拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
大西洋連邦、テキサス、ボカチカ。
旧世紀から民間の宇宙開発会社の打ち上げ施設が存在し、いまはそこをラウンドテーブル社が購入、マスドライバーはないが、打ち上げ用レールをはじめとする各種打ち上げ設備が設置され、PMSCのマイスター社や関連企業が打ち上げ基地として運用している。
俺たちはここで重力になれると同時に、機材の習得のための研修を受けた。
シルヴィとクナはコーディネーターゆえジンで訓練していたが、ソキウスは長距離強行偵察複座型ジンを持ち込んでいて、複座である利点を生かせないがいいのかと聞いたら。
「いざとなれば貴方を乗せますので」
と返された、まぁ機体そのものは元々部品取りにされていたらしくレーダー等の設備は下位互換品になっているそうだが。
俺の方は地上で使える機器の説明と習得、いくつかの兵器を使えるようになっていたが一人で運用しながら指揮は厳しいということだけわかった。
いろいろ考えたが、予備機として保管していたオーブ軍でも採用されている戦闘ヘリをかりて、こいつでどうにかするしかないとなった。
「私がジンをうまく使えないから」
「いや、単純に俺だけじゃ指揮できないからでな」
「マスター、ソキウス様と」
「ソキウスが俺に気を遣うだろ」
「まぁ、無茶な動きはできなくなりますね」
クナの成績は悪くないが、実戦経験のあるシルヴィと軍用コーディネーターのソキウスに比べたらやはり劣る。
でジンを2機も借りる余裕はないので、クナに操縦を任せて、俺が隣で指揮を執るということになった。
指揮というよりも、各種報告がメインになる、指揮ならたぶんソキウスの方がいいんだが立場の問題があるし。
そうして訓練を終えた後、戦況は大きく変化していた。
ザフトの地上拠点であるカーペンタリア基地が完成、まずは攻略失敗したヴィクトリアのマスドライバーを落とすため、ユーラシア連邦からの増援を断つことを目的とした地中海方面へ侵攻を開始した。
これに対応して俺たちも南米派遣から変更され、今は大西洋連邦のケネディ宇宙基地警備に参加することになった。
「マスター、夜食です」
「ありがとうね」
俺達は主要基地から離れたマルバラ空軍基地跡を整備して待機している、持ち込んだMS以外にもマイスター社の航空機が待機している。
本来ならケネディ宇宙基地やケープカナベラル空軍基地、パトリック空軍基地に駐在するのが一番だったのだが、コーディネーターは入れたくないと駄々をこねられここにいるというわけだ。
「まったく、MSを持ってないのにコーディネーターはお断りだなんて、連合はバカしかいないのか?」
「そうなのでしょうか? 打ち上げ基地はマスドライバーと比べた場合、重要性は低いと考えますが」
「それに間違いはないが、マスドライバーに負担をかける作戦かもしれないぞ」
ザフトの展開するオペレーションウロボロス、それは地球に存在するマスドライバーを制圧、もしくは破壊して、地球から宇宙への増援を断ち、月の連合軍を降伏に追い込むことで戦争終結を目指すという物。
今のところすべてのマスドライバーは健在だし、地球各地には旧世紀からのロケット打ち上げ施設がある、なぜマスドライバー狙い撃ちなのか。
はっきり言えばマスドライバーのコストパフォーマンスが高いから、これに尽きる。
オーブのクサナギはメインブロックをマスドライバーで打ち上げていたが、あれは10機を超えるMSを格納、運用できる積載量がある、それをロケットブースターなしで打ち上げられる。
一方ロケットは準備から打ち上げまで時間がかかるしそのくせ打ち上げられる荷物量も旧世紀より増えたとはいえ多くない、しかも1年に打ち上げられる数で考えればマスドライバーの圧勝である。
「地球連合が月に拠点を構え食料の大部分を地球依存で動かせているのは、マスドライバーの存在あってこそなんだ」
「ですがマスター、それならなぜロケット打ち上げ施設は今も稼働してるのですか?」
「マスドライバーだけじゃ不安だからさ」
マスドライバーは世界に4本しかない貴重なインフラ、しかし定期的な整備は必要だしこういった戦争中は軍が独占してしまう、そうでなくても民間より政府が優先される。
そういう場合はロケットブースターを使用しての打ち上げの方がコストはかかるが早いことも多い、リスク分散もかねて各地のロケット発射場は衛星や民間の飛び込み需要に対応して現存している。
