拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
気象観測艦フジタへの補給ミッションから一週間程が過ぎた。
バーミンガム級との撃ち合いで損傷したカツラギはドック入り、大きな仕事も入らずニア・ルールで休暇を過ごしていたが。
「ソキウスの上司はすごい人なんだな、コロニーを持ってるなんて」
「ラウンドテーブル社の役員の一人です、コロニーを持つくらいの特権は許されてるんです、行使しているのは一人だけですが」
「すごい、日本」
「ここは特別なんです」
L2にあるコロニーの一つ、ZZに出てきたムーンムーンによく似たコロニー、シン・ジパング。
この宙域でも数少ない個人保有のコロニー、中はどうなってるのか知らなかったが、かなり日本を再現してる。
気候としては秋口で、ところどころ木々は紅葉し始めてるし、ここまでコロニーの環境を調整するのは難しい。
「日本の四季、綺麗ですマスター」
「あぁ、見事な秋だな」
前世と違って、この世界は日本の四季は残ってるけど、北海道がユーラシア連邦領土になってる関係で、国境紛争の舞台になる可能性があったからな。
その関係で入国制限厳しくて、入国できてないんだよな、オーブは行ったことあるがわざわざ遺伝子改良で紅葉する木を用意した公園なんぞ用意してるんだよね。
「こちらです」
「これまたデカいお屋敷で」
「…脇にザウートが」
「狛犬の代わりです」
「いかつい狛犬だって事で」
大砲を外して、ジンと同じアサルトライフル装備のザウートがタンク状態で鎮座している。
お屋敷そのものは和風の平屋なだけに、違和感がすごい。
まぁ、ソキウスについて中に入ってしまえば、そこまで気にならないが。
「しかし、ソキウスの上司が何の用なのか」
「僕も知りませんが、深い理由はありませんよ」
なんだかよくわからないが、屋敷に上がらず外を回って庭に出るのか?
「ミコト様、アラン様とシルヴィ様をお連れしました」
「ご苦労様です、クナとともに室内で休んでいてください」
「はっ!」
ソキウスとクナが屋敷に上がっていったが、このままいけばいいのか?
「お邪魔します」
「お待ちしておりました、アラン様、シルヴィ様」
「…綺麗」
ポニーテールの和服美人…シルヴィも見とれるほどか。
若いから転生者だった創設グループの子供か何かか?
「マイスター社でお世話になっております、アラン・スミシーです」
「シルヴィア・コッペリオン」
「ミコトと申します、マイスター社、並びにラウンドテーブル社の役員をしております」
縁側から降りてこちらに来るが、所作の一つ一つがしっかりしてるというか、令嬢ってこんなもんなのかな?
「お二人の事は、調べさせてもらいました」
「そちらのお立場なら、当然でしょうね」
「…シルヴィ様は、今、アラン様の隣で幸せですか?」
「?」
この言い方、どうもシルヴィの出自は調べ済みってところか。
まぁ、向こうからすれば雇った人間の素性位調べるか。
「考えたこともない、そのくらい幸せということですね」
「わかりませんが、おそらく」
「そう、それなら構いません」
シルヴィの頭をなでて、シルヴィもまんざらじゃなさそうだな。
「アラン様も、シルヴィ様を大切に思われてますのね」
「…まぁ、拾った責任もありますからね、保護者としても」
「どんな形であれ、大切にされてることは、相手には伝わるんですよ」
そういわれてもな…まぁ愛情の有無ってのはいろいろあるからな。
「それで、本日のご用件は?」
「今日はお二人に会いたくて来てもらいました」
「ソキウス様の、言った通り」
「ほんとに深い意味がなかったのか」
「私にとっては、大事な要件ですよ」
まぁ、何が重要かは本人次第だしな。
「しかし、大事なお話もあります」
「それは」
「新型艦をお渡しするお話です」
「マスター、この前の」
「御礼ってやつか」
「その御礼が、こちらです」
手に持ってる端末、空中投影方式か…これって。
「コーネリアス級を母体とした新造艦、艦名はブランリヴァル」
「ブランリヴァル…白の対抗馬」
「対抗馬?」
「ご存じでしたか」
彼女、俺が転生者と知ってるみたいだな…ブランリヴァルとは。
細部、特にメガ粒子砲がゴットフリートになった影響で形状が変わってるが、基本は一緒か。
「ブランリヴァルは、連合軍のG兵器計画により建造される新造艦に対抗して、建造されました」
「連合の新兵器開発計画のですか」
「情報では、MS隊の母艦は宇宙から地球まで幅広く運用可能な艦であると、それに対抗するために同程度の性能を持つ艦を建造いたしました」
「同程度…ミコト様、地球でも使えるのですか?」
「設計上では、姉妹艦も建造を始めております」
母艦ってのはアークエンジェルの事だろうな、それに対抗しての新造艦か。
そういえばブランリヴァルだけ翼の位置が下だったな、設計した奴が転生者だったらそれで選んだ可能性もあるな。
「高く買ってくださるのはありがたいのですが、なぜ?」
「私が気に入ったからでは、ダメでしょうか?」
「…わかりました」
「ダメではない、はずです」
なんというか、勝てない、気に入られた理由がわからんし。
とはいえ、断って損はしても受け入れて損はしないし…というかこの人お偉いさんだからな。
「謹んで、お受けいたします」
「仕事については、マイスター社を通してお伝えします」
「了解しました」
「ソキウス、クナ、お二人を艦へ」
「了解しました」
「それでは、お邪魔しました」
「しました」
「また、いらしてくださいね」
手を振って見送られてるけど、こう敵に回したら終わるなこりゃ。
港までは車か、まぁ徒歩よりは楽か。
「二人はあのご令嬢とは、どいった関係で?」
「上司と部下ですよ」
「深く聞かない方がいいか」
「僕もクナも、気に入ったからという理由で、部下になってますから」
こりゃ、二人も苦労してるんだろうな。
まぁ、そのおかげで、これまで苦労しなかったんだろうな。
裏で手をまわしてもらっていたのかどうかは、わからないが。
「着きましたよ、こちらへ」
「車だとすぐだな」
「風情がないです、マスター」
「歩いて回る良さがあるです」
「また今度ね」
流石に港は他と変わらないか、さて、あれが。
「ブランリヴァル、羽を跳ね上げてるか」
「コンパクトです」
「ここではかさばりますからね」
「横幅が広すぎるです」
こうやってみると、新造艦だな。
中の空気も、新品のにおいだな、いやでけぇな。
「こちらが、艦橋です」
「中も変わってるな」
「オーブのイズモ級をモデルに参考にしているらしいので」
イズモ級やアークエンジェルと配置は一緒か。
艦長席の下にCICだが、場所だけだな。
こっちの事情に合わせてくれたか、まぁありがたいが。
「マスター、椅子がふかふかです」
「座り心地はいいですね」
「機器も使いやすいです」
居住性は流石に上か、まったく、厄介なお礼だよ。
座席レイアウトはともかく、使い勝手は前と一緒か。
ソキウスが操舵手席で、クナがその隣か。
「マスター」
「そこにも席があったのか」
原作だとドミニオンでアズラエルが座ってた場所だよな、まぁシルヴィはパイロットがメインだからいいか。
「チェックが終わり次第、ニア・ルールに向かう」
とんでもない御礼だったが、ここまでされたら従うしかないな。
まぁ、強い後ろ楯は有り難いのは事実だがな。
誤字報告、ありがとうございます。