以前も書きましたが今後結構食事シーンが続くかもしれません。
..こんなほんわか話にする予定はなかったんですけどね..。
...3人組が可愛いから良しとしよう。
スピカ視点
"こちらレダン。17:15に密輸関連のやり取りを傍受。現場班は配置についてくれ"
「こ..こちらブライア・ダグラスペア、了解しました。」
昨日の情報を本部でまとめて今日は現場での活動班としてユーリ君と2人で件の港に来ていた。少尉からの通信にやや緊張した面持ちで返事をしている姿は実に初々しい。
「そんな気を張ってちゃ捕まるものも捕まらないぞ?ユーリ君は筋がいい。いつもの練習通りやれば大丈夫だ。」
「でも、やっぱり怖いです!...中佐が補助してくれないなんて聞いてません!」
「ははは、万が一があればちゃんとフォローに入るさ。..いいかい、ユーリ君。君が成長した時隣に教官はいない。責任は全て自分が持つんだ。怯えていては敵に足元を掬われるぞ。堂々としたまえ。」
「ぅ..はい。」
ビシッと敬礼して背筋を伸ばすユーリ君。...素直なのは大変よろしいがターゲットに見つかるぞ。
「よし、じゃあ私は見守りに徹するぞ。相手の不正現場の取り押さえ、捕縛、尋問まで1人でやってみろ。」
「了解しました、中佐!」
それだけ伝えて観察ポイントに移動する。
「あー..こちらダグラス。レダン少尉、応答せよ。」
"こちらレダン。..個人無線まで使っていかが致しました、中佐?"
「...ッスー。あー、そのだな..。悪いが少し作戦を変更させてもらう。ブライア、ダグラスペアは各自単独行動。なおダグラスはブライアの監督に勤め有事の際にのみ交戦とする。以上だ。」
"え..ちょっ..中佐!?この任務はイレ.."
「これでよしっと。…ジョルノーには悪いことしたなぁ。まぁユーリ君の成長のためだ。許してくれよ?」
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ユーリ視点
17:45。接敵ポイントに2人の人影が現れる。情報通りに作業員らしき風貌をしている。
(見たところ普通のやり取りのようだが所々に隠語が含まれているな..黒か。今回の取引はオスタニアからウェスタリスへの化学兵器援助..立派な犯罪だ。渡したら..終わりだぞ。)
2人は和やかに会話をしながら倉庫から運び出し、船に積み始める。..時は満ちた。
「すみません。国家保安局の者なのですが..この港で怪しい取引をしていると通報があったもので..積荷の確認にご協力いただいてもよろしいですか?」
「え、えぇ。構いませんよ。」
2人に会釈して船の貨物置き場に足を踏み入れた瞬間
「...フッ!」
「クソっ..!当たらねえ!」
「化け物かよ…!」
咄嗟に屈み横に転がる。先程まで立っていた位置に鉄パイプが振り落とされ、銃弾が撃ち込まれていた。…中佐に背後から奇襲される訓練でボコボコにされといて良かった。
「ボクはまだ確認すらしていないのですが..交渉決裂ということで。」
相手の攻撃を躱しつつ足蹴りから締め技をかけて戦闘不能にする。作戦開始からものの十数分で捕縛まで完了してしまった。
「存外呆気なかったな..。」
「やぁ、ユーリ君。お疲れ様!無事に終わったみたいだね?」
振り向くと入り口には中佐が薄く微笑んで立っていた。その笑顔とは裏腹に中佐の雰囲気にはどことなくどす黒い何かを感じる
「中佐!お疲れ様です。…今回の任務、本当にこれだけだったんでしょうか?」
「うんうん。すぐに反省するのは君のいい所だ。…では答え合わせといこうか!」
..自分は何かしでかしてしまったのだろうか。中佐は普段なら絶対に見せないような笑顔でバチコーンとウインクをかます。
(…少尉が中佐は怒っている時や尋問中の盛り上がりに比例して笑顔になっていくと言っていた。つまりこれは絶対に怒っている..!)
