邪竜系美少女アドラーのヴィラン活動   作:AFOの手下

2 / 9
AFOって東南アジアとかアフリカの国々のいくつか支配してそうだよね。


アドラーちゃんのパーフェクト国家経営

USJ襲撃から数日後、雄英高校にて。

 

「死柄木という名前も、触れたものを粉々にする個性にも、該当するデータはありませんでした」

 

「黒霧という男も同様です。戸籍が存在しない・・・裏社会の人間でしょう」

 

主犯と見られる男の素性は不明。

だが、ヒーロー達の関心は別のところにあった。

 

「・・・あの、アドラーと名乗った女は?」

 

オールマイトと殴り合い、それでいてダメージが見られなかったあの女。

 

去り際に放った攻撃により、USJ内部は完膚なきまでに破壊された。

 

「・・・それについてですが、まずはこちらの資料をご覧ください」

 

スクリーンに映し出されたのは、『極秘』の文字が大きく書かれた資料。

 

「関東大氾濫、瀬戸内台風、水戸大津波・・・」

 

「思い出したくもねぇ災害のオンパレードだな」

 

どれも、数万人規模で犠牲者が出た大災害だ。

そして画面が切り替わると、今度はめちゃめちゃになった飛行機の残骸が映し出された。

 

焼け焦げた翼には、『J』の文字が残っていた。

 

「今度は大日空機墜落事故か・・・」

 

大日空機墜落事故。

政府高官の乗った大日空334便が墜落し、乗員乗客278名全員が命を落とした、日本史上最悪の航空機事故だ。

 

「おいおい、俺達は何を見せられてるんだ?」

 

プレゼントマイクが疑問を投げかける。

どれもこれも、自然災害によって甚大な被害が出た事例である。

 

大日空機墜落事故では長年テロ説が囁かれているが、ダウンバーストが原因の事故であったとの結論が出されている。

 

「では・・・続いてこちらを」

 

画面に映し出されたのは、水戸大津波の被害報告と専門家の見解であった。

 

「・・・は?」

 

オールマイトの口から、思わずといった様子で声が漏れる。

 

映し出された内容はこうだ。

 

『断層の発生および海底火山の噴火等は確認されておらず、今回の現象は自然現象でない可能性が極めて高い(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「・・・おいおい、まじかよ」

 

ヒーロー達の脳裏に、アドラーの攻撃の映像がよぎる。

 

「・・・これは、334便から回収されたブラックボックスの音声です」

 

「ブラックボックスは事故の衝撃で破壊され、解析不能となっていたはずだが?」

 

「ええ。公安が回収し、秘匿してきました・・・理由は聞けば分かりますよ」

 

塚内が再生ボタンを押すと、音声が流れ始める。

 

『第2エンジンが止まってます!』

 

『何が起こってる!?爆発したのか?』

 

緊迫した様子のコクピット内部。

どうやらエンジンが停止してしまったらしい。

 

『キャプテン!キャプテン!』

 

『どうした、また問題か!』

 

『ひ、人です!我々は、(ヴィラン)の攻撃を受けています!』

 

『ドゴン!』

 

爆発音が響く。

 

『くそっ、左翼が折られた!』

 

『Bank Angle,Bank Angle』

 

警報音が鳴り響く。

 

『体勢を立て直すんだ!』

 

『そんな無茶な!』

 

羽が折れた飛行機では飛べないことぐらい、誰にでも分かる。

 

機体が降下を始めたらしく、音声にノイズが混じりだす。

 

『Sink Late,Sink Late』

 

『くそっ、くそっ!あの女が、あの女が!』

 

破壊音と共に、ノイズが大きくなっていく。

 

『Pull Up,Pull Up』

 

『終わりだ・・・』

 

『あぁぁっ!畜生っ!ちく』

 

プツン

 

そこで音声は終わっていた。

 

「・・・記録は以上です。我々はこれらの災害を引き起こした敵について各国と情報を共有し、メディアに露出しないよう隠匿してきました」

 

教師達の間に沈黙が流れる。

 

「・・・どうしてそんな奴を、今まで放置していたんです?」

 

市民への被害を考えれば、今すぐ拘束ないし殺害するべき存在である。

 

出来るかどうかは怪しいところではあるが。

 

「理由は複数あります。まず第一に、表立った作戦は行えないという点です。こいつを始末するには、日本中どころか世界中のトップヒーローを集めなければ無理でしょう。しかしその存在が市民に広まれば、世界中が大混乱に陥ります」

 

天変地異を引き起こすような存在を市民が知れば、世界中が恐怖に包まれるのは想像に難くない。

 

「第二に、そもそも勝てるかどうか怪しいという点です。1992年の東欧革命の際、派遣された国連軍がアドラーと見られる敵と交戦。そして5日間で全戦力の半分を喪失しています」

 

教師たちは唖然としていた。

 

東欧革命といえば、東欧諸国で同時に発生した社会主義者によるクーデターに対し、アメリカを中心とした国連軍が出動したところ、ソ連から派遣された赤軍に大敗を喫したことで有名である。

 

