拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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15.1

ここ最近、世界の裏側がチラ見えする仕事ばかり請け負っている。

口止め料込だから、マイスター社に中抜きされてもいい儲けなんだが。

 

「マスター、いつまでこんな仕事をするんですか?」

「ペルガミノのオーナーにはよくしてもらってるだろ、文句を言うな」

「そうですが」

 

今はコンクリート弾頭のミサイルを月軌道から連合の月基地へ落とす、嫌がらせのお仕事の真っ最中。

まぁ十中八九迎撃されるし、着弾しても被害は通常弾頭よりは小さい…質量攻撃兵器になってるから何層かぶち抜く可能性あるけど。

ただ、ここ最近の仕事の関係で、シルヴィは不満がたまってるらしい。

 

「きれいな仕事ばかりじゃないんだ、我慢しろ」

「わかっています、ですがマスター」

「マイスター通してるんだ、余程の事情でもない限り守ってくれるさ」

「そうですよシルヴィさん、本当に危険な仕事は、本社が弾いてますよ」

 

ペルガミノに持ち込まれた仕事を、マイスター社を通して実行してるんだ。

本当ならもっとヤバイ仕事がいくつもあったはずだ、そっちがどうなってるのかは知らない。

こっちに回ってくるのは、ギリギリマイスター社がなんとかできる部類のはず。

 

「それに、今以上の仕事をするんだったら人員は増やさないといけないぞ」

「むぅ」

「ソキウスさん、シルヴィさん人を増やすのに反対なんですか?」

「アランさんが出撃する可能性が上がるからね、僕としてもあまりよろしくない」

「聞こえてんぞ」

 

まったく、まぁソキウスはそもそもそういう風に作られてるからな、仕方ない。

しかしだね、今の4人というのもギリギリで、何かあった時ソキウスとクナが出るとこの艦どうすんだってなる。

 

「この艦は1人でも操船から火器運用までここでこなせるけど、運用考えたら最低でも二人いないとなんだぞ」

「なら、そこに座っていてください」

「いざというときにだな」

「ミサイル発射」

「軌道に乗りましたです」

 

今格納庫にはシルヴィのシグーにソキウスのジン、そしてこの前鹵獲してクナ用にしたジンがある。

これを全力で使えば生存性は格段に上がる、シルヴィが生きて帰ってこれる確率も上がる。

それを考えたらせめてあと一人、どうにかしたい、したいんだがな。

 

「まぁ今は当てがないからな、人を増やせない」

「増やす必要はありません」

「はいはい」

 

しばらくは、募集はかけられそうにないな。

シルヴィが忘れたくらいで、人探しするしかないか。

 

「ソキウス、次のミサイルを」

「お二人がいちゃついてる間に、撃ち切りましたよ」

「仕事に集中してほしいです」

「すまない」

「ごめんなさい」

 

二人にはお詫びに何か奢らないとな、甘味系で許してくれるといいんだが。

 

「…とにかく、現宙域を離脱、進路L2」

「了解、進路L2」

 

コンクリート弾頭でもミサイル、撃たれた側は黙ってないからな、急いで離脱だ。

 

「…待ってください、マイスター社より連絡です」

「なんだ?」

「急な仕事です…」

 

こっちは早く離脱したいのに、しかし仕事の内容によってはなぁ。

 

「内容は?」

「パープルナイツとの共同任務です、プラントからの依頼で…気象観測艦への補給とその護衛ですね」

「パープルナイツもアガメムノン級だったはずだから、まぁそれだけの任務だな」

 

パープルナイツってあのお嬢様の率いるメビウス部隊か、まぁ気象観測艦の貴重性考えればそうだよな。

 

「マスター、気象観測艦とは?」

「プラントが保有してる、気象観測を行って天気予報をするための専用艦だ」

「ある意味、戦略級の艦艇ですよ」

「気象衛星の代わりです」

 

開戦以来、多数の衛星が失われていて、気象衛星なんかも全滅に近い。

ただ温室育ちなプラントの皆さんは、天気予報の偉大さをいまいち理解してなかった。

まぁ天気予報の支援なしを前提だから潜水艦隊なのかもしれないけど、やっぱり厳しいものがあったようで。

そんなプラントが建造したのが気象観測艦、宇宙から人工衛星の代わりに空を見張り気象情報を地表に送信して天気予報に使用する。

 

「地上のザフト軍にとっては、なくてはならない存在だな」

「それだけでなく、戦後まで生き延びれば、地球人類全体の利益になります」

「そうなのですか?」

「気象衛星網の再建は、すぐに終わりません」

 

また安定した天気予報ができるようになるには、それなりに時間かかるだろうしな。

そうでなくても宇宙から狙った地域の気象観測ができるし、それだけの機材があれば宇宙からの災害復興支援だって可能だろう。

コロニー国家プラントが作り出した、人類の宝になりうる艦艇なのは間違いない。

 

「どこで合流だ?」

「パープルナイツが輸送艦とともにニア・ルールを出航、今から向かえば合流は衛星軌道に入る直前ですね」

「軌道変更、パープルナイツと合流する」

「了解」

 

もう出発してるなら、合流した方が早い、それがわかっててこっちに伝えてきたんだろうし。

 

「シルヴィ、まっとうな仕事だぞ」

「そうですね、マスター」

 

ちょっとうれしそうというか、やる気が出てるというか。

まぁ政争やらなんやらドロドロしたものが見える仕事よりは、やる気も出るか。

 

「しかし、なんでプラント本国からじゃなくてウチなんだろうな」

「船の不足じゃないですか?」

「まぁ、そのあたりか」

 

ザフトも地上への物資輸送で、船が足りてないってのはあり得るからな。

気象観測艦なんて、持ち場を離れて補給整備なんて、必要最低限でとどめたいだろうし。




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