拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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オーブのお礼参りから数日、ニア・ルールに戻ってブランリヴァルドック入りさせたら、一部区画は交換となった。

おかげで艦内で待機とはいかず、イエローポニーで過ごす予定だったが。

 

「マスター、雪です!雪が空から降っています!」

「降ってるな、コロニーなのに」

「雨が降るなら雪も降りますよ」

「ふわふわです」

 

現在、L2にあるラウンドテーブル社のコロニー群の一つである観光コロニー、その中にある小ホテルに俺たちがいる。

シルヴィのリクエストで、ウィンタースポーツ向けと聞いていたが、人工雪でなくて空から雪を降らせてるとはな。

雪は手間が増えるから、観光用コロニーといえばガンダムのテキサスコロニーみたいな地球の景勝地の再現とか、南国ビーチとかの再現が基本なんだよな。

 

「シルヴィ、俺はスキーは出来ないぞ」

「シルヴィもです、マスター」

「…ソキウス達は?」

「出来ますよ?」

「滑れます」

 

俺はスキーはできないが、シルヴィはスキーをしたことがない。

地球の冬で十分な降雪がある地域に降りなきゃ、スキーなんて縁がないもんな。

 

「シルヴィ、ソキウス達から教わるか?」

「用意がありません」

「ホテルで貸し出してますよ」

「一緒に滑るです」

 

まぁ、シルヴィならすぐに覚えられるだろ。

ここからゲレンデは、泊まる部屋からなら見えるから、滑る姿は見られるし。

 

「では、シルヴィさんは私たちと」

「楽しいですよ」

「マスター、行ってまいります」

「気をつけてな」

 

シルヴィにはいい経験になるだろう、こっちはのんびり雪見とするか。

 

「あら、一人だけ行かせるなんて、ひどいご主人様ね」

「…ミコト様、如何してこちらに?」

「私がゲレンデを滑ってはいけないと?」

「いえ、何も問題ございません」

 

なんでご令嬢にここに、いや役員だからこちらの動きは把握されてるか。

 

「こちらへ」

「は、はい」

 

流石に立ち話じゃないみたいだが、お叱りか?ブランリヴァルの件でお叱りか?

 

「ここで会えたのは幸運でした、お話したいことがありますので」

「ブランリヴァルの事でしょうか?」

「兵器が壊れるのは戦争の常です、気にしていては戦いなどできません」

 

それはそうなんですが、モノがモノだからな。

 

「ブランリヴァルは修復に合わせて、火力強化を施します、バリアントにミサイル発射管も増やします」

「ありがとうございます」

「それと、人員も」

「ありがたいですが、従ってくれるかはどうか」

 

こっちは艦長資格持ってるけど、そこは別だしな。

相手はプロ集団だし、こっちにできないことができる分な。

 

「整備士のグループです、アラン様とは、大家と借り手の関係がわかりやすいかと」

「船に乗せる代わりに整備、ですか」

「あなたに、整備士のリーダーを通さずに指揮をする権限はありませんが」

 

要は、従わずに仕事しないなら下ろしてもいいってわけか。

まぁ、そっちの方がわかりやすいか、部下という形よりは付き合いやすいか。

 

「ありがとうございます」

「いえ、時間がありませんので」

「時間?」

 

えっと、今は11月の終わりで、あと一か月で今年も終わりで。

 

「年が明ければ、始まるんです」

「始まる…あっ」

「思い出しましたね」

「はい、ヘリオポリスから」

 

C.E.71、SEEDの始まりである、クルーゼ隊によるヘリオポリス襲撃が行われる。

あの物語が、もうすぐ始まる、すっかり忘れてた。

で、それを告げるというあたりは。

 

「今更ながら、ミコト様は介入されるおつもりで?」

「知りたいことを知る、そのためには」

 

転生者がいて、ラウンドテーブル社やマイスター社がある時点で今更だが、それでもSEED本編を変えてしまうほどの介入はしていないはず。

 

「アラン様は、どうお考えで?」

「…正直言えば、あの流れが一番ではないかと」

「悲劇を知っていても、許容すると?」

「その悲劇が、結果として最良になるかもしれません」

 

後の事を考えると、ヘリオポリス崩壊を防いでも、NJCは開発されるし、アコードは現れる。

人類滅亡がすぐ近くにありすぎて、改編のリスクが大きすぎるんだよな。

 

「自分は、貴女とは違います、手の届く範囲が狭いので」

「私の頼みなら?」

「その時は従います、ミコト様には、少し遠くが見えているでしょうから」

 

介入するための前提になる情報、その質も量の違うもんな。

 

「では、その時になれば、活用させていただきます」

 

怒ったりはしてなさそうだな、よかった。

 

「これから、どちらへ?」

「滑りに行くのです、ソキウス達はゲレンデなのでしょ?」

 

ソキウス達、ゲレンデに上司が現れて、ちゃんと休暇を楽しめるのだろうか?

まぁ、俺は悪くない、悪くないよな?

 

――――――――――

 

シルヴィSIDE

 

初めてのスキーに悪戦苦闘して、同僚や上司に指導してもらった日の夜。

夕食後、シルヴィはマスターであるアランと夜の散歩を楽しんでいた。

 

「マスター、空が輝いてます」

「ニア・ルールと比べたら空気がきれいだからな、対面の明かりがよく見えるんだ」

 

密閉型コロニーなので星空は見えないが、空には星のような灯、対面にある都市の輝きがそれを彩ってる。

 

「地上だと、星を見るためのツアーなんてものもあったぞ」

「星を見るだけですか?」

「そうじゃないが、まぁ都会じゃ星を見れないからな」

 

彼女は宇宙育ちの為か、お金を払ってまで都会を離れ、星を見に行く感覚がいまいちわからなかった。

 

「人は昔から、星空に不思議を求めてきたからな」

「今もですか?」

「星座の世界はまだ遠いからな」

 

人類は木星まで到達したが、そこまでしか行けてない。

はるか昔からある星座の世界は、今も変わらず見えるだけ。

 

「そう距離が離れてないのに、プラント住民を宇宙人扱いしてるのは滑稽だよな」

「マスターは、宇宙人を信じていますか?」

「接触できるかはともかく、どこかにいるだろ」

「妙に自信があるようですが」

 

その指摘に、アランは少し考える。

 

「シルヴィは、前世やら転生やらは信じるか?」

「スピリチュアルは専門外ですが、ガンバレル適正のようなものなら」

 

突出した空間把握能力を必要とするガンバレルシステムがあるように、超能力等の科学的研究がごく一部であるが実施されているので、彼女が積極的には否定はしない。

 

「もし俺が転生者だとか言い出したら?」

「カウンセリングをお勧めします」

「そうだよな」

 

いきなり言い出したら、誰だってそうするだろう

 

「ですが、仮にそうだとしてもそれだけです」

「なんでだ?」

 

アランの問に、さも当たり前のように答える。

 

「マスターはシルヴィのマスターです、転生者でも宇宙人でも、そこに変化はありません」




私事ですがSEEDフリーダムの特別版見てきました。
通常版は見てましたが、やっぱりいいものですね。
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