拾ったコーディネーターと生きる転生C.E.   作:yatagesi

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4.3

シルヴィ SIDE

 

地球に降りて初めての戦闘は、ザフトの奇襲だった。

市街地の路地を飛び越えながら、ケープカナベラル空軍基地へと近づいていく。

 

『シルヴィさん、どうも敵は海から攻めているようです』

「潜水艦?」

『まだわかりませんが、警戒を』

「了解」

 

彼女たちの頭上をTINコッドが、そしてマスターとクナの乗った戦闘ヘリが飛んでいく。

ケープカナベラルも、迎撃部隊を出しているが、圧倒されているようである。

打ち上げ予定のロケットかシャトルか、とにかく打ち上げ準備が終わったところで攻撃を受けたのだろう。

巨大な火球が生まれ天を焦がす、あたりは昼間のように明るくなり、再び夜に戻る。

 

『足元に注意!』

「!」

 

その光景に目を奪われ、足元がおろそかになっていたシルヴィはソキウスの言葉で交差点に着地する。

そこには私服姿で武装した市民が何人も乗るピックアップトラックがおり、彼らはシルヴィとソキウスのジンに銃弾を浴びせていた。

 

「ソキウス様」

『放置してください、この国は市民の武装権を保障しています、通信は流しておきますがね』

 

ソキウスの機体からは自分たちが地球連合、そして大西洋連邦に雇われた傭兵であるという通信が流れている。

それを聞いてなお、市民たちは攻撃をやめない、二人はそれを無視して戦場へと急ぐ。

 

「なぜ、彼らは攻撃を?」

『ブルーコスモス派メディアにとって、ジンはコーディネーターの象徴ですからね、市民にとって敵味方なんて関係ないんです』

「そう…バカな人たち」

『大西洋連邦軍がシビリアンコントロールから離れかけていることにも気づかない人たちですからね、それよりもうすぐ戦場です』

「うん」

 

ケープカナベラル空軍基地はそこそこ大きな基地であったが、あちらこちらで火災が起きており、防衛も後手に回っているようであった。

シャトル打ち上げ施設へ向かう中、マスターから通信が入る。

 

『シルヴィ、ソキウス、到着したか?』

「マスター、はい、到着してます」

『アランさん、敵の数は?』

『ジンワスプが最低でも4機はいる、沿岸部からロケット推進魚雷で打ち上げ予定のシャトルを破壊、その後上陸し打ち上げ設備を破壊して1機がケネディ宇宙センターへと移動している』

「了解、迎撃にあたります」

『シルヴィはケネディ宇宙センターへ、僕は沿岸部へ』

『頼む、他に上陸してくるかもしれない、それと上陸した1機はTINコッド隊が撃破したが、増援が来る恐れがある』

 

シルヴィは自身のジンをケネディ宇宙センターの方角へと移動させる、ザフトの潜水艦は情報では8機の水陸両用機を運用できる、今は4機が確認されていて、1機が撃墜されて残りは3機。

この後手に回っている状況を見れば、たとえ1機のジンワスプといえどケネディ宇宙センターを壊滅させることが可能である。

発見するのは難しくなかった、相手は呑気に歩いていた、MSが出てくるとは思ってないのは丸わかりであった。

 

「敵発見、仕掛けます」

 

シルヴィはジンの足を止めアサルトライフルを構え狙う、ジンワスプはまだ気づいていない、引き金を引きバースト射撃を叩き込む。

放たれた弾丸はジンワスプの左腕を引き飛ばす、ここまでされた相手もシルヴィの存在に気が付いたが振り返って足を止めてしまった。

 

「隙だらけ、これなら!」

 

シルヴィはジンのスラスターを吹かし、アサルトライフルを腰に回して重斬刀に手をかける。

ジンワスプも魚雷ランチャーを片手で構えるが、反応は遅すぎた。

重斬刀の横一閃はジンワスプの両足を切り落とし、胴体は地面に倒れる。

シルヴィはすぐさまワスプの右腕を踏みつけ、ランチャーもろとも破壊する、そして重斬刀の切っ先をコクピットに押し当てる。

 

「降伏するなら、殺害はしません」

『わ、わかった、降伏する!』

 

相手のパイロットは乗機の電源を落とし、コクピットを開け両手を上げる。

それを確認したシルヴィはマスターへと報告する。

 

「マスター、ケネディ宇宙センターへ向かっていた敵は降伏」

『よくやった、ウチの地上部隊がすぐそこまで来てる、そちらに任せて沿岸部へ』

「了解」

 

通信を切り上げあたりを探れば、装甲車に乗ったマイスター社の歩兵たちがこちらに向かっていた。

彼らは到着すると速やかにパイロットを回収、それを見届けたシルヴィは沿岸部へと移動する。

 

「ソキウス様、沿岸部は?」

『敵は攻撃の時だけ顔を出す、いやらしい攻撃をしてくる』

「援護します」

『頼む、投射量を増やしたい』

 

沿岸部では照明弾が撃ちあがっており、マスターが乗るヘリも、攻撃を仕掛けようとするジンワスプが水面に近づくところで攻撃するが、相手にはダメージを与えられていない。

シルヴィもアサルトライフルでけん制するが、攻撃は防げても、撃墜までには至らない。

 

「ソキウス様、ライフルを」

『どうするつもりですか?』

「海に飛び込んで、重斬刀で」

『相手の土俵に飛び込んでは勝てません』

「でも」

『TINコッド隊が来る、それまでひきつけろ!』

「マスター、了解」

『ロケット弾、打ち切りました』

『こっちは弾切れだ、援護できないが観測支援は続ける』

 

