タグやあらすじにもある通りオリ主ちゃんの残虐性が強いため残酷な描写が多くなるかもしれません。苦手な方は閲覧をお控えください。
ユーリ視点
その人と出会ったのは1年前のことだ。ボクが外交官から国家保安局〈SSS〉に異動して何回目かの仕事の時だった。
「ブライア准尉、交代だ。」
「...お疲れ様です、少尉。まだ聞きたりないのですが。」
「上からの命令だ。恨むならタイムリミットまでに完遂できなかった自分を恨め。ここからはダグラス中佐がやるんだと。」
「…!ダグラス中佐が!?」
その人はボクの教官に当てられた人だった。中佐という高い階級の人が1新人に付いて教えを施すというのは珍しいらしく部署内でも騒がれていた。
「やぁ、調子はどうだい?」
開いた扉から聞こえてきたのは鈴の音のように透き通った声だった。視線を下げるとくすんだブロンドのストレートの髪をセンターで分け、肩下で切り揃えた美しい少女と目が合う。
「……子供?」
「ンン゙ッ...ブライア准尉、その方はお前より5つ歳上だ。..新人が無礼を働き失礼しました、中佐。」
「…!?し、失礼しました。初めまして、ユーリ・ブライアです!」
(この見た目で歳上だと!?どう見ても中等部か高等部だろ…!しかしこの部屋に用がある中佐というのはまさか…)
「ははっ構わないよ。誰しも最初は間違える。なんせ未だに年齢確認に悩まされるからね。..君がブライア准尉か。ボスに話は聞いているよ。外務省から異動したばかりなんだってね?..おっと、挨拶が遅くなってすまないね。私の名はスピカ・ダグラス、階級は中佐だ。もう聞いているとは思うけど君の教官を担当することになった。これから末永くよろしく頼むよ。」
「…は!よろしくお願いします、中佐!」
「うん、元気があっていいね。..さて、歓迎会といきたいところだがまずは仕事を終わらせなければね。慣れない仕事だ、疲れただろう?今日は先に上がって歓迎会まで休憩しているといい。」
「お気遣いありがとうございます。..ですが今後のために中佐の尋問を見学してもよろしいでしょうか?」
「…君、やはりいいね。もちろん構わないよ。向上心が高いのはいいことだ。だが、無理はいけないよ?辛くなったらいつでも抜けていいからね。」
「はい..!ありがとうございます!」
黒革の手袋を着けながらニコリと仄暗い青色の目を細めて中佐が部屋の中に消えていく。その姿を見送って部屋を監視できるマジックガラスの前まで移動する。
「おい、ユーリ。本当に辛くなったら無理はするなよ。ゆくゆくは慣れていかんといけないがな。」
「少尉まで..ボクそんなヤワじゃないですよ。」
「…あと中佐を参考にしすぎるなよ。あの方は優秀だが..やり口が保安局1過激といっても過言じゃあない。何で上がお前に中佐を付けたのかはわからんが..まぁ期待されてるってことだ。..こんなとこで潰れるんじゃないぞ。」
「…了解しました、少尉。」
「やぁ、こんにちは、リワードさん!いや〜まさか生きてる内に官僚の方に生で会えるとは!あ、すみません..もう元、でしたね!」
そんな話をしているうちに中佐の尋問が始まったようだ。
「…子供がなんのようだ。冷やかしならとっとと代わって早くここから出してくれ!私は何もしていない!」
「残念ながら本官、成人済みでして..。先程の者よりも立場は上なもので〜…ご期待に沿えずすみませんね?」
..ミシリ。中佐が掴んだ男の頭部から鈍い音が聞こえる。
「ぐぁぁぁあ!!!」
「それに嘘なんか吐いちゃだめですよ〜リワードさん!何もしてない、なんて。国庫横領の証拠があるからウチにいるんですよね〜?嘘吐きは泥棒の始まりって言葉知ってます?あ、知らないから泥棒になっちゃったのか笑」
…ミシミシミシミシ。掴まれた頭がどんどん嫌な音を立てていく。
「うぐぅぁぁあ!!!!やめっ、やめてくれ!話す、話すから!」
「あ、掴んでるの忘れてました。すいませんね〜..痛かったでしょう?まぁ話すって言った事実は覆りませんけど。じゃあどうぞ、話してください?」
「ぅ..くっ..わ、私はただ少し国庫から拝借しただけなんだ。金も女と遊びたかっただけで..他には何も..ひぃっぎぃぃぃい!」
ベキッと軽い音が鳴る。..中佐が男の爪を剥いだのだ。
「ん〜..報告にあるのは全く少なくはない額ですけどね。他にないっていうのも嘘。あ、言い忘れてましたが今から嘘つくたびにペナルティが付きますから。」
ベキベキベキ。再び軽い音と男の絶叫が響く。
「はぁっはぐぅっ..!ぃだいいだいいだいいだぃぃい!!!」
