拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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プロパガンダ、メディアや情報媒体を用いての戦意高揚や敵への攻撃は昔から行われてきた。

その内容や用途は多岐にわたる、ヤラセみたいなのも当たり前だ。

 

「シルヴィ、MSもない海賊を叩くミッションだが、油断するなよ」

『了解です、マスター』

「撮影の為とはいえ、シルヴィさん単独は不安ですね」

「仕方ないだろ、本命のために獲物を残さないといけないからな」

 

俺達はL4宙域にて、廃棄コロニーを占領した海賊へと攻撃を仕掛ける。

ただし、海賊を殲滅してはいけない。

 

「マイスター社のエースなら単独でも勝てるだろ」

「ザフトからの依頼なんです、連合艦艇を撃沈する姿の撮影は」

「メレディスさんならたぶんできるでしょうけど」

 

マイスター社のトップエース、メレディス・スーがジンを操り連合軍艦艇を撃沈…ということにしたいんだろうな上としては。

でも連合軍の哨戒部隊を襲うにしてもリスクはある、なら同じ艦を使う海賊を使えば連合から恨みは買わない。

目的は適度に痛めつけて、巣穴から海賊を追い出すこと、護衛がいなければリスクは減るってことか。

 

「シルヴィ機発進後、ゴットフリートで宇宙港を叩く」

「了解です」

「上からの指示とはいえ、やはり1機だけでは」

「いざとなればな」

 

まぁ敵機はメビウスにミストラル、MS1機で戦える程度の数しかないらしいから、シルヴィにもちょうどいいだろうな。

 

ーーーーーーーーーー

 

シルヴィSIDE

 

海賊が潜む廃コロニーに近づき、息をひそめる。

 

『シルヴィ、シグーの調子どうアルカ?』

「良好です、シャン様」

『よかったアル』

 

シルヴィのシグーは本格的な整備により、彼女の操縦によく答えてくれた。

そのことに彼女は感謝しており、シャンもどこか自慢げであった。

 

『まもなく攻撃を開始する、シルヴィも無理はするなよ』

「無論です、マスター」

『よし、ゴッドフリート、てっー!』

 

虚空を4本の光線が飛び、廃コロニーの宇宙港付近に直撃する。

蜂の巣をつついたように、海賊のメビウスが飛び出す。

 

「攻撃、開始します」

 

彼女もシグーを加速させ、メビウスに迫る。

相手も気が付き旋回するが、それは戦闘機のような緩い旋回だった。

 

「見越しで、当たる」

 

シールドのガトリング砲をメビウスの進先へ向け、引き金を引く。

放たれた弾丸に当たりに行くかの如く、メビウスは直撃を受け爆散した。

 

「性能を、活かせてない」

 

メビウスは球体ジョイントのおかげでかなりトリッキーな動きができるのだが、これを生かせるパイロットは開戦初頭にほとんど戦死した。

教育時間を切り詰め即座に前線に送り込んでいる連合のメビウスの練度が酷いのに、海賊のメビウスの練度なんて言うまでもない。

新たに見つけたメビウスに飛び乗ると、無防備な本体にアサルトライフルを叩き込み、撃墜する。

 

「海賊は、この程度」

 

海賊のメビウスも必死に抵抗するが、それでMSを倒せるならザフトは戦争なんてできない。

ヘッドオンを狙うメビウスの攻撃をバレルロールで躱して、すれ違いざまにアサルトライフルの一連射で撃墜。

さらに迫って来たメビウスに蹴りを加え、コントロールを失った相手をガトリングでハチの巣にする。

 

「ここまで動いて、遅れはなし」

 

多少無茶な動きはしたが、シグーに性能低下の予兆はない。

彼女はシャンの整備に感謝していた。

 

『海賊のネルソン級が逃亡開始、任務終了だ』

「こちらでも確認、帰投します」

 

メビウス隊を叩かれ、海賊は大急ぎで宇宙港を脱出する、あとはそれを伝えるだけ。

そう思って、油断していた時であった。

 

『いや待て、レーダーに新たな反応!』

「数は?」

『1機、コロニーの反対側!』

 

