拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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15.2

パープルナイツと合流し、衛星軌道に侵入する。

場所的にはアジアオセアニア地域上空といったあたりだろうか。

 

『カツラギ、フジタの右前方へ、クイーン・アンは左前方に出ますわ』

「カツラギ了解、ハヤトマルが間に入ること忘れるな」

 

俺達のカツラギとパープルナイツの母艦クイーン・アンが前方を警戒する。

その後ろにはマルセイユ3世級輸送艦のハヤトマル、そしてその後ろにいるのがプラントの気象観測艦フジタ。

 

「ナスカ級を原形にして、だいぶいじくってるんだな」

「武装をほとんど取り払ってるです」

 

今はシルヴィもソキウスも警戒に出てるから、艦橋にはクナしかいない。

 

「大型の観測設備にMSも長距離強行偵察型ジンが6機、金掛かってるな」

 

主砲があった場所には細長いセンサーユニットが、船体のあちこちにもレーダーやセンサーユニットを搭載していて、見た目は原形よりごつくなっているが、武装はない。

搭載してる長距離強行偵察型ジンも、気象観測向けに何かいじくってるらしい、気象観測に特化させている。

 

『マスター、補給作業開始しました』

『しばらくは動けないので、レーダーの方を』

『わたくし達も哨戒しますわ』

「了解した」

 

今回は航行しながらじゃなくて、停船しての補給だからな。

高額な機材の塊だから、海賊が狙ってくる可能性は十分ある。

 

「周囲に敵影は?」

「今のところないです」

 

長距離レーダーはニュートロンジャマーの影響で機能してない、だから哨戒機とかを出さないと戦場の霧が大変なんだよな。

 

「アランさん、なんでプラントは自分で補給しないんでしょうか?」

「そうだよな、なんでだろうなほんと」

 

この艦高価だから、多数建造できる代物じゃないし、本当ならザフト軍が護衛してもおかしくないはずなんだが。

 

「もしかして、艦長がナチュラルとかですか?」

「第一世代の親達か、艦長は経験職だしな」

 

艦長ってのは経験が大事だ、俺だって他の艦長と比べたらにわか艦長だ。

プラントでも、艦長になっている人物の中には、第一世代の親が少なからず混ざってるらしい。

元の住民が少ないプラントで、艦長職をこなせる人間を集めるとなると、軍艦も輸送艦も併せたらナチュラル入れないと足りなかったらしい。

 

「でも、そうだとしてもなぁ」

 

例え艦長がナチュラルだからって、この艦から送られてくる気象情報は地上で行動するザフト軍の生命線、ぞんざいな扱いをするとは思えないが…。

 

『アランさん、まもなく補給作業終わります』

「了解した」

 

まぁ、こっちは仕事をするだけだがな。

 

ーーーーーーーーーー

 

シルヴィ SIDE

 

『ハヤトマル、離れます』

「了解」

 

気象観測艦フジタへの補給を終えたハヤトマルがゆっくりと離れる、シルヴィやソキウスは少し離れた場所で。

周りではパープルナイツのメビウス隊が旋回しながら警戒している。

 

「これで終わりですね」

『あとは、ハヤトマルを護衛して帰るだけです』

 

ハヤトマルがフジタから離れた、その直後であった。

どこからともなく飛来した光線がハヤトマルを貫き、爆沈させる。

 

「!?」

『シルヴィさん!』

 

突然のことに反応が遅れたシルヴィだったが、ソキウスが飛んできた残骸をアサルトライフルで撃ち落してくれた。

少し遅れて、シルヴィもシールドで残骸から身を守る。

 

「マスター、これは!?」

『レーダー範囲外からの攻撃!どうなってやがる!』

『方位は11時方向上方、光学カメラだすです!』

『哨戒機の範囲外ですわよ!』

 

突然の攻撃に、皆が混乱している。

カツラギ、そしてクイーン・アンの光学カメラが、襲撃者の姿を映し出す。

 

『相手は…バーミンガムクラスです!』

『なんだってこんな場所に!?』

『最強クラスの戦艦ですわよ!』

『アランさん、アンチビーム爆雷を!』

 

モニターに映し出されるのは、白亜の巨体を持ち、複数のゴッドフリートを装備した、しかして機関部にザフト系の影響を見せる大型戦艦バーミンガム級。

シルヴィは知らないが、アランはこれが前世の記憶でみた最強クラスの砲撃戦の艦だと知っている。

この世界ではラウンドテーブル社により3隻が建造され、プラント理事国に引き渡されていることも。

カツラギとクイーン・アンはアンチビーム爆雷を急いで散布している、しかし次の攻撃はなかった。

 

「どうして、攻撃してこない」

『バーミンガム級より文書です』

『内容は?』

『あて、傭兵諸君、貴君らが地球人類なら、そこにいる空の化け物の護衛をやめ、我が方へ付け』

『滅茶苦茶な』

『クナさん、続きを読み上げてください』

『はいです、その艦の性能は、彼らの善意でもって知っている、しかし悪魔の施しを受けるものは連合にはいない、むしろ潜在的脅威を排除すべきと考える、バーミンガム級シャンハイからの通信です』