「大の大人が喚き散らしてみっともない..静かにしてくれません?人に子供という前に自身の言動を見直してみては?……あ、タバコの跡がある〜。そっかぁ、新人にやらせる前に実演して見せたんだなぁ。..っと、少しは落ち着きました?そうそう、さっきの発言が気になったんですけど...あなた、奥さんと子供2人..立派に家族がいますよね?」
「..ぎぃぃ!ぁあ゙ー、お、男には遊びたい時だってあんだよ!家庭に縛られてちゃつまらない!お、お前も大人ならわかるだろ!?」
「………はぁ。遊びは終わりだ。」
ズドン..。机に置かれた男の手の平が万年筆に貫かれた。先程までとは中佐の圧が全く違う。仄暗い青色の瞳はよりいっそうハイライトを消して暗く澱んでいる。
「…ぁあ゙!?ぁ、ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぎぃぃぃい!!!!」
「お前にはガッカリだよ、リワード。口を開けば横領以外何もしていない、自分は無実だ、解放しろ。..挙句の果てには家族がいながら遊びだなどと..。実にくだらん。」
ガシャァァン..。向かい側に歩き出した中佐が男の椅子を蹴り飛ばし、男が吹き飛ぶ。仰向けに横たわる男の急所を踏みにじった。
「…ぐぅおぇぇぇえ!!!!!ぁ゙ぁ゙あ゙、や゙ぁ゙ぁ゙あ゙!!!」
「...ッチ、汚物を撒き散らすな。掃除が大変になるだろう?……なぁ、リワード。己の幸せにも気づけんようだから本官がみっちり教えてやろう。..家族とは良いものだよ。お互いを慈しみ合う絶対的な味方、本官はそう考えているが違うかね?」
ドスッと腹部に蹴りを入れる。
「お前は本官よりも長生きしているんだから当然戦争も経験しているだろう。お前と家族は国外に避難していたから無事だったようだが..あれでどれほどの家庭が壊れたか知っているか?母親を亡くし、父親を亡くし、兄弟を亡くし..苦しんだ者がどれほどいるか、知っているか?」
「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ー!!」
「飢えに苦しんだことは?親兄弟が目の前で命を奪われたことは?陵辱を課せられたことは?仲間を失ったことは?何もかも全てを失って人を信じられなくなったことは!?知っているか!!いや、知らないだろうな!!!お前はっ、上の人間でっ、困ったこともなくっ、与えられた幸せにも気づかないっ、大馬鹿者だからなぁ!!!!!」
「はがっ..!ゔぁ゙ぁ゙あ゙!うぼぁ゙ぁ゙ぇえ゙!!」
「……っと。すまない、話が逸れたな。横領以外の話だったか。ほら、これを見ろ。お前の通信記録だ。」
「...!!何故..それを..」
「証拠が無いとでも思っていたか?色々策を練っていたみたいだがこちらにも傍受に長けた者は大勢いる。…さて、ここからが本番だ。…くたばってくれるなよ?」
そう言って中佐は男の首根っこを掴んで椅子に投げ捨てる。
「…ユーリ、そろそろ出るぞ。顔色が悪い。」
「…………すみません、少尉。」
「いや、新人にしてはよく耐えた方だ。..今日の中佐はご立腹らしい。我々が見ているのを考慮してかいつもより控えめだがこの分では長引きそうだ。行くぞ。」
(これで控えめとは...。市民が秘密警察と恐れる理由がよくわかった…。中佐の尋問は過激さを除いても少尉の実演とは違った凄みがある。先程挨拶した人とは別人のようだ。)
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「遅くなってすまない!!いやぁ〜ちょっとお話が盛り上がっちゃってね。お腹すいただろう?」
「いえ、大丈夫です。お疲れ様でした、中佐。」
「ありがとう、ユーリ君。..そういえば結構粘ったな。手加減したとはいえ新人であそこまで残ってるのは中々いないぞ?これは大型新人が来たなぁ〜。」
「ははっ..そんなことないですよ。…ん?中佐はこちら側を見られませんよね?どうしてボクが退室したと..?」
「あぁ、通信記録を出した辺りで2人の気配が消えたからな。」
「け、気配で..。凄いですね。」
「なんの。慣れればすぐに出来るようになるさ。さぁ、飯にしよう。すぐにシャワーを済ませてくるから君達も店をどこにするかでも考えながら着替えて待っていてくれ。」
「「はい、了解しました。」」
ボクと少尉の返答に満足気に頷くと中佐は颯爽と去っていく。この人が教官..果たして自分はついていけるだろうか。この時はまだ恐怖と不安で入り混じった感想を抱くばかりだった。
軍服が好きな上に手袋フェチのため秘密警察が作者に刺さります..。
ユーリの手袋はめるシーンとかフィオナの手袋とかたまらないですよね。