拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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「オーブからの…依頼?」

「そうだ、ペルガミノがオーブとつながってるなんてびっくりだ」

 

L5宙域での仕事を終えて数日、俺たちは月への軌道を取っていたが、その移動中に入ってきた仕事の依頼主には驚かされた。

 

「依頼内容は脅迫ですね、ただし相手も傭兵です」

「お家騒動だそうです」

「あの国氏族制だしな」

 

オーブは立憲君主制に近い国家体制、氏族と5大氏族で国政をまわしてる。

まぁこの世界では言うて議会の力は強いし、実質的国政を担う分野は平民議員も多い、5大氏族や力のある氏族がいろいろやってるが、氏族だから政治に参加できるほど甘くはないようで。

 

「なぜ、お家騒動が」

「そりゃ、氏族だって人間だからな」

 

この世界でもそうなんだが、現首相のウズミが当主を務めるアスハ家、ヘリオポリスやアメノミハシラを管理し宇宙分野を収めるサハク家、この二つの家は現在直系後継者がいない。

ウズミは弟のホムラが後継者だが、アスハもサハクも次の世代にあたる子供たちはどちらも養子だ。

 

「氏族は血のつながりを絶対とはしないし、それでも継ぐのは自分がふさわしいと喚く奴はいるわけさ」

 

カガリもロンド姉弟も、所属する氏族の血を引いていない、無論オーブの相続ではそこは重視しないらしい。

ただそれで納得できない人間がいるのもまた事実、断絶しないように5大氏族から離脱し、下級氏族になった連中には特に。

 

「今回の対象はアスハ家現当主のウズミ首長の祖父の弟の子、要は再従兄弟(いとこちがい)にあたる人物です」

「そいつには息子がいる、だからホムラの次は自分がふさわしいと、愚痴ってるそうだ」

「マスター、なら今その3番目にいるのは?」

「カガリ・ユラ・アスハ、獅子の娘とも呼ばれてるな」

「雑誌で見たことあるです、活発な方で人気もあるとか」

 

カガリ・ユラ・アスハ、ウズミの養女だが家督継承権は第3位、なんだが何も起きずウズミが引退すればホムラが年齢を理由に辞退してこのカガリが継承する、という予想がすでに立ってるくらいのお人。

活発で国のあちこちや兵士の訓練にもたまに顔を出してるせいか、兵士を始めオーブ国民からは結構人気あるんだよなこの世界だと。

まぁあの性格だし、自分で動いたり見に行ったりでいろんなところに顔出してるみたいで、それで顔を覚えてもらってる感じだ。

このあたり、あまり顔を出さないロンド姉妹や下級でも力を持つセイラン家のユウナと差別化できてる。

 

「まぁ焦ってるんだろうな、そんな人気のある養女が家督を継承したら、自分の立場が揺らぐと」

「揺らぐのですか?同じアスハ家なのに」

「血のつながりを重要視しないからこそ、揺らぐのですよ」

 

もしカガリが当主になれば、ウズミの従弟ちがいという血のつながりが消える。

無論、カガリがアスハ家傍系の男性とつながれば完全には消えないが、そうならない可能性が高い。

そうなると、カガリ以降のアスハ家と血のつながりがなければ、ただの親戚程度の扱い。

カガリがそこらへん配慮するとは思えないし、重用される可能性も下がる、それは困るということだ。

 

「そういうわけで、相手は傭兵を雇って、存在感を示そうとしてるわけです」

「それを殲滅するのが、今回のお仕事ってわけだ」

「連合とプラントとの、話し合いとは」

「無関係だな、まぁどうつながってるのかは知らん」

「怪しいところの仕事には変わりないです」

 

まぁそうだよな、ただ何のために傭兵集めてるかが気がかりか、考えられるのは力を示して家中での発言権を増すため。

あるいは…まぁ、それはあとでいいか。

 

「報酬はマイスター社にてイズモ級戦艦の建造を許可するとのことです」

「大きく出たな、ウズミ首長も」

「中立なのでは?」

「そうです、それなのに」

「傭兵そのものは国家じゃないからな、言い訳はできる」

 

オーブは中立国、他国を侵略しない、他国の侵略を許さない、他国の争いに介入しない。

これを掲げて中立を宣言している、オーブはザフトからヘリオポリスやマスドライバーを守れるだけの、連合から本土を守れるだけの戦力が整ってない現状、この判断は間違ってない。

そんなオーブにとって、国家でないマイスター社に戦艦1隻に渡すのは問題ないということか。

 

