拾ったコーディネーターと生きる転生C.E. 作:yatagesi
北米を出発しイベリア半島のビスケー湾に面する都市ビルバオに俺たちが到着までの数日間、ザフトは地球連合をエルアラメインで破り、ヨーロッパ方面はジブラルタル基地の建設、そしてその安全を確保するための侵攻に力を入れていた。
ヒホンの港には多数の難民であふれかえっており、彼らを安全な地域へ輸送する任務が俺たちを運んできた輸送船と護衛のミンスクの任務となっていた。
船を降りて数日後には、マドリード近郊に近郊に設営された拠点に到着した。
「マスター、プロトジンの調整、終わりました」
「こっちもヘリの調整は終わった、もっともそうのんびりもしてられないが」
シルヴィの機体はマイスター社がジャンク屋から購入したプロトジン、持ち込めたのはヘリとソキウスの偵察型ジンだけ。
そろそろシルヴィの機体を何とかしたいところだが、こう転戦続きだとじっくり探してる余裕もない。
「地下壕生活もなれるもんだな人間」
「マスター、マドリードの街並みを見てみたいです」
「残念ながらザフトが連日連夜あちこちを空襲してるから、許可できない」
「…」
ザフト軍は建設中のジブラルタル基地を守るため、傭兵を多数雇いイベリア半島、フランス、イギリスの航空基地を奇襲、短期間で制空権を奪取して見せた。
続いて地上侵攻も開始、連合軍は必死の抵抗を見せるが動員が間に合っておらず、撤退を重ねている。
特にバクゥの脅威は大きくその機動性に圧倒され、戦車部隊は壊滅状態だという。
「それに、マドリードは難民であふれかえってる、ブルーコスモスに殺されるぞ」
「マスター、さすがのブルーコスモスでも、それはしないのでは?」
「奴らにそんなの関係ない、あんなのに半分支配されてる軍隊なんて、いつの時代の軍隊なんだ地球連合は」
ブルーコスモスは元々は環境保護団体、まぁ俺の記憶にある環境保護活動家は社会に迷惑をかけるパフォーマンスをしてるやばい連中なのだが、ブルーコスモスもそうであった。
というか宗教を取り込んでより過激により悪質になり、コーディネーターを迫害する組織となった。
しかも宗教を取り込んだ際に政治軍事の上層部に所属してる人間まで取り込んでしまい、地球連合を私物化し、コーディネーター叩き棒にしてしまった。
これを世界の市民が認識したら、たぶん地球連合は即日崩壊軍は脱走兵多数で徴用拒否は当たり前になる、国家のために命を捧げるために軍に入ったのであり、宗教団体と環境団体の悪魔融合体のために入ったのではないって連中は山ほど出てくるだろうし。
「しかし馬鹿だよな、ブルーコスモスを絞めてればこんな戦争起きなかったのに」
「そうなんですか、マスター?」
「そうだ、少なくともプラントなんて出来上がらなかった、ブルーコスモスの迫害がプラントにいたコーディネーターに気づかせてしまったんだ」
プラントは元々、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国の3大国、プラント理事国が建造、管理、運営していた。
そこにいたのがコーディネーターたちであり、それぞれの管理区域で暮らしていた彼らはそれぞれの管理国の国民として過ごしていた。
ところがコーディネーター絶滅を掲げるブルーコスモスがテロを何度も起こし、理事国はこれを収めるどころか支援した、それが間違いだった。
頻発するブルーコスモスのテロ、それに対処しないどころか支援する理事国、母国は違うが同じ悩みを持つプラントのコーディネーターたち、そして誰かが気付いた、気づいてしまった。
我々は同じだと。
「管理国は違っても、同じ悩みを持つプラントの住民、なら自分たちは同じなんだ、同胞意識がプラントに住むコーディネーターたちに広がり、共有された、その結果が今の戦争だ」
「だから、プラントは地球にいるコーディネーターを考えなかった?」
「そうだな、彼らにあったのはプラントのコーディネーターという同胞意識だった、かつてのユダヤ人が迫害の末イスラエルを建国したように、迫害を受けたプラントのコーディネーターが国としてプラントを建国しようとしている」
そう考えると、この戦争はプラント理事国の失敗から始まったと言える、まともに統治してればそれぞれのプラント住民の国民意識は理事国にあっただろうに。
「まぁ戦争の始まりなんて大半は政治の失敗だ、そろそろブリーフィングだ、行くぞ」
「了解です、マスター」
地下防空壕に入り、あんなに従い大きな部屋に入る、中には椅子が並び、壁にはプロジェクターが設置されている。
ソキウスやクナ、そしてマイスター社に所属、もしくは登録してる同僚たちが座っている。
「ギリギリですよ」
「間に合ったからいいんだよ」
ソキウスの小言を流す、予定五分前なんだから何の問題もない。
初老の男が入ってくる、この方面の一番偉い人、スペインで行動するマイスター社傭兵達の指揮官だ。
「起立はいい、時間が惜しい、諸君、さっそくだが説明に入る」
部屋が暗くなり、プロジェクターが作動する。