もっとも、すべてのマスドライバーが失われた場合、各地のロケット打ち上げ施設を使ったところで月基地の食料を賄うのは不可能だと言われているが。
「それに、月にあるのが連合の基地だけじゃない、中立の月面都市の分も含めればマスドライバー頼りにはなれないんだ」
「長々とご高説ご苦労様です」
「ソキウス、聞いてたのか」
「ソキウス様、チキンはいかがですか?」
「いただくよ」
ソキウスはシルヴィからチキンを受け取ると、豪快に食べていく。
そしてでかいコーラを飲む、うんアメリカンだな。
「で、わざわざ来たんだから何かあったんだろ」
「少し前に大西洋連邦からカリブ海、キューバ沖でザフト潜水艦と思われる音を探知したと」
「おいおい、そこら辺は大西洋連邦の庭だろ」
「なので、メキシコ湾侵入に備え防衛線を展開、このあたりからも戦力を引き抜くそうです」
「マスター」
「まぁ俺たちに何かできるわけでもないしな、しかしそうなると、騒がしくなるか」
ザフトにとっては、アフリカのマスドライバー制圧においての障壁は、ヨーロッパ方面からの増援、そしてもう一つは大西洋を越えてのアメリカ大陸からの増援。
それを断つために大西洋にもザフトの通商破壊部隊が出張ってきている、喜望峰を潜水艦で超えてはるばるここまで来ている。
大西洋連邦も黙ってないので対潜部隊を送り出してるが、戦果は芳しくないらしい。
まぁ原子力艦艇は軒並み運用不能になったせいで、バイオ燃料で動く旧式艦が引っ張り出されてる状態だしな、なんか記念碑になってた戦艦を引っ張り出し…はできないので新造なんて話も出てるし。
「マスター、タラが出てきてます」
「うちの空軍もお仕事開始か」
格納庫から滑走路に引っ張り出されてきたのはZガンダムのジャブロー迎撃に参加していた連邦軍の戦闘機TINコッド、名前を訳せは錫タラ。
この世界ではスピアヘッドと正式化を競うも、比較して小柄な機体ゆえ航続距離、基礎設計の古さからステルス性能、非VTOL機のためSTOL性能で負けてプラント理事国では不採用、非理事国の一部と戦闘機以外の用途で売れた程度だったが、空軍パイロットもコーディネーターだからと追放された人間が多く、こうしてマイスター社で多数運用されている。
ただこの世界の仕様に合わせた似た姿で同名の別物、支援AIの性能が良くて簡単な訓練で俺でも乗れたんだよね、技術の進歩ってすごい。
「フロリダ湾に出たら爆撃でもすんのかね」
「ミサイルはパイロンに拡張装置をつけて8発、対潜装備の短魚雷なら4発詰めますから」
「タラがたくさん」
そういえば改良機がフライマンタの後継になってたっけ?取り上げず対潜装備と対空装備がそれぞれ2編隊ずつ16機も並ぶと、すごいかっこいいんだよな。
「まぁ、俺たちに仕事がない方が」
そう呟いてジュースを飲もうとした時だった、遠くから響く爆音、急いで外に駆けてみれば、北東の方角が明るくなっている。
「マスター!」
「ケープカナベラルの方角からです!」
「事故か!?」
「皆さん、大変です!」
何事かと思ったらクナが来た、これはもしや
「ザフトの攻撃です! ケープカナベラル空軍基地が奇襲されたです!」
「シルヴィさん、ジンへ!」
「了解」
「俺もでる! クナ、ヘリを出す!」
「は、はいです!」
なんだ敵はカリブ海かフロリダ湾での通商破壊とかじゃねぇのかよ。ロケット基地を狙うって予想はあったが、とにかく考えるのはあとだ。
モルゲンレーテ製の戦闘ヘリに飛び乗って、ヘルメットをかぶり通信系を起動させる。
「クナ、俺は情報提供に専念したい、射撃系統もそちらに回す」
「了解です」
「シルヴィ、ソキウス、準備はできたか?」
『完了してます、マスター』
『こちらも準備完了』
「前線指揮はソキウスに一任する、シルヴィはしっかり指示を聞いて従うように」
『了解した』
『了解』
「よし、クナ、テイクオフだ」
「はいです!」
ローター音が響き、ヘリがゆっくりと上昇する。
TINコッド隊も大急ぎで離陸し、ケープカナベラルの救援に向かう。
シルヴィとソキウスのジンもスラスターを吹かせて急行する、地球での初戦、無事生き残りたいものだが。
一般公開しても
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いいんじゃない?
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チラシの裏がテメェの居場所だ