「…」

 

ふざけてる、シルヴィはそう思った。

善意ということは、フジタは気象観測データを連合側にも渡していたことになる。

戦時において気象データは戦略級の情報、それを渡したとなれば。

 

「マスター」

『…なるほど、だからプラントは自分たちでしなかったのか、裏切り行為をしてたからってわけか』

 

それが例え善意でも、プラントは裏切りを許さなかった。

そしてそれだけ詳細なデータを送るフジタを、連合は脅威と判断した。

 

『フジタより、退避せよと』

「マスター」

『わかってる…』

 

フジタはここで沈む覚悟を決めたらしい、すでにハヤトマルが沈んでいる、これ以上巻き込みたくないということか。

しかし、ここにいる人間は、素直に従う連中ではなかった。

 

『カツラギをシャンハイの射線に乗せる!シルヴィとソキウスでシャンハイを叩けるか?』

「距離が遠すぎて厳しいです、マスター」

『シルヴィさんはシールド持ちですから、防衛にあたるべきかと』

『ちょ、ちょっとイエローポニーの皆さん、戦うつもりなんですの!?』

 

パープルナイツのリーダーは驚いてるが、こちらは何とも思ってない。

 

『恩をあだで返してる相手だぞ、何よりハヤトマル沈めた時点で向うはこっちを皆殺しにするつもりだ』

「パープルナイツは、離脱しますか?」

『あぁもう!こうなりゃ自棄ですわ!クイーン・アンも前に!フジタに傷一つつけてはなりませんわ!』

 

フジタを守るため、カツラギとクイーン・アンが射線に割り込む、この動きを見て、相手も行動を開始する。

 

『シルヴィ、直撃しそうなやつを防いでくれ』

「了解!」

 

シルヴィのシグーは大型のシールドを持っている、それを生かすべく前にでる。

すぐにシャンハイからの砲撃が開始されるが、ニュートロンジャマーやアンチビーム爆雷によりその威力はそがれる。

 

『ソキウスは甲板に、ミサイル対策でいてくれ』

『了解した』

「…来る!」

 

シルヴィはカツラギの前に出て、シールドを斜めに構える、アンチビーム爆雷を抜けてきたシャンハイのゴッドフリートが直撃する。

ビームコーティングを施されたシールドに、斜めに当たったことで、ビームは弾かれる。

 

「次、クイーン・アン!」

 

カツラギはシルヴィがいる分、クイーン・アンの方にアンチビーム爆雷を巻いているが、それでもすべてを減衰しきれるわけじゃない。

クイーン・アンの前に移動し、致命傷になりうる攻撃を防ぐ。

 

『あ、ありがとうございますわ!』

「任務です、前進を」

『わ、わかってますわ!』

 

カツラギとクイーン・アインはミサイルとアンチビーム爆雷を撃ちながら、シャンハイに接近する。

シャンハイもゴッドフリートとミサイルを撃ってくる、対空機銃やソキウスのジンが迎撃するが、被弾は避けれない。

 

『損害軽微です!』

『こちらもですわ!』

『シルヴィ、あと少し耐えてくれ!』

「了解、無論です!」

 

艦砲の防ぎながら接近する、そして。

 

『観測機からの情報きたです!』

『同じ場所を狙いますのよ!』

『了解した!』

 

カツラギとクイーン・アン、8基のゴッドフリートから放たれた光線が、シャンハイの第一主砲下側の艦底に直撃する。

艦隊砲戦を前提にいた重装甲艦であっても、一点に集中すれば貫通する。

第一主砲が誘爆で吹き飛び、シャンハイからの砲撃が停止する。

 

「突っ込みます!」

『ソキウスも行ってくれ』

『わたくし達も行きますわ!』

 

シルヴィはシグーのスラスターを目いっぱい吹かして、シャンハイに接近する。

ソキウスやパープルナイツのメビウス達も突撃する。

シャンハイも大急ぎでメビウスを発進させるが、あまりにも無防備であった。

 

「出すなら、先にするべき!」

 

発艦した直後のメビウスにアサルトライフルを叩き込む、十分な加速もできず、なすすべなく撃ち落される。

シャンハイは逃げようと後退し、対空機銃を打ち鳴らす。

 

「接近できない!」

『大型戦艦は伊達ではないということですね』

 

シルヴィとソキウスも、パープルナイツのメビウスもこの対空機銃の前に接近できない。

 

『相手は逃げ始めた、撤収だ』

「マスター、いいのですか?」

『主砲はだめでも対空能力は健在だ』

『わたくしからもやめておくべきと言っておきますわ』

「了解」

 

シルヴィは背中を見せて逃げるシャンハイに、あっかんべーしてから、カツラギへと戻るのだった。




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