「現在、連合軍は各地の空港を破壊されると同時に、アフリカ共同体から派遣された空挺部隊によるゲリラ戦により分断されつつある、現に旧ポルトガル地域はすでにザフトに占領された」
プロジェクターで示されたイベリア半島で赤いザフト占領地と青い連合地域は、東は地中海に面したアリカンテ、中央はマドリードの南にある都市トレド、北はビスケー湾に面したヒホンのラインで接していた。
ただこれも数日前までらしい。
「ザフトはマドリード北西の都市バリャドリードへ攻撃を強めている、マドリード孤立も時間の問題である、我々への依頼は連合軍がサラサゴへ撤退し戦線を立て直すまでの支援、要するに時間稼ぎである」
連合としてはフランスにザフト軍を入れたくない、だからスペインで抑えたい、そのための時間が欲しい、なるほどね。
「戦力配置はフライングタイガース2世を主軸とするTINコッド隊でバリャドリード防衛の支援をする、アルマジロ隊を主力とする陸上部隊はマドリード南東の都市アルバセテ防衛に向かってほしい」
「了解です!」
「我らが力、存分に振いましょう」
フライングタイガース2世はTINコッドに虎の絵を描いてる飛行隊だったか、でアルマジロ隊は61式戦車を主力とする傭兵の集まりだっけ。
61式戦車はファーストよりイグルーとか08小隊で出てきた方に似てたな、性能も似たり寄ったりか。
ただ、どっちも戦前はアグレッサーをしてたらしいが、実戦大丈夫なのか?
「MS隊についてだが、戦力が少なすぎて作戦には組みこめないので、別任務に就いてもらう」
「マスター」
「事実だから反論できん」
というか他のMSはどこ行った?ザウートがマドリード近辺に待機しているとビルバオでは聞いていたが…まさか壊滅したか?
だとしたら指揮官信用ならねぇが、真相は不明だし…。
「MS隊にはテルエルに向かってもらう」
「テルエル?」
「ザフトが唯一破壊しなかった空港がある、空挺部隊も降下したようだが動かないので連合も放置している」
「何が目的なのでしょうか?」
「わからん、降下場所を間違えただけだろ」
テルエル…なんか覚えが、確か二次創作のアイデア集めで…!
「指揮官殿、テルエルの空港だけ破壊されなかったのですよね?」
「マスター?」
「なんだ若造、あぁそうだ、見逃したんだろ」
「テルエル空港は飛行機の墓場です、ザフトはそれを知っていたと考えられます」
「飛行機の墓場?」
「気味が悪いです」
「ふん、そんなの問題なかろう、お前たちMS隊だけで対応しろ」
「…了解した」
「以上、解散!」
この指揮官、こっちの言葉の意味理解してんのか?
他の連中もこっちを見ながら笑ってるけど、結構重大なことかもしれないぞこれは。
「マスター、飛行機の墓場とは?」
「僕としてもザフトがわざわざ占領する意味が分かりません」
「あぁ、飛行機の墓場ってのは古い飛行機を集めて解体する場所だ」
「スクラップヤードみたいなものなのですか?」
「似ているが、テルエル飛行場は民間機の預かりもしている、ザフトの狙いはテルエル空港に預けられた民間旅客機の可能性が高い」
飛行機の墓場はなにも解体するための場所じゃない、アメリカにある墓場は大量の軍用機をモスボール保管してるし、テルエル飛行場も多数の民間機を預かり、または解体している。
それだけの飛行機が動かされず、まだそこにあるとしたら。
「ザフトとしては保管してある旅客機を改造して輸送機にするつもりかもしれない、慣れない地上戦で輸送機の数は1機でも多いに越したことはないからな」
「そんな手間のかかることを、するでしょうか?」
「するさ、なにせザフトにとっては凡イスラム会議まで飛行機を飛ばさないといけないからな」
なんせ宇宙からすべての輸送機を持ち込む手間を考えれば、地上に降りて持って行っても問題ない旅客機は便利だ、MSを詰めなくても運べるものは多数ある。
「今回の依頼が連合軍の支援なら急ぐぞ、というか飛行機を自爆ドローンみたいに使われたらそれはそれで厄介だしな」
「了解です、マスター」
「考えすぎだと思いますが」
「でも、一緒に行くです」
ついてきてくれるのはありがたい、そうなると早く動く必要はあるが…
「ソキウスはクナを乗せて行ってくれ、俺は車を借りてくる」
「了解した」
「わかったです」
「マスター、ヘリは?」
「音が出てまずい、トラックとドローンを借りて援護する」
「危険すぎます、マスターはヘリで」
「奇襲したい、先に出るぞ」
とにかく輸送機を持ち出されたらザフトは撤退する、ここで阻止できればマイスター社の評判は上がる、そうすればこちらの給与や装備がよくなるかもしれない、そしてそうすれば生き残れる確率も上がる。
昼間の奇襲、リスクはあるがやるしかない。
一般公開しても
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いいんじゃない?
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チラシの裏がテメェの居場所だ