戦闘ヘリは機銃もロケットも撃ち尽くして弾無し、それでもMSよりも高い視点で支援してくれるのはありがたい。

ジンワスプが浮かんでくるタイミングで、水面にアサルトライフルを叩き込む。

相手は攻撃後、再び潜るがこれにも限界がある。

 

『シルヴィ、そっちに上がるぞ!』

「了解!」

 

シルヴィは指示に従い浮上ポイントにアサルトライフルを叩き込むが、敵は構わず上昇、ランチャーからロケット魚雷を放つ。

シルヴィも回避を試みるが間に合わず、右肩に命中し、装甲を吹き飛ばした。

 

「ぐっ!被弾なれど作戦行動に支障なし」

『シルヴィ、無茶はするな!』

「わかっています、マスター」

『相手も大胆になってきてますね、TINコッド隊は』

『まもなくです…来ます!』

 

クナの声とともに南西の空からTINコッド隊が飛来する、その機体の翼下には短めの魚雷が吊り下げられていた。

 

『すまねぇなわけぇの!遅くなっちまった!』

「救援、感謝!」

『かわいい嬢ちゃんの為にも、このぶっといのを落としてやるぜ!』

 

TINコッド隊は水面すれすれまで降下すると、魚雷を投下していく、しばらくして何本もの水柱が上がり、海面に油が浮かぶ。

 

『音響探知魚雷だ、撃墜は無理でも撃破はできるってシロモンよ』

『敵部隊はおそらく撤退したな、警戒体制へ移行する』

「了解…ふぅ」

 

シルヴィはヘルメットを外す、あたりは炎で明るいが、消火活動はまだ始まったばかりであり、これを狙っての攻撃の可能性があった、静かであるが、戦闘は続いていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アラン SIDE

 

ケープカナベラル空軍基地襲撃が終わったのは、結局翌朝になってからだった。

あちらこちらで起こっていた火災は消し止められ、今は実況見分が行われている。

TINコッド隊が魚雷とミサイル抱えてまだ警戒しているが、再攻撃の恐れはなしと判断された。

 

「ザフトはシャトル発射基地を叩くのにジンワスプ3機損失、その一方で連合はケープカナベラルの打ち上げ施設は全滅か」

 

爆発で焼けただれたシャトルの打ち上げ施設、それが何本も並んでいる。

ザフトが失ったジンワスプはTINコッド隊が仕留めたのが1機、シルヴィが破壊したのが1機、そしてTINコッド隊の魚雷攻撃により帰れなくなって俺達に降伏したのが1機。

燃え尽きたシャトルと打ち上げ設備と比べればはるかに安い損失だ。

 

「マスター、鹵獲したジンですが」

「連合に引き渡す、捕虜はこちらで回収する、今の連合に引き渡してもまともに扱われるとは思えん」

「そうですか」

 

シルヴィは鹵獲したジンワスプがもらえると思ったんだろうが、そう甘くはない。

連合だって研究のためにMSが欲しい、損傷していても貴重な資料、こちらに渡してはくれない。

捕虜に関してはラウンドテーブル社が運営を委託されている捕虜収容所へ移送される、まぁ中身は監獄だが連合の捕虜収容所よりははるかにましな環境である。

 

「アランさん、連合との話し合い終わりました」

「今回はこちらの落ち度はなしだそうです」

「ご苦労さん、まぁそりゃそうだな、基地から離れた場所に配置したのが悪いんだから」

 

ソキウスもクナも苦笑しているが、言葉に出さないだけで同意している。

今回はザフト側の奇襲、連合が察知してるなら間に合ったかもしれないが、それができていなかったのでこちらに文句を言われても仕方がない、自分たちで海に追い返せなった連合が悪い。

 

「マスター、忘れてましたが、市民に攻撃されました」

「あー、ロケットランチャー持ち出されてなかったら文句言えないんだよな」

「MSにアサルトライフルや拳銃で傷はつきませんからね」

「トレーラーが来たら布をかけないとですね」

 

市民から攻撃されたのが歩兵だったら文句言えたんだけどね、大西洋連邦に。

まぁ向うの担当官はジンを使ってる方が悪いと形だけの謝りもしなかったから本社にチクっておいた、今頃ジンを使うだけで攻撃されるならMSパイロットの派遣はできないと脅してることだろう。

まだ連合製MSが開発できてないのにうかつなこと言ったな担当官、彼は僻地に飛ばされない事を祈ることしかできないだろう。

 

「それと、本社から連絡です」

「次の仕事か?」

「輸送船を使ってスペインへ向かってほしいとのことです」

「スペイン?」

「ザフトがジブラルタルから攻めてきてるそうです」

「欧州戦線の構築か」

 

ザフトは原作だとジブラルタルに基地を作っていた、その基地の安全を守るためにはイベリア半島を制圧しておかないといけない。

戦場は拡大している、向こうでどんな仕事がまっているのやら。

 

「とにかく、皆今日はご苦労だった、トレーラーが来るまで休んでくれ」

「マスターはどうするんですか?」

「うまい飯を出す店がないか聞いてくる、生き延びたんだいいもの食ってもばちは当たらないさ」

 

まぁ次の仕事なんてわからないもの考えるより、労いも込めてウマい飯を探す方が、今は大事だがな。

 

一般公開しても

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