「場所は?」

「月軌道上、タイミング的には相手は月から上がってくる真っ最中です」

「了解、攻撃位置につく、シルヴィはシグーへ」

「了解、ソキウス様は?」

「今回の相手はシルヴィさん一人で十分ですよ」

 

相手の傭兵は素人、シルヴィが苦戦するほどじゃない。

この前回収したジンもあるから、クナも出れるけど、シルヴィにはまだ任せられないからな。

 

ーーーーーーーーーー

 

シルヴィ SIDE

 

標的は、コペルニクスから上がってくるローラシア級、シルヴィはそれをしっかりと捉えていた。

 

「マスター、目標の後方から行きます」

『わかった、気をつけろよ』

「了解です」

 

カツラギから発艦したシルヴィのシグーは、最高速で目標に迫る。

 

『目標の影から別の船、シノーペ級です』

「了解、排除します」

 

ローラシアの陰に隠れ、こちらから死角になっていた場所にいたであろうシノーペ級。

MSを積んでいないらしく、備え付けのミサイルポッドで迎撃してくる。

 

「その程度なら、避けられる」

 

シルヴィはバレルロールでミサイルを交わすと、シールドのガトリング砲をシノーペ級の艦橋に浴びせる。

元より防御力が高くないシノーペ級の艦橋は穴だらけになり、戦闘能力をなくす。

 

「次は、ローラシア級」

 

シルヴィはシノーペ級の残骸を蹴って方向を変え、ローラシア級に接近する。

彼女が狙うのは、艦右側のエンジン部。

 

「動きを、封じれば」

 

右エンジン後方に迫ると、アサルトライフルをスラスター部に叩き込む。

至近からの被弾に耐えられず、右エンジンは爆炎を吹き出し機能を停止する。

推力バランスが崩れたローラシア級は、ゆっくりと右へ回り始める。

 

「立て直しは、させない!」

 

相手もすぐさま残りのエンジンで立て直そうとするが、シルヴィは中央のエンジンにアサルトライフルもガトリングもありったけ撃ち込む。

中央と右側のエンジンが破壊されたローラシア級は、残った左エンジンのみでは前に進むのさえ困難になる。

止めはカツラギの艦砲、そう思っていたのだが。

 

『シルヴィ、目標が降伏した、こちらに戻ってくれ』

「了解しました、マスター」

 

ローラシア級は不利を悟り降伏、この戦いはこれで終了となった。

 

ーーーーーーーーーー

 

アスハの従兄弟違い、あっさり降伏したな。

まぁ、殺すのは目的じゃなかったからいいけど。

 

「制圧は…できませんね」

「フォンブラウンかグラナダから人呼ぶしかないだろ」

「そうですよね」

 

ローラシア級の武装潰してないからな、機関部は完全破壊したわけじゃないから、まだ使えるだろうし。

まぁ、撃ってくるならこっちもゴッドフリートを撃つまでだ。

 

「とりあえず積み荷の目録ぐらい出させろ」

「わかりました」

 

まぁ、積み荷の中身は気になるな、ジンなんだろうけど、作るだけならモルゲンレーテでも作れるわけだし。

 

「目録、届きました」

「どれどれ…ジンはジンだが」

「特殊仕様、ですね」

 

積み荷はジンだが…火炎放射器付き?こんなもんどこで使うんだどこで…。

 

「…あぁ、そういうことか」

「アランさん?」

「あの従兄弟違い、傭兵集めてたのは連合かザフトの義勇兵をするつもりだったのかもな」

 

オーブ国内で存在感を示すためで傭兵集めてると思ったが、それだとクーデター疑惑で潰されかねない。

それよりは国外で活躍すればいい、オーブは国家としては中立、でも国民が自分の意志で向かうのは別。

おそらくは連合かザフト、どちらかに取り入るための準備中だったんだろう。

 

「まぁ、義勇兵なら全滅してもそれが最後まで戦ってなら、オーブの名前に傷はつかない」

「ですが、そうでなければ」

「オーブの評判は下がる、リスクをとったんだな今回は」

 

義勇兵として勇敢に戦えばオーブの評判は上がるが、無様に逃げれば下がってしまう。

政治的なところなんだろうな、誰の思惑かな、これは。

 

「まぁ、どっちにしろ、オーブの政は俺達には関係ない」

「所詮、傭兵ですからね」

 

あくまで傭兵だ、少なくとも俺達は政治に口だす傭兵ではない、後はオーブが決めることだ。




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