拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
デブリ海での一件から数日後がたった、ザフトは月のプトレマイオス基地攻略のローレンツ・クレーターに基地を建造、グリマルディ・クレーターを境界に月を2分し、記憶が正しければ後にグリマルディ戦線と呼ばれる月の戦いが始まった。
地上ではカーペンタリア基地が完成、ユーラシア連邦のマスドライバーがあるアフリカ、地球海方面への侵攻を開始した。
その世情に合わせて、L2宙域にあるラウンドテーブル社保有のコロニー群と、そこを拠点にするPMSCマイスター社は警戒を強めつつも、傭兵を派遣している。
今のところは月のプトレマイオス市を初めとする中立都市の防衛と物資輸送の警備が大手の需要としてある。
だが需要は地上にも拡大、多くの傭兵が地上にも降りて戦いに身を投じている。
「マスター、これがあの地球ですか?」
「シルヴィはここまで近くで見るのは初めてだったな」
「はい、蒼い星とは聞いていました」
「その通りだろ」
俺とシルヴィは貨物船に乗って地球の近くまできている。
貨物船はイグルーのヨーツンヘイム級そっくりでデカイ、居住性も高い、流石は貨客船。
「アランさん、シルヴィさん、こちらに居ましたか」
「ソキウスも見に来たのか?」
「ソキウス様」
「いえ、仕事の話ですよ」
ソキウスは間近の地球に興味無しか、まぁ何度も地球に降りてたら見飽きてるか。
「今回は連合からの依頼です、僕達はこれから北アメリカのテキサスに降りて、そこで地上に慣らした後、南アメリカへゲリラ狩りの予定です」
「ゲリラか…中立国に攻め込んでおいてどの口が」
「まぁ本社も本気で対応する気はありませんよ」
「だろうな」
旧南アメリカ合衆国現大西洋連邦南アメリカ占領地では元南アメリカ合衆国軍人によるゲリラ活動が活発化している、こんなもんどう考えたってワン・アース主義で中立国滅ぼして絶滅戦争宣言した大西洋連邦が悪い、という考えで俺と本社は一致しているようである。
第一なんだよ中立国なんて認めないこの行動は、このせいで大西洋連邦の資産家が逃げ始めて経済がぐらつき始めてるらしい、今はロゴスがいるから何とかなってるようだが。
「それと、新人を一人預かることになっています」
「新人?聞いてないが」
「僕も先ほど指示されました」
「本社め」
「マスター」
「シルヴィ、ケーキバイキングがあるが」
「行ってきます」
やれやれ、シルヴィも元愛玩用とはいえ女の子、ケーキの誘惑には勝てないか。
まぁ喫煙場所が限られてる分ストレス対策でどこの船にもケーキにアイス、ジュースは豊富に供給されてるんだけどな。
とはいえ材料確保のために密閉型で月の裏側なんて辺境なのいいことに一部の工業用コロニーをプラントと同じくらいの時期に農業用コロニーに改造したのはやりすぎだが、Zと違って文字通り中身グリーン・オアシスなコロニーがいくつも浮かんでるし。
それはともかく新人か…どんな人物なのか。
「どこで落ち合うんだ?」
「輸送艇で」
「そうか、シルヴィ!」
「マスター、お呼びですか?」
「今から輸送艇に行く、大丈夫か?」
「もちろんです、マスター」
少しの間にケーキを多数食べていたか、とりあえず輸送艇に。
この輸送艦の格納庫に入ってるのは08小隊に出てきた輸送艇、この世界でも同型艇が結構な数が運用されている、アストレイにもちょいちょい出てきてたし存在はおかしくない。
ただヨーツンヘイム級の格納庫に収められているのを見ると、この船のデカさを実感させられる、まぁコムサイ格納してたし。
「こちらです、クナ、入りますよ」
「個室か、豪華だな」
「個室、楽しみ」
個室に案内されて、出迎えてくれたのは中学生くらいの黒髪ショートの女性…えっと?
「クナ、ご挨拶を」
「は、初めまして、クナ・ミツノと言いますです」
「あ、アラン・スミシーだ」
「シルヴィア・コッペリア、シルヴィと呼称してください」
「あ、はい、アランさん、シルヴィさん、これからお世話になります」
おどおどしてるところはあるが、人がよさそうさな娘さんだな、そして十中八九。
「クナはコーディネーターか?」
「はい、でも私ダメダメで」
「そうなのかソキウス?」
「いえ、コーディネーターとしては一般的です、ただ周りの要求が」
「高望みってやつか」
「あうぅ、すいません」
「クナ様、何も悪くない」
「ふぇ」
クナの頭をなでるとはシルヴィも優しい子だな、それはさておき性格はともかく能力は普通か。
というかコーディネーターの才能云々って、結局親ガチャな部分あるんだよな。
プラントみたいな金持ち連中なら才能もりもりにできるけど、そうでなければ免疫機能強化とかぐらいで、身体強化だってその後の教育や訓練でだいぶ変わるし。
オリンピックだって中止で抗議したのはナチュラルのアスリート達だったし、というかコーディネーターのアスリートで金メダル取れてるやつは意外なことに少ないんだよな、なんでもできるがゆえに一つの道に特化させにくい、だから才能がわかってもそこから成長するまでの時間や余裕がなかったりとか。
あのジョージ・グレンでさえ金メダルを取ることはかなわなかったあたり、そういう高級品を基準に扱われるのも大変なんだよな。
「とにかく、これからよろしくな」
「は、はいです!」
「では、席についてください、そろそろ出発します」
「ソキウス様、他のお客様も乗船があるのでは?」
「そうだぞ、この後クナを連れて展望席に」
「今から降下ですよ」
…はっ?今から?というかほかの乗客は?結構いたけど?
「アメリカに降りるのは僕たちだけです、他の乗客は上がってくるシャトルでオーブに降りますよ?」
「あ、私はルームサービスがありましたので大丈夫です」
「いやそういう問題じゃ」
「マスター、席に着く」
「…歓迎会は地上に降りてからだな」
座席につき、シートベルトを締める、窓の外を見れば隣の格納庫から出てくる輸送艇、そして宇宙。
「シルヴィ、しばらく宇宙には上がれないからな、よく見ておくといい」
「はい」
「重力には早くなれてください、戦場がいつ拡大するかわかりません」
「シルヴィさん、クッキー食べます?」
「食べる」
ブザーの音が鳴ると、輸送艇は地球へと落ちていく。
真っ赤に染まる外を見つめながら、次の仕事がどうなるかを考える、ただそれだけだった。
一般公開しても
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いいんじゃない?
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チラシの裏がテメェの居場所だ