「さぁ、これを見たまえ!」
「これは..鉄屑?彼らは黒ではなかったのですか!?」
中佐が蹴り飛ばして開けたのは先程戦闘した相手が運んでいたコンテナだ。中には化学兵器などではなくなんの変哲もない鉄屑が入っている。
「いいや、君の判断は間違っていない。彼らは確かに密輸犯だよ。」
「では一体..」
「まぁまぁ、そう急ぐな。まずはこの点から評価しよう。戦闘面は実に良かった。満点だ。ちゃんと訓練も活かされていたしね。正直失敗はなくとも負傷はするかもと思っていたんだが..美しい身のこなしと手技だった。教官として鼻が高い。」
「…ありがとうございます。」
「さて、次に悪い点だ。捕縛者を見て何か思うことは?」
「えっと...気絶していること、ですか?」
過度な暴行や生命を脅かすような行いはしていない。指摘されるとしたらそこだけだった。
「正解だ。今回はこいつらが実行犯だったから良かったもののもしも情報が不正確で囮だった場合今頃化学兵器は海の上だ。捕縛した後も気を抜かず即座に簡易尋問を始めること。また、尋問後は自死させないように猿轡を噛ませることを忘れるな。」
「…はい。申し訳ありませんでした。」
「いや、経験が浅いにしては上々の結果だ。君より出来んやつはごまんといる。振り返られることは美徳だがそれだけではやっていけないぞ。出来たところは自分でも褒めてやらんとな。…………ではここからが本題なんだがね?」
淡々と講評していた中佐は抑えきれないとばかりに目を輝かせる。どす黒いオーラが強まってくる感じからしてどうやらボクの手技に怒っていたわけではなく本題とやらに原因があるらしい。
「こいつらが運んでいた鉄屑。今回は他に協力者がいないため当然主犯であるこいつらに変えるメリットはない。…では誰がやったか?…答えは簡単!可愛い可愛いネズミちゃんでした!!」
「ん゙ん゙〜!!ん゙〜!?」
中佐が扉の裏から引きずって放り投げたのは猿轡を噛まされた赤髪の女性だった。その足はひしゃげていて腕は変な方向へ曲がっている。
「…中佐、あの方は?」
「ふっふっふ。聞いて驚け!このネズミちゃんはな、我らが天敵WISEの諜報員だ!いやぁ〜今日はユーリ君の成長の為に我慢しようと思ってたんだがなぁ〜?思わぬ収穫をしてしまった..。ジョルノーの通信からしてイレギュラーがあるかもしれないと構えてはいたが..まさか本当に私が動いて良い有事が訪れてくれるとは!..今日はツイているなぁ!」
中佐は本当に心底嬉しそうに女の顎を掴んで撫でる。
掴まれた本人は恐怖に顔を引き攣らせてガタガタと震えていた。
"..ブライア准尉、ダグラス中佐。任務の遂行を確認した。速やかに帰還するように。"
「おや、時間切れか。まぁそういう訳で今回みたいに第三者が出しゃばってくることもある。今後も重々気を引き締めるように。」
「..了解しました!」
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スパコーンと軽い音が響く。少尉に丸めた資料で軽く頭を叩かれた
「あいたっ..。…何をするんだ、ジョルノー。」
「どの口で言ってるんですか?急遽任務体制を変更されてこっちの報告がどれほど大変だったか..。」
「悪かったって。今度何か埋め合わせするから機嫌を直せ。」
「…毎回それで流されると思ったら大間違いですよ。…ユーリ、ご苦労だったな。どうだった?」
「..己の未熟さを再認識しました。精進していきます。」
「いやぁ、お前中佐の無茶振りであれだけやれたんだ。もっと誇れ?」
「ああ、君はよくやったよ。色々調査があるから我々の尋問は明日になるらしい。どうだ、早速3人でユーリ君の任務成功の打ち上げでもしにいかないか?」
「マジですか。..ゴチになります、中佐。」
「まったく。君は風貌に似合わずちゃっかりしてるなジョルノー。ほら、ユーリ君も行くだろ?」
「…はい!」
――――――――――――――――――――
「…いつも思いますがよくその小さな体にそれだけの量が入りますね..。」
目の前では中佐がムグムグと料理を頬張っており、少尉が呆れた声を上げる。
「んぅ?そりゃ動いてるんだから腹は減るだろう。逆に君達はそれっぽっちで足りるのか?遠慮せずもっと食え。」
「中佐が食い過ぎなだけですよ..。オレもユーリもちゃんと食ってます。」
首を傾げて中佐がメニューを渡してくるが別にボクと少尉が少食なわけではない。むしろ平均的な成人男性よりは食べているほうだろう。これだけ食べてよく体型が変わらないな..。
「むぅ..レディに対して酷い言い草だなぁ、ジョルノー。ユーリ君、君も言ってやれ。」
「...食べ過ぎは健康に悪いですよ、中佐。」
「な..君もそちら側か!?」
中佐は裏切られたとばかりに目を見開いて悔しそうにテーブルに手を打ちつける。..少尉、嬉しそうにハイタッチを求めないでください。
「あ、そういえばお二人に聞きたいことがあって..。資料で見たことしかないのですがWISEってそんなに厄介なんですか?」
「「厄介だな。」」
途端少尉と中佐は声を揃えて答える。中佐はグラスをダンッと苛立たしげに置くと語り出す。
「西国情報局対東課〈WISE〉..奴らは一律して高いスキルを持つ諜報員の集まりだ。..といっても今回捕まえたやつのように小童も混じっているが..我々の天敵ともいえるエージェントは2人いる。1人は通称鋼鉄の淑女(フルメタルレディ)。こいつは中々尻尾を掴ませないやつでな。ウチもめぼしい奴の調査をしてはいるがいまだにロクな情報はない。情報の少なさやその手腕から諜報員をまとめる管理官の立場ではないかという線が強い。そしてもう1人は...言わずもがな、黄昏だ!!」
勢いよく立ち上がった中佐は血が滲むほどに拳を握りしめて声を荒げる。それを見て少尉がコソッと隣から耳打ちしてくる。
「…中佐は着任時からずっと黄昏を追っていてな。実力が拮抗しているのか毎回決定打に届かずヤキモキしてるんだ。…まあ中佐レベルの化け物ってことだ、気をつけろ。」
「…そうなんですね。了解しました。」
「…失礼、少々昂ってしまった。黄昏..奴はWISEの主力エージェントだ。様々な顔を使い分け、誰も本当の姿を知らないらしい。..かく言う私も奴の顔を拝んだことはない。毎度毎度..綺麗事をほざいてちょこまかと逃げおって..。いいか、ユーリ君..。何としても我々で黄昏を捕まえるのだ!オスタニアの平和を守るためにも!!」
「黄昏..。わかりました!ボク、頑張ります、姉さんの暮らす世界のためにも!」
「あんま感化されるなよー?」
それから盛り上がりはとどまることを知らず..1人は熱心に教えを解き、1人はそれに同調して教えを乞い、1人はヤジを飛ばして食事会は朗らかに幕を閉じた。なお、次の日の尋問は1人を除き二日酔いでお通夜ムードだったのは言うまでもない..。
次回の話的にGLタグをつけるべきかとても悩んでいます..。