拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
連合との契約は、ミスティルテイン防衛線の後終了となった。
末端とはいえG兵器に関わったから、しばらくは監視されるだろうな。
また派遣されるかもしれないが、そん時もいろいろ抜かれるんだろうな。
しばらくは休暇をとりたいが、仕事の方はお構いなし。
しかも今回は、厄介事のおまけつきだ。
「試作兵器の実践試験って、これ使い方を考えずに作ったろ」
「大型ビーム砲」
「大型だぞ、何もかもな」
シルヴィは物珍しさから見てるが、前世の知識でいえばその正体はわかっていた。
少し違う部分もあるが、一番近いのはバストライナー砲だ、砲そのものは。
「輸送艇にポン付けしやがって、他になかったのか他に」
「マスター、冷静に」
「あ、あぁ、すまない」
輸送艇の荷台にバストライナー砲をポン付け、足場板もつけて便利に…じゃないんだよ!
砲を動かす動力源兼移動足場で選んだんだろうけど、もっと小回りの利いたのあっただろ。
完成系があのバストライナーなんだろうけどさ、それを知ってるから余計にだよ。
「ソキウス、動かせそうか?」
『システム周りはMSからも動かせるようにシンプルになってますが、サイズが』
「そこだよなやっぱり」
ソキウスに見てもらってるけど、これ作った時は砲のテストしか考えてなかったろ。
「マスター、どうなさいますか?」
「どうするも何も・・・」
記憶にあるバストライナーは、端的に言えばMS用大型自走ビーム砲、攻めにも守りにも火力でごり押しだが、拠点攻めがメインだったかな。
この世界だと、そこにビーム兵器未対応機での運用が入ってきてるが、そこは大きな問題じゃない。
ただこいつは試作品だからしょうがないけど、土台がでかすぎて攻めにも使えないし、守りの仕事なんて入ってないしな。
「今ある仕事は船団襲撃とか補給基地破壊とか、速さを重視したいのばっかりだし」
「テスト、できるのですか?」
「やるしかないが、うーん」
ぶっちゃけ、バストライナー砲だけなら、ブランリヴァルにでも括り付けて何とかできるが。
バストライナーとしてのプロトタイプだし、ある程度自走できる方が便利なのは確実だし。
「マスター、送り返しては?」
「仕事だからできない」
今回の試験、あのご令嬢がらみなんだよな、送り返したらどうなることか。
「ですが、現状運用方法がありません」
「それはそうだが」
元々火力しかないからな、せめて台座がもう少しましだったら。
サイズがサイズだから、俺達の規模で運用するには整備性が終わってるし。
『アランさん、お悩みのようで』
「ソキウス」
「ソキウス様」
なんだ、黙ってたけど話聞いてたのか?
『これの運用ですが、任せてくれませんか?』
「構わないが、いいのか?」
『難しい点はありますが、やること自体は単純ですから』
「それなら任せたい、こちらのすべきことは?」
まぁ、今のところ運用方法も場面も思いつかないから困ってるわけだし。
お目付け役で戦闘の専門家であるソキウスが言うなら、大丈夫だとは思うが。
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ザフト SIDE
L3、地球を挟み月の反対側に位置するラグランジュポイント。
ここは中立国オーブのコロニー・ヘリオポリスにユーラシア連合のアルテミス要塞が存在するが、主戦場から外れた僻地であった。
この僻地のさらに隅に、ザフトの補給基地が存在していた。
「オデッサⅢを三番ドックへ」
「了解、オデッサⅢは三番ドックへ進入してください」
4つの浮きドック型補給基地と、中央にありそれを利用する艦船の管理を行う本部衛星から成り立っており、管制室は事故が起きないよう目を光らせる。
「新入り、もう少し気楽にやれよ」
「ですが先輩、この基地は地球にいる友軍への補給を」
