国家の狂犬   作:みみずら〜めん

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作者の曇らせたがりという悪癖が出たために2話目にして早くも激おも原稿ができてしまいました。

流石にこれはないよなぁ..と冷静になったので1話丸々書き直しての投稿です..。

徹夜で朝まで頑張ったのに..作者の睡眠時間を返してッ!


02.知られざる過去と進展

スピカ視点

 

「はぁ...入りたくない。誰か変わってくれないだろうか..。でも定期報告だしなぁ..適任者が私しかおらん..。」

 

国家の狂犬とまで称されて恐れられる彼女は今..大きな扉の前でげんなりとしていた。何度となくため息を吐いた後に腹を括って扉を叩く。

 

「ボス、報告に上がりました。」

 

「……入りたまえ。」

 

 扉を開けた先にはこれまた大きな机と椅子があり、サングラスをかけた大柄のおじんが座っている。

 

「ボス、先日の新人指導の件ですが..」

 

「……ヴォッホン。やだなぁ、マイスウィートドータースピカ♡いつもみたいにパパとかダディとかおとうちゃまとお呼び?」

 

「……私は1回も父上をそのように呼んだ覚えはありませんが。」

 

「まったく〜スピカはいっつも堅いんだから!誰に似たんだろうね?」

 

「父上ではないことは確かです。話を戻しますがユーリ・ブライアの件です。……あれは実にいい。父上の節穴もたまには仕事しますね。確かにあれは使えそうです。子犬のような可愛らしさも持ち合わせていますし諜報の面でも期待できるかと。」

 

「ほ〜ら、言っただろう?ワシの目に狂いはないって!」

 

「…今回ばかりは同意しますが..何故私をユーリ君に付けたのですか?確かに私も面白そうな人物だと言いましたが父上は娘の...それも血の繋がりも何も無い人間の一言で動くような家族愛に富んだ人ではないでしょう?」

 

「いやだなぁ〜…そんな言い草、パパ傷ついちゃうよぉ。」

 

「ふざけてないで質問に答えてください。」

 

「ふざけてなんかいないさぁ。…ちゃぁんと考えがあるとも。…ユーリ君もあと少尉の彼もスピカの相棒になるといいなぁって思ってね。」

 

「…あくまで腹の底を教えるつもりはないということですね..。あと、相棒などいりません。私はソロの方が動きやすくていいです。…共に行動するのは教官の間だけ。ユーリ君が育つまでですから。…ここに前回の尋問報告置いておきますね。では、失礼します。」

 

「あ、スピカ。待ちなさい。」

 

「…まだ何か御用が?」

 

「うん。さっきの家族愛に富んでないってやつ、訂正して貰えるかな?…ワシは血のつながりなんかなくてもスピカを娘として愛してる。偽りのない本心さぁ。」

 

「……はぁ。それが娘に向ける威圧感ですか?訂正しますよ、すみませんでした。..では。」

 

 バタンと勢いよく扉をしめる。心には少しモヤっとした何かが残っていた。

 

――――――――――――――――――――

ボス視点

 

 娘が飛び出していった執務室で大きくため息をつく。

 

「はぁ〜...。今になって反抗期かねぇ?良い子に違いはないんだけどなぁ。」

 

ペラペラと古い門外不出の資料をめくる。そこには愛しい娘の幼い頃の写真と最新の写真が載っている。

 

 スピカ・ダグラス。本名、年齢ともに不明。現在:推定年齢24歳、身長151cm、体型、細身。幼少期に戦争の爆撃に巻き込まれて親兄弟と死別。放浪生活を続けるも自国であるウェスタリスの奴隷売買組織に捕まり、オスタニアに売られた経歴から自国を恨んでいる。隷属場所を転々とし、オスタニアの国家保安局〈SSS〉が保護。隷属先での殺人歴があり要注意人物。国家保安局〈SSS〉の局長であるフリーデバルト ダグラスが養子に迎えた後にイーデン校に入学。同校を飛び級し、首席で卒業後、外交官として勤めた後に国家保安局〈SSS〉に異動。保安局内最速で昇格し、現在の階級は中佐である。幼少期の経験からか尋問には他と逸した残虐性が見られ、任務達成件数に続いて保安局内での被疑者自殺件数もトップクラスとなっている。その手腕は国家の狂犬と称される程で今のところオスタニアに対する反抗的な言動は見られない。引き続き要観察対象。