脱出する戦艦とは逆方向、もう一つの宇宙港の方から何かが飛んでくる。

その相手は、オレンジ色で4つの円を持つMA。

 

「メビウス・ゼロ!」

 

それは連合内でMSと互角に戦えるMAとされた機体、メビウス・ゼロ。

その性能を発揮するには特殊な空間認識能力が必要とされる、そんな人材が海賊にいたのは驚きだが、驚いてばかりもいられない。

 

「ガンバレルは、周辺警戒」

 

メビウス・ゼロのガンバレルが分離し、シグーに襲い掛かる。

これに対して彼女は縦方向に回避し、本体にガトリング砲を放つが、回避される。

 

「ガンバレルは有線、だから」

 

つい最近、ほぼ無傷の同型を拾ったことで、彼女はガンバレル対策の教育を受けていた。

ガンバレルは有線操作の為、ケーブルが絡まないようにしないといけない。

一か所に対しするリスクが大きいMAでこれを生かす戦術も、彼女には伝えられていた。

 

「横滑り!」

 

メビウス・ゼロはシルヴィを中心に円でも描くかのように機体を横滑りさせる。

こうすることでケーブルをからませることなく、対象の背面にもガンバレルを動かすことができる、戦術の一つであった。

 

「くっ!」

 

シグーを本体に向けて加速させることでガンバレルを躱すが、彼女が攻撃に移るとすぐさま回避行動に移る。

相手はMSとの戦い方を熟知していた、かといって相手は戦艦を追撃させたくないだけ、落とそうとはしてこない。

 

『こちらから援護する、その隙に』

「了解」

 

ブランリヴァルからのミサイルに合わせて撤退、それを実行しようとした時、視界の端に閃光が走る。

それは、海賊の戦艦が撃沈されたことを示していた。

 

「自沈?」

『悪いけど、その樽持ちも僕が落とさせてもらう』

 

無線で聞こえてきた声は、地球で、そして初出撃時に彼女は聞いたことがあった。

すぐに戦場に、胴体を黒、それ以外を白で塗装したジンが現れる。

 

「メレディス・スー、貴方の任務は」

『メビウス・ゼロを落とせば、依頼主も喜ぶからね』

 

相手のメビウス・ゼロは、割り込んできたジンに狙いを変える。

メレディス相手に横滑りを始め、ガンバレルを放つが。

 

『遅い!』

「へっ?」

 

背後に回り込み、砲身を出したガンバレルを、メレディスはアサルトライフルの一撃で破壊する。

この一撃にシルヴィも、メビウス・ゼロも驚愕する。

 

『いいかい、戦場では後ろにも目をつけるんだ』

「は、はい」

『そうすれば、この位はできる』

 

バレルを一つ失っただけで止まるメビウス・ゼロではない、再びバレルを飛ばし、挟み撃ちを狙う。

だが今度は背後からの一撃を後ろに飛んで躱すと、右から狙っていたバレルにアサルトライフル、左から狙っていたバレルに重斬刀を投げつけ破壊する。

 

『全方位を警戒し、気配を感じ取る、わずかな違和感も見逃さないことだ』

 

まるで教えるがごとく、メビウス・ゼロは教材だと言わんばかりの対応。

相手も恐怖したのか、本体に生き残ったバレルを戻すと突っ込んでくる。

 

「回避を!」

『狙いはわかっているよ』

 

彼は冷静に重斬刀を回収すると、突っ込んでくるメビウス・ゼロと合い対峙する。

メビウス・ゼロはガンバレルを切り離すと、そのままジンにぶつけようとするが、それは無駄だった。

 

『これで終わりだ』

 

ガンバレルをアサルトライフルで破壊すると、すれ違いざまの重斬刀で、メビウス・ゼロを両断する。

切り裂かれた敵機は爆発し、宇宙に四散した。

シルヴィはそれを、ただ見ていることしかできなかった。

 

『君、戦闘の記録は取れているか?』

「は、はい、取れています」

『なら、後でそれを提出してほしい、撮影ドローンが間に合ってる確証がなくてね』

 

それだけ言うと、彼は戦場を後にした。

残されたシルヴィは、レベルの違う戦いを見せられ、ただその場にいることしかできなかった。

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