「だとしても、辺境にあるのは代わり無いだろ?」
責務に燃える新人に対し、中年の兵士は手を抜くのには慣れていた。
「ここは本国からも離れた迂回路のモーテルみたいなもんだ、やる気を出しても過剰になるだけだぞ」
「ですが、補給線は複数なければ」
「ここが船で溢れたら、戦争は負けなんだぞ」
本国から地球へ向かうには大きく迂回する補給路が重視される、その意味を中年の兵士は知っていた。
「ここはここの役目を果たせばいい、そぉらお客さんが来た」
「こちらイシュタルベース管制、貴艦の所属と艦名をお答えください」
常にではないが、地球へ向かう訳あり艦船が訪れる。
船が来れば無駄話は止め、職務を全うする。
「あと10分もすれば交替だな」
「マルマラⅣはどうしましょうか?」
「ドックも桟橋も全部埋まってるし、シャトルを送って待機だな」
「了解、管制室からマルマラⅣ、シャトルを送りますので暫く待機してください」
シャトルを手配し、後は交替まで何事もなく、いつものようにと思っていた、その時であった。
「!、高エネルギー接近!」
「なにっ!?」
突如として艦砲クラスのエネルギーが飛来し、ドックの一つに命中する。
「二番ドックが!」
「アンチビーム爆雷展開指示!」
「はっ、はい!」
本来は越権行為だが、アンチビーム爆雷を展開するよう指示を出す。
直撃を受けた第二ドックは、破滅へと向かっていく。
「第二ドック、管制沈黙」
「レーダーに敵影なし、超長距離狙撃です」
「艦砲でしょうか?」
「わからん、それよりデブリに備えるぞ!」
「はい!」
第二ドックの運命は決まっている、ならばさらなる被害を押さえることを優先する。
「第二ドックが・・・」
「・・・チクショウ」
攻撃を受けた第二ドックは、内外にいた艦船を巻き込み、火球となって崩壊した。
だが、彼らの地獄は、まだ終わらなかった。
「再び高エネルギー、第二射来ます!」
「方向は?」
「先ほどとは別です!」
「爆雷を撒き直せ!」
二番ドックの爆風とデブリによって、アンチビーム爆雷が散ってしまっていた。
それを逃さず、二の矢は放たれていた。
「第四ドック被弾!」
「被害は?」
「先ほどよりは、軽微」
第四ドックは被弾したが、散っていたとはいえアンチビーム爆雷により軽減され、致命傷を与えるまでにはならなかった。
「手隙のシャトルはすべて出せ、第四ドックを救援する」
「先輩、警備部より、以後防衛の指揮を執る、門外漢の仕事をさせてすまない、と」
「こちらは救助に全力を上げるぞ」
混乱の中で指示を飛ばしていたが、ここからは本職が指揮を執る。
管制官である彼らは救助艇を統制し、生存者の救助と被害拡大阻止に努める。
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『第二射は命中すれど目標破壊ならず、アンチビーム爆雷を球形に巻かれた可能性あり』
「補給ドック一つに、わかる限りでマルセイユⅢ世級を3隻にドレイク級1隻を巻き添えにした。戦果としては十分じゃないか」
『自走できる利点をもう少し生かしたかったのですが』
「球形じゃ仕方ない」
そもそもだ、ソキウスの狙撃スキルがすごいからな、こちらの支援があって動かない目標だとしても、レーダー範囲外からの狙撃って。
「ソキウス様、すごいです」
『バストライナー砲の性能と、ブランリヴァルの光学的支援あってですよ』
大出力のバストライナー砲だからこそだな、減衰してもこの距離から破壊できたのは。
それでもこっちからの映像支援ありでも、あれだけ離れた目標によく当てられるな、俺には無理だ。
「作った連中も満足するだろ、離脱するぞ」
『了解です、クナさん、離脱コースへ』
「戻ったら狙撃、教えてください」
『シルヴィさんには合わないかと』
「…」
こんな狙撃を見せられた後だからな、今日明日くらいは甘やかしてやらないとダメかな。