この事件により、ソ連は勢力圏を大きく拡大し、アメリカの国際的地位は低下した。

 

「赤軍の存在自体、1992年時点では確認されておらず、ソ連の戦力はアドラーのみの可能性があります」

 

Are you kidding?(冗談だろ)・・・文字通り、ワンマンアーミーってわけか」

 

「・・・そして、第三の理由がこれです」

 

塚内が机の上に置いたのは、1枚の写真。

 

「1947年、ソビエト連邦にてクーデターが発生。当時の指導者層は全て処刑され、最高指導者である書記長にはこの女が就任しました」

 

そこに写っていたのは、軍服を着た金髪の女。

イレイザーヘッドとオールマイトは、その顔に見覚えがあった。

 

「「アドラー・・・!」」

 

「この女の就任以降、国境は完全に封鎖され、全ての国家と国交を断絶しています。衛星写真からの情報では、ソ連領のみ植物の成長と収穫が異常に早く、一度も大規模な災害の発生が確認されていないことからも、やはりアドラーの個性の影響を受けていると考えられます」

 

ソビエト連邦は、世界最大の国土を誇り、ヨーロッパ・アジアにまたがる社会主義国家である。

1947年以降、他国との交流の一切を断絶しているため、その実態は謎に包まれている。

 

「敵が独裁を敷いてる国?・・・笑えねえな」

 

「今度は日本に手を出そうってか?冗談じゃねえぜ」

 

「いえ、それはないでしょう」

 

塚内がきっぱり否定する。

 

「・・・何か根拠でもあるのかい?」

 

根津校長がそう尋ねると、塚内は声を低くして言った。

 

「・・・これからお話しする内容は、機密中の機密、トップシークレットです。絶対に外部に漏らさないようお願いします」

 

「・・・約束しよう」

 

根津校長が頷くと、塚内はとんでもないことを言い放った。

 

「大日空機墜落事故の後、日本政府はソビエト連邦と密約を交わしています。ソビエト連邦が日本に侵攻しない代わりに、アドラーによる被害は自然災害によるものとする・・・そういう内容です」

 


ソビエト連邦首都、アドラグラード。

 

かつてモスクワと呼ばれたこの都市には、クレムリン宮殿に代わる新たな政治の中心、『ギニーズド・ドラコーナ(竜の巣)』がある。

 

その最上階にある会議室に、共産党の実質的なトップと2人の巨悪が集まっていた。

 

「やあ、アレクサンドル。どうだい、最近は」

 

アレクサンドルと呼ばれた青年・・・に見える男は、鼻を鳴らしてこう答えた。

 

「同士アドラーの加護が我らにはあるのです。当然繁栄が続いていますよ。あなたも知っているでしょう・・・AFO」

 

「アレクサンドルく〜ん、“血”はどのくらい広まってるんだ〜い?」

 

アレクサンドルが座っている椅子をくるくる回しながら、アドラーが尋ねる。

 

「3分の1が接種を終えました。あとくるくる回さないでください」

 

真顔のままくるくる回るアレクサンドルの姿はシュールであった。

 

「・・・しかし、ここはやはり素晴らしい所だね。まるでおとぎ話の理想郷だ」

 

AFOの言う通り、現在のソビエト連邦は、楽園と言えるような環境であった。

 

領土全域がアドラーの加護の下にあり、肥沃な土地と豊富な鉱山資源が全土に分布している。

 

極寒の大地であったシベリアも、現在では広大な農地が広がっている。

 

「ふふん、そうだろう。どうだい、引っ越ししたくなったかい?」

 

「いや、遠慮しておくよ。僕はまだ日本に用事があるからね」

 

ソビエト連邦のシステムは実にシンプルだ。

 

豊富な鉱山資源によって作られた産業ロボットにより、ほぼ全ての製品の生産が自動化されている。

 

国民の仕事は農作物の栽培のみで、それ以外の時間はスポーツや読書などの娯楽を楽しむ。

アドラーの加護により、病気や怪我をすることは殆どなく、なったとしても一日経てば治るという脅威の回復力をもつ。

 

現在国民への接種が進められている“アドラーの血”には、体内に取り込んだ者が不老になるというとんでもない効能がある。

 

出生率に関しても、AFOの協力で実現した遺伝子操作技術により、特定の薬品を接種した場合のみ確実に妊娠するというシステムでコントロールされている。

 

「君がOFAを回収したら、さっさと日本も併合しちゃおっと!」

 

「おや、不可侵条約を結んでるんじゃなかったのかい?」

 

AFOの言葉に、アドラーはニヤリと笑ってこう言った。

 

「知らなかったかい?僕が約束を守るのは、それが自分に有益なうちだけだよ」




この世界でソビエト連邦は崩壊しておらず、アドラーちゃんに乗っ取られています。

アレクサンドルの外見は10〜20代ですが、実年齢はおじいちゃんでアドラーちゃんの最初の部下です。

『龍神の加護』的なものにより、ソ連領内は楽園となっています・・・ほんとにヴィランかこいつ?

併合された国の国民は残念ながら皆殺し・・・やっぱヴィランだわこいつ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。