拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
戦争という物は、兵士達が銃を撃ちあい兵器がぶつかり合うだけではない。
闇というべき部分でも、戦いは起こっている。
「連合からペルガミノ経由の依頼だ、我々はこれより、L5宙域にある放棄された資源衛星を根城とするマフィアを支援する」
「このマフィアはプラント内部で麻薬をはじめとした違法薬物を販売、そして生産することで利益を得ています」
「そしてマフィアは連合に情報を流すことで武器を得ている、ザフトにとってはつぶしたい相手だ」
麻薬を売りさばくマフィアはプラントにとってみれば反社会的勢力、連合としてはこれを支援して内政にダメージを与えスパイの出入り口として確保しておきたい。
プラントもそれには気づいていている、スパイも麻薬もお断りしたいのだ。
「我々の任務は、麻薬の製造プラントを破壊しに来るザフト軍艦隊と戦うことだ」
「でも、悪い人たちなんですよね」
「クナ様」
「確かにそうだが、連合からすればそうじゃない、なにせ非合法だからな」
プラントの穏健派としては、これから話し合いをしたいとなれば連合に主戦派を煽られたくはない。
記憶が確かなら、10月会談は極秘で実施されたはず、だが会談が極秘でも主導権争いや妨害阻止は行われていてもおかしくない。
プラントとしては会談させてもいいと連合に思わせたい、連合軍としては政府に会談する必要はないと思わせたい。
まぁ真実がどうであれ、会談前の駆け引きに関係あるかどうかは実際のところ分からないが。
「シルヴィはシグー、ソキウスはジンでマフィアの拠点近くで待機」
「了解」
「了解です」
「クナは射撃管制を、操舵はこちらで」
「了解です」
さて、ザフトのマフィア討伐艦隊、どうなるのやら。
ーーーーーーーーーー
シルヴィ SIDE
マフィアの拠点は、小惑星をつなぎ合わせた古い資源衛星。
資源は掘りつくされ、今はマフィアの麻薬製造拠点となっている。
シルヴィとソキウスは、近場の岩石に隠れて、様子をうかがう。
「マフィアはメビウス?」
『連合からの支援品かもしれません』
施設を守るマフィア側は複数のメビウスで武装していた。
連合から支援を受けてるとしても、ずいぶんと豪華な装備であると感じられた。
『まぁMS相手では、心もとないでしょうね』
「MSも買えないなら、組織としては大きくない?」
『所詮はマフィアですよ』
そのような会話をしていると、レーダーが敵を捕らえる。
数は6機、マフィアのメビウス隊も行動を開始する。
「敵接近!」
『いよいよですね、僕たちも接近しましょう』
「了解」
二人は岩に隠れながら、戦場へと接近する。
マフィアのメビウス隊は果敢に攻撃を仕掛けるが、2機のジンに阻まれている。
残る4機のジンは、M66キャニス短距離誘導弾発射筒を装備していた。
「ソキウス様は攻撃隊を、護衛はシルヴィが」
『わかりました』
「では…行きます!」
シルヴィはシグーのスラスターを吹かし、戦場へと飛び出す。
メビウスを相手していた2機のジンは彼女の存在に気づいていなかった。
「貰います!」
シグーのアサルトライフルの1連射は、メビウスを撃ち落していたジンの頭部を破壊する。
これに反応したもう1機のジンが、アサルトライフルを撃ちながら突っ込んでくる。
「来るなら、これを」
シルヴィはシールドで防ぎながら、アサルトライフルを腰に回し、シールドに装備されたアーマーシュナイダーに手をかける。
ジンは重斬刀を手にし、切りかかる。
「不用心に、仕掛けるから!」
シールドで重斬刀を受け止めると、手にしたナイフをジンのコクピットに突き刺す。
ナイフを引き抜けば、例え生きていても、宇宙では死ぬ。
「ソキウス様、支援は必要ですか?」
『こちらも片付きました、要塞攻略装備に負けたりしませんよ』
ソキウスの方も、4機のジンを相手にしていたが、相手は要塞向けのD装備。
MS同士の接近戦となれば、鈍重な装備をしている方が不利なのは、当然であった。
『そのジン、回収しましょうか?』
「お願い」
シルヴィはコクピットを破壊したジンをソキウスに投げ、回収してもらう。
頭を破壊されたジンを探すが、マフィアにやられたのか見当たらなかった。
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『こちらは敵の攻撃隊を殲滅』
「了解した、こちらも仕掛ける」
シルヴィとソキウスはMS隊を殲滅した、次は俺たちの番だ。
「敵母艦のローラシア級、捕捉したです!」
「数は1隻、増援が来る前に叩くぞ」
MSの運用は母艦ありき、周囲に直掩がいないのは助かる。
「最大速力、敵艦の斜め上方2時方向から仕掛ける」
「了解です」
カツラギの推力を最大にして、一気に近づく。
相手も反応しているが、少し遅かったな。
「対空砲火来るです!」
「構うな!」
レールガンに対空機銃が飛んでくるが、相手は出力を落としていたのか反応が遅い。
これなら、いける!
「ミサイル発射!ゴッドフリート発射!」
コントローラーの引き金を引くと、ミサイルが飛び出し、ゴッドフリートが放たれる。
ミサイルはローラシア級後方に、ゴッドフリートは一発は外れたが、もう一発は中央部を貫いた。
「すれ違います!」
「推力そのまま!」
推力最大だからすれ違いは一瞬だが、ぶつかりそうな距離で抜けるからやっぱり怖い。
相手の被害はわからないが、これで仕事は完了だ。
「敵増援、接近中!」
「シルヴィ、ソキウス、仕事は終わった、撤退だ!」
『マスター、それは』
「時間は稼いだ、マフィア連中も覚悟してる!」
そもそも、こうやって部隊を差し向けられた時点で、マフィアに勝ち目はない。
依頼も攻撃であって、施設の防衛ではない。
第一陣はつぶした、あとはマフィアがどうするか判断する。
「合流ポイントで拾うからな」
『了解、ソキウス様』
『わかっています、また後程』
仕事はした、マフィア側も施設の放棄を終えたらしい、こちらとは別方向にシャトルが脱出している。
「アランさん、マフィアから嫌がらせをするから離れろと」
「施設を自爆させるのか、了解した」
知らせてくるなんて、律儀なマフィアだな。
少しして、小惑星をつなぎ合わせるシャフトや、小惑星の表面が爆発した。
目くらましとしてはちょうどいい、デブリに対応してる間に、こちらは二人を回収できるのだから。
誤字報告、ありがとうございます