「敵母艦撃沈、最後のMSも活動停止です」

「圧勝だな、まぁ素人海賊相手なら当然か」

「戦闘終了、火器類の冷却開始」

 

相手が退役軍人や脱走兵の海賊だったらこうはならなかっただろうな、ジャンク屋崩れの素人海賊だからこそだな。

 

『マスター、敵機を持ち帰ります』

「了解、シルヴィ、機体はどうだ?」

『刃物類が欲しいです』

「発注しておく」

 

シルヴィもシグーを操って圧倒してたけど、重斬刀装備できないからそこは改善だな。

奪ったやつ使ってたけど、これ相手が素人だからできたことだし。

 

「しかし、あいつらまた壊しやがって、今度の修理はどうするんだ?」

「アランさんがやるのでは?」

「ジャンク屋はイエローポニーでしかできないからな?」

「マイスター社の仕事としてです」

「あぁ、そういうことね」

 

まぁラウンドテーブル社の保有物だし子会社のマイスター社に直せと連絡来るのもへんじゃないか、でもね。

 

「でも資材ないから直せないよ、取りに帰らないと」

「そうでしたね」

「忘れてたです」

『マスター、ジンが3機です、3機』

「わかった、格納庫に放り込んでくれ」

『了解です』

 

まぁ、海賊は退治したし、グーン腕のジンは売り払えばいいし、初陣にしては上出来ということで。

次来る時までに、今日出た問題を解決しておかないとな。

一般公開しても

  • いいんじゃない?
  • チラシの裏がテメェの居場所だ
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