 

「昔はまぁ..今みたいにツンケンはしていたけれどここまで酷くはなかったんだけどねぇ..。何がスピカを変えてしまったんだか。…最近は特に生き急いでいるようだしユーリ君の指導で何か変わればいいんだが。」

 

 (ユーリ・ブライア…境遇は違うがあの子と何処か似た雰囲気を感じる。)

 

「仲良くなって、あの子を変えてくれると期待しているよ、ユーリ君。」

 

 老人のささやかな願いはコーヒーの啜る音で掻き消えていった。

 

―――――――――――――――――――――

 スピカ視点

 

あれから数週間経った。読み通りにユーリはグングン知識を吸収し、早くも新人の域から抜きん出ていた。

 

「お疲れ、ユーリ君。今日の尋問はこれで終了だ。さっき教えた外交官解答リストは頭によく入れておくように。」

 

「はい!お疲れ様でした!..あの、ダグラス中佐。この後お時間は空いていますか?よければ一緒に食事でもどうかと。」

 

「ふむ…。大方仕事は終えているから構わんよ。場所の希望はあるかね?」

 

「いえ、中佐のお好きな場所で大丈夫ですよ。」

 

「では私の行きつけの店にするとしよう。口が固くて会合場所に良い店などは覚えて損はないからな。」

 

「そこまで考えていらっしゃるとは…!若輩者ですみません..」

 

「なに、おいおい覚えていけばいいのさ。料理の味も大事なポイントだからな。後でいくつかおすすめの場所を教えてやろう。各々着替えてから玄関に集合しよう、また後で。」

 

「はい、また後ほど!」

 

――――――――――――――――――――

 ユーリ視点

 

「ここだ。中々雰囲気のある店だろう?さぁ、中に入ろうか。」

 

 中佐に連れられてきたのはひっそりとした路地の地下にあるダイニングバーだった。その立地からか知る人ぞ知る名店のような小洒落た雰囲気を醸し出している。中に入ると心地の良いジャズが流れており、客は数人程まばらに座っている。

 

「やぁ、久しぶりだな、マスター。」

 

「おや?お久しぶりですなぁ、ダグラスさん。いらっしゃい、いつもの席空いてますよ。」

 

「急に来たのに悪いな。遠慮なく邪魔するぞ。」

 

 出迎えてくれたのは紳士然とした優しそうな老人だ。中佐に続いて奥の個室に入り席に着く。マスターはメニューを置いて恭しく一礼すると静かにカウンターに戻っていった。

 

「さ、何を食おうか?今日の勘定は私が持つからな、好きに食べるといい。」

 

「え..そんな、悪いですよ!元々ボクがお誘いしたのでボクが出します!」

 

「気にするな。せっかく部下が仲を深めようと誘ってくれたんだ、それくらいは格好つけさせてくれ。」

 

「でも...」

 

「じゃあ出世した暁には何か奢ってくれよ。ユーリ君は優秀だからね..きっとすぐに階級なんてあがっていくはずだ。…約束をしなければなんて後悔するなよ?」

 

「中佐ってば..。もちろんですよ。..じゃあお言葉に甘えて今日はご馳走になります。..ところでここのおすすめとかありますか?」

 

「あぁ、それでいい。..しまったなぁ。すまない、君はまだ酒が飲めない年齢だということを失念していた..。ここのおすすめは酒なんだがなぁ..。君はまだ飲めないし..他となるとカルパッチョなんかが上手いぞ?..ツマミみたいなもんだが。」

 

「じゃあ1つはそれで。あ、中佐はボクに構わず飲んでいただいて大丈夫ですよ?」

 

「そうかぁ?..いや、しかし飲めない者の前で自分だけ飲むというのもなぁ..上司として如何なものか..。」

 

「気にしないでいいですよ。ボク、中佐のこと尊敬してますし。多少のことじゃ中佐の上司像は崩れませんよ。」

 

「………そうか。じゃあ悪いが頼ませてもらおうかな。私は決まったが君はどうだ?」

 

「ボクも大丈夫です。すみません、マスター。注文を!」

 

 それからしばらくしてテーブルに料理がズラッと並ぶ。乾杯して料理に手をつけると想像以上の美味しさに思わず目を見開く。

 

 「…!これ、凄い美味しいです!」

 

「…ぷはぁ。だろう?こっちの方も飲めるようになったら付き合ってくれよ。」

 

 そう言って中佐はユラユラとお酒の入ったグラスを揺らす。お互いしばらく料理に舌鼓を打ちつつ会話を続けていると中佐が話を切り出してくる。

 

「そういえば君の動機を聞いたことがなかったな。何故君は外務省からウチに?」

 

「あぁ、それは..姉さんのためなんです。」

 

「ほう、ヨルさんのためか。」

 

「…ボク、中佐に姉の話したことありましたっけ?」

 

「いいや?でも存じているよ。ユーリ君はロッカーが姉の写真だらけでいつも姉さん姉さんと喚いていてうるさいとジョルノーが。」

 

「..なるほど。犯人は少尉か...!」

 

(今度会ったら問い詰めてやる..!)

 

「まぁまぁ、姉弟仲が良いのはいいことじゃないか。それで?」

 

「ん゙ん゙っ..ボク、幼い頃に親が亡くなってて..。家事も仕事も全部姉さんが頑張ってくれたんです。…姉さんの努力がなければ今のボクはいません。本当にボクには勿体ない姉で..。だからボク、ここに所属したんです!姉さんが安全で快適な世界で暮らせるために!」

 

「そうか..。素敵なお姉さんだな。そして良い夢だ..。君の夢を叶えるためにも我々は努力し続けなければいけないな。」

 

「…はい、これからも頑張ります!..中佐は何故保安局に?」

 

「ん?私か..。私には君みたいな高尚な理由は何もないぞ?ただなるべくしてなっただけだ。父が望み、私の望みと合致した..それだけだ。」

 

「中佐の望みって..」

 

「…ああ、君は知らなかったか。私の望みは生涯を賭けた復讐だ。…私の故郷は幼い頃に東西の戦闘に巻き込まれてね。爆撃に遭って親兄弟は皆死んだらしい。…私もろくに話せもしない赤子だったからなぁ。記憶は薄れているが1番上の兄が私を庇ってくれたようだ。..背中で冷えていく死体の感覚しか覚えとらんから詳しくはわからないがな。あれから色々あって今の養父である局長に出会ったという感じだな。…そんな訳で私は家族を奪った戦争を、幼い子供を苦しめたウェスタリスを決して許さない。..家族を失った日、少年の慟哭が聞こえたんだ。きっと私と同じように親兄弟でも亡くしたんだろう。復讐という形ではあるが私は..そんなふうに苦しむ子がいない..子供が泣かない世界を作りたいんだ。」

 

「そうでしたか..。..中佐の動機も素敵ですよ。すみません、不躾なことを聞いてしまって。」

 

「いや、気にするな。一緒に行動していればいずれ知る話だ。こちらこそ食事中に重い話をしてすまなかったな。..ほら、冷める前に食べてしまおう。」

 

「…そうですね。」

 

―――――――――――――――――――――

「ご馳走様でした、中佐。とても美味しかったです。」

 

「そうか、それなら良かった。この店もそうだが先程渡したリストの店は大体協力店舗だ。ぜひとも活用してくれ。」

 

「はい。…なんですかそれ?」

 中佐が眺めているのはレシートと一緒に貰ったクーポンだ。だがそのクーポンの裏には変わった文字が書いてある。

 

「あぁ、今日はこれを学ばせたかったんだ。ここの店主は情報屋をしていてね。我々と提携を結んでいるから有益な情報があればこうして暗号化して渡してくれるのさ。」

 

「へえ..!それにはなんと?」

 

「…ふむ。17:45、港にて密輸情報あり。詳細はすでに本部に回っているようだ。…明日の任務はこれで決まりだな。」

 

 そう呟いて中佐はニンマリと怪しげに笑った。




拙作では局長の名前はフリーデバルト・ダグラス、顔に傷跡がある中尉(作内では少尉)の名前はジョルノー・レダンになりました。名付けは基本フィーリングです。

尋問パートを中和するためにユーリと中佐の食事などほんわかシーン?が多くなりそうです。

早く拙作のユーリお酒飲めるようにならないかな..。
ユーリはアニメ版で初めてフォージャー家に行った時の「ロッティィィイ!!うぉぉぉぉお!!!」の首振ってるところが